ゴキ研

ゴキゲン中飛車研究ノート

定跡の基本から最前線まで詳しく紹介。

ゴキゲン中飛車▲2四歩対策【△3三角▲2八飛③】

2009年10月31日 10時14分37秒 | ▲2四歩早突き型
内視鏡検査受けて来ました。

腹からエイリアンでも出てくるんじゃないかという痛みです。
痛いと感じるのは決まった場所だけでした。
それは、腸の曲がり角。
そこに差し掛かると、必ず内視鏡が圧迫してくるので激痛が走ります。

内視鏡は空気を入れながら入れていくので、終わった後もお腹が張って大変です。
終わったと喜んで、前日の絶食の反動から豚骨ラーメンを食べたはいいものの、
帰る途中でお腹の張りがピークに達し、立っているのも辛かった…。

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ところで、昨日は順位戦B級1組の対局が5局ありましたね。
そのうちの3局がゴキゲン中飛車でした。
結果は以下の通り。


畠山鎮七段-△鈴木大介八段 先手勝ち:対郷田流(▲4六銀型早繰り銀)
松尾歩七段-△杉本昌隆七段 先手勝ち:対郷田流(▲4六銀型早繰り銀)
豊川孝弘七段-△阿部隆八段 先手勝ち:対▲7八金型


畠山鎮七段-△鈴木大介八段は、5筋を交換して軽く指す方針でしたが、
▲5五歩と蓋をされて飛車が働かなかったのが痛かったかもしれません。
今後▲4六銀とされてからの5筋交換は減るかもしれません。

松尾歩七段-△杉本昌隆七段は、▲4六銀に△4四銀のマッチアップで受ける方針。
しかし、▲7七銀~▲6六銀~▲3七桂と戦力を足されて先手の攻撃は足早。
5筋交換から手を作りに行きましたが、終始後手が押されているように感じました。
途中、杉本昌隆七段得意の粘りが出て逆転模様にはなりましたが、
アマチュアに同じ事をやれと言われても厳しいですね。

振り飛車党のトップ棋士2人が敗れた事で、より郷田流早繰り銀は注目を集めそうです。

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それでは、前回のテーマ図5の▲7七桂を▲7七角とした局面をテーマ図6とします。
この▲7七角は定跡書には載っていませんが、かなり激しい将棋になります。



テーマ図6からの指し手
△2二飛▲2四歩△同飛▲3三角成△同桂▲1五角(途中図)△2三飛▲2六角
(第1図)



◇手順に拠点を消される

テーマ図6では、△2六歩に紐を付ける必要があるので△2二飛は必然。
そこで▲2四歩として△同飛を強要します。
飛車が浮いたところで、角交換からの▲1五角が好手順。
飛車を逃げつつ桂馬を守って△2三飛に▲2六角で第1図。
どれも手順を尽くしていて変化の余地がありません。

実はこの変化は2ちゃんねるのゴキゲン中飛車 Part5というスレッドの中で示されたもので、
それまでは私も知りませんでした。
このスレッド内の298は私なのですが、良く調べてみると
②の▲2八飛△4五桂は▲5八飛打で案外大変そうで、
以下△5五角▲4六歩△5七桂成▲同飛△8八角成▲4五歩で、次に▲5三桂がありました。

実は、島ノートの連動企画で週刊現代Onlineにこの変化が載っているんですね。
第1図から△2七歩▲同飛△3五角と、△2七歩▲同飛△4五角の変化はそちらを参照して下さい。

ここでは、激しく第1図から△2六同飛1本に絞って研究します。


第1図以下の指し手
△2六同飛▲同飛△4四角(第2図)



◇再度の飛車銀両取り

面白い事に一度の将棋で2度も飛車銀両取りが掛かります。
ここで先手の応手は①▲2一飛成と、先ほどお話した②▲2八飛が考えられます。
まず、①▲2一飛成は悪手で△8八角成で代償の無い銀損。
あらかじめ△3三同桂と手順に跳ねていたのです。
以下、▲1一龍には△4五桂(A図)で龍取りと次に両金取りです。
という訳で、②▲2八飛なのですが△4五桂に代わる別の手段を考えました。




第2図以下の指し手
▲2八飛△9五角▲7七銀△同角左成▲同桂△同角成▲6八金△9九馬(第3図)



◇飛車対銀桂香の3枚換えに成功

ここでは、△4五桂に代えて△9五角がありました。
とにかくこの単純な王手が受けにくい。(△4四角が▲8八銀を睨んでいる為)
悔しくても第3図までの手順は必然でしょう。

以降は手が広いので研究を終わりにしますが、
変化の一例を示せば、▲2一飛成△4四香▲4六歩△同香▲4八歩の様な展開でしょうか。
桂香があれば△4四香~△5五桂の様な攻めがあり指しやすいでしょう。
ただ、どこかで△6二玉を入れておきたいですね。

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今回で、▲2四歩早突き対策を完結とします。
面白い変化があればまた研究しますが当分は無いでしょう。

次回からは▲5八金右超急戦の研究に移りたいと思います。

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10/31からこの記事を書き始めて書き終える間に、
遠山雄亮四段が中飛車関連の新刊を出す事が決まりましたね。




詳しくは…
マイコミ将棋BOOKS 遠山流中飛車持久戦ガイド

5筋位取り中飛車対居飛車穴熊の攻防は、現棋界のトレンドですからね。
これにて振り飛車良し…という変化ばかりではない様で、そういう棋書の方が
詳しい変化が載っているので期待しています。(例:矢倉の急所―4六銀・3七桂型 (最強将棋21)など)

ご本人のブログでも紹介されているので、覗いてみて下さい。

遠山雄亮のファニースペース

ゴキゲン中飛車▲2四歩対策【△3三角▲2八飛②】

2009年10月24日 04時55分45秒 | ▲2四歩早突き型
今日、内視鏡検査を受けます。
検査6時間前に下剤経口腸管洗浄剤)を飲んで、
腸内をきれいにしなければいけないので、この時間に起きているのですが…、
これがとてもまずいんです!!
また次の更新で下部内視鏡体験記でも書きたいと思います。^^;

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前回の手順中、△2六歩の垂らしに▲7七銀は、
角切りの強襲を受けて先手不利である事は紹介しました。
そこで、▲7七桂と受ける形を今回のテーマ図とします。
この方が、先手も銀冠に組み替える余地も残していて勝るでしょう。



テーマ図5からの指し手①
△2二飛▲3八銀△4二銀▲5六角△7二銀▲3四角△2四飛▲4五角(第1図)



◇自陣角からの打開策

ここでのポイントは①△4二銀として▲5三角から馬を作られる筋を消す。
②▲3四角には△2四飛と浮き、▲2三歩と抑えられない事です。
先手も持久戦にしては自陣角が活きにくいので、すぐに打開してきたらどうなるか
見て行きましょう。

第1図以下の指し手
△6二玉▲2七歩△同歩成▲同銀△4四角▲6八玉△3三桂▲3六角(第2図)
△7一玉▲7八玉△5二金左▲6八金△8二玉▲5四角△5三銀▲6五角
△6四銀▲5六角△5五銀(第3図)



◇先手は右辺の凝りを解消できない。

先手はすぐに▲2七歩と合わせて垂れ歩を消しに来ますが、
じっと△4四角が好手で先手は銀の活用が難しい。
一見5四歩がタダに見えますが、これは△3五角で角取りと角成があります。
一度▲6八玉と受けてからでも、△5六歩~△3五角の王手角取りがあります。
その為、第2図からは必然と持久戦になりますが、囲い合いは進展性に富む
後手に分があります。
囲いが安定してからの▲5四角も、自然に銀で角を追えば十分になります。

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テーマ図5からの指し手②
△2二飛▲3八銀△4二銀▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二玉▲2七歩
△同歩成▲同銀△4四角▲2六歩(第4図)



◇やはり先手は右辺を解消できない。

どうせ持久戦になるのであれば、先手は角を手持ちににして
後手の駒組みを制限する指し方も考えられます。
先手はここでも▲2七歩の合わせから右辺を解消しようとしますが、
やはり△4四角で身動きが取れません。
次に△2六歩と叩かれると手損だけが残るので▲2六歩ですが、
これは銀が動けば△2六飛、飛車が動けば△2六角で突破される形です。
先手は飛車と右銀が何も使えないのが痛いのです。
従来は▲2七歩の合わせの前に△4四角が定跡でしたが、鈴木大介八段により、
後からの方が良い事が示されています。

詳しくは鈴木大介の将棋 中飛車編を参照すると良いでしょう。

第4図以下の指し手

△8二玉▲8六歩△7二銀▲8七銀△9四歩▲9六歩△5二金左▲8八玉
△6四歩▲7八金△7四歩▲8五歩△6三金(第5図)



◇ポイントは左銀

先手は角を手持ちにしているので、打ち込みを警戒しながら駒組みをする訳ですが、
具体的な方法は左銀を4二で保留するだけ。
それだけで高美濃囲いまで難なく進展させられます。
第5図は囲いの差があり後手よしです。

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次回はテーマ図5の▲7七桂で▲7七角にした形を研究します。

ゴキゲン中飛車▲2四歩対策【△3三角▲2八飛①】

2009年10月18日 01時17分22秒 | ▲2四歩早突き型
最近ドライマウスが流行っているそうです。

ドライマウスになると、唾液の分泌量が減少します。
唾液にはアミラーゼリゾチーム上皮成長因子(EGF)などの物質が含まれており、
それぞれデンプンの消化、抗菌作用、傷の修復促進と言った役目を果たしています。
これらが不足すると、口臭や口腔内の感想感、虫歯の原因となるようです。
以下に参考となるサイトのリンクを載せておきす。

ドライマウスオアシス

さて、棋界は竜王戦の時期になりましたね。^-^
昨年度は劇的な3連敗4連勝で防衛を果たし、初の永世竜王の資格を得た渡辺明竜王に、
永世名人
有資格者の森内俊之九段が挑むという豪華なシリーズとなりました。
海外対局は2年に1度なので、今年度の第1局は比叡山延暦寺会館で行われました。
角換わり腰掛け銀同型に進むかと思われましたが、先手が積極的に変化して
中央で銀がぶつかる激しい展開になりました。
途中△5五銀と打った手が厚く、先手の攻めが頓挫したようです。
以下、難解ながら竜王が先勝しました。

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では、前回の途中図を再掲します。



前回は▲2一飛成と踏み込む将棋を紹介したので、
今回は▲2八飛と引いて銀に紐を付ける指し方を見ていきます。

途中図以下の指し手
▲2八飛△2六歩(第1図)▲7七銀△2二飛▲3八銀(第2図)



◇大きい拠点△2六歩

第1図の△2六歩がこの戦型における第1のポイント。△2七歩では後続手段がありませんが、
△2六歩は次に△2七歩成~△8八角成の狙いが残ります。
対して、先手は①▲7七銀や②▲7七桂として△2七歩成を受ける手段があります。
まず、①▲7七銀から見ていきましょう。
以下は2004年竜王戦堀口弘治‐△近藤正和戦の進行です。

第2図以下の指し手
△7七角成▲同桂△2七銀▲同銀△同歩成▲7八飛(第3図)△4二銀▲5六角
△3八銀(第4図)



◇突破成功

角を切って銀を打ち込む。露骨ながら厳しい手です。
角を切れば第3図までは必然ですが、第3図を面白くないと紹介している定跡書もあります。
以下、△3八と▲同飛△2九飛成▲3九飛(A図)で思ったほど戦果が上がらないというものです。



しかし、実際には本譜のように△4二銀と▲5三角を一度受けて、△3八銀(第4図)が厳しく後手優勢だと私は考えます。
対して①▲4八金は△2九銀不成~△3八銀成の当たりがが厳しく後手良し。
②▲5八金は△2九銀不成▲6六角△3三桂▲3四角△2四飛▲5六角△3八銀成
▲8三角成△3七と▲3四歩△2九飛成▲6八玉△4八と▲3三歩成△5八と
▲同玉△4九龍▲6八玉△4八成銀(B図)が一例で、変化の余地はあるものの後手勝勢。
③▲3八同金△同と▲同飛△2九飛成▲4九銀△3九金で後手勝勢。
▲4九銀で▲3九銀でも△2六桂です。
どうやら先手は右金をどうこうする余裕は無いようです。



第4図以下の指し手
▲6六角△4九銀成▲同玉△5五金▲同角△同歩▲3四角△3八角▲5八玉△2四飛
▲2五金△3四飛▲同金△5六歩▲6五桂△2九角成▲5三銀△3七と(結果図)
以下65手の短手数で後手快勝。



◇△3八銀は有力

仕方なく先手は▲6六角としますが、金銀交換から△5五金でなんと手順に駒損を回復しています!!
▲3四飛に△2四飛と浮くのが第2のポイント。
▲2三銀(歩)と飛車さえ押さえ込まれなければ、優勢は動きません。
以降はと金を自然に中央に活用して後手快勝です。

次回は②▲7七桂を解説します。

ゴキゲン中飛車▲2四歩対策【△3三角▲2一飛成】

2009年10月04日 10時24分05秒 | ▲2四歩早突き型
先日の王位戦深浦康市王位が史上2度目の3連敗4連勝で防衛しましたね。
王位戦3期ともフルセットで勝っているので、勝負強さが際立っています。
木村一基八段はチャンスがあっただけに残念でした。
しかし、今期はタイトル戦未勝利だったのが、棋聖戦羽生善治4冠、
王位戦でも深浦康市王位をカド番に追い込んだので、来期こそは初載冠を期待しています。^-^


それでは、前回の第2図を再掲します。



前回は第1図から①△2二銀を解説しましたので、今回は②△3三角(途中図)を見ていきましょう。
△3三角には激しく(1)▲2一飛成と、(2)▲2八飛があります。
まずは激しく(1)▲2一飛成から。



第2図からの指し手①
△8八角成▲7七角△8九馬▲1一角成△6二玉(第3図)



◇好手△6二玉

先手が▲2一飛成と踏み込めば△8八角成は必然。
対して▲7七角を△同馬と取るのは悪手で、▲同桂△8八角▲3三角(A図)や、
▲同桂△3二銀▲2八龍(▲1一龍は△3三角)△2七歩▲5八龍(B図)で決め手に欠けます。
最後の△6二玉が好手で定跡化された一手です。
例えば△6七馬としたときに▲6八香をあらかじめ受けている効果や、
機を見て△7二玉と一路玉を囲う手がとても大きい一手で後手玉が寄りにくくなります。
また、△5一飛や△5一金右という受けが可能になるのも大きいポイントです。



第3図以下の指し手
▲6六馬△5五桂▲5八金右△2二飛▲同龍△同銀▲2五飛△3一銀▲5六歩
△6七桂不成▲同金△7八銀(第4図)



◇定跡書では△5五銀

第3図からは▲3三香の攻めが気になりますが、△9九馬で受かります。
以下、▲3一香成△1一馬▲同龍△7七角(C図)の王手龍取り。
しかし、平凡な手では△5五桂と天王山に打ち込まれて馬が働かなくなります。
従って、▲6六馬と引き付けて活用します。
ここで定跡書では△5五銀(D図)を推奨されていますが、どうも後手を良くするのが難しいと私は考えています。
例えば、▲7五馬△3二銀▲2五龍(E図)と引かれると思わしい手が無く、
▲2四歩とゆっくり攻められて厳しいと思います。
そこで、△5五桂として寄せを見せつつ、馬筋を止めて△2二飛と交換を挑みます。
あとは交換した飛車を打ち込むスペースを右辺に作れば後手が良くなるでしょう。




次回は②△3三角に(2)▲2八飛と引いてきたときの指し方を解説します。

ゴキゲン中飛車▲2四歩対策【△2二銀】

2009年09月28日 22時06分38秒 | ▲2四歩早突き型
明日は王位戦の第7局ですね。^-^
深浦康市王位がシリーズ3度目のフルセット勝ちを収めるのか。
それとも千駄ヶ谷の受け師木村一基八段が初載冠を果たすか注目です。^-^

では、前回の第2図を基本図としてゴキゲン中飛車に対する▲2四歩の仕掛けを見ていきましょう。



基本図からの指し手
▲2四歩△同歩▲同飛△8八角成▲同銀(第1図)



◇後手に2つの選択肢

第1図は先手の飛車先交換に後手が角交換したところ。
ここで後手には①△2二銀(A図)と②△3三角の選択権があります。
まずは①△2二銀から見ていきましょう。



A図の局面は、次に△3五角の狙いが見えているので、何か受けなければいけませんが、
まず横歩を取る▲3四飛は欲張りすぎで△4五角で後手良し。
▲2五飛は△3三桂▲8五飛には△7四角(B図)ですし、
▲2六飛も△3五角▲5六飛△5五歩(C図)となります。
従って、▲2八飛が最善ですが、△2七歩▲1八飛△3三銀▲3八金△2二飛(D図)と進行します。
以後は△4四銀~△3三桂の好形を築いて十分ですが、
△2七歩型の為これ以上攻め込むのが難しいのが難点でしょうか。
相手の大駒を押さえ込む指し方を好む人には向いているかもしれません。




次回はもう1つの選択肢②△3三角を解説しようと思います。