気がついたらボクはデコボコしたベッドの上にいた
不思議なベッド
ここにいるとおなかもすかないし
ふわふわしていてここちいい
毎日同じところにいて飽きないのってよくわいれるんだけど
ボクはそれ以外の生き方を知らないんだ
ある日突然そこにいた
以前の記憶はただ水面をゆらゆらと漂っていたことだけで
どこからきてどこへゆくのかなんて考えることもしなかったし
そんな発想が . . . 本文を読む
土の中で長く怠惰な時間を過ごした僕は
ようやっと地上にでることになりました
今夜僕、地上に出るんだ
そうなんだ、俺はもうちょっとこの中にいるよ・・・
君もそろそろだろう?
いや・・・いいんだ
え、でも・・・
だってお前、今が朝だったらどうすんだよ
いや・・・・
夏が終わってたらどうすんだよ
いや・・・・ . . . 本文を読む
五十公野山で一億円を発見する
迷った末に警察に届ける
落とし主が現れずまるまる手に入る
いっぱい宗教とか寄付とかを迫られる
一年間海外に雲隠れするというか旅
一年後帰国
日本で待ってもらっていた恋人の浮気発覚
さすがに一年間もほったらかしにしていたので怒るに怒れず
結局別れることに
一年も仕事をしていなかったので手が鈍っていることに愕然
違う職種を探すことに . . . 本文を読む
出不精でめんどくさがりのチョウチンアンコウ
ある日突然旅立ちを決意した
お気に入りだったやさしい海底の砂のベッド
インテリアはヤドカリの貝殻
もう随分前に見つけた大事に飾ってある海草のオブジェ
めったに潮の流れの変わらないゆりかごみたいな毎日を捨てて
彼は旅に出る
名前にチョウチンがついてるくせに彼にはチョウチンがない
これ . . . 本文を読む
最初は絶望への旅だったけれど
途中彼は希望を見いだした
耳に甘く響くやさしいアルト
その声は歌うように彼を導く
その先に何があるのか知りたくて
彼は自らの意志に突き動かされ泳ぎだす
人はそれを希望と呼ぶ
魚の彼にそんなことはどうでもよかった
むしろ初めての希望に恍惚として
痺れも忘れてただただ泳いだ
彼は希望の正体 . . . 本文を読む