日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

活動回顧録 2017 - 花見の旅

2018-02-07 23:50:46 | 旅日記
桜の開花を追って列島を縦断するようになり数年が経ちました。北海道まで足を延ばし、車を置いて帰京する奇策も弄して、一月を超す長丁場になる年もある中、去年は信州、南東北、北東北の三部構成にとどまり、大型連休をもってひとまず完結しました。
今になって振り返ると、満開かつ快晴の完璧な条件に重なったという点で、去年の花見は会津に尽きるといってもよさそうな気がします。一方、信州では久々の惨敗を経験しました。

・花見の旅in信州(4/15-17 3日間)
花見の旅以前に特筆すべきこととして、都内の開花から散り際までが非常に長かったことが挙げられます。彼岸の連休が過ぎた後、最初の一輪が咲くところまではおおむね例年通りだったのに対して、長かったのはそこから先です。最初の週末を迎えても開花は全く進まず、さらに一週経っても五分咲きでした。開花から半月ほどでようやく花盛りを迎え、あとは無情の雨に散るかと思いきや、三度目の週末を過ぎても意外に多くの花が残り、とうとう四月の中旬に突入。四度目の週末を迎えた都内の桜に後ろ髪を引かれつつも、それを振り切り信州へ旅立つという顛末です。
花見の旅の真打ちは何といっても弘前ですが、前半最大の山場といえば高遠です。しかし、十数年来通い続けて、「高遠至上主義」とでもいうべきものが、自分の中で徐々に薄れてきたのを感じます。弘前公園以外の名所が少ない津軽に対して、高遠の周辺には互角に渡り合える名所が少なからずあり、むしろそれこそ真骨頂のように思えてきたとでも申しましょうか。加えて、高遠との相性が非常によく、過去四年続けて満開かつ快晴の条件で花見ができたことから、去年に関していえば何が何でもというほどの執着心がありませんでした。
このような事情もあり、高遠に関しては久々の惨敗に終わりました。最終日に天候が崩れるという予報は早い段階から分かっており、高遠を第一義に据えるなら、いの一番に駆けつけるべきところ、あえてそれをしなかったのです。初日は勝沼の甚六桜を訪ねてから松本に移動して一泊し、中日は松本と安曇野で花見をして、高遠は夜桜だけにとどめました。翌日も昼頃までは時折日も射すそこそこの好天だったにもかかわらず、やはり高遠には直行しませんでした。その結果、ようやく着いた頃には曇ってしまい、やがては雨が降り出して、傘を差しても濡れるほどの本降りに変わり、とても名残を惜しむような状況ではなくなりました。さらに不運だったのが、車内の警告音が突如として止まらなくなったことです。ただでさえ運転には難儀する土砂降りの中、警告音が間断なく鳴り続け、帰ったときには疲労感だけが残りました。
しかし、高遠に直行すればよかったという後悔はありません。久々に松本城の夜桜を見物し、これも久々となる「山女や」で一献傾け、翌日も快晴に恵まれたのは収穫でした。最終日も前半までは晴れたため、伊那市街の名所を訪ねることはできました。やり残したことといえば、晴天下で高遠の桜を観賞できなかったことだけです。毎年訪ねている以上、一度や二度は雨が降っても仕方がありません。いずれまた晴れるだろうと割り切っている次第です。

・東北縦断花見の旅 2017(4/22-24 3日間)
去年の花見の特筆すべき点として、関東、信州の桜が長持ちした一方、東北では早々と咲いて散り、しかも北へ行けば行くほどその傾向が強かったため、開花時期の地域差が例年になく小さかった点が挙げられます。実は、前週訪ねた高遠でも、桜は五分咲き程度に過ぎず、次の週末でも十分花見はできそうな情勢でした。一方、北東北では桜が順調に開花しつつあり、大型連休まで持つかどうかが覚束なくなってきました。高遠での花見が不完全燃焼に終わったこともあり、信州の花吹雪か、東北の花盛りかで逡巡したものの、結局未練を振り切り針路を北に向けるという経過です。そしてこれが空前の当たり年に結びつきました。
常磐道を北上して行き、初日は中通りの古木を、翌日は鶴ヶ城の桜を主役に据えるという、例年通りの行程でした。中通りの古木が見頃にやや早いという状況と、過去の経験から予想されたのは、鶴ヶ城の桜は見頃だろうということです。その予想は的中し、早咲きの木はまさに満開、遅咲きの木も満開間近で、八重桜を除く全ての桜が見頃を迎えていました。しかも、紺碧の空に白く大きな雲が浮かぶという最高の条件です。必然的に滞在は延び、これまで立ち入らなかった場所までくまなく歩き回った結果、一周しないうちに日中の大半を使い切り、残りは翌日に回しました。
こうして迎えた最終日も快晴は続きました。しかも雲一つない青空に変わったため、適度に趣向も変わりました。会津で完結させても十分のところ、大型連休の予定も見据えて米沢に足を延ばし、松川の桜並木と上杉神社の夜桜を見物した後、鶴ヶ城に戻って締めくくるという顛末です。
会津で長年花見をしてきた中でも、花盛りに重なったことは少なく、ましてやそれが快晴と重なったのは初めてに近い経験でした。十年通い続けて初めてということは、この先何度お目にかかれるか分からないということでもあります。これこそ去年の白眉だと言い切れる、実に見事な桜でした。
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