0678安くて美味しいワイン特集~ワインワールドの旅Vol.12
278.シャトー・グロリア1994
279.フェウディ・シチーリア カリス ネーロ・ダヴォーラ2012
280.フェウディ・シチーリア リクサス シャルドネ・グリロ2013
281.アンデルーナ シャルドネ2012
282.コノスル ヴァラエタル ピノ・ノワール2013
283.サン・テステフ・ド・カロン ・ラ・シャペル1997
284.フェーグ・ド・ネナン2004
285.シャトー・モラック1994
286.シャトー・デュ・ルテュー1994
287.シャトー・トロワ・ムーラン1994
288.シャトー・プランティ・ド・リュージャン1994
278.シャトー・グロリア1994
Chateau Gloria
・生産者:シャトー・グロリア
・生産国:フランス ボルドー地方 メドック地区 サン・ジュリアン村
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCサン・ジュリアン
・Alc度数12.5%
・容量:750ml
・価格:5100円
「AOCサン・ジュリアン」と村名AOC止まりで、ブルジョワ級ですらない。
だが、「間違いなく格付けものに匹敵」と言われているシャトーだ。
こういった、「格付け破壊ワイン」「格付けそっちのけワイン」を開けるのは、ワクワクする。
エッジにかなりガーネット色を持つ、やや透明感のある赤黒色。
このエッジのガーネット色でもう、熟成が進んでいることが伺える。
非常に滑らかで静かな液感。
これは、格付けものに匹敵している。
香り。
一発で「ボルドー」と言える香り。
豊かだ。
バナナのような甘い香り。
完熟チェリーも連想できる。
それと杉の木やヒノキといった、淡い色の木材の香り。
カシス。
そして、ポビドンヨード(うがい薬)の香り。
複雑だ。
これは、これは、もしや?
メドック地区サン・ジュリアン村の格付けシャトーに酷似!
「グリュオー・ラローズ」や「ベイシュベル」にかなり近い感じがする香りだ。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
水のよう。
舌の上に乗せて、しばらくして飲み込む。
飲み込む直前。
味わいが広がる。
おお。
豊かで雄大なのは、渋味。
木材のニュアンスも強め。
甘味は控えめ。
甘味は、がっしりした渋味の中に溶け込んだ感じ。
バランスは、やや渋味骨格が強調。
果実味は、すっぽ抜けている。
おそらく、このヴィンテージの飲み頃を過ぎてしまっているのだ。
しかし、メドック地区の赤は元々、果実味を強調させるスタイルではない。
折り目正しい、端正な味わいが基調なのだ。
しかし、この味わい。
やはり、ボルドーだ。
グリュオー・ラローズやベイシュベルに近い感じがある。
余韻。
長い。
20秒は続く。
生ハムやロースハムのニュアンスを感じる。
このワイン。
3日目、4日目にして、本領を発揮する。
香る。
香る。
とにかく、香る。
華々しい香り、ではない。
「ボルドー・メドックの赤ワインの香り」を、とにかく顕著に表わす、といった意味での「香る」だ。
素晴らしい香り。
これって、2級のグリュオー・ラローズにソックリな香り。
1994年ものは、「当たり」だ!
ブログ「ろくでなしチャンのブログ」さん「シャトー・グロリア詳解」記事↓
http://ameblo.jp/rokudenashichan/entry-10804817338.html
279.フェウディ・シチーリア カリス ネーロ・ダヴォーラ2012
FEUDI SICILIA KALIS NERO D'AVOLA
・生産者:フェウディ・シチーリア(パスクア社)
・生産国:イタリア シチリア州
・輸入者:国分株式会社
・Alc度数:13%
・格付け:IGT
・容量:750ml
・価格:800円
CGCグループのスーパーに、面白そうなワインがやって来た。
ワイン名は「カリス」。
出身はイタリア、シチリア州。
シチリア州とは、イタリアというロングブーツのつま先、ではない。
イタリアというロングブーツが「蹴っている、三角形のボール」である。
つまり、シチリア島のこと。
品種は「ネーロ・ダーヴォラ100%」。
「カリス」は、古代ギリシャ語で「ピュア」「ピュアなワイン」の意味。
シチリアの土着品種ネーロ・ダーヴォラを100%使用していることに由来してのことだとか。
健全な、エッジに明るみを持つ、強い赤黒色。
紫色はほとんどいない。
香り。
しっとりとしていて、豊か。
ガス。
鉱物。
ピーマン。
パプリカ。
完熟トマト。
黒果実。
チリのカベルネによく似た香り。
味わい。
滑らかなアタック。
木の枝、木の葉のニュアンス。
マヨネーズの酸味。
酸味に包まれた、粒子がぎゅうぎゅうづめの、強い果実味。
甘味は、酸味のレイヤ-のすぐ下にある。
アルコールっぽさは強い。
まるでスペインのよう。
しかし、この、フランス・ボルドーに近い「端正」な感じは、やはりイタリア。
安いのだが、「安っぽい味」ではない。
お見事!
余韻はほどよく、10秒程度。
余韻に脂質っぽいものを感じる。
ああ、「オリーブオイルを使った料理全般」のイメージが浮かぶ。
よって、「オリーブオイルを使った料理全般」に、よく合いそうだ。
余談。
それにしても、「安くて美味しいワイン」の、美味しいを、定義し直さないといけないかもしれない。
日本は、安うまワインのブームが未だ続いているらしい。
ワインの市場は上昇を続けており。
あの「アサヒビール」が、輸入ワインの最大手「メルシャン」やそれに次ぐ「サントリー」を追撃するべく、高級ワイン商社「エノテカ」を買収するぐらい、ワイン市場は魅力にあふれているのだ。
チリやオーストラリア、ニュージーランド、その他の「ニューワールドワイン」の輸入量と消費量は、落ちることが無い。
しかし、ワインの本家本元「フランス」のワインが不味くなったわけではないし、人気は依然、不動のものとして存在している。
そう、つまり、「美味い」の定義が多様化した、のである。
どのように?
「端正」
「甘い」
「濃い」
「強い」
「料理に合う」
「飲み飽きない」
「自分にピッタリ」
「優雅な時間を演出できる」
「オシャレ」
「かっこいい」
などなどに。
つまり、「何をもって美味しいと言うか、その定義が、個人個人にゆだねられるようになってきた」、ということだ。
サイト「酒食庫 ~デイリーワインと食品・雑貨 3000円までのデイリーワインを中心に品揃え」さん「フェウディ・シチーリア カリス ネーロ・ダヴォーラ」記事↓
http://shiraz-japan.com/SHOP/10421-1.html
280.フェウディ・シチーリア リクサス シャルドネ・グリロ2013
FEUDI SICILIA LIXUS CHARDONNAY GRILLO
・生産者:フェウディ・シチーリア(パスクア社)
・生産国:イタリア シチリア州
・輸入者:国分株式会社
・Alc度数:13%
・格付け:IGT
・容量:750ml
・価格:800円
シャルドネ70%、グリロ30%の白ワイン。
やや青みを帯びた、明るい黄色。
ディスク(液面の厚み)はハッキリしており、厚みがある。
香り。
しっとり。
蜂蜜。
スミレ。
チンゲンサイ。
レタス。
白い花。
青野菜。
味わい。
水のようなアタック。
だが、その後、「茹でトウモロコシ」のような甘味。
を感じたかと思うとそれは半透明となり。
すっきりしたシャープな酸味と同居した甘味が、静かに広がる。
白菜の白い部分。
大根の葉。
グレープフルーツ果汁。
甲州に近い感じもある。
余韻は長め。
15秒以上。
とにかく、柑橘系。
ほのかに、バニラやモナカの印象。
柑橘と言っても、「白」「青」「薄緑」を連想させる感じだ。
白ワインの真髄である、「キリッとした酸味」をしっかり持ち。
されど、寒さに鍛え上げられたことでまとう、「近寄りがたさ」を、あまり感じない。
近寄りやすい感じはある。
雪をかぶって越冬し、甘さを増した「白菜」。
そんなニュアンス。
これは、美味い。
バランスが良い。
「サントリー・プレミアム・モルツ」の印象によく似ている。
すなわち、「どっしり」でも「ガッツン」でもなく、どちらかと言えば上品で控えめなのだが。
深くゆったりとしっとりと印象が残り、「また飲みたくなる」のだ。
国分株式会社さん公式サイト「リクサス シャルドネ・グリロ 白」ページ↓
http://liquors.kokubu.co.jp/?/p/item/kcd/7555785/
281.アンデルーナ シャルドネ2012
・生産者:アンデルーナ セラーズ
・生産国:アルゼンチン
・輸入者:株式会社稲葉
・Alc度数:14%
・格付け:?
・容量:750ml
・価格:1500円
「樽シャル(シャルドネの樽熟成)」の典型。
フランス産オーク新樽100%使用で、6カ月熟成。
「新樽100%」というのは、珍しい。
新樽100%使用は、ボルドー・メドックの頂点に君臨する「5大シャトー」のオハコである。
が、それにはちゃんと、科学的理由がある。
「酒質が充分に強く、新樽でないと樽香が出せない」というものである。
要するに、新樽に張り合える酒質なのだ。
一方、2級~5級のものは、新樽を使わない。
5大シャトーが使った新樽の「お古」を買い受けて使うか、新樽を使ってもそれを古樽ものと混ぜて、「新樽率」を下げている。
その理由は明白で、「新樽だと、酒質が樽香に負けるから」
そう。
つまり。
樽の材質にもよるが、「新樽100%」というのは。
よほどの強い酒質でなければ採用され得ない醸造方法なのである。
しかし、このアンデルーナ・シャルドネは、新樽100%。
それだけ酒質が強い、ということがすでに伺える。
その味わいは、いかなるものか?
やや青みを帯びた、クリアな白金色。
香り。
とても豊か。
トウモロコシ。
パプリカ。
アスパラガス。
ガス臭。
花崗岩。
バター。
マーガリン。
サラダ油。
茹でもやし。
蜂蜜。
木材。
奈良漬。
ナッツ。
アーモンド。
バニラ。
モナカ。
味わい。
クリアなアタック。
甘味はほどほど。
酸味は少ない。
豊かな樽の香りをまとった、豆系の味わい。
余韻はほどほど、15秒以内。
うーん、ちょっと樽が強めで、豆のニュアンスが強過ぎで、酸味が弱め。
なので、3日間置いておく。
3日後。
おお!
香り、果実味は幾分収まったが。
樽香(豆のニュアンス)は穏やかになり。
酸味のレイヤ-が一ついや二つ上に上がってきた。
甘味と樽香をゆったり引きつれた、まろやかな酸味。
これは、美味い。
クリスピー(パリッとした)な酸味ではない。
しっとり、ゆったり、雄大な、なれどしっかりと存在する酸味。
これは、お見事だ。
ハッピー!
サイト「ハッピーワイン 年間発送1万件!ボトルにいっぱいの幸せを詰め込んであなたにお届けします!」さん「アンデルーナ シャルドネ2011/2012」ページ↓
http://www.happywine.com/html/wine/WineArg13_750.html
282.コノスル ヴァラエタル ピノ・ノワール2013
Cono Sur BICICLETA PINOT NOIR
・生産者:コノ・スル
・生産国:チリ
・輸入者:株式会社スマイル
・格付け:?
・Alc度数:13.5%
・容量:750ml
・価格:880円
自転車(バイシクル)のラベルでお馴染みの、コノスル・ヴァラエタル版。
(ヴァラエタルとは「品種」の意味)。
今回のそれは、「ピノ・ノワール」品種。
なで型ボトル。
スクリューキャップ。
透明度の高い、わずかに紫色を帯びた、フレッシュな赤色。
いはゆる「フランボワーズ(木イチゴ)色」というやつだ。
香り。
イチゴ。
チェリー。
プラム。
さくらんぼ。
とにかく、鮮烈な「明るい赤色系果実」のイメージ。
「わずかに紫色を帯びた透明度のあるフレッシュな赤色」とくれば、「サンジョヴェーゼ」か「ピノ・ノワール」。
そして香りで「イチゴ」をモロに感じたら、「ピノ・ノワール」ほぼ確定。
いやー、カベルネ・ソーヴィニョンやメルロとは、全然違うな。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
小さな果実のイメージ。
酸味に包まれた、キュッとしまった果肉の中に、やんわりとした甘味が存在する、という感じ。
タンニンは弱い。
ボディはライトに近いミディアム。
ブルゴーニュのような「引き締まった」「辛口」という感じではなく。
「ゆったり穏やか」「ミネラル感がある」ところは、やはりチリらしい。
余韻は10秒ほど。
余韻に若干、木の枝やイチゴのへたの部分のニュアンスがある。
だが、最後に抜ける後味は、やっぱり「イチゴ」だ。
いやー、これは、飲みやすい。
薄いわけではないが、重くない。
可憐、優雅、清楚、そんな言葉が当てはまる。
ダラダラしたくなる。
ダラダラ過ごすのが、最も優雅。
なんて思えてくる。
お見事!
Yahoo!知恵袋「チリワイン、コノ・スルに詳しい方教えてください」記事↓
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13103772048
283.サン・テステフ・ド・カロン・ラ・シャペル1997
SAINT-ESTEPHE-DE CALON LA CHAPELLE
・生産者:SCEAカロン・セギュール
・生産国:フランス ボルドー地方 メドック地区 サン・テステフ村
・輸入者:株式会社モトックス
・Alc度数:12.5%
・格付け:AOCサン・テステフ
・容量:375ml
・価格:1180円
シャトー・カロン・セギュールのセカンドワイン。
同シャトーのセカンドは2つ存在する。
ひとつは「マルキ・ド・カロン」
そしてもうひとつがこのワイン、「サン・テステフ・ド・カロン・ラ・シャペル」だ。
(「サン・テステフ・ド・カロン・ラ・シャペル」は現在、「シャペル・ド・カロン」と改名されているらしい)
向こうが透けて見える、健全な、やや暗みを持ったルビー色。
液縁は微弱にオレンジ色がかっている。
香り。
とても豊か。
一発で「ボルドーのメドック」と分かる香り。
カシス。
ヒマラヤ杉。
ヒノキ。
黒果実。
完熟バナナ。
落ち葉のニュアンスもある。
樽香。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
甘味は穏やか。
尖りのない、ゆったりした渋味と酸味。
強めのタンニン。
杉やヒノキのような。
ボディはミディアム。
だが、タンニンだけが主張している感じだ。
しかし、おおらかな感じで、飲みやすい。
また、「枯れた感じ」は、まだない。
余韻はほどほど、15秒程度か。
やや熟成感があり、果実味が収まって、樽香の下に引っ込んでいる感じ。
一口で、「おお!美味い」とうなる程ではない。
これならば、プリウール・ド・メイネイ(メイネイのセカンド)の方が、正直美味い。
しかし。
やはりはボルドー・メドックの村名AOCワインだ。
ボルドー・メドックのワインらしさをちゃんと感じさせてくれる。
「端正」
「豊かで複雑な香り」
「ラブルスカ香がない」
「甘味は控えめ」
「突出しない、バランス」
「飲んだ後、飲み継ぎたくなる、深い印象」
それらをちゃんと持っている。
そして、サン・テステフ村らしい、「大らかな感じ」をちゃんと感じさせてくれる。
マルゴー村を一言で表すなら、「エレガンス」。
ポイヤック村を一言で表すなら、「サーロインステーキ」。
サン・ジュリアン村を一言で表すなら、「アート」。
サン・テステフ村を一言で表すなら、「雄大」。
また、サン・テステフ村の特徴である、「強いタンニン」分が、ちゃんと感じられる。
お見事だ。
これで、1100円台なら、充分お得。
1000円台前半で思いっきり「ボルドー・メドックの村名ワインらしさ」を堪能するのは難しいからだ。
しかしそれを、このワインは可能にしてくれている。
しかも1997年という、18年もの。
その点で言えば、正直、お得。
サイト「 Soft &Hard Liquorオンラインショップ たかたや」さん「ラ・シャペル・ド・カロン1997旧サン・テステフ・ド・カロン・ラ・シャペル1997」記事↓
http://yaemon-liqueurshop.com/win-saint-6.htm
284.フェーグ・ド・ネナン2004
Fugue do Nenin
・生産者:シャトー・ネナン(ドゥロン家)
・生産国:フランス ボルドー地方 ポムロール地区
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCポムロール
・Alc度数13.5%
・容量:750ml
・価格:3600円
シャトー・ネナンのセカンド。
熟成が感じられる、ガーネット色を帯びた色合い。
透明度が高い。
液感は、割とゆるい。
香り。
しっとりしている。
柔らかい。
サンテミリオンを連想させる。
黒スグリ、まではいかない。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
水のようだ。
口に含んだ後、じんわりと、ほのかに味わいが広がる。
完熟した、黒果実。
甘くはない。
タンニン的。
だが、タンニンのカドは取れていて、「丸み」を感じる。
飲みやすいな。
この後、デキャンタージュを行う。
オリは、結構少なめ。
ボトルに残したオリ液は、1cmほどだ。
そして、オリの粒子はかなり細かい。
デキャンタージュ後。
再びグラスに注いで、飲んでみる。
おお。
おおお。
この後が、すごい。
「主張しない味わい」が、消えかかった、それからだ。
「味の余韻が、ずっと、ずっと、ずーっと、続く」のである。
これは、すごい。
余韻はゆうに20秒を超えた。
ああ、これぞ、ポムロール。
①水のごときサラサラのアタック。
②主張しない、やんわり広がる柔らかい味わい。
③ところが、余韻で味わいが凝縮。
④とんでもなく強く、濃く、長い、余韻。
余韻になって初めて、豊かなアロマが噴出する。
そのアロマとは、「黒スグリ」「ヨード(うがい薬)」「干し柿」「腐葉土」である。
さらに。
「腐葉土の中に、百の果物のニュアンス」が、出てきた。
デキャンタ液をグラスに注いで15分後だ。
これは、すごい。
美味い。
飲み継がずにいる方が、ムリだ。
芳醇かつ、深遠な香りと、複雑な味わい。
その点では、ボルドー左岸、メドック地区と共通している。
しかし、やはりはメドックとは違う。
メドックなら、「三振を取りに行く、渾身の直球」。
もしくは、「お寺の鐘を撞く、丸太」。
もしくは、「子牛のミディアムステーキ」。
そんなニュアンスがある。
ボルドー右岸、特にポムロールは、それとは違う。
「後から来る」
「後から、特徴がハッキリしてくる」
「霧が晴れると、別世界」
「粘土のニュアンス」
「腐葉土豊かな、森」
しかも、フーガの旋律が聞こえる、森。
(フーガ:非常に簡単に言えば、「カエルの歌」のように、追いかけごっこをする構造の演奏のこと)
フーガ、と言ったが。
この穏やかな明るさ。
滑らかさ。
これは、「トッカータとフーガ二短調」ではなく、「小フーガト短調」でもない。
「平均律プレリュードとフーガNo.1」のようだ。
サイト「うきうきワインの玉手箱」さん「フューグ・ド・ネナン2004」ページ↓
http://www.ukiuki-wine.com/product/3988
youtube「バッハ平均律曲集1プレリュード1 」↓
https://www.youtube.com/watch?v=XEZXjW_s0Qs#t=14
youtube「人気名曲クラシック50曲(長時間作業用BGM)」↓
https://www.youtube.com/watch?v=hdbHSrtgWqE
285.シャトー・モラック1994
Chateau Mourac
・生産者:シャトー・モラック
・生産国:フランス ボルドー地方 オー・メドック地区
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCオー・メドック クリュ・ブルジョワ
・Alc度数12.5%
・容量:750ml
・価格:2500円
コルクは、割とあっさりと抜けた。
オリは少ない。
ガーネットを帯びた、健全な赤黒色。
香り。
おお、特徴的。
とにかく「蜂蜜」の香り。
果実や木材、鉱物、の香りはあまり連想しない。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
その後、梅酒のような酸味がコンタクト。
梅酒というより、「漬け物」のよう。
甘味と酸味を融合した味わい。
蜂蜜のような骨格。
それだけが特徴だ。
味わいは皆融合して、丸くなっている。
タンニンは感じる。
複雑さは中程度。
半分以上は、水のよう。
乾燥わかめのニュアンスを、ほのかに帯びる。
余韻は、程よく10秒前後。
ああ、これは「元々ミディアムボディのワインだったのだ」と、はっきり感じられる。
成分が融合して、飴や蜂蜜の特徴的ニュアンスを残すだけとなっている。
しかし、飲みやすい。
ブログ「のんべー日記」さん「シャトー・モラック1994」記事↓
http://blogs.yahoo.co.jp/inashou2005/64090220.html
286.シャトー・デュ・ルトュー1994
CHATEAU DU RETOUT
・生産者:シャトー・デュ・ルトュー
・生産国:フランス ボルドー地方 オー・メドック地区
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCオー・メドック クリュ・ブルジョワ
・Alc度数12%
・容量:750ml
・価格:3500円
キャップシールをはがすと、コルクの頭がカビだらけ。
そして案の定、コルクを抜く際、ちぎれた。
コルクの下部が瓶に張り付いていたのだ。
こういうワインのコルクを見事に抜くには?
「古いワインのコルクを抜く方法」
①コルクスクリュー(ソムリエナイフのスクリュー)を「限界まで差し込む」。
②次に、プロング(二枚刃・二本足)のワインオープナーを全て差し込む。
③そして、プロングオープナーとソムリエナイフの柄を両方持って回しながら。
④静かに引き上げる。
⑤それでも、コルク片がボトルに落ちるので、グラスに注ぐ際には「茶漉し」を使用する。
古酒を飲むには、ソムリエナイフだけでは足りないのだ。
「プロング(二枚刃・二本足)式オープナー」、それよりも「茶漉し」が重要である。
そして、こういった「コルクがズタボロになる年代ものワイン」は、たいてい「眠っている」し「オリが多い」。
よって、「眠りを覚まさせる」及び「オリを取り除く」目的で、デキャンタージュするべきである。
「家庭で簡単にデキャンタージュする方法」
まずは、前提として、ワインを1日~3日立てておき「オリを沈降させる」。
デキャンターはそれからだ。
①デキャンターを用意する(と言っても、デキャンターを買う必要は必ずしもない。スクリューキャップの空のワインボトルを洗って逆さまに立てて乾燥させれば、それで代用できる)。
②ペンライトをマグカップに入れて目に向けて点灯する。
③右手でワインボトルのケツを包み込むように持ち。
③右手上腕の脇は、肋骨に密着させて。
④左手の指4本でデキャンター(もしくは前述の代用ボトル)の首を持つ。
⑤左手の親指を、ワインボトルの口横にあてがう。
⑥ライトの光が、ワインボトルの「肩口と首の付け根」に当たるように位置を調整する。
⑦「右手の手首の角度を変える」ことでワインボトルを傾け、デキャンターに注ぐ(ボトルが水平になるまではオリは入らないので、一気に注いで問題ない)。
⑧ワインボトルの角度が水平(90度)を超えたら、注ぐ勢いを弱めて慎重に注ぐ。
⑨ライトの中を「濁り」が通過し始めた瞬間、注ぐのを止める。
それで、デキャンタージュ成功。
ワインボトルにはたいてい、1cm前後の液が残る(ものによっては3cmの場合もある)。
それが、オリの液だ。
ところで何故、「スクリューキャップの空のワインボトル」をデキャンターに用いるのか?
実は、これには重大な理由があるのだ。
「デキャンタージュ」すなわち「ワインの眠りを覚まさせ」「オリを取り除く」という行為は、「ワインを急激に空気に触れさせる」行為に他ならないのだ。
ワインは、空気に触れると、酸化していく。
殊に、古酒などは空気に触れると「開いたはいいが、その後瞬く間に酸化し香味を失う」場合が少なくないのだ。
だから。
しっかり蓋をして空気を遮断できる「スクリューキャップのボトル」が重用なのである。
もちろん、「抜栓したら飲み切る」ならば、スクリューキャップボトルにデキャンタージュする必要は全くない。
だが、古酒は時間の経過によって味わいを変化させるものであり。
抜栓日に飲み切らずに、「2日目、3日目にも飲んでみたい」、と思うのが通常だろう。
だからこそ、しっかし抜栓できる「スクリューキャップのワインボトル」にデキャンタージュするのだ。
さて、ようやくコメントに入ろう。
デキャンタージュした液をグラスに注ぐ。
ボトルの肩に粒子の細かいオリがびっしり張り付いていた。
おお!
明らかに熟成が感じられる、ガーネットを帯びた色合い。
輝きがあり、しっとりとした液感。
この美しさは、格付けものに匹敵するぞ。
香り。
しっとりとしてはいるが、ボルドー・メドックらしい香りだ。
黒果実。
カシス。
ヒマラヤ杉。
香りが、グラスの中に溜まっている。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
杉の木のニュアンスがコンタクト。
タンニンはまだ、しっかり。
甘味は少ない。
渋味はあるが、カドが取れていて、まろやか。
されど、全体的な印象は、「端正」そのもの。
余韻は、10秒~15秒。
しかし。
「ああ、いいワインを飲んだ」という感想が、出てくる。
そう、これぞフランスワインの真骨頂である。
味わいは、正直、分かりにくい。
一口で「美味い」とうめくようなものではない。
しかし、しかし、何が、ずっと、ずーっと、印象が残る。
飲んだ、という印象が、頭から離れない。
その印象が、銘柄の名前を、手繰り寄せずにはいられない。
ボルドーのワインとは、そういうものである。
基本的に、「端正」なのだ。
しかし、全体的に、とってもまろやか。
味のまろやかさに比例せず、香りは豊か。
そして、5日経過。
(スクリューキャップのワインボトルに移し替えて栓をし)
(保温アルミバッグに入れて押し入れで保管)
(エアコン暖房は一切かけていないので、室温は10~18℃)
(湿度は45~55%ぐらい)
おお、やはり、抜栓初日よりも、色が褐色に近付いている。
色も薄くなっている。
香り。
かなり穏やかになっている。
黒スグリ。
味わい。
ああ、とても穏やかだ。
果実味は、消えかかっている。
枯れ葉。
杉の林、杉の森だ。
というのも、土(枯れ葉)のニュアンスも感じられるようになっているからだ。
これはこれで、実に素晴らしい。
酒のやまやさんサイト「シャトー デュ ルトゥー 1994 750ml」↓
https://yamayagm10.jp/sendai/ygym/shyohinselect.php#%257B%2522act%2522%253A%2522list%2522%252C%2522cdclass%2522%253A%25220401%2522%252C%2522lvcons%2522%253A%25222%2522%252C%2522enc_keyword%2522%253A%2522%2522%252C%2522tab_kind%2522%253A%25222%2522%252C%2522top_pos%2522%253A0%252C%2522page%2522%253A1%252C%2522category%2522%253A%2522%2522%252C%2522price_start%2522%253A%2522%2522%252C%2522price_end%2522%253A%2522%2522%252C%2522capa_start%2522%253A%2522%2522%252C%2522capa_end%2522%253A%2522%2522%252C%2522sort_name%2522%253A%2522%2522%252C%2522sort_order%2522%253A%2522%2522%252C%2522class_div%2522%253A%2522%2522%257D
287.シャトー・トロワ・ムーラン1994
CHATEAU TROIS MOULINS
・生産者:S.C.E.A.CARRERE FILS
・生産国:フランス ボルドー地方 オー・メドック地区
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCオー・メドック クリュ・ブルジョワ
・Alc度数:12.5%
・容量:750ml
・価格:2500円
オー・メドックのブルジョワ級。
1994年で20年物。
茶色がかった色合い。
かなり熟成されている色だ。
香り。
蜂蜜。
紅茶。
コーヒー。
濃い口しょうゆ。
ウリ。
スイカ。
キュウリ。
冬の杉林。
腐葉土。
味わい。
泉水の水のような、やや粘性を感じる滑らかなアタック。
甘味はほどんどない。
酸味が強め。
といっても、カドは立たない。
渋味も強め。
渋味も、カドが無い。
なんだろう、この感じ。
「たまり醤油」
「さしみ醤油」
のような感じだ。
果実味は、ほとんど消えている。
土のニュアンスもある。
といっても、日光が直接当たる表土、ではない。
枝打ち(途中の横枝を切り落とすこと)され、樹冠(木の頂上に、枝が光を求めて冠状に枝を立ち上らせた状態)となった杉の木。
そんな杉の木が乱立する、林。
その林の土、のような感じだ。
腐葉土が湿気を帯びてやや硬まっている、黒い土。
余韻は意外に長い。
15秒以上。
ただし、強い印象はない。
ほのかで、しかし雄大。
これは、「美味い」どうこうを超えて、ひとつの良い経験を提供してくれる一本だ。
「ワインは、熟成し、飲み頃を過ぎると、土に還る」
そんな感想を抱く経験を、提供してくれている。
楽天市場さん「シャトー・トロワ・ムーラン1994」ページ↓
http://item.rakuten.co.jp/wineuki/0101161002176/
288.シャトー・プランティ・ド・リュージャン1994
CHATEAU PLANTEY DE LIEUJAN
・生産者:シャトー・プランティ・ド・リュージャン
・生産国:フランス ボルドー地方 オー・メドック地区
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCオー・メドック クリュ・ブルジョワ
・Alc度数:11.5%
・容量:750ml
・価格:2500円
コルクを抜くと。
おおお!
コルクの裏側に、氷砂糖を砕いたような、大きめの結晶がついていた。
これは、すごい。
こんなの見たことない。
これも、酒石酸の結晶なのだろうか?
色合い。
茶褐色を帯びた赤。
エッジ(液縁)は、かなり茶色寄りのオレンジ色に輝いている。
だが輝きは失われていない。
一見してマディラのよう。
しかし、液脚はわりとサラリとしていて、アルコール度数は高くないとわかる。
香り。
しっとり穏やかめ。
杉の木。
パプリカ。
完熟した黒果実。
メドックらしさがある。
若干キノコ、腐葉土。
使い古した皮。
微弱に、イカの塩辛。
もっと微弱に、エコーやわかばなどのタバコ。
味わい。
滑らかなアタック。
直後、発酵食品期限間近のような酸味。
これは、「かなり漬かった白菜キムチ」のよう。
酸味主体だが、カドはとれて丸くなっている。
渋味(タンニン)は、わりとしっかりある。
まるで、ブドウの皮と種だけを食べているかのような。
甘味は、主体である酸味の輪郭を形成するかのように、ボワーンと感じる。
甘味はあるが、完全に脇役。
(といっても、メドックものは元々甘味主張的ではないが)
ボディは薄め。
ミディアムか、ライトミディアム。
水で薄めたような感じ。
余韻は、わりとあっさり10秒程度。
いやー、しかし、これは面白い。
熟成による変化を、しっかり感じることができるワインだ。
「タンニンだけが未だしっかり活きていて、色素と果実味は分解して弱くなっている」感じなのだ。
先週飲んだシャトー・トロワ・ムーラン1994に比べると、「若さが失われていない」感じがする。
土のニュアンスは、まだまだ微弱にしか感じられないのだ。
飲んだワインを簡単に記録できる無料のスマホアプリ「Vinica」「シャトー プランテ ド リュージャン1994」↓
http://vinica.me/Ch-Plantey-de-Lieujean-w27638
0678安くて美味しいワイン特集~ワインワールドの旅Vol.12(完)
278.シャトー・グロリア1994
279.フェウディ・シチーリア カリス ネーロ・ダヴォーラ2012
280.フェウディ・シチーリア リクサス シャルドネ・グリロ2013
281.アンデルーナ シャルドネ2012
282.コノスル ヴァラエタル ピノ・ノワール2013
283.サン・テステフ・ド・カロン ・ラ・シャペル1997
284.フェーグ・ド・ネナン2004
285.シャトー・モラック1994
286.シャトー・デュ・ルテュー1994
287.シャトー・トロワ・ムーラン1994
288.シャトー・プランティ・ド・リュージャン1994
278.シャトー・グロリア1994
Chateau Gloria
・生産者:シャトー・グロリア
・生産国:フランス ボルドー地方 メドック地区 サン・ジュリアン村
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCサン・ジュリアン
・Alc度数12.5%
・容量:750ml
・価格:5100円
「AOCサン・ジュリアン」と村名AOC止まりで、ブルジョワ級ですらない。
だが、「間違いなく格付けものに匹敵」と言われているシャトーだ。
こういった、「格付け破壊ワイン」「格付けそっちのけワイン」を開けるのは、ワクワクする。
エッジにかなりガーネット色を持つ、やや透明感のある赤黒色。
このエッジのガーネット色でもう、熟成が進んでいることが伺える。
非常に滑らかで静かな液感。
これは、格付けものに匹敵している。
香り。
一発で「ボルドー」と言える香り。
豊かだ。
バナナのような甘い香り。
完熟チェリーも連想できる。
それと杉の木やヒノキといった、淡い色の木材の香り。
カシス。
そして、ポビドンヨード(うがい薬)の香り。
複雑だ。
これは、これは、もしや?
メドック地区サン・ジュリアン村の格付けシャトーに酷似!
「グリュオー・ラローズ」や「ベイシュベル」にかなり近い感じがする香りだ。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
水のよう。
舌の上に乗せて、しばらくして飲み込む。
飲み込む直前。
味わいが広がる。
おお。
豊かで雄大なのは、渋味。
木材のニュアンスも強め。
甘味は控えめ。
甘味は、がっしりした渋味の中に溶け込んだ感じ。
バランスは、やや渋味骨格が強調。
果実味は、すっぽ抜けている。
おそらく、このヴィンテージの飲み頃を過ぎてしまっているのだ。
しかし、メドック地区の赤は元々、果実味を強調させるスタイルではない。
折り目正しい、端正な味わいが基調なのだ。
しかし、この味わい。
やはり、ボルドーだ。
グリュオー・ラローズやベイシュベルに近い感じがある。
余韻。
長い。
20秒は続く。
生ハムやロースハムのニュアンスを感じる。
このワイン。
3日目、4日目にして、本領を発揮する。
香る。
香る。
とにかく、香る。
華々しい香り、ではない。
「ボルドー・メドックの赤ワインの香り」を、とにかく顕著に表わす、といった意味での「香る」だ。
素晴らしい香り。
これって、2級のグリュオー・ラローズにソックリな香り。
1994年ものは、「当たり」だ!
ブログ「ろくでなしチャンのブログ」さん「シャトー・グロリア詳解」記事↓
http://ameblo.jp/rokudenashichan/entry-10804817338.html
279.フェウディ・シチーリア カリス ネーロ・ダヴォーラ2012
FEUDI SICILIA KALIS NERO D'AVOLA
・生産者:フェウディ・シチーリア(パスクア社)
・生産国:イタリア シチリア州
・輸入者:国分株式会社
・Alc度数:13%
・格付け:IGT
・容量:750ml
・価格:800円
CGCグループのスーパーに、面白そうなワインがやって来た。
ワイン名は「カリス」。
出身はイタリア、シチリア州。
シチリア州とは、イタリアというロングブーツのつま先、ではない。
イタリアというロングブーツが「蹴っている、三角形のボール」である。
つまり、シチリア島のこと。
品種は「ネーロ・ダーヴォラ100%」。
「カリス」は、古代ギリシャ語で「ピュア」「ピュアなワイン」の意味。
シチリアの土着品種ネーロ・ダーヴォラを100%使用していることに由来してのことだとか。
健全な、エッジに明るみを持つ、強い赤黒色。
紫色はほとんどいない。
香り。
しっとりとしていて、豊か。
ガス。
鉱物。
ピーマン。
パプリカ。
完熟トマト。
黒果実。
チリのカベルネによく似た香り。
味わい。
滑らかなアタック。
木の枝、木の葉のニュアンス。
マヨネーズの酸味。
酸味に包まれた、粒子がぎゅうぎゅうづめの、強い果実味。
甘味は、酸味のレイヤ-のすぐ下にある。
アルコールっぽさは強い。
まるでスペインのよう。
しかし、この、フランス・ボルドーに近い「端正」な感じは、やはりイタリア。
安いのだが、「安っぽい味」ではない。
お見事!
余韻はほどよく、10秒程度。
余韻に脂質っぽいものを感じる。
ああ、「オリーブオイルを使った料理全般」のイメージが浮かぶ。
よって、「オリーブオイルを使った料理全般」に、よく合いそうだ。
余談。
それにしても、「安くて美味しいワイン」の、美味しいを、定義し直さないといけないかもしれない。
日本は、安うまワインのブームが未だ続いているらしい。
ワインの市場は上昇を続けており。
あの「アサヒビール」が、輸入ワインの最大手「メルシャン」やそれに次ぐ「サントリー」を追撃するべく、高級ワイン商社「エノテカ」を買収するぐらい、ワイン市場は魅力にあふれているのだ。
チリやオーストラリア、ニュージーランド、その他の「ニューワールドワイン」の輸入量と消費量は、落ちることが無い。
しかし、ワインの本家本元「フランス」のワインが不味くなったわけではないし、人気は依然、不動のものとして存在している。
そう、つまり、「美味い」の定義が多様化した、のである。
どのように?
「端正」
「甘い」
「濃い」
「強い」
「料理に合う」
「飲み飽きない」
「自分にピッタリ」
「優雅な時間を演出できる」
「オシャレ」
「かっこいい」
などなどに。
つまり、「何をもって美味しいと言うか、その定義が、個人個人にゆだねられるようになってきた」、ということだ。
サイト「酒食庫 ~デイリーワインと食品・雑貨 3000円までのデイリーワインを中心に品揃え」さん「フェウディ・シチーリア カリス ネーロ・ダヴォーラ」記事↓
http://shiraz-japan.com/SHOP/10421-1.html
280.フェウディ・シチーリア リクサス シャルドネ・グリロ2013
FEUDI SICILIA LIXUS CHARDONNAY GRILLO
・生産者:フェウディ・シチーリア(パスクア社)
・生産国:イタリア シチリア州
・輸入者:国分株式会社
・Alc度数:13%
・格付け:IGT
・容量:750ml
・価格:800円
シャルドネ70%、グリロ30%の白ワイン。
やや青みを帯びた、明るい黄色。
ディスク(液面の厚み)はハッキリしており、厚みがある。
香り。
しっとり。
蜂蜜。
スミレ。
チンゲンサイ。
レタス。
白い花。
青野菜。
味わい。
水のようなアタック。
だが、その後、「茹でトウモロコシ」のような甘味。
を感じたかと思うとそれは半透明となり。
すっきりしたシャープな酸味と同居した甘味が、静かに広がる。
白菜の白い部分。
大根の葉。
グレープフルーツ果汁。
甲州に近い感じもある。
余韻は長め。
15秒以上。
とにかく、柑橘系。
ほのかに、バニラやモナカの印象。
柑橘と言っても、「白」「青」「薄緑」を連想させる感じだ。
白ワインの真髄である、「キリッとした酸味」をしっかり持ち。
されど、寒さに鍛え上げられたことでまとう、「近寄りがたさ」を、あまり感じない。
近寄りやすい感じはある。
雪をかぶって越冬し、甘さを増した「白菜」。
そんなニュアンス。
これは、美味い。
バランスが良い。
「サントリー・プレミアム・モルツ」の印象によく似ている。
すなわち、「どっしり」でも「ガッツン」でもなく、どちらかと言えば上品で控えめなのだが。
深くゆったりとしっとりと印象が残り、「また飲みたくなる」のだ。
国分株式会社さん公式サイト「リクサス シャルドネ・グリロ 白」ページ↓
http://liquors.kokubu.co.jp/?/p/item/kcd/7555785/
281.アンデルーナ シャルドネ2012
・生産者:アンデルーナ セラーズ
・生産国:アルゼンチン
・輸入者:株式会社稲葉
・Alc度数:14%
・格付け:?
・容量:750ml
・価格:1500円
「樽シャル(シャルドネの樽熟成)」の典型。
フランス産オーク新樽100%使用で、6カ月熟成。
「新樽100%」というのは、珍しい。
新樽100%使用は、ボルドー・メドックの頂点に君臨する「5大シャトー」のオハコである。
が、それにはちゃんと、科学的理由がある。
「酒質が充分に強く、新樽でないと樽香が出せない」というものである。
要するに、新樽に張り合える酒質なのだ。
一方、2級~5級のものは、新樽を使わない。
5大シャトーが使った新樽の「お古」を買い受けて使うか、新樽を使ってもそれを古樽ものと混ぜて、「新樽率」を下げている。
その理由は明白で、「新樽だと、酒質が樽香に負けるから」
そう。
つまり。
樽の材質にもよるが、「新樽100%」というのは。
よほどの強い酒質でなければ採用され得ない醸造方法なのである。
しかし、このアンデルーナ・シャルドネは、新樽100%。
それだけ酒質が強い、ということがすでに伺える。
その味わいは、いかなるものか?
やや青みを帯びた、クリアな白金色。
香り。
とても豊か。
トウモロコシ。
パプリカ。
アスパラガス。
ガス臭。
花崗岩。
バター。
マーガリン。
サラダ油。
茹でもやし。
蜂蜜。
木材。
奈良漬。
ナッツ。
アーモンド。
バニラ。
モナカ。
味わい。
クリアなアタック。
甘味はほどほど。
酸味は少ない。
豊かな樽の香りをまとった、豆系の味わい。
余韻はほどほど、15秒以内。
うーん、ちょっと樽が強めで、豆のニュアンスが強過ぎで、酸味が弱め。
なので、3日間置いておく。
3日後。
おお!
香り、果実味は幾分収まったが。
樽香(豆のニュアンス)は穏やかになり。
酸味のレイヤ-が一ついや二つ上に上がってきた。
甘味と樽香をゆったり引きつれた、まろやかな酸味。
これは、美味い。
クリスピー(パリッとした)な酸味ではない。
しっとり、ゆったり、雄大な、なれどしっかりと存在する酸味。
これは、お見事だ。
ハッピー!
サイト「ハッピーワイン 年間発送1万件!ボトルにいっぱいの幸せを詰め込んであなたにお届けします!」さん「アンデルーナ シャルドネ2011/2012」ページ↓
http://www.happywine.com/html/wine/WineArg13_750.html
282.コノスル ヴァラエタル ピノ・ノワール2013
Cono Sur BICICLETA PINOT NOIR
・生産者:コノ・スル
・生産国:チリ
・輸入者:株式会社スマイル
・格付け:?
・Alc度数:13.5%
・容量:750ml
・価格:880円
自転車(バイシクル)のラベルでお馴染みの、コノスル・ヴァラエタル版。
(ヴァラエタルとは「品種」の意味)。
今回のそれは、「ピノ・ノワール」品種。
なで型ボトル。
スクリューキャップ。
透明度の高い、わずかに紫色を帯びた、フレッシュな赤色。
いはゆる「フランボワーズ(木イチゴ)色」というやつだ。
香り。
イチゴ。
チェリー。
プラム。
さくらんぼ。
とにかく、鮮烈な「明るい赤色系果実」のイメージ。
「わずかに紫色を帯びた透明度のあるフレッシュな赤色」とくれば、「サンジョヴェーゼ」か「ピノ・ノワール」。
そして香りで「イチゴ」をモロに感じたら、「ピノ・ノワール」ほぼ確定。
いやー、カベルネ・ソーヴィニョンやメルロとは、全然違うな。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
小さな果実のイメージ。
酸味に包まれた、キュッとしまった果肉の中に、やんわりとした甘味が存在する、という感じ。
タンニンは弱い。
ボディはライトに近いミディアム。
ブルゴーニュのような「引き締まった」「辛口」という感じではなく。
「ゆったり穏やか」「ミネラル感がある」ところは、やはりチリらしい。
余韻は10秒ほど。
余韻に若干、木の枝やイチゴのへたの部分のニュアンスがある。
だが、最後に抜ける後味は、やっぱり「イチゴ」だ。
いやー、これは、飲みやすい。
薄いわけではないが、重くない。
可憐、優雅、清楚、そんな言葉が当てはまる。
ダラダラしたくなる。
ダラダラ過ごすのが、最も優雅。
なんて思えてくる。
お見事!
Yahoo!知恵袋「チリワイン、コノ・スルに詳しい方教えてください」記事↓
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13103772048
283.サン・テステフ・ド・カロン・ラ・シャペル1997
SAINT-ESTEPHE-DE CALON LA CHAPELLE
・生産者:SCEAカロン・セギュール
・生産国:フランス ボルドー地方 メドック地区 サン・テステフ村
・輸入者:株式会社モトックス
・Alc度数:12.5%
・格付け:AOCサン・テステフ
・容量:375ml
・価格:1180円
シャトー・カロン・セギュールのセカンドワイン。
同シャトーのセカンドは2つ存在する。
ひとつは「マルキ・ド・カロン」
そしてもうひとつがこのワイン、「サン・テステフ・ド・カロン・ラ・シャペル」だ。
(「サン・テステフ・ド・カロン・ラ・シャペル」は現在、「シャペル・ド・カロン」と改名されているらしい)
向こうが透けて見える、健全な、やや暗みを持ったルビー色。
液縁は微弱にオレンジ色がかっている。
香り。
とても豊か。
一発で「ボルドーのメドック」と分かる香り。
カシス。
ヒマラヤ杉。
ヒノキ。
黒果実。
完熟バナナ。
落ち葉のニュアンスもある。
樽香。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
甘味は穏やか。
尖りのない、ゆったりした渋味と酸味。
強めのタンニン。
杉やヒノキのような。
ボディはミディアム。
だが、タンニンだけが主張している感じだ。
しかし、おおらかな感じで、飲みやすい。
また、「枯れた感じ」は、まだない。
余韻はほどほど、15秒程度か。
やや熟成感があり、果実味が収まって、樽香の下に引っ込んでいる感じ。
一口で、「おお!美味い」とうなる程ではない。
これならば、プリウール・ド・メイネイ(メイネイのセカンド)の方が、正直美味い。
しかし。
やはりはボルドー・メドックの村名AOCワインだ。
ボルドー・メドックのワインらしさをちゃんと感じさせてくれる。
「端正」
「豊かで複雑な香り」
「ラブルスカ香がない」
「甘味は控えめ」
「突出しない、バランス」
「飲んだ後、飲み継ぎたくなる、深い印象」
それらをちゃんと持っている。
そして、サン・テステフ村らしい、「大らかな感じ」をちゃんと感じさせてくれる。
マルゴー村を一言で表すなら、「エレガンス」。
ポイヤック村を一言で表すなら、「サーロインステーキ」。
サン・ジュリアン村を一言で表すなら、「アート」。
サン・テステフ村を一言で表すなら、「雄大」。
また、サン・テステフ村の特徴である、「強いタンニン」分が、ちゃんと感じられる。
お見事だ。
これで、1100円台なら、充分お得。
1000円台前半で思いっきり「ボルドー・メドックの村名ワインらしさ」を堪能するのは難しいからだ。
しかしそれを、このワインは可能にしてくれている。
しかも1997年という、18年もの。
その点で言えば、正直、お得。
サイト「 Soft &Hard Liquorオンラインショップ たかたや」さん「ラ・シャペル・ド・カロン1997旧サン・テステフ・ド・カロン・ラ・シャペル1997」記事↓
http://yaemon-liqueurshop.com/win-saint-6.htm
284.フェーグ・ド・ネナン2004
Fugue do Nenin
・生産者:シャトー・ネナン(ドゥロン家)
・生産国:フランス ボルドー地方 ポムロール地区
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCポムロール
・Alc度数13.5%
・容量:750ml
・価格:3600円
シャトー・ネナンのセカンド。
熟成が感じられる、ガーネット色を帯びた色合い。
透明度が高い。
液感は、割とゆるい。
香り。
しっとりしている。
柔らかい。
サンテミリオンを連想させる。
黒スグリ、まではいかない。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
水のようだ。
口に含んだ後、じんわりと、ほのかに味わいが広がる。
完熟した、黒果実。
甘くはない。
タンニン的。
だが、タンニンのカドは取れていて、「丸み」を感じる。
飲みやすいな。
この後、デキャンタージュを行う。
オリは、結構少なめ。
ボトルに残したオリ液は、1cmほどだ。
そして、オリの粒子はかなり細かい。
デキャンタージュ後。
再びグラスに注いで、飲んでみる。
おお。
おおお。
この後が、すごい。
「主張しない味わい」が、消えかかった、それからだ。
「味の余韻が、ずっと、ずっと、ずーっと、続く」のである。
これは、すごい。
余韻はゆうに20秒を超えた。
ああ、これぞ、ポムロール。
①水のごときサラサラのアタック。
②主張しない、やんわり広がる柔らかい味わい。
③ところが、余韻で味わいが凝縮。
④とんでもなく強く、濃く、長い、余韻。
余韻になって初めて、豊かなアロマが噴出する。
そのアロマとは、「黒スグリ」「ヨード(うがい薬)」「干し柿」「腐葉土」である。
さらに。
「腐葉土の中に、百の果物のニュアンス」が、出てきた。
デキャンタ液をグラスに注いで15分後だ。
これは、すごい。
美味い。
飲み継がずにいる方が、ムリだ。
芳醇かつ、深遠な香りと、複雑な味わい。
その点では、ボルドー左岸、メドック地区と共通している。
しかし、やはりはメドックとは違う。
メドックなら、「三振を取りに行く、渾身の直球」。
もしくは、「お寺の鐘を撞く、丸太」。
もしくは、「子牛のミディアムステーキ」。
そんなニュアンスがある。
ボルドー右岸、特にポムロールは、それとは違う。
「後から来る」
「後から、特徴がハッキリしてくる」
「霧が晴れると、別世界」
「粘土のニュアンス」
「腐葉土豊かな、森」
しかも、フーガの旋律が聞こえる、森。
(フーガ:非常に簡単に言えば、「カエルの歌」のように、追いかけごっこをする構造の演奏のこと)
フーガ、と言ったが。
この穏やかな明るさ。
滑らかさ。
これは、「トッカータとフーガ二短調」ではなく、「小フーガト短調」でもない。
「平均律プレリュードとフーガNo.1」のようだ。
サイト「うきうきワインの玉手箱」さん「フューグ・ド・ネナン2004」ページ↓
http://www.ukiuki-wine.com/product/3988
youtube「バッハ平均律曲集1プレリュード1 」↓
https://www.youtube.com/watch?v=XEZXjW_s0Qs#t=14
youtube「人気名曲クラシック50曲(長時間作業用BGM)」↓
https://www.youtube.com/watch?v=hdbHSrtgWqE
285.シャトー・モラック1994
Chateau Mourac
・生産者:シャトー・モラック
・生産国:フランス ボルドー地方 オー・メドック地区
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCオー・メドック クリュ・ブルジョワ
・Alc度数12.5%
・容量:750ml
・価格:2500円
コルクは、割とあっさりと抜けた。
オリは少ない。
ガーネットを帯びた、健全な赤黒色。
香り。
おお、特徴的。
とにかく「蜂蜜」の香り。
果実や木材、鉱物、の香りはあまり連想しない。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
その後、梅酒のような酸味がコンタクト。
梅酒というより、「漬け物」のよう。
甘味と酸味を融合した味わい。
蜂蜜のような骨格。
それだけが特徴だ。
味わいは皆融合して、丸くなっている。
タンニンは感じる。
複雑さは中程度。
半分以上は、水のよう。
乾燥わかめのニュアンスを、ほのかに帯びる。
余韻は、程よく10秒前後。
ああ、これは「元々ミディアムボディのワインだったのだ」と、はっきり感じられる。
成分が融合して、飴や蜂蜜の特徴的ニュアンスを残すだけとなっている。
しかし、飲みやすい。
ブログ「のんべー日記」さん「シャトー・モラック1994」記事↓
http://blogs.yahoo.co.jp/inashou2005/64090220.html
286.シャトー・デュ・ルトュー1994
CHATEAU DU RETOUT
・生産者:シャトー・デュ・ルトュー
・生産国:フランス ボルドー地方 オー・メドック地区
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCオー・メドック クリュ・ブルジョワ
・Alc度数12%
・容量:750ml
・価格:3500円
キャップシールをはがすと、コルクの頭がカビだらけ。
そして案の定、コルクを抜く際、ちぎれた。
コルクの下部が瓶に張り付いていたのだ。
こういうワインのコルクを見事に抜くには?
「古いワインのコルクを抜く方法」
①コルクスクリュー(ソムリエナイフのスクリュー)を「限界まで差し込む」。
②次に、プロング(二枚刃・二本足)のワインオープナーを全て差し込む。
③そして、プロングオープナーとソムリエナイフの柄を両方持って回しながら。
④静かに引き上げる。
⑤それでも、コルク片がボトルに落ちるので、グラスに注ぐ際には「茶漉し」を使用する。
古酒を飲むには、ソムリエナイフだけでは足りないのだ。
「プロング(二枚刃・二本足)式オープナー」、それよりも「茶漉し」が重要である。
そして、こういった「コルクがズタボロになる年代ものワイン」は、たいてい「眠っている」し「オリが多い」。
よって、「眠りを覚まさせる」及び「オリを取り除く」目的で、デキャンタージュするべきである。
「家庭で簡単にデキャンタージュする方法」
まずは、前提として、ワインを1日~3日立てておき「オリを沈降させる」。
デキャンターはそれからだ。
①デキャンターを用意する(と言っても、デキャンターを買う必要は必ずしもない。スクリューキャップの空のワインボトルを洗って逆さまに立てて乾燥させれば、それで代用できる)。
②ペンライトをマグカップに入れて目に向けて点灯する。
③右手でワインボトルのケツを包み込むように持ち。
③右手上腕の脇は、肋骨に密着させて。
④左手の指4本でデキャンター(もしくは前述の代用ボトル)の首を持つ。
⑤左手の親指を、ワインボトルの口横にあてがう。
⑥ライトの光が、ワインボトルの「肩口と首の付け根」に当たるように位置を調整する。
⑦「右手の手首の角度を変える」ことでワインボトルを傾け、デキャンターに注ぐ(ボトルが水平になるまではオリは入らないので、一気に注いで問題ない)。
⑧ワインボトルの角度が水平(90度)を超えたら、注ぐ勢いを弱めて慎重に注ぐ。
⑨ライトの中を「濁り」が通過し始めた瞬間、注ぐのを止める。
それで、デキャンタージュ成功。
ワインボトルにはたいてい、1cm前後の液が残る(ものによっては3cmの場合もある)。
それが、オリの液だ。
ところで何故、「スクリューキャップの空のワインボトル」をデキャンターに用いるのか?
実は、これには重大な理由があるのだ。
「デキャンタージュ」すなわち「ワインの眠りを覚まさせ」「オリを取り除く」という行為は、「ワインを急激に空気に触れさせる」行為に他ならないのだ。
ワインは、空気に触れると、酸化していく。
殊に、古酒などは空気に触れると「開いたはいいが、その後瞬く間に酸化し香味を失う」場合が少なくないのだ。
だから。
しっかり蓋をして空気を遮断できる「スクリューキャップのボトル」が重用なのである。
もちろん、「抜栓したら飲み切る」ならば、スクリューキャップボトルにデキャンタージュする必要は全くない。
だが、古酒は時間の経過によって味わいを変化させるものであり。
抜栓日に飲み切らずに、「2日目、3日目にも飲んでみたい」、と思うのが通常だろう。
だからこそ、しっかし抜栓できる「スクリューキャップのワインボトル」にデキャンタージュするのだ。
さて、ようやくコメントに入ろう。
デキャンタージュした液をグラスに注ぐ。
ボトルの肩に粒子の細かいオリがびっしり張り付いていた。
おお!
明らかに熟成が感じられる、ガーネットを帯びた色合い。
輝きがあり、しっとりとした液感。
この美しさは、格付けものに匹敵するぞ。
香り。
しっとりとしてはいるが、ボルドー・メドックらしい香りだ。
黒果実。
カシス。
ヒマラヤ杉。
香りが、グラスの中に溜まっている。
味わい。
非常に滑らかなアタック。
杉の木のニュアンスがコンタクト。
タンニンはまだ、しっかり。
甘味は少ない。
渋味はあるが、カドが取れていて、まろやか。
されど、全体的な印象は、「端正」そのもの。
余韻は、10秒~15秒。
しかし。
「ああ、いいワインを飲んだ」という感想が、出てくる。
そう、これぞフランスワインの真骨頂である。
味わいは、正直、分かりにくい。
一口で「美味い」とうめくようなものではない。
しかし、しかし、何が、ずっと、ずーっと、印象が残る。
飲んだ、という印象が、頭から離れない。
その印象が、銘柄の名前を、手繰り寄せずにはいられない。
ボルドーのワインとは、そういうものである。
基本的に、「端正」なのだ。
しかし、全体的に、とってもまろやか。
味のまろやかさに比例せず、香りは豊か。
そして、5日経過。
(スクリューキャップのワインボトルに移し替えて栓をし)
(保温アルミバッグに入れて押し入れで保管)
(エアコン暖房は一切かけていないので、室温は10~18℃)
(湿度は45~55%ぐらい)
おお、やはり、抜栓初日よりも、色が褐色に近付いている。
色も薄くなっている。
香り。
かなり穏やかになっている。
黒スグリ。
味わい。
ああ、とても穏やかだ。
果実味は、消えかかっている。
枯れ葉。
杉の林、杉の森だ。
というのも、土(枯れ葉)のニュアンスも感じられるようになっているからだ。
これはこれで、実に素晴らしい。
酒のやまやさんサイト「シャトー デュ ルトゥー 1994 750ml」↓
https://yamayagm10.jp/sendai/ygym/shyohinselect.php#%257B%2522act%2522%253A%2522list%2522%252C%2522cdclass%2522%253A%25220401%2522%252C%2522lvcons%2522%253A%25222%2522%252C%2522enc_keyword%2522%253A%2522%2522%252C%2522tab_kind%2522%253A%25222%2522%252C%2522top_pos%2522%253A0%252C%2522page%2522%253A1%252C%2522category%2522%253A%2522%2522%252C%2522price_start%2522%253A%2522%2522%252C%2522price_end%2522%253A%2522%2522%252C%2522capa_start%2522%253A%2522%2522%252C%2522capa_end%2522%253A%2522%2522%252C%2522sort_name%2522%253A%2522%2522%252C%2522sort_order%2522%253A%2522%2522%252C%2522class_div%2522%253A%2522%2522%257D
287.シャトー・トロワ・ムーラン1994
CHATEAU TROIS MOULINS
・生産者:S.C.E.A.CARRERE FILS
・生産国:フランス ボルドー地方 オー・メドック地区
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCオー・メドック クリュ・ブルジョワ
・Alc度数:12.5%
・容量:750ml
・価格:2500円
オー・メドックのブルジョワ級。
1994年で20年物。
茶色がかった色合い。
かなり熟成されている色だ。
香り。
蜂蜜。
紅茶。
コーヒー。
濃い口しょうゆ。
ウリ。
スイカ。
キュウリ。
冬の杉林。
腐葉土。
味わい。
泉水の水のような、やや粘性を感じる滑らかなアタック。
甘味はほどんどない。
酸味が強め。
といっても、カドは立たない。
渋味も強め。
渋味も、カドが無い。
なんだろう、この感じ。
「たまり醤油」
「さしみ醤油」
のような感じだ。
果実味は、ほとんど消えている。
土のニュアンスもある。
といっても、日光が直接当たる表土、ではない。
枝打ち(途中の横枝を切り落とすこと)され、樹冠(木の頂上に、枝が光を求めて冠状に枝を立ち上らせた状態)となった杉の木。
そんな杉の木が乱立する、林。
その林の土、のような感じだ。
腐葉土が湿気を帯びてやや硬まっている、黒い土。
余韻は意外に長い。
15秒以上。
ただし、強い印象はない。
ほのかで、しかし雄大。
これは、「美味い」どうこうを超えて、ひとつの良い経験を提供してくれる一本だ。
「ワインは、熟成し、飲み頃を過ぎると、土に還る」
そんな感想を抱く経験を、提供してくれている。
楽天市場さん「シャトー・トロワ・ムーラン1994」ページ↓
http://item.rakuten.co.jp/wineuki/0101161002176/
288.シャトー・プランティ・ド・リュージャン1994
CHATEAU PLANTEY DE LIEUJAN
・生産者:シャトー・プランティ・ド・リュージャン
・生産国:フランス ボルドー地方 オー・メドック地区
・輸入者:コルドンヴェール株式会社
・格付け:AOCオー・メドック クリュ・ブルジョワ
・Alc度数:11.5%
・容量:750ml
・価格:2500円
コルクを抜くと。
おおお!
コルクの裏側に、氷砂糖を砕いたような、大きめの結晶がついていた。
これは、すごい。
こんなの見たことない。
これも、酒石酸の結晶なのだろうか?
色合い。
茶褐色を帯びた赤。
エッジ(液縁)は、かなり茶色寄りのオレンジ色に輝いている。
だが輝きは失われていない。
一見してマディラのよう。
しかし、液脚はわりとサラリとしていて、アルコール度数は高くないとわかる。
香り。
しっとり穏やかめ。
杉の木。
パプリカ。
完熟した黒果実。
メドックらしさがある。
若干キノコ、腐葉土。
使い古した皮。
微弱に、イカの塩辛。
もっと微弱に、エコーやわかばなどのタバコ。
味わい。
滑らかなアタック。
直後、発酵食品期限間近のような酸味。
これは、「かなり漬かった白菜キムチ」のよう。
酸味主体だが、カドはとれて丸くなっている。
渋味(タンニン)は、わりとしっかりある。
まるで、ブドウの皮と種だけを食べているかのような。
甘味は、主体である酸味の輪郭を形成するかのように、ボワーンと感じる。
甘味はあるが、完全に脇役。
(といっても、メドックものは元々甘味主張的ではないが)
ボディは薄め。
ミディアムか、ライトミディアム。
水で薄めたような感じ。
余韻は、わりとあっさり10秒程度。
いやー、しかし、これは面白い。
熟成による変化を、しっかり感じることができるワインだ。
「タンニンだけが未だしっかり活きていて、色素と果実味は分解して弱くなっている」感じなのだ。
先週飲んだシャトー・トロワ・ムーラン1994に比べると、「若さが失われていない」感じがする。
土のニュアンスは、まだまだ微弱にしか感じられないのだ。
飲んだワインを簡単に記録できる無料のスマホアプリ「Vinica」「シャトー プランテ ド リュージャン1994」↓
http://vinica.me/Ch-Plantey-de-Lieujean-w27638
0678安くて美味しいワイン特集~ワインワールドの旅Vol.12(完)