農大現代視覚文化研究会

「げんしけん」の荻上と「もやしもん」のオリゼーを探求するブログ

8巻の感想~

2006年08月30日 00時16分05秒 | げんしけん
さて、8巻の感想を書こう。

とは言え、前半4話の分析を書くのはなかなか厳しい。と言うのも、げんしけん後半の要点はこの4話に集約されているので、オギー登場以降を全てひっくるめて分析する必要がある。よって前半4話は後に置いとくとして、8巻の概況と後半2話の感想を書こう。

さて、以下の発言はすっとこさんのものである。

853 名前:名無しんぼ@お腹いっぱい[sage] 投稿日:2006/08/09(水) 12:22:38 ID:d5hi/TVv0
軽く夢を見てみる

昨日発売のイブニングの、アフタヌーン広告コーナーがまるまる2ページげんしけん8巻だったんだが、
謳い文句が「波乱必死の“合宿編”を完全収録!!」であった。
広告の背景のコマ抜き出しも、合宿のシーンしか使われていない。

さて

げんしけんページ数で言えば8巻で完結のはずだが、
広告のどこを見ても8巻で終わりとは書いていない

即ち、
・オギー過去話
・二日酔い
・戻り橋
・そうなんですかー?
まで収録され、残りの2話分が書き下ろし、で9巻に続くと妄想する。

てゆうかそうなれ!
そうとでも思わんとやってられんわ!

 というわけで、9日の段階では既に2話が描き下ろされる事を妄想してはいたんだが、さすがに妄想に過ぎないんで発売までは不安だった。というわけで、8巻を手にした時に2話の描き下ろしがあっても「やっぱりね」という感じであった。感動が薄まったよトホホ。

 んでもってすっとこさんと来れば8.5巻についても触れないといかん。雑誌版の48話(コミックスだと50話、9巻の1話目)を読んで5ヶ月ワープを知った時の憤りは以下のエントリに。

企画書(本気)・同人誌「げんしけん8.5巻」

そして、今月号のアフタヌーンの、木尾士目の巻末コメントは以下。

すでに8巻を手に取っていただいた方はご存じのことと思いますが、……すみません、1冊増えてしまいました。連載時に劇中で飛ばした5ヶ月間を5話分描き下ろして、8巻に2話、9巻に3話収録の予定です。最初からこの予定だった…わけではもちろんなく、最終回のネームを描き上げた時に『あれ? 描き足りてないような…?』と、やはり過程を飛ばしたのを実感しまして。4年間リアルタイムでやることばかり考えていたのであの時期に終わるのが当然と思い込んでました。その時点で連載延長するには遅すぎ、単行本での描き下ろしとなったわけであります。ま、あくまで間を埋めるだけで結末は全く変わらないですので、蛇足以外の何者でもないんですけど(笑)。楽しんでもらえると嬉しいのですが…『くじアン』共々ガンバリマスヨ!!

……てか、はっきり言って連載中より忙しいです……単行本作業恒例のアレですね……自業自得…ガクッ(死亡)

 また、「4年間リアルタイムでやることばかり考えていたので」という下りも実はすっとこさんはあらかじめ知っており、その件は
げんしけん最終回の感想
のコメントに記入済みだったりする。

 というわけで、木尾士目のコメントが、すっとこさんの「5ヶ月ワープ納得いかねー」という異論に対する回答だとすると、まぁ納得いくかなーって感じ。もちろんこれも妄想だけど、『あれ? 描き足りてないような…?』という点において木尾士目と意見が一致し、失われた5ヶ月が描き下ろされるとなれば、すっとこさんの望みが全面的に叶ったと考えられる。超最高の気分だぜ。

 さて、感想。8巻の44~47話のおまけから入ると、まずは44話の描き下ろし。まーさーかー斑目の恋心が女性陣にバレバレというのは予想外ですよー? でゆうかそーゆー事は本編内で一回でも示唆しやがれコンチクショー! 雑誌版49話で大野さんが斑目に、春日部さんの写真を渡そうとしていたが、本編で一度もバレている描写が無いのに、サイレントであの話をしても、「実は大野さんは気づいていた」というサプライズは無いわけで、ここんとこの構成には納得いかねー! と思ったがコミックス版でフォローされるんならまぁ諦めましょう。んでもやっぱ雑誌版はgdgdだよぉ。ところでここまで書くんなら9巻で斑目はフォローされるんでしょうねぇ。 されなきゃ怒るよ。

 45話おまけ。なーんーでー斑恵フラグ立ってんのー。もちろんこれは当然フラグ。もし本編の流れを最大限生かすなら着替えを覗いてしまうのは春日部さんの着替えな筈。なのに恵子だってこたぁこりゃフラグですよ。8.5巻でも斑恵に1話割いてますが、こりゃひょっとするとひょっとしますよ? あー斑目にも春、せめて小春日和をー。

 46話おまけ。斑目さんが幽霊化してませんか?w そんだけ。

 47話おまけ。斑目さん悲惨。ここまで落とすんなら9巻では上げるんでしょうねー。頼みますよ?

 さて48話。待望の、待望の笹荻交際話ですよ? もー読めるだけで至福。しっかしこの段階でオギーはまだ救済されてなかったんだねぇ。てゆうかすっとこさんもオギーの救済に関して、彼氏を裏切った件と友人に裏切られた件について分析していたが、巻田くんの方は説明済みだとしていたのですよ? なのにやっぱり説明していませんでしたーと言われても。だから5ヶ月ワープが判明した段階で説明不足だーと(以下略。まぁ、そりは置いといて、大野さんのはしゃぎっぷりは素晴らしい。また、オギーを素直にデレのみキャラにしない木尾士目もやるねぇ。

 ちなみにさっき書いた「4年でリアルタイム完結」「地球温暖化」「ゾウ」というキーワードから、木尾士目の、あずまきよひこリスペクト感が漂う。第3話の「空耳アワー」も「空耳ケーキ」のもじりだよねぇ。木尾士目は「げんしけん」で、自分流「あずまんが大王」をやろうとしていたのかねぇ。だから「4年間リアルタイムでやることばかり考えていた」のかなぁ。

 「まだデートの最中ですよ」もなぁ、木尾士目流の絶妙のセリフだよなぁ。よくオギーもこんな気の利いたセリフを言えるねぇ。しかもあの言い方。「いくら覚えたてって言いましてもねぇ」。やりまくってるんだろうなぁ。ちぇっ。

 オギーがキレた所。このへんはすっとこさんには経験も想像も及ばないので何とも。ただ超スネて笹を困らせようと無意識でやってるんだろうねぇ。笹に甘えているんだよな。うーん、ラスト5ページの、冬コミに落ちたというだけで、オギーをここまで持ってく木尾ってスゲー。

 49話。34ページの大ボリューム。巻田くんの事をよーやくふっきる事ができたオギー。それにしても漫研3人娘がいい味を出している。ところで通称ニャー子についてだが、実は彼女のモデルはモー娘。の誰かではないか。と言うのは、すっとこさんは木尾士目がモーオタなのではないかと薄々疑っている。証拠は以前部室に飾られていた「KaGu TucHi」のポスター(1巻26ページ)。まぁ証拠はこれだけなんですが、問題なのはすっとこさんがモー娘。をよく知らんという事である。友人にモーオタがいるんで聞いてみよう。

 この回から田中のカメラが20Dになっている。コスプレ撮影会の段階では30Dの発売と前後していたんで、20Dなのか30Dなのか不明だったんだが、この回でカメラが変わってるって事は20D、どうでもいいけど。

 オギーのツンっぷりが序盤の鍵。「そーゆー問題じゃないんです」というのが実はよくわからない。順を追って考えると、藪崎さん他はこの段階で既にオギーと友達になりに来ている。オギーは「何しに来た……」と思っている。薮崎さんはずーっとオギーと話したいと思ってるんだけど、オギーは薮崎さんに責められていると思っている。さて、3回目の対面で、ここで問題のセリフになるのは「荻上とカレシ苦笑いですわ」かな。つまり最初の対面時にオギーと笹が一緒に並んでいないのに、この段階でオギーと笹が彼氏彼女だと知っている薮崎さん。この状況を演出するために序盤で笹を遠ざけた。これが何を意味するのか。多分ただの深読み。ただ単に茶化されるのを恐れただけかな。いいけど。まぁ要するに藪崎さんはこの話の最中は、一貫してオギーに好意を持っているという事がわかればおk。ただしメイド喫茶内では他の部員の目があるのでどうしてもツンにならざるを得なかったという事で。

 例えば内部に何らかの問題を抱えた組織があり、表面上は平穏だったとしても、ある人間がその問題を表面化させた場合、問題を表面化させた責任と、組織が抱えていた問題そのものが、その人間に押し付けられてしまう、という事がある。もちろん問題があったのもその組織の責任であり、問題さえなければ問題は表面化しなかったのである。んが、問題が表面化する事によって組織が危機化しても、問題を表面化させた人間に責任を押し付け、組織は存続し続けようとするのであった。組織心理学とでも言おうか、組織は組織を存続させる事に最大の力を発揮するのである。もちろん組織というものは個人の集合である実態の無いものだが、組織というものを実態のあるものとして分析するのが集団心理学であり、そもそもフロイド先生は心理学をこの方面で展開させようとしていたのであった。この段落は心理学の余談ね。

 藪崎さんは関西人なわけで、漫研闘争のようないちびった事は嫌いな筈。だからこそ漫研から離脱したいんだけど、派閥からは抜け出せないのが薮崎さんの弱みで、別に抜けて敵を作ったってどうって事は無いのは現視研女子を見ればわかるんだけど、まぁここらへんまで読むのは深読み杉かな。それにしても現視研の展示を見に行くだけで危険って、どんなサークルなんじゃい漫研。

 ラストのオギーの「自分の描いた物が誰かに影響を及ぼす その責任は重い」というのも、オギーのセリフとしても秀逸だが、木尾士目のメタメッセージとしてみるとなかなか重い。いやもちろんこれも深読みですがね? すっとこさんは「げんしけん」で人生変わらせられたので、いやもちろん最高にいい方向にですが、故にこのセリフはすっとこさんには重い。てゆうか俺もなんでこんな事まで書かないと8巻の感想書けないんだか謎なんですが、ある作品に半端でない思い入れを持つとこーなってしまうんですよ? キッツイねぇ。

 とまぁ最後は思い入れタップリの感想になってしまって大変なんですが、ともあれ、4ヶ月後には9巻が出て、げんしけんが終わってしまうのだなぁ。いやもちろん本来は3ヶ月前に終わっていたのだと考えると、失われた5ヶ月が、取り戻してみたら7ヶ月だったというわけで、都合2ヶ月は得したと考えられて、なんだこのわけわかんねー損得勘定。もう何書いてるんだかわかりませんよ本当に。まぁいいやうpしちゃえ。

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