りん日記

ラーとか本とか映画とか。最近はJ-ROCKも。北海道の夏フェスふたつ、参加を絶賛迷い中。

ジョバンニのおしごと

2008-08-02 23:49:29 | ちびっちょ作品
「新聞の活字は金属製のハンコのようなパーツの組み合わせでできています。
活字の倉庫にはひらがな・カタカナ・アルファベットや数字はもちろん、
辞書に載っているすべての漢字がそろっています。
手書きの原稿を見ながら一文字一文字をピンセットでつまんで箱に並べる。
そこにインクを付けて刷られるわけですから、
当然これらのパーツは左右が反転しています。
だから、似てる字を間違えちゃうことがあるんです。
政治欄。投票の『票』を、『栗』」
「なんだこの、十万栗の差で当選確実となりましたって。どんな選挙だ」
「リスのですかねぇ」


                       (ラーメンズ第16回公演『TEXT』より)



ちびっちょが昨日、活版印刷を体験してきました。

ちびっちょの通うアートスクール「まほうの絵ふで」では、
夏休みや冬休みなどの長い休みに、普段の授業とは別に希望者のみ対象で
特別プログラムを実施してくれます。
途中、昼ご飯やおやつも自分たちで作って食べたりしながら、
朝から夕方までビッシリ1日かけて、一つの作品を作ります。
(もっと年齢が上の生徒には、泊まりがけの合宿をするプログラムもあります。)

去年のゴールデンウィークではソーイングを習い、ぬいぐるみを作ってきました。
(そのときの記事、こちら。)
去年の年末にはクレイアニメを作ってきました。(そのときの記事、こちらこちら。)

今回は活版印刷です。
10人の子供たちが1ページずつ担当して、「ねむりのほん」という
1冊の本を作ります。

先日紹介したロードアートTREEのときもすごいゲストが来てくれましたが
(そのときの記事はこちら)、
今回も、すごいクリエーターさんたちが、何人もでよってたかって協力してくれました。
もう、ホントにすごいよ。
ありがたくてありがたくて。

まず、参加した子ども一人一人の写真を撮りました。
撮ってくれたのは、菊池智子さん。
札幌に本店を、銀座に支店を置く、雑貨と服飾の店cholonのオーナーさんです。
「プロの写真家じゃないんで……」とご本人は謙遜されますが、
何をおっしゃいますやら、あのステキな写真雑誌「カメラ日和」に連載お持ちなんですよ、
限りなくプロに近い、ていうか、プロでらっしゃいます。
親は見学できないのであとから話を聞いたりcholonさんのブログ
紹介されてるのを見ただけですが、
プロの写真家さんが撮影するように、子供たち一人一人、いろいろ話しかけながら
自然な表情を引き出して撮ってくれたみたい。
なんか、嬉しいじゃないですか。

撮ってもらった写真に、今度は文章をつけます。
子供たちがそれぞれ考えて、できたら、いよいよ印刷。
活版印刷です。

東京の、オールライト工房
消えゆく技術・活版印刷を、デザインの新しい可能性を実現するツールと位置づけて、
活版印刷の良さを多くの人に知ってもらい、未来に残そうとしている工房です。
サイト内のブログの1ページ目を見ていただけるとどんなところかよくわかります。

この工房を立ち上げたお三方、高田素文(もとのり)さん、高田唯さん、武井実子さんが
わざわざこのために札幌に来てくれて、
5才から8才のちびすけばっかり10人を指導してくれました。

文字一つ一つ拾うって、大人でもきっと大変な作業。
しかもやっとひらがなが書けるようになったかならないかの子供たちですよ。
何しろ左右が反転してますからね。鏡文字ですからね。
さらに、今回初めて知ったことなんですが、活字って、
アイウエオ順じゃなくて、イロハ順に並んでるんですって!
慣れてない子供たちのために特別にアイウエオ順に並べ直しておいてもよかったんだけど、
「本物を知ってもらう」という意味で、あえてイロハ順のままにしました、
と素文さんはおっしゃってました。
で、結果、一文字拾うのに5~6分ですって。
文章は2、3行の短いものですけど、10人の子供たちにそれやらせるんだから、
大変だっただろうな~。
「ウン、今日はすごくがんばった!大人たちが!」
って、最後に校長言ってましたからね(笑)。

次は、印刷機でガッシャンガッシャン、一枚ずつ刷っていく。
現物を見たことないのでどんなふうにするのか全然わからないのですが、
大変だったらしい。

終了予定時刻18時、でも16時半の時点で大人たちは「絶対間に合わない!」って
思ったんですって。
でも最後の1時間にミラクルが起きて、流れるように作業が動き出し、
結果、見事に18時ちょうどに最後の一枚が刷り上がったんですって。
見たかったなぁ、そのミラクル。


渇かして、絵ふでの先生たちの手で製本して、何日か後に私たちの手元に
できあがった本がいただけるそうです。楽しみだー。

絵ふでブログでもその様子が詳しく書かれてます、よろしかったら。
あ、いま行ってみたらまだアップされてないけど、近日中にアップされるはずです。


うーん、やってみたい、活版印刷。
好きなんだよー、なんかあったかみがあって、紙面が美しいんだよね、
活版印刷の本って。
自分で活字拾って、好きな文章紡いでみたい。


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2 コメント

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Unknown (桃戸千)
2008-08-03 09:38:31
TEXTの起こし文章だけで癒されましたよ
ありがとうございます
ああ、生で見たかった>TEXT

ところで、毎回感心しますよ
ちびっちょくんの参加されてる「魔法のえふ」
私は不勉強でどの方も知らないのですが
すごい方ばかりなんですね
活版印刷の本を愛されてる、りんさんの感性も素敵です

で、「ロードアートTREE」の時の過去記事を読ませてもらったら、「トニー滝谷」の文字が!柿木原政広さんは「トニー滝谷」のビジュアル担当だったようですね
あの作品は春樹さんの原作で、しかもイッセー尾形さんが主演だったので、見たんですけど、スタッフに相当こだわって作ってた作品。
この作品に参加されたということはさぞ、さぞとへんなところで感心してしまいました。

ちびっちょくん、りんさんのようなナイスチョイスのお母さんに育ててもらって幸せですね
すくすく育ってくださいませ
返信する
Unknown (りん)
2008-08-03 23:34:09
~桃戸さん
へへ、実は「TEXT」、全部起こしてあります。
大変だったけど、すっごく楽しい作業でした。
いつか戯曲として出版されるとき、活版印刷で刷ってくれると
とっても嬉しいんですけどねぇ。

「トニー滝谷」も見てないんですよ、私。。。
不勉強ですー。
でもホントに、知れば知るほどすごい方に参加していただいたんだなーと、
今さらながらにびっくりしてます。
TREEの完成が楽しみです。

>ナイスチョイス
ありがとう!
我ながら「まほうの絵ふで」にいれたのは大ヒットだったと思ってます。
自分も世界が広がったし。
どんなに他のことが忙しくなってきても、
絵ふでだけは続けてほしいな。


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