トーキング・マイノリティ

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ザ・ニュースペーパー全国公演2017 IN 仙台

2017-02-26 21:10:10 | 音楽、TV、観劇

 2月25日に行われたザ・ニュースペーパーの仙台公演を見てきた。会場は何時もの仙台電力ホール。私が見たのは14時開演の昼の部だが、土曜日ということもあるのか、会場はかなり混んでいた。某デパートのプレイガイドで前売り券を買った際、係員が今回はトランプが米大統領に当選したため、チケットの売れ行きがよいと言っていたのは、宣伝のための誇張ではなかったようだ。
「日々変わる「ニュース」を素材に『ザ・ニュースペーパー』が斬りまくる‼」。チラシのコピーどおり、今回も時事コントで笑わせてくれた。

 今回のトップコントはトランプではなく金正男、いかにもタイムリーなネタだった。金正男とТシャツ姿の2人の女に扮した団員が登場、女の1人が後ろから手で顔を覆う。これを以って、次のナレーションが流れ、会場は大笑いとなった。
「開演に当たって皆様にご注意があります。会場には飲食物や毒物は持ち込まないで下さい。また、前のお客様の目を覆わないで下さい…」
 
 次の登場はやはりトランプだった。もし金正男暗殺事件がなければ、真っ先にトランプが登場していただろう。メキシコとの間に壁を作るという公約で、メディアからバッシングされ続けているトランプだが、それを宮城県に置き換えて話している。秋田、岩手、福島、山形県に壁を作り、県境を接していない青森県にその負担をさせるというもの。宮城県でも他の東北からの移民は困るだろう、と言って。

 会場はまたも笑いの渦。その反応に“トランプ”は、(仙台では)このネタで笑えるのか、と突っ込む。実は人口の半数近くが東北各県、その他の諸県からの移住者で占められるのが仙台市なのだ。そして四分の一の住民は宮城の他の市町村からの移住者。仙台生まれ、仙台育ちの仙台っ子は、四分の一程度に過ぎない。
 つまり、仙台っ子は生まれ故郷の仙台でマイノリティなのだ。その仙台っ子さえ、三代続いている家系は至って少ない。私自身も両親は宮城の他の市町からの移住者だし、三代続けての江戸っ子が少数の東京と事情は同じなのだ。

「ザ・ニュースペーパー」によるドナルド・トランプ氏モノマネの動画もあり、ここでは首都圏がネタにされていたのも笑える。公演する地域毎にネタを代えるのがザ・ニュースペーパー。“安倍首相”が河北新報を読む寸劇で、「薄くて読み易くてイイね」と云う。
 確かに最近の河北は紙面が薄くなった。昭和一桁生まれの私の老母さえ、最近の河北は広告と現政権への悪口ばかりで、見る処がないと腐していた。



「カジノ法案」絡みの寸劇もあった。舞台は老人ホームで、入居者はギャンブル好きという設定。施設の係員もギャンブルは脳の活性化によいということで、パチンコやマージャンを勧めている。一応は現金をかけることは禁止しているが、もちろん陰ではちゃんと現ナマをかけているのだ。元手となるのは他の入居老人の年金。
 ギャンブラー入居者たちは施設職員も巻き込み、賭けに興じている。そして職員が借金を返済できなければ、カモになる老人を早く見つけて入居させろと凄む。ギャンブルや老人問題を風刺しているようでも、決して有り得ないことではなく、ブラックな寸劇だった。

 公演のラスト寸劇はお決まりの「さる高貴なご一家」。もちろん今回のテーマは「生前退位」。高貴なご一家の家長が、私は日本で唯一職業選択や定年、辞任の自由がないと嘆き、結論が出そうもない有識者会議に、「遅いよー」と叫ぶ。高貴なご一家の娘は、「なぜ我が家では、我が家のことを決められないの?」と問う。家長はそれに応え、「そうだ、大政奉還だ」と言うオチ。
 今時、天皇制などお笑い芸人のギャグと一笑されるが、かつて将軍による政権返上に続く「王政復古」など、予測できた日本人は果たしてどれだけいたのやら。歴史では動乱期には想定外の出来事が連発するのだ。

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