うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

菊花賞

2014-10-28 00:33:16 | 競馬日記
菊花賞はトーホウジャッカルが二重の最速勝利を挙げました。
一つは勝ちタイム。ソングオブウインドの菊花賞レコードを1.7秒、ナリタトップロードの日本レコードを1.5秒縮める3分1秒の猛烈なレコードになりました。もう一つはデビューからの日数。今年の5月31日のデビューで、デビューから149日での菊花賞制覇で、2歳戦が行われるようになって以降最速の勝利になりました。

母トーホウガイアは中央では2戦未勝利、地方に出て1200~1800mで9勝を挙げました。5代母からの分岐にはFappianoオジジアンHonour and GloryQuiet AmericanDare and Goなどがいます。
トーホウガイアはCBC賞のトーホウアマポーラも出しています。スプリント重賞の勝ち馬と超長距離GIの勝ち馬を出したことになります。祖母がNureyev産駒でNearcoクロスを持ちますね。このホワットケイティーディドNuryetteを思い出しました。

ホワットケイティーディドはヒシアマゾンの半姉(ヒシアマゾンもTheatrical産駒でNearctic 4 x 3を持つ)で、代表産駒は最優秀短距離馬スリープレスナイト
Nuryetteの代表産駒はNorthern Afleet。7~9Fの重賞を勝った馬(GIでは8Fの7FのマリブS、メトロポリタンHで3着があります)です。種牡馬としてはプリークネスS、ベルモントS、ホープフルSを勝った米3歳牡馬チャンピオンAfleet Alex、ブリーダーズCスプリント、エンシェントタイトルS、ビングクロスビーSを勝った米チャンピオンスプリンターAmazombie、ドバイゴールデンシャヒーンを勝ったUAE古牡馬チャンピオンBig City Man、アルシバイアディーズSを勝った加2歳牝馬チャンピオンNegligee、デルマーオークス、アシュランドSを勝ったEvening Jewel、ガルフストリームパークターフH、ユナイテッドネイションズSを勝ったTeaks Northと、スプリンターからベルモントS勝ち馬まで多彩な産駒を出しています。ただ、スプリンターのチャンピオン2頭なので、どちらかと言えば短距離よりかもしれません。

トーホウアマポーラは父がスプリント~マイルのGI馬を多数出しているフジキセキ産駒(芝のGIで最長は皐月賞2000m)。母父ががスピード豊かなUnbridled's Songで、こことの間でLe FabuleuxとIn Realityがクロスします(ミルレーサーとGana Facilの相似性)。Le Fabuleuxはスタミナタイプなのですが、In Reality(In Reality内Rough'n Tumbleも)、フジキセキ、Unbridled、Unbridled's Songのスピードが出たタイプなのでしょう。

トーホウジャッカルは父がダービー、天皇賞春秋連覇、JCのスペシャルウィークに代わります。スペシャルウィークはブエナビスタ、シーザリオと2頭のオークス馬を出しており、フジキセキよりはかなり距離が持つ種牡馬です(芝GIでの最短は阪神2歳牝馬S、ヴィクトリアマイルの1600mですが、マイルがあっていたというよりブエナビスタが強すぎただけ)。
配合的にはNorthern Dancerが系列ぐるみになります。いいところがいいっぱいありますね。一つはNorthern Dancerクロスが完全に生きているところ。Nearctic、Nearco、Hyperion、Almahmoud、Mahmoud、Gainsborough、Pharos、Native Dancer。完全ですよね。次にBuckpasserクロスがMenow、Bull Dog、Man o'War、Blue Larkspurなどアメリカンを内包しながらPharamondでNorthern Dancerに結合する点。実はヨーロピアンが豊富なNorthern Dancerにアメリカンを結合させています。もう一つはPrincequilloクロス。ヨーロピアンなスタミナとしてはもう一つ欲しいところにPrincequilloがクロスして、Papyrus - Tracery、White Eagleとスタミナを足しています。更に母内でクロスされているCequilloの生かし方。Princequillo、Mahmoud、Man o'War、Marguerite de Valois(= Bull Dog = Sir Gallahad)ときれいにクロスされています。Man o'War、Marguerite de ValoisはBuckpasserに内包されます。
アメリカンな部分のUnbridled's Songのところは影響が弱く、芝向きな血が生きています。距離はある程度、持ちそうな配合をしていますが、ステイヤーと言えるほどではありません。が、それが超高速馬場に合ったかもしれません。

Sono Bianco Nero

2014-10-24 00:10:30 | 競馬日記
シーキングザダイヤが2頭目のGI馬を出しました。産駒のSono Bianco Neroが10月4日に行われたチリのGIグランクリテリウムマウリシオセラーノパルマを勝ち、GI初勝利を挙げました。シーキングザダイヤ産駒最初のGI馬Top Casablancaは5着。重賞勝ち馬としては他にSafawiがいますが、3頭ともMr. Prospectorクロスを持ちます。

他の2頭とSono Bianco Neroが大きく違うところはNorthern Dancerクロスができないところですね。5代目からクロスするNasrullahが主導で、Native Dancerクロスがそれに続き、この両者がMr. Prospectorクロス内に同居しています。スピードのあるタイプの配合なんだろうと思いますが、Hyperionが6代目からクロスするのはいいですね。また、Hurry On、Biribi、Sardanapale、Ksar、White Eagle、Neil Gow = Soulouque、Gay Crusader、Clarissimusと、奥の方ではヨーロピアンなスタミナの血が生きているんですね。結構、妙味ある配合だと思います。

日本にいて複数のGI馬を出せたかというと自信がないですし、本当にチリに行って良かったと思います。日本で需要のない種牡馬はタダでもいいから興味を持ってくれる国に出した方がいいように思います。

Cape Blanco輸入

2014-10-23 22:26:50 | 競馬日記
Cape BlancoがJBBAによって輸入されるそうですね(記事)。

愛ダービーなど、GI5勝。牝系に短距離での活躍馬が多く、距離克服能力が疑問視されましたが、クロス馬的にはスタミナたっぷり配合でした。Coolmore Americaで種牡馬入りし、かなりの人気種牡馬でした(ブログ)。ニュージーランドにもシャトルされていたようですね。

日本でGalileo産駒初の種牡馬になる模様。サンデーサイレンス系に付け放題な感じですから、いい種牡馬になると思いますよ。

Empoli

2014-10-22 00:42:32 | 競馬日記
オイロパ賞をEmpoliが勝ちました。父は名中距離馬Halling。強かったですし、好きな馬だったのですが、種牡馬入り後は期待を裏切り、初のGI馬Cavalrymanは9年目の産駒でした。その後、同い年のCutlass BayもGIガネー賞を勝ち、2頭目のGI馬になりました。

Cavalrymanは美しい異系交配、Cutlass BayはNorthern Dancer 5 x 3を中心に母方のアメリカンを生かした配合。
Empoliの場合は、母方にDanehillがいて、Northern Dancer系列ぐるみになる点、母方にドイツ血統を持つ点がぱっとみたところの特徴になります。Reliance 4 x 5が素晴らしいですね。その中のマニアックな血がきちんと生きています。他にはDonatelloのスタミナ、Tetratemaのスピードなど。スタミナ寄り配合だと思いますが、いい配合だと思います。

Cutlass Bayはセン馬、Cavalrymanは今のままだと種牡馬入りは難しいと思います。Sharpen Up系もかなり寂しくなりつつありますし、Empoliにあと一つ二つ頑張ってもらいたいところです。

Cigar死亡

2014-10-10 22:37:01 | 競馬日記
Cigarが亡くなったそうですね(記事1記事2)。

33戦19勝。2戦目のダートで勝ち上がるも、その後、11戦連続で芝を走って1勝どまり。そこからダートに切り替えて伝説が始まりました。ダート路線転向2戦目で、いきなりGIのNYRAマイルHに挑戦して勝利、その後も勝ち続け、破竹の16連勝を達成しました。この16連勝はCitationが持っていた当時の北米連勝記録に並ぶもので、16連勝目はサイテイションチャレンジというレース名で行われました(GIでもなんでもない企画レースが行われるというのがアメリカらしい)。次のパシフィッククラシックでDare and Goの一撃に破れ、連勝がストップ。次のウッドワードSを勝つも、その後、2戦連続で破れ引退しました。GIは11勝。Cigarが勝ったドバイWCは第1回ということで格付けなく、他にサイテイションチャレンジなんて高額賞金企画レースも走っていますから、GIの勝利数にそれほど意味はないでしょう。種牡馬入りしたものの受精能力がなく、産駒なしに終わりました。The Minstrel系の後継種牡馬になる予定だったのですが。

父はパレスミュージック。ニシノエトランゼの半弟で、英チャンピオンS、ジョンヘンリーSと英米で芝のGIを勝ちました。種牡馬としては、米、豪、新、日で供用されました。日本がらみで最も有名な産駒はJCに2年連続で参戦したNaturalismでしょう。父系が芝向きだったためにレース生活の前半は芝を走ることになってしまいました。半姉Mulcaはプエルトリコ輸入3歳牝馬チャンピオン。祖母Gold SunはアルゼンチンのGI馬。

配合的には、Turn-to 4 x 6中間断絶、Princequillo 4 x 6中間断絶、Nearco 5 . 6 x 7 . 7 . 8、Mahmoud 5 . 6 x 6、Bull Lea 6 x 5、Hyperion 6 x 5の系列ぐるみです。Nearco、Mahmoud、Bull Lea、Hyperionの連合勢力でリードするとすれば、Turn-toにNearcoは含まれ、MahmoudはBlenheim、Gainsborough、Mumtaz Mahalで、Bull LeaはPlucky Liegeで、HyperionはGainsboroughで直結し、Turn-toが全開しています。PrincequilloはBayardoでGainsboroughと、White EagleでBlenheimと結合しながら、Papyrus - Tracery - Rock Sandを傘下に入れています。なかなかよくできた配合です。
Turn-to、Nearco、Mahmoud、Bull Lea、Hyperionと前面で生きている血を見ると、サンデーサイレンスっぽいですね(例えばサイレンススズカ)。使われている血は違いますが、生きている血には共通点があります。種牡馬として活躍できていたら、両者が出会うこともあったかもしれません。

このCigarが連勝街道を突っ走っていた1995年には欧州ではラムタラという4戦無敗の名馬が活躍していました。ラムタラも1995年から数えて20年目の今年、亡くなりました(ブログ)。時代が終わったなとしみじみとしてしまいます。

ロンシャンウィークエンド2014

2014-10-06 21:34:01 | 競馬日記
いきなり凱旋門賞から行きます。

勝ったのはTreve。連覇です。好位の内からきれいに抜け出してきました。今年もヴェルメイユ賞組の勝利になりました。

日本の馬はハープスタージャスタウェイゴールドシップと3頭が参戦しましたが、6着、8着、14着とふるいませんでした。
3頭とも後方からのレース。そこからハープスター、ゴールドシップは外に出しましたが、凱旋門賞は大外を回って突き抜けるのは困難です。それでもハープスターは切れ味鋭い末脚を発揮しましたが、ゴールドシップは良馬場の切れ味勝負では勝てたためしがないので、お呼びではないレースになりました。ジャスタウェイは内を突く形になりましたが、このレース展開では順位を上げるのがやっとでした。
日本の競馬場は馬場が堅く、切れ味勝負が多いですから良馬場は日本の馬にむいても良さそうですが、いいポジションを取れないまま切れ味勝負をしても足らないという結果になってしまいます(2006年のように脚を使わされて伸びあぐねるというパターンも)。日本の馬は今まで4回2着に入っています。そのときの馬場状態は、1999年はHeavy、2010年はVery Soft、2012年はHeavy、2013年はSoftであり(勝ち時計はいずれも2分30秒オーバー)、堅い馬場での実績はありません(今年は2分26秒05の決着)。今年も、どこを通った馬も伸びあぐねるような不良馬場ならゴールドシップが圧勝するのではないかとか考えたのですが、上手くいきませんね。

短距離戦アベイドロンシャン賞はMonsieur Bond産駒Move In Timeが勝ちました。父は同じくアベイドロンシャン賞のGilt Edge Girlも出していますね。
祖母TropicalはGreen Desert産駒でフィーニックススプリントなどGIIIを3勝したスプリンター。Move In TimeはDanzig 4 x 4を持つスプリンター配合です。

2歳牝馬戦マルセルブサック賞はGalileo産駒Foundが勝ちました。
母Red EvieはメイトロンS、ロッキンジSを勝ったマイラー。FoundはNorthern Dancer系列ぐるみにMr. Prospector、Buckpasserを足していて基本マイラーだと思いますが、Mr. ProspectorとRobertoの呼応やPrince Chevalierクロスがあって、中距離までならこなしそうな感じです。

2歳戦ジャンリュックラガルデール賞はFull Mastが勝ちました。
父Mizzen Mastで母はフラワーボウル招待のYashmak、祖母Slightly Dangerousとなれば当然ながらJuddmonteの馬です。YashmakにMizzen Mastを付けられるのがJuddmonteの強さという気がします。His Graceなんかが利いていて、距離もある程度持ちそうな感じです。
1位入線(3着へ降着)だったのはGleneagles。父Galileo、母Giant's Causewayの全妹で重賞2勝、全姉Marvellousは愛1000ギニー馬という超良血馬です。

牝馬戦オペラ賞はDansili産駒We Areが勝ちました。母、祖母ともに重賞勝ち馬。
We AreはHigh LineのChateau Bouscaut、Djebelが行きているところなど、なかなかスタミナがありそうに見えます。

フォレ賞はOlympic Gloryが勝ちました。GI4勝目です。

カドラン賞はHigh Chaparral産駒High Jinxが勝ちました。
なかなか個性的な配合ですね。母が近年では珍しく、Nearcoを持たない繁殖牝馬。Reliance 6 x 4 . 5、Hyperion 6 . 7 . 8 x 5 . 7でリードする配合です。TourbillonやCrepelloのスタミナまで足していて、ステイヤー配合になっています。

土曜日の分はまた時間があれば。

スプリンターズS

2014-10-05 23:20:03 | 競馬日記
スプリンターズSは春の宮杯2着だったスノードラゴンが勝ちました。と言っても、この馬、ダート戦を中心に使われてきて、重賞勝利すらなく、今年の1月から勝利がなく、前走キーンランドCで8着ということで、13番人気と低評価でした。

父アドマイヤコジーンは同じく新潟で行われたスプリンターズSで2着でした。父の無念を晴らした形になります。
配合はCaro 3 x 4、Princely Gift 5 x 5の相似配合。例えばこんな配合どうだろうと仮想配合でやってしてしまいそうな配合です。Caroは単一で影響が弱いクロスですが、リードする血であるNasrullahとMan o'War、Black Toneyのアメリカンを内包しています。Princely Giftが主導でよく、母父Blue Peterもクロスし、完全に目覚めていますね。また、Sir GaylordとMill Reefの呼応でPrincequilloがクロスします。こっそりDjebelまで押さえている(PrincequilloとGay Crusaderを共有)ところはただ者じゃないです。ノーザンテーストのVictoria Park内は母内Ribot、PrincequilloのおかげでBuchan、Papyrusを押さえています。Northern Dancerはクロスしないタイプですから、これで十分だと思います。
スプリンターである父の特徴を生かした上で、スタミナ、パワーを足した感じですね。

アドマイヤコジーン産駒ではアストンマーチャン以来のGI制覇。Caroの系統の種牡馬としてはチチカステナンゴが社台によって輸入されましたが早世し、日本ではアドマイヤコジーンとネイティヴハートが残っているくらいになりました。スノードラゴンがあと一つ二つ大きいところを取って、後継種牡馬になってくれるといいです。

母父はダービー馬タヤスツヨシ。サンデーサイレンスの初年度産駒ですね。母父がサンデーサイレンス系のGI馬をまとめているのですが()、母父サンデーサイレンス産駒のGI馬は日本ではニホンピロアワーズエピファネイアに続き3頭目です。その母父はアドマイヤベガスペシャルウィーク、タヤスツヨシということで、全てダービー馬です。ダービー馬は強いですね。

高祖母がロイヤルサッシュですが、近い代に重賞勝ち馬はいません。ただ、トライバルチーフとロイヤルサッシュでPrincely Gift 5 x 5ができ、サンデーサインレンスとノーザンテーストを持つというのはゴールドシップと同じです(スノードラゴン × ゴールドシップ)。この勝利がこれから出走するゴールドシップに幸運を運んでくれるといいですね。