水俣病の現在

2006年はチッソ付属病院から水俣保健所に「奇病」発見の公式通知から50年。水俣病公式確認から50年です。

水は経済資源ではなく、公共財である。

2005年10月03日 | 水資源
発展途上国は、飲料水を法律上の経済資源ではなく、社会資源と定めなくてはならない。このままでは先進国多国籍企業が、発展途上国の飲料水と水道事業を支配してしまう恐れがある。
フランスのミッテラン元大統領の未亡人ダニエル・ミッテランは「公益財」としての水の概念を広め、水道会社の民営化と水の商品化・商業化に反対した。ラテンアメリカで、水事業の民営化をやめるように説いてまわった。

ブラジルでは、政府がすべての水管理の民営化を阻止すると公約するした。さらに水の「社会的管理」ができるよう、ブラジルとフランスの公営企業は連携することとなった。

ボリビアの首都ラパス近郊には、労働者階級の都市エルアルトがある。社会運動によって、市民団体は2005年1月ボリビア政府とフランスの水道会社Suez-Lyonnaise des Eauxとの契約取り消しに成功した。先住民を中心とする人口80万都市エルアルトの社会運動は、Siez社の契約違反と不当に高い料金を告発した。同社はまた、水処理工場建設に8億ドルの投資計画があったが約束を守らなかった。また、チチカカ湖に廃水を放出した。さらには多くの市民に飲料水を供給せずに放置した。
ボリビアはもっとも貧窮した国のひとつでありながら、強力な先住民層を背景に社会運動がもっとも盛んな国でもある。連帯感が強く、水は公益のために使うという概念が定着している。

この数年で、地球上の清潔な水の大半が、多国籍企業の支配下となった。さらに多くの政府が、上下水道の民営化を進める中、数年後には世界の水消費量のおよそ75%が一握りの多国籍企業が管理支配することになるだろう。
その中心となっているのがフランスのVivendi-Generale des EauxとSuez-Lyonnaisedes Eauxの2社である。世界市場の40%を支配し、世界100か国以上約1億1,100万人にサービスを提供している。Suez社は2004年、純利益24.2億ドルを計上、対前年比2.8%増を記録した。

水道事業の民営化を進めると、公共サービスが向上すると説明される。しかし、現実には、民間企業は、清潔な水を供給せずに、料金を引き上げるばかりである。汚職で都市、ひいては国全体が深刻な水危機に陥っている。

世界の人口の4分の1は清潔な水を入手することすらできず、年間少なくとも3万4,000人の命が奪われている。国連は、抜本的対策を講じない限り、今後20年のうちに18億もの人が深刻な水不足を抱える国や地域に暮らすことになるだろうと警告している。

ミッテラン夫人は、Suez社がアルゼンチン企業Aguas Argentinasからの撤退を決めた直後にブエノスアイレスを訪問した。同社は1990年代に民営化され、現在大ブエノスアイレス圏の住民1,000万人に水供給サービスを提供している。
Suez社の撤退決定は、2001年のアルゼンチンの経済危機で凍結されていた水道料金の引き上げをキルチネル政権が反対したことによるものである。ブエノスアイレスでミッテラン夫人は、Suez社はアルゼンチン政府との契約を遵守しなかったとの考えを述べ、公共事業は国が提供するものであり、半官半民あるいは民間のシステムでは機能しないと主張した。

ウルグアイでは2004年の国民投票で、有権者の65%が、「水は生命にとって不可欠な天然資源であり、上下水道の整備は基本的人権である」とする憲法改正案に賛成票を投じた。
ウルグアイ憲法は、水を公共財として定義した。国の水資源管理に市民の参加を保証するよう改正された。加えて、「水供給は国営法人が独占的に直接担う」ものとし、民間企業に事業権を付与するコンセッション方式は撤回されるとの新たな条項も設けられた。

しかし、ウルグアイ南東のマルドナド県では既にスペイン企業UraguaとAguas de la Costaと政府が水道委託事業の契約が結ばれていた。2004年就任したバスケス大統領は、スペイン民間企業にマルドナド県での事業を認める法令を出した。
だが、最終的には、ウルグアイ政府は、契約違反と下水設備投資の約束不履行を理由に、スペイン企業との契約を破棄した。


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