うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

日本におけるMr. Prospector直仔種牡馬(附ベルモントS、BCターフ)

2021-01-09 21:53:37 | 競馬日記
欧州におけるMr. Prospector直仔種牡馬」(種牡馬だけでなく繁殖牝馬も拾っているのですが。もちろん大半は種牡馬ですが)というのを作ったので、ついでに日本でも作ってみます。12F前後の大レースが対象ということで、ダービー、JC、有馬記念を対象にします。

ダービー
2020年 コントレイル(Fappiano×2)
2018年 ワグネリアン(Kingmambo)
2017年 レイデオロ(Kingmambo)
2015年 デュラメンテ(Kingmambo)
2014年 ワンアンドオンリー(アンブロシン(牝馬))
2012年 ディープブリランテ(Miswaki)
2010年 エイシンフラッシュ(Kingmambo)
2009年 ロジユニヴァース(Machiavellian)
2004年 キングカメハメハ(Kingmambo)

JC
2020年 アーモンドアイ(Kingmambo)
2019年 スワーヴリチャード(Fappiano)
2018年 アーモンドアイ(Kingmambo)
2017年 シュヴァルグラン(Machiavellian)
2010年 ローズキングダム(Kingmambo)
2007年 アドマイヤムーン(フォーティナイナー)
2005年 アルカセット(Kingmambo)
2004年 ゼンノロブロイ(マイニング)
1998年 エルコンドルパサー(Kingmambo)
1994年 マーベラスクラウン(Miswaki)

有馬記念
2020年 クロノジェネシス(Coup de Genie(牝馬)、ラスティックベル(牝馬))
2018年ブラストワンピース(Kingmambo)
2010年 ヴィクトワールピサ(Machiavellian)
2004年 ゼンノロブロイ(マイニング)

11回:Kingmambo
4回:Machiavellian=Coup de Genie(牝馬)
2回:Miswaki、Fappiano、マイニング
1回:フォーティナイナー、アンブロシン(牝馬)、ラスティックベル(牝馬)

キングカメハメハを擁するKingmamboが圧勝なわけですが、他にエイシンフラッシュもアルカセットもエルコンドルパサーもいるわけで、Kingmambo自体が日本の12F大レースに合っているのは間違いないでしょう。
Machiavellianに関しては、ロジユニヴァースとヴィクトワールピサは、ネオユニヴァースとMachiavellianの組み合わせ、ロジユニヴァースの祖母ソニンクとシュヴァルグランの母ハルワスウィートは、MachiavellianとNureyevの組み合わせであり、ロジユニヴァース、ヴィクトワールピサ、シュヴァルグランはいずれもサンデーサイレンス系。Coup de Genieを持つクロノジェネシスの父バゴとハルワスウィートはCoup de Genie=Machiavellian、Nureyev、Blushing Groomを持ち、クロノジェネシスとシュヴァルグランはバゴ、ハルワスウィートの反対側にサンデーサイレンスを持ちます。4頭とも持っている血がかなり共通します。こういう組み合わせに何かあるのでしょうね。
欧州ではGalileo、Sea the Stars、Dalakhaniを擁して圧倒的な成績を見せるMiswakiは日本でも2回このリストに登場しています。しかし、マーベラスクラウン、ディープブリランテの2頭はどちらもGalileo、Sea the Stars、Dalakhaniを持たず、Miswakiの優秀さが現れているとともに日欧の違いも出ていて面白いところです。
2回登場するのは、他にFappianoとマイニング。Fappianoは下にあるように、アメリカで実績があるのですが、日本に適応しつつあるのかもしれません。マイニングの2回は、ゼンノロブロイによるいわゆる古馬の秋の3冠制覇に含まれるJCと有馬記念の勝利です。ダービーとJCに比べるとMr. Prospector系は有馬記念を勝っておらず、東京2400mと中山2500mの違いが出ているのですが、血統表内にMr. Prospectorを持ち、尚且つこの3レースのうち2レースを制した馬はゼンノロブロイしかいないのが不思議なところです。もちろんダービーとJCの両方を勝った馬はいるのですが、なぜかMr. Prospectorを持っている馬はこの2つともを制することに失敗しています。


さて、アメリカで同様のことができるだろうか、すなわち、芝の12Fの大レースを3つほど選んで、どのようなMr. Prospector系を持っているかを調べることができるだろうかと考えたのですが、アメリカはダートが主流ですから、3つ選ぶことはできそうもありません。で、芝にこだわるとしたらBCターフ、ダートでもいいならベルモントSということになるでしょうか。まずはベルモントSから。

ベルモントS
2020年* Tiz the Law(Preach(牝馬)、Fappiano、フォーティナイナー、Crafty Prospector)
2019年 Sir Winston(Prime Prospect(牝馬)、アフリート)
2018年 Justify(Preach(牝馬)=Yarn(牝馬)、Love Style(牝馬)、Prime Prospect(牝馬))
2017年 Tapwrit(Preach(牝馬)、Fappiano、Northern Prospect)
2016年 Creator(Preach(牝馬)、Fappiano)
2015年 American Pharoah(Fappiano)
2014年 Tonalist(Preach(牝馬)、Fappiano)
2013年 Palace Malice(Smart Strike)
2012年 Union Rags(She’s a Talent(牝馬)、Gone West)
2011年 Ruler on Ice(Fusaichi Pegasus、Silver Valley(牝馬))
2010年 Drosselmeyer(フォーティナイナー)
2009年 Summer Bird(Fappiano)
2006年 Jazil(Seeking the Gold)
2005年 Afleet Alex(アフリート)
2004年 Birdstone(Fappiano)
2003年 エンパイアメーカー(Fappiano)
2001年 Point Given(Gulch)
2000年 Commendable(Gone West)
1999年 Lemon Drop Kid(Kingmambo)
1998年 Victory Gallop(Fappiano)
1996年 Editor’s Note(フォーティナイナー)
1997年 サンダーガルチ(Gulch)
1991年 Hansel(Woodman)
1982年 Conquistador Cielo(直仔)
*2020年はD9F。

9回:Fappiano
5回:Preach=Yarn
3回:フォーティナイナー
2回:アフリート、Gulch、Gone West、Prime Prospect
1回:Conquistador Cielo、Woodman、Love Style、Crafty Prospector、Northern Prospect、Smart Strike、She’s a Talent、Fusaichi Pegasus、Silver Valley、Kingmambo、Seeking the Gold

さすがMr. Prospectorのふるさと且つ供用された地且つMr. Prospector本領発揮の場と言えるダートですね。たった1レースだけでこれだけの数、種類です。
最多はFappianoです。Tapit産駒が3勝、Tapitの直孫が1勝(これはD9Fで行われた2020年ですが)と数を押し上げているのですが、Birdstoneとその産駒Summer Bird、エンパイアメーカーとその直孫American Pharoahがおり、適性ありと言っていいかもしれません。これら8頭は全てUnbridledの系統ですが、Cryptoclearanceを経由するVictory Gallopもいます。
Preach=Yarnが5回登場。5回ともPulpitの母Preachによるものであり、そのうち1回のJustifyはJohannesburgの祖母Yarnも持ちます。
フォーティナイナーは3回登場。直仔のEditor's Noteと、Distorted Humor産駒Drosselmeyer、Distorted Hummorを血統表内に持つTiz the Lawによるものです(Tiz the LawのときはD9F)。Distorted Hummorは直仔にFunny Cide、直孫にアイルハヴアナザーとベルモントSを除く2冠馬がいるのですが、それでも2回登場するのですから、レベルが高いのでしょう。

次にBCターフです。

BCターフ
2020年 Tarnawa (IRE)(Machiavellian、Miswaki)
2018年 Enable (GB)(Miswaki)
2017年 タリスマニック (GB)(Machiavellian)
2016年 Highland Reel (IRE)(Miswaki)
2015年 Found (IRE)(Miswaki、Crafty Prospector)
2014年 Main Sequence (USA)(Aldebaran)
2013年 Magician (IRE)(Miswaki)
2012年 Little Mike (USA)(Fappiano)
2010年 Dangerous Midge (USA)(Yarn(牝馬))
2009年 コンデュイット (IRE)(Miswaki)
2008年 コンデュイット (IRE)(Miswaki)
2007年 English Channel (USA)(Smart Strike)
2006年 Red Rocks (IRE)(Miswaki、Machiavellian)
2004年 Better Talk Now (USA)(Miswaki)
2003年 Johar (USA)(Gone West)
1999年  Daylami (IRE)(Miswaki)

10回:Miswaki
3回:Machiavellian
1回:Crafty Prospector、Aldebaran、Fappiano、Yarn、Smart Strike、Gone West

欧州で活躍する馬の活躍が目立つレースであり、Miswakiがたった1レースで10回と圧倒的です。欧州では3レースで26回の登場ですから、欧州よりも高率です。Enable、Highland Reel、Found、コンデュイット、Daylamiが欧州の方のリストにも登場しますが、これら5頭は全てMiswakiを持ちます。やはりGalileoの母Urban Sea、Dalakhani、Daylamiの母Deltawaというところなのですが、Tarnawa、Better Talk NowはUrban Sea、Daltawaを経ないMiswakiであり、計4種類のMiswakiということで、これだけで2位よりも上が確定してしまいます。
その2位はMachiavellian。Red RocksとTarnawaはMachiavelianとMiswakiの組み合わせ、Red RocksとTalismanicは父Sadler's Wells系×母父Machiavellian、ということで、Red Rocksを軸として共通性があります。日本のリストでもMachiavellian=Coup de Genieを持つ馬同士で配合に共通性があったのですが、BCターフでリスト入りした馬とは異なっています。

さて、3地域、4部門のMr. Prospector系についてリストにしてきたわけですが、これを表にすると、以下のようになります。
入っている部門の数が多いものが上、部門の数が同じ場合は全体の回数が多いものが上になっています。

表

4部門でリスト入りしている馬はいないんですね。Miswaki、Kingmambo、Fappiano、Gone West、Machiavellian=Coup de Genie、Crafty Prospectorが3部門でリスト入り。このうちMiswaki、Kingmambo、Machiavellian=Coup de Genieは3地域でのリスト入りです。
Miswakiの活躍は圧倒的です。リスト入りしていない部門はベルモントS。アメリカで供用されましたが、明らかに芝向きということでしょう。しかし、BCクラシックのブラックタイアフェアーのように、ダートの大レースを勝つ産駒も出しました。
これに続くのがKingmambo。欧州芝で実績のある馬が活躍できるBCターフでリスト入りしていないのが意外です。Fappianoはアメリカダートで実績があり、そこからアメリカや日本の芝にも領域を広げていますが、まだ欧州ではそれほどではないというところでしょう。Gone Westは日本以外でリスト入り。日本に向かない血というわけではないですから、世代が上がれば勝つ馬が出てくると思います。Machiavellian=Coup de GenieはベルモントS以外。Machiavellian産駒もAlmutawakelStreet Cryと2頭のドバイWC馬を出しているように、ダートの大レースでも実績があります。Crafty Prospectorは日本以外の部門で1回ずつリスト入り。渋いですね。

2部門でリスト入りは、Preach=Yarn、Conquistador Cielo、フォーティナイナー、Seeking the Gold、Smart Strike。このうち、Preach=YarnとSmart Strikeは今のところアメリカ専用です。
Conquitador CieloのベルモントSは自身の勝利でのリスト入り。そして種牡馬としては振るわなかったものの、なぜか欧州で3回のリスト入り。フォーティナイナーは日本とベルモントSでリスト入りですが、日本でのリスト入りは、アドマイヤムーンの他にスイープトウショウを出したエンドスウィープに日本適性があった結果でしょう。Seeking the Gold産駒はシーキングザパールのイメージが強いですが、Jazilの他にドバイWCを圧勝したDubai Milleniumなどを出しており、距離が持つ馬も出しています。そのDubai Milleniumが出したDubawiによって欧州でリスト入りしています。

ある一つの部門だけで勝ちまくっている馬はいないんですね。ある程度勝つ馬は他の部門でも勝てるということでしょう。

かなり限られた部分だけの分析ですが、案外そうなのかという面が見えてきて、個人的に面白く、欧州から始めてここまで続けてしまいました。