トーキング・マイノリティ

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女はみんな生きている 2001年【仏】コリーヌ・セロー監督

2005-08-11 20:38:52 | 映画
   結末からすれば女たちが男どもを出し抜いてハッピーエンドの落ちだが、一見軽快なストーリーでも重いテーマもある映画だ。私は主人公の平凡な主婦よりも、彼女と大きな関りを持つ若い娼婦の方が印象的だった。

  この娼婦は実はアルジェリア移民の娘で、16歳の時どう見ても50代半ばは過ぎている男と結婚させられそうになり(これで彼女の父の手元に 2万フランの結納金が入ることになっていた)、それがいやで家出をしたため、組織の中東系の男に騙され娼婦にさせられる。夫となるはずだった男が初めて彼 女にしたのは唇をめくって歯を調べることだった。その様子は20世紀になってもまだあった中東の奴隷市場で奴隷を買う時と同じだ。彼女の母親も17歳で (その時父親は50過ぎ)彼女を産んでいる。

  娼婦に身を落としても元々頭のよい彼女は株や経済を学んで、組織の金庫番的存在となる。彼女には腹違いの弟と同腹の妹がいて、愛する妹に会いに行くが、継母や弟たちに「一家の面汚し」と叩き出される。
  イスラム系移民の間にも“名誉の殺人”といわれる家族 の制裁がある。一家の名誉を傷つけた(勝手に男と付き合うのが最も多い理由)不届きな娘を親兄弟や親族の男たちが殺害することを指す。この副主人公の娼婦 が“名誉の殺人”にされなかったのは、体で稼いて得た金で家電製品その他ぜいたく品を家族の元に送っていたからだった。

   この娼婦は同胞の男たちをかなり辛辣に切り捨てている。 「民族の誇りと言ったところで、ここの社会(フランス)がいいから住んでいる結局頭にあるのはバイクと金女と携帯だけ家族の名誉などバイク1台で淡雪のように溶け去る」。
 日本にも同様な外国人が大勢いるでないか。結局日本の生活がいいから住んでいて、民族の名誉は口実で金が目的の輩が。

  この映画を「男が見るとへこみ、女が見ると元気が出る」と批評していた方がいたが、移民でも副主人公の兄弟はだらしなく、勉強もせず遊んでばかり。対照的に妹はしっかりものだった。妹が口答えをすると、殴るけるの暴力を振るうロクでなし。


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3 コメント

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Unknown (atom)
2005-08-12 05:47:48
初めてコメントさせていただきます。



結局、あれなんでしょうね。映画を見ていないのでなんとも言えないのですが、イスラム社会の掟という建前よりも、お金という本音を優先させる移民の男たちを批判することによって、このような欺瞞を行ってきたのは常に男たちの側であることを印象づけたいのかなぁ…と。マジョリティーにせよ、マイノリティーにせよ、特定の集団の欺瞞を担っているのは男の側だ、と。この場合も、アルジェリア移民の女が同じ移民の男を批判しているのであって、民族や宗教という枠組みよりも、男女という性別の枠組みの方が優先されている感じしますけどね。おそらく、民族の誇り云々も、同じアルジェリア移民だから許される台詞のような気がします。というか、結局どんな集団でも悪いのは男の側ってことなのか…、とほほ。
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民族主義と男女 (Mars)
2005-08-12 17:46:42
こんばんは、mugiさん。

秋葉原はいってことがありますか?私は、会社から近い(といっても、3駅先ですが)ので時々行きます。

でも、自分は、最近話題のオ○クでないと、確信しています(でも、根拠が、、、薄っ)。



>日本にも同様な外国人が大勢いるでないか。結局日本の生活がいいから住んでいて、民族の名誉は口実で金が目的の輩が。

確かに、○鮮系の人々は、特にそうでしょうね。更に、自分達の要求ばかりする。ヒドイものです。

(更に、日本人は○鮮系の人々に甘い。かの人たちが言うように、日本人は、本当に差別をやめないといけませんね。各種の特権をすべて廃止し、他の外国人達と同じように、平等に扱うとね)



そして、今回の件とは反対ですが、ジェンターフリーの問題も深刻ですね。あそこまで歪んだ平等は恐ろしいですね(というか、平等の名を借りた、性差別である、とさえもいえます)。○巻きの教育には、将来の日本にも、暗澹たる思いがします。
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コメント、ありがとうございます (mugi)
2005-08-12 21:53:35
>atomさん

これは明らかに女性監督による女性映画なので、すべて男が悪いとやり込めてるのでしょう。

ただ、個人的にイスラム圏に関心があるので、アルジェリア系娼婦を特にクローズアップした次第で。別にイスラム系に限らず、どの宗教、民族でも移民に同じようなタイプがいると思います。日本にも“民族”をスローガンにする者が多数いるし、逆に日系人にもそのタイプがいるでしょう。しかし、移民の間で内部批判はまず難しいので、部外者からは真を突いた痛快な台詞に思えました。



>こんばんは、Marsさん。



秋葉原はかなり前に1度行ったきりです。東京まで新幹線で2時間も掛かりますので、田舎モノはそうそう行けません。

東京はもっぱら、博物館や美術館が集中してる上野中心です(それも、2年前に行ったきり)。



小中華主義に凝り固まってる○鮮系の連中は、自分たちへの同意と奉仕しか求めない性質なのです。

アラブ系移民もまた、よく似てます。野蛮な西欧に十字軍時代ヤラレた、進んだ文明を教えてやった、と過去の話ばかり。

実際はコーランはバイブルからのパクリだし、古代ギリシア、ローマ、インド、ペルシア文明の下地があってこそ発展したもの。“アラビア数字”など、そっくりインド数字からの拝借です。他の異教徒移民と同等に扱われるとキレる。



確かフジTV「報道2001」で性教育を取り上げてましたが、その内容は信じられないものでした。狂っているとしか思えない。

独立前のインドで、イギリスが女性啓蒙を画策したのを思い出しました。真の狙いは、キリスト教への改宗と協力者作り。で、目覚めた女性が独立運動に参加すると、インド女性らしくないと弾圧。
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