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鷹匠になることを夢見て“最後の鷹匠”に弟子入りした杉浦岳央。
だが高齢の師匠に不満と不安を覚え、早々に袂を分かつ。
雪深い月山の麓でひとり、手探りで訓練を重ねるが、
猛禽類のなかでもとりわけ神経質といわれる角鷹を、
岳央は操れるようになるのか―。
野生の鷹と人間の対峙を描く。直木賞受賞作『邂逅の森』に連なる感動作。
も . . . 本文を読む
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日露戦争から生還した柴田矢一郎は、故郷の秋田県阿仁を離れ、
職も住まいも転転とする流浪の生活を続けている。
そんな彼を10年もの間、追い続ける男がいた。
雪深い森で、男から散弾銃を浴びた矢一郎は、危機一髪逃れるが…。
さらなる過酷な運命が、矢一郎を待ち受けていた。
直木賞受賞作「邂逅の森」に連なる“森シリーズ”マタギ三部作完結篇。
“森 . . . 本文を読む
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潜水兵として「伏龍(ふくりゅう)隊員」に選ばれた僕、浅沼遼一。
訓練を受けるべく海軍工作学校に出向いた僕だったが、
実は大きな秘密があった。
鮑や海胆漁をする「南部潜り」の潜水夫であった父が、
潜水病で体が利かなくなったのを目撃しているのだ。
以来、僕は水に対する恐怖心が芽生え、
パニックに陥るようになってしまった。
本来、飛行予科練習生であった僕たちなのに、
なぜ、こ . . . 本文を読む
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別れと出会いは、いつも交互にやってくる…。
どんなに愛していても別れなければならなかった恋、
添い遂げられなかった愛。
不器用な生き方しかできない男女7人の、光と影を描いた連作短編集。
『オール読物』掲載を単行本化。
バイクをモチーフにした短編連作。
短編だし、いっこづつ感想でも書こうかと思ったけれど、
なんだか連作で登場人物た . . . 本文を読む
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土屋祐輔は、貧しいながらも大学進学を夢見て勉強に励む学生だった。
しかし、空襲で一夜にして母と妹、父が残した家を失ってしまう。
仙台駅北のX橋付近で靴磨きを始めた祐輔は、
特攻隊の生き残り「特攻くずれ」の彰太と出会う。
戦争がなければ出会うはずのなかった二人は、
しかし互いにとってかけがえのない存在となっていく。
パンパン・ガール、GI、愚連隊、人々で賑わう闇市―終戦直後の . . . 本文を読む
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大正年間、身分違いの恋から故郷を追われたマタギの青年、
松橋富治の波乱の人生を描く。
自然に対する畏敬の念あふれる雄大な物語。
「家に帰って、妻の手を握りたい」
熊に足を喰われ、朦朧とする意識の中で富治はそのことだけを考えた。
奔放に生きてきた富治を巨大熊に向かわせたものは何か。
これが例の直木賞と山本周五郎賞のW受賞を . . . 本文を読む
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「今の時代、どうしてクマを食べる必要性があるのでしょうか」
秋田県阿仁で行われたマタギ親睦会。
都会育ちの女性編集者・佐藤美佐子の発言が、会場に波紋を巻き起こす。
その後、動物写真家・吉本憲司の言葉「山は半分殺してちょうどいい」
をきっかけに、マタギ取材を進める美佐子が見たものは…。
峠を越え、沢を渡り、谷を跨いて生業をなす男たち。
そして、彼らに対峙する美しくも厳しい自 . . . 本文を読む