日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

秋霖の越後を行く - 魚仙

2017-10-14 21:04:36 | 居酒屋
投宿して一風呂浴び、九時前に出直すという流れは想定通りです。駅前の踏切を上りの「しらゆき」が通過していったことについても。しかし、その直後に車庫へと引き上げていた115系は、新車に置き換えられてしまいました。後釜に座った安普請の車両を見せつけられても興ざめです。そのまま「魚仙」の暖簾をくぐります。

この店では、L字の角を切り取った斜めのカウンターを好んで選ぶと申してきました。しかし今回、その角の周辺に先客が集まっていました。定席がたまたま埋まっていた結果、店主の正面の特等席に通されるという、先日「浜長」を訪ねたときと似たような展開です。しかし、客観的に見れば特等席でも、自分にとっては落ち着かないということがしばしば起こります。「浜長」ではまさしくそのような経験をしたわけなのですが、この店についても同様の結果となりました。
斜めの位置を好む理由の一つとして、店内を隅々まで見渡せるという点が挙げられます。それに対して店主の正面に回った場合、小上がりに背を向ける形になり、視野が若干狭まります。それとともに気付いたのは、奥の方の壁に掛かったTVの音です。斜めの席では全く意識もしなかった音が気になるのは、TVに近付いたのもさることながら、画面が視界に入らないにもかかわらず、斜め後ろの方から音だけが聞こえてくるからで、以前鹿児島の「分家無邪気」でも似たような経験をしたことがあります。やはり、自分にはいつもの席が合っていると改めて思った次第です。

しかし、品書きの充実ぶりは些細な点を補って余りあります。茄子、蓴菜、青なんばんといった品々に夏の名残が、里芋、茸、マコモダケには秋らしさが感じられました。立派な鰤と鰆を四種の白身で固め、さらには甘海老、鰺、貝を加えた九点もの刺身は、冬場と比べても遜色ない堂々たるものです。店主の奨めを受けて頼んだ鰈の煮付けには、ババガレイの切り身が二枚も奢られ、肉の厚さと滑らかさは煮魚の王様と形容するにふさわしいものがあります。秋は端境期かと思いきや、この店に関していえば無縁でした。今回再訪した甲斐はあったというのが実感です。

魚仙
長岡市殿町1-3-4
0258-34-6126
1700PM-2230PM(LO)
日曜定休

謙信・巻機・鶴の友・雪紅梅
お通し(南蛮漬け)
お刺身おまかせ盛り合わせ
マコモダケ
かれい煮付け
枝豆
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秋霖の越後を行く - サンパレス

2017-10-14 20:32:38 | 甲信越
下り方の線路が一直線に延びており、列車の灯りが遠ざかるのを見通せるのが長岡駅の特徴です。赤いテールランプが消えるのを見届けてから跨線橋へ上がりました。駅前に投宿し、一風呂浴びてさっぱりしたところです。
長岡の定宿として愛用してきたのはホテルニューグリーンプラザ、そこが埋まったとき世話になってきたのは崇徳館ですが、今回はそのいずれでもなく、初見の「ビジネスホテルサンパレス」に泊まります。早い話、手頃な価格帯の宿がことごとく埋まってしまい、手が出る範囲ではここしか空きがなかったのです。
宿が混んでいるのは前日の段階から分かっていました。ただし、その時点ではニューグリーンプラザにも空きはありました。しかるに、今朝再度照会してみると埋まっていました。前日の段階で押さえておかなかったのは、宿泊せずに一旦帰り、翌日長野へ行くことも検討していたからですが、定宿が埋まったことでその可能性が一段と高まりました。そうなるに至って採ったのは、昼までに状況を今一度見極め、手頃な価格の宿が残っていれば泊まり、そうでなければ最終の新幹線で帰るという方針です。こうしてままよとばかりに照会すると、この宿が一室だけ残っていたため、結局宿泊に落ち着くという結果でした。

駅から「魚仙」へ向かう途中にあることから、存在自体はかねてから承知していました。崇徳館と並ぶ市内最安値の部類に属する宿の一つです。それにもかかわらず空いているということは、あちらと同様値段なりの割り切りが必要ということでもあるのでしょう。どのみち割り切るならば、大浴場のある崇徳館の方がよいと考えて、今まで世話にならなかっというのが実情です。しかし、実際に泊まってみると、食わず嫌いをしていた面もあることに気付きました。
不要な荷物を預けるために訪ねたところ、館主らしき人物がロビーで休憩しているところでした。部屋割りはまだ決まっていないので、決まり次第部屋に運んでおくというのが館主の弁で、このあたりのおおらかさには、個人経営ならではのよさが感じられました。
館内は予想通りにくたびれており、部屋は狭めで眺めもよろしくなく、二、三百円程度の違いならニューグリーンプラザでよいというのが率直なところです。しかし、適度に古びているのはむしろこちらの好むところであり、遠くから聞こえてくる踏切の音も旅情を誘います。ここを逃せば七千円超の宿しか選べなかった状況で、助け船となってくれたことに感謝します。
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秋霖の越後を行く - 黄昏の日本海

2017-10-14 18:10:48 | 甲信越
二時間半を超える長い乗車を終えて新井に到着。余韻に浸る間もなくわずか五分の間合いで折り返しました。長岡まで乗れば本日の乗車は終了です。
時折日が射しながらも最後まで晴れることはありませんでした。しかし、ボックス席から進行方向を眺めると、雲間にわずかながらも茜色が差しており、海沿いに出てからはその空を追いかけながら走りました。冬場に再訪しても既に暗くなっている時間帯であり、再び明るくなる春先まで115系が残るかどうかは何ともいえません。黄昏の日本海を今一度車窓越しに眺められただけでも、この時期に乗車した甲斐はあったというのが実感です。

★新井1809/3375M/1951長岡
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秋霖の越後を行く - 新井快速

2017-10-14 15:43:29 | 甲信越
結局今日はいずれも新・新潟色の編成でした。上りの新井快速で折り返します。
ある程度余裕を持って着席できたこれまでの列車に対し、勝手を異にするのが新井快速です。6両の普通列車でさえがら空きにはならない状況で、快速が3両ならどうなるかは推して知るべしというものでしょう。新井発の列車でさえ、余裕を持って座れるのは上越妙高までなのが経験上分かっています。ましてや新潟発なら相当混むだろうと覚悟していました。とるものもとりあえず快速が発着する1番線へ向かうと、ホームには発車の20分も前というのに相当数の待ち客が。それも、先発する長岡行の普通列車が止まっているにもかかわらずです。これは、待ち客のほとんど全てが長岡よりも先まで乗ることを意味しています。今から待たなければ座れないのは明らかでした。狙い通りの海側に座れたからよいものの、それなりの争奪戦になるのは避けられないようです。
最後の乗車が10月というのはいかにも半端だけに、冬場にもう一度だけ乗るつもりでいます。そうなると再びこの列車の世話になる可能性が大です。ただでさえ混み合う列車に同業者まで加われば、名残を惜しむどころではないでしょう。できれば年内、遅くとも一月までには乗っておく必要がありそうです。

★新潟1522/3372M/1804新井
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秋霖の越後を行く - 早春の趣

2017-10-14 14:09:37 | 甲信越
二時間を超える間合いは思ったよりも早く過ぎ去り、折り返しの列車の時間となりました。来た道を引き返して新潟へと戻ります。上空には所々青空が広がり、時折鈍い日が射してきます。秋の空というよりも、冬型の気候が緩んだ早春の趣です。

★長岡1340/447M/1456新潟
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秋霖の越後を行く - フレンド

2017-10-14 13:31:28 | B級グルメ
今夜の宿に不要な荷物を預け、あとはお昼をいただけば丁度よい塩梅となりました。そのような状況において分かったのは、駅前に昼から呑める店が二軒ほどあるということです。この時期ならへぎそばが新そばに代わっているかもしれません。しかし、自身昼から呑むのを必ずしも好まず、蕎麦にも頓着がありません。それよりもいただきたかったのがイタリアンです。そのようなわけで駅ビルの「フレンド」に立ち寄りました。
いの一番にイタリアンが浮かんできたのは、前回ここでいただいたイタリアンが意外にいけたからに他なりません。ただ、それは元々の期待値が低いところを現実が上回ったということであり、それにより期待値がなまじ上がってしまった結果、前回ほどおいしいものとは思われませんでした。もっとも、とびきり美味というわけではない、しかし時折無性に恋しくなる中毒性こそ、B級グルメの真骨頂ともいえます。その点では北関東の山田うどん、伊那のローメンなどに通ずるものを持っているのがイタリアンといえそうです。

★フレンド CoCoLo長岡店
長岡市城内町1-611-1
0258-36-7707
1000AM-2000PM
ペア大盛570円
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秋霖の越後を行く - 十全茄子

2017-10-14 12:03:40 | B級グルメ
長岡での折り返しの間合いは二時間強、長い待ち時間をどうやり過ごすかというところ、駅ビルの一角に農協の直売所が出ていました。夏の名残の十全茄子があったためすかさず確保。今年は夏場に行き損ない、一度もいただけずに終わるものと思っていただけに、駆け込みで手に入ったのは幸いです。
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秋霖の越後を行く - 折り返し

2017-10-14 10:06:07 | 甲信越
乗車してきた編成で長岡へ向かいます。弥彦山が見える進行方向に向かって右側のボックス席に着きました。
さらに折り返して新潟に戻り、そこから新井快速に終点まで乗り、折り返しの列車で長岡へ向かうというのがこの後の予定です。一日中乗り続けるにもかかわらず、乗車できる編成は二本にしかなりません。これは偏に、信越本線の運用が極限まで減り、長岡に着く列車がごく限られるという事情によります。最終的に長岡で下りるという前提で、可能な限り長く乗るには、これが最も手堅い選択なのです。

★内野926/1529M→434M/1128長岡
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秋霖の越後を行く - 顕彰碑

2017-10-14 09:44:22 | 甲信越
先日新潟から西へ下っていったとき、遠藤実記念館なるものが現れ、咄嗟に飛び込むという経験をしました。そこで知ったのは、内野の駅前に記念碑が建ったという話です。二月に内野で下りたとき、まだ工事中だった駅前広場が完成し、それに合わせて除幕されたのでしょう。しかして駅前に下りてみると、ロータリーの中心に顕彰碑と刻まれた肖像入りの石碑が建っており、脇にある釦を押すと代表作を含む三曲が流れるようになっています。全曲聞いていきたいのはやまやまながら、何分18分の折り返しでは時間が足りず、「高校三年生」だけ拝聴して切り上げました。
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秋霖の越後を行く - 新・新潟色

2017-10-14 09:01:44 | 甲信越
そば屋を出て改札をくぐると、駅舎に接した1番線に、目当ての115系が入線してきました。新・新潟色の3連を2本連ねた越後線の普通列車です。
早朝に村上を出て羽越本線、白新線、さらには越後線を上って内野で折り返し、長岡まで直通してから一旦引き上げ、二時間強の間合いを経て再び信越本線を下り、あとは越後線に入って柏崎に滞泊するというのがこの編成の運用です。こちらは長岡から新潟に下るまで乗車します。塗装も内装も様々な編成を次々に乗り継いだ前回に対し、一つの編成に延々乗り続けるのは、115系の運用がそれだけ減ってしまったからに他なりません。
ちなみに、新潟に着く直前から空が晴れてきました。その後再び曇り、今は薄日が射す程度の天候ながら、全国的に振るわない今日の空模様を考えれば十分上出来です。秋霖の表題は羊頭狗肉になりそうですが、もちろん歓迎すべきことではあります。

★新潟846/1928M/908内野
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秋霖の越後を行く - やなぎ庵

2017-10-14 08:36:14 | B級グルメ
新潟に着きました。乗り換えの合間に駅そばをすすっていきます。ホームにもそば屋がある中、今回も改札外の「やなぎ庵」の世話になります。カウンターしかない改札内のそば屋と違って荷物置場があるため、こちらにとっては好都合なのです。

やなぎ庵
新潟駅構内
025-249-2090
630AM-2230PM(日祝日 -2100PM)
かけそば300円
いなり寿司120円
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秋霖の越後を行く - 弥彦山

2017-10-14 07:55:58 | 甲信越
上越新幹線に乗るときは、筑波山、日光連山と赤城山が見える三列席を選ぶと以前申しました。しかるに今日は、あいにくの天候によりいずれも全く見えませんでした。しかし、越後平野に出たところで空が明るくなってきました。これなら弥彦山は見えそうです。そう気付いたところで二列席の側に移りました。新幹線の車窓から眺める弥彦山は久々です。
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秋霖の越後を行く - とき301号

2017-10-14 06:12:36 | 関東
始発の上越新幹線で旅立ちます。北陸新幹線の開業前は、この列車に長岡まで乗り、そこから直江津行の普通列車、または後続の「北越2号」に乗り継ぐという行程を何度も繰り返してきました。しかし「北越」は北陸新幹線の開業と引き替えに姿を消し、普通列車も安普請の新車に置き換えられて、もはや乗り継ぐ列車は何もありません。新潟まで乗り通し、数少ない115系の列車を待ちます。

★東京608/とき301(301C)/813新潟
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