近年、防衛問題の基本的方針策定に当たっての現状認識は「現在の情勢において、我が国に本格的侵攻が行われる蓋然性は低い」という論調が支配的だ。自衛隊の縮小に強固に反対する論者(たとえば私のような)ですら、明日にでも本格的侵攻が開始されると言い出す者はまずいない。
しかし、この論調の肝である「本格的侵攻」の定義について真剣に討論されたことが果たしてあるのだろうか。ただなんとなくイメージで語ってはいないか。だとすると、日本は国防の舵取りを大きく誤っている可能性がある。
さて、本論を読んでいる諸氏はある程度の軍事的素養はあるかと思う。それを前提条件として、下記に示すいくつかの侵攻様態を「本格的侵攻」「限定的侵攻」と明確に区分できるかどうか、そもそもそれらの定義が明確になされているのか考えてみてもらいたい。この際、論点がずれてしまうので「可能性の検討」は無しにして、実際に行われた場合(そして侵攻開始までは成功した場合)にどちらに分類されるかを考察の範囲としてもらいたい。
ケース1「日本の国家体制そのものの転覆・属国化を最終的な目的として、4コ軍団基幹の統合軍が新潟一帯に着上陸作戦を開始」
ケース2「台湾有事に際して、日台の連絡線分断を目的として、沖縄諸島の一時的占領を企図した2コ師団基幹の統合軍が侵攻を開始」
ケース3「対馬海峡の恒久的支配を目的として、九州北部一帯の占領を企図した2コ軍団基幹の統合軍が侵攻を開始」
ケース4「半島有事に際して、日本国内の擾乱を目的とした1コ旅団の軽歩兵が、中隊単位で全国各地に潜伏、行動を開始」
ケース5「日本の国家体制そのものの転覆・属国化を目的として、軽歩兵10コ旅団が関東地域の複数の港湾に分散して奇襲上陸、じ後正規戦による東京侵攻を開始」
ケース6「沖縄諸島の恒久的占領を目的として、軽歩兵5コ旅団基幹の敵が沖縄の主要な島嶼に奇襲上陸、じ後正規戦による侵攻を開始」
ケース7「尖閣諸島の帰属問題を巡り、大規模な海空戦力による封鎖作戦を実施」
ケース8「半島有事に際して、後方連絡線の擾乱を目的として福岡~長崎一帯において2~3コ小隊程度の軽歩兵が行動中」
ケース9「対馬を不法占拠する悪逆なチョパーリどもを膺懲するためにウリナラ陸軍を送り込む!!!!チョパーリごときウリ達1コ中隊で十分ニダ!当然その後はウリ達の固有領土として未来永劫占領しるかんしゃくおきますかホルホルホル・・・」
ある人は確信をもって、ある人は迷いながら分類したことだろう。ある人は明確な基準に基づき、またある人はフィーリングで分類したかもしれない。
ここで何が言いたいか。「本格的侵攻」「限定的侵攻」を定義づけるファクターはどこにあるのかと言うことだ。最終的な目的なのか、目的達成のために選定した軍事的な目標なのか、あるいはそれに投入するための兵力・編成装備なのか、はたまた、それに対処するために自衛隊側がどれほどの戦力投入が必要かで決定するのか。あるいはそれらを総合的に判断した上でのものなのか。上記の例で言えば、文句なしに「本格的侵攻」とだれもが定義するであろうケースは1番であろう。その対極はケース8で、これを「本格的侵攻」という者はまずいまい。では、ケース5はどうか。目的を基準とするならば文句なしに「本格的侵攻」である。では兵力・編成装備が基準の場合はどうか。国によって編制上の差異はあるが、概ね1コ旅団1万人とすると5万人程度である。「兵力」としては大きいかもしれないが、装備の観点からすると「戦力」としては小さいだろう。もし仮に火砲は軽迫撃砲程度、150mm級の火砲も装甲戦力もない状態なら、正規戦で攻めてくれば首都近郊の部隊だけで十分撃破は可能だ。そもそも、敵が投入する兵力・編成装備を基準とするなら、どのレベルからが「本格的侵攻」となるのか。兵力数基準か、重装備の装備密度はどうか、例えば「1コ師団以上をもって侵攻してきたら『本格的侵攻』」と定義した場合に「軽歩兵師団よりも戦力的には上の戦車連隊戦闘団」が侵攻してきてもそれは「限定的侵攻」とするのか。戦闘機能の自己完結をもって「本格的侵攻と判断する基準」とするなら「機甲戦力や砲兵戦力を有しない状態の軽歩兵10コ師団」はどちらになるのか。そもそも、国によって編制が違う以上、どこの国の編制をスタンダードとして判断するのか。
話を戻して、最終的な目的を基準として判断する場合、どのレベルからが本格的侵攻なのか。日本国の一部であっても恒久的占領を企図するならば「本格的侵攻」か。そうだとするならばいかに大戦力で広範囲にわたる地域を占領しようとも、それが一時的な効果を期待した支作戦であり、事態の収束と同時に撤退するなら「限定的侵攻」なのか。例えば、ケース3と8の混合のような場合「半島有事に際して、後方連絡線の分断を目的として九州北部一帯の一時的占領を企図した2コ軍団基幹の統合軍が侵攻を開始」のような場合はどうか。
さて、長々と書いてあるので混乱してしまった人もいるだろう。そろそろまとめにはいる。ここまで見てきたとおり、目的と目標、あるいはそれらと投入戦力とは定型化された固定的な関係ではなく、それぞれの状況や全般の作戦、あるいは国家体制やその国の軍事ドクトリンによっていかようにも変わってしまうと言うことだ。
その前提条件を頭に入れた上で、どのような基準で「本格的侵攻」「限定的侵攻」と定義づけるのか。目的を基準とした場合、それは概ね仮想敵国となりうる国の国家意志・国家戦略の問題となる。となると、十分な侵攻能力を有してはいるが国家意志の観点から「本格的侵攻はしてこない」と判断された国家が、政治的な問題から急速に拡張主義に走り出した場合はどうするのか。それに対応しうるのか。能力を基準にする場合は、より現実的かつ軍事的思考に基づいているといえる。が、その能力の見積が本当に妥当なのか、あるいは本当に見積もった上で結論を出しているのか。そこが非常に疑問である。「能力的に不可能」という印象を与えながら、その判断の内実は「政治的・国際情勢的にあり得ない」という先入観を能力と混同して語っているのではないか。結局、「本格的侵攻」という言葉の定義を曖昧にしたままでなし崩し的に現状追認、更には非常識なまでの自衛隊削減に走っているのではないか。私が本論で一番訴えたいのは、ここまで見てきてわかったように「本格的侵攻」という定義が曖昧なままの言葉を根拠に国防方針が決定されているのではないかという危惧、そしてそれにより日本の安全そのものへの危険が存在していていながら、なにも問題がないかのように国民を欺いているのではないかという不信感だ。
そういう意味から言えば、各種の政治的制約や各所からの圧力があるであろうという点を勘案しても、この言葉を明確に定義しないまま「本格的侵攻の蓋然性は低い」と公式見解を出して、国防力を破壊せんとする勢力(あえてこのように決めつけさせてもらう)に削減の根拠(曰く「プロでさえ本格的侵攻の可能性が低いと言っている」)を与えてしまった防衛庁、なかんずく制服組である自衛隊は国民に対して不誠実な態度をとっていると言うべきではないだろうか。
三矢研究、栗栖発言、あるいは創隊以来の対応により、制服組内部に「政治家や背広組、あるいはマスコミや一般民衆に軍事的根拠に基づく正論は通用しない」という不信感があるであろう事は容易に想像できる。しかしながら、一般民衆は案外軍事問題に関しては成熟した対応をとれるようになってきているのだ。制服組には勇気を振り絞って「軍事的知識に基づく正論、軍事的整合性から見た国防方針への提言」を希望する。身勝手な民衆の願いだとは百も承知の上で、是非ともやっていただきたいと思う。自衛官としての栄達の道は閉ざされるだろうが、国民は真の自衛官として受け入れるだろう。
話が逸れてしまった。最後に、「本格的侵攻」の定義について次の意見を提唱したいと思う。
「本格的侵攻」を「国家体制そのものの破壊・変革・転覆・属国化を究極の目的とした、正規あるいは不正規手段による軍事的侵攻」と規定して、それ以外の目的を有する場合は、規模の大小、時期の長短、投入戦力の多寡あるいは戦闘手段・様相を問わずに「限定的侵攻」と規定してしまうと言うのはどうだろうか。その上で、整備すべき自衛力の規模を「本格的侵攻は有りやいなや」という神学論争ではなく「我が国に投射しうる戦力の中長期的見積」に基づき決定する。そのようにすれば、念仏的平和主義や神学論争、あるいはむやみやたらの強硬論から切り離された、健全な国防議論が行われるのではないだろうか。
# 余談として更に付記するならば、上記のような定義を行った場合は「本格的侵攻対処=原則的にはいかなる困難な状況に陥ろうとも最後の一人まで抵抗すべき戦争」「限定的侵攻対処=完全撃退を基調とするも、状況に応じて妥協すべき戦争」と規定することが出来、国を守ると言うことの意義と現実的判断との折り合いについても基準を与えることが出来るのではないだろうか。
しかし、この論調の肝である「本格的侵攻」の定義について真剣に討論されたことが果たしてあるのだろうか。ただなんとなくイメージで語ってはいないか。だとすると、日本は国防の舵取りを大きく誤っている可能性がある。
さて、本論を読んでいる諸氏はある程度の軍事的素養はあるかと思う。それを前提条件として、下記に示すいくつかの侵攻様態を「本格的侵攻」「限定的侵攻」と明確に区分できるかどうか、そもそもそれらの定義が明確になされているのか考えてみてもらいたい。この際、論点がずれてしまうので「可能性の検討」は無しにして、実際に行われた場合(そして侵攻開始までは成功した場合)にどちらに分類されるかを考察の範囲としてもらいたい。
ケース1「日本の国家体制そのものの転覆・属国化を最終的な目的として、4コ軍団基幹の統合軍が新潟一帯に着上陸作戦を開始」
ケース2「台湾有事に際して、日台の連絡線分断を目的として、沖縄諸島の一時的占領を企図した2コ師団基幹の統合軍が侵攻を開始」
ケース3「対馬海峡の恒久的支配を目的として、九州北部一帯の占領を企図した2コ軍団基幹の統合軍が侵攻を開始」
ケース4「半島有事に際して、日本国内の擾乱を目的とした1コ旅団の軽歩兵が、中隊単位で全国各地に潜伏、行動を開始」
ケース5「日本の国家体制そのものの転覆・属国化を目的として、軽歩兵10コ旅団が関東地域の複数の港湾に分散して奇襲上陸、じ後正規戦による東京侵攻を開始」
ケース6「沖縄諸島の恒久的占領を目的として、軽歩兵5コ旅団基幹の敵が沖縄の主要な島嶼に奇襲上陸、じ後正規戦による侵攻を開始」
ケース7「尖閣諸島の帰属問題を巡り、大規模な海空戦力による封鎖作戦を実施」
ケース8「半島有事に際して、後方連絡線の擾乱を目的として福岡~長崎一帯において2~3コ小隊程度の軽歩兵が行動中」
ケース9「対馬を不法占拠する悪逆なチョパーリどもを膺懲するためにウリナラ陸軍を送り込む!!!!チョパーリごときウリ達1コ中隊で十分ニダ!当然その後はウリ達の固有領土として未来永劫占領しるかんしゃくおきますかホルホルホル・・・」
ある人は確信をもって、ある人は迷いながら分類したことだろう。ある人は明確な基準に基づき、またある人はフィーリングで分類したかもしれない。
ここで何が言いたいか。「本格的侵攻」「限定的侵攻」を定義づけるファクターはどこにあるのかと言うことだ。最終的な目的なのか、目的達成のために選定した軍事的な目標なのか、あるいはそれに投入するための兵力・編成装備なのか、はたまた、それに対処するために自衛隊側がどれほどの戦力投入が必要かで決定するのか。あるいはそれらを総合的に判断した上でのものなのか。上記の例で言えば、文句なしに「本格的侵攻」とだれもが定義するであろうケースは1番であろう。その対極はケース8で、これを「本格的侵攻」という者はまずいまい。では、ケース5はどうか。目的を基準とするならば文句なしに「本格的侵攻」である。では兵力・編成装備が基準の場合はどうか。国によって編制上の差異はあるが、概ね1コ旅団1万人とすると5万人程度である。「兵力」としては大きいかもしれないが、装備の観点からすると「戦力」としては小さいだろう。もし仮に火砲は軽迫撃砲程度、150mm級の火砲も装甲戦力もない状態なら、正規戦で攻めてくれば首都近郊の部隊だけで十分撃破は可能だ。そもそも、敵が投入する兵力・編成装備を基準とするなら、どのレベルからが「本格的侵攻」となるのか。兵力数基準か、重装備の装備密度はどうか、例えば「1コ師団以上をもって侵攻してきたら『本格的侵攻』」と定義した場合に「軽歩兵師団よりも戦力的には上の戦車連隊戦闘団」が侵攻してきてもそれは「限定的侵攻」とするのか。戦闘機能の自己完結をもって「本格的侵攻と判断する基準」とするなら「機甲戦力や砲兵戦力を有しない状態の軽歩兵10コ師団」はどちらになるのか。そもそも、国によって編制が違う以上、どこの国の編制をスタンダードとして判断するのか。
話を戻して、最終的な目的を基準として判断する場合、どのレベルからが本格的侵攻なのか。日本国の一部であっても恒久的占領を企図するならば「本格的侵攻」か。そうだとするならばいかに大戦力で広範囲にわたる地域を占領しようとも、それが一時的な効果を期待した支作戦であり、事態の収束と同時に撤退するなら「限定的侵攻」なのか。例えば、ケース3と8の混合のような場合「半島有事に際して、後方連絡線の分断を目的として九州北部一帯の一時的占領を企図した2コ軍団基幹の統合軍が侵攻を開始」のような場合はどうか。
さて、長々と書いてあるので混乱してしまった人もいるだろう。そろそろまとめにはいる。ここまで見てきたとおり、目的と目標、あるいはそれらと投入戦力とは定型化された固定的な関係ではなく、それぞれの状況や全般の作戦、あるいは国家体制やその国の軍事ドクトリンによっていかようにも変わってしまうと言うことだ。
その前提条件を頭に入れた上で、どのような基準で「本格的侵攻」「限定的侵攻」と定義づけるのか。目的を基準とした場合、それは概ね仮想敵国となりうる国の国家意志・国家戦略の問題となる。となると、十分な侵攻能力を有してはいるが国家意志の観点から「本格的侵攻はしてこない」と判断された国家が、政治的な問題から急速に拡張主義に走り出した場合はどうするのか。それに対応しうるのか。能力を基準にする場合は、より現実的かつ軍事的思考に基づいているといえる。が、その能力の見積が本当に妥当なのか、あるいは本当に見積もった上で結論を出しているのか。そこが非常に疑問である。「能力的に不可能」という印象を与えながら、その判断の内実は「政治的・国際情勢的にあり得ない」という先入観を能力と混同して語っているのではないか。結局、「本格的侵攻」という言葉の定義を曖昧にしたままでなし崩し的に現状追認、更には非常識なまでの自衛隊削減に走っているのではないか。私が本論で一番訴えたいのは、ここまで見てきてわかったように「本格的侵攻」という定義が曖昧なままの言葉を根拠に国防方針が決定されているのではないかという危惧、そしてそれにより日本の安全そのものへの危険が存在していていながら、なにも問題がないかのように国民を欺いているのではないかという不信感だ。
そういう意味から言えば、各種の政治的制約や各所からの圧力があるであろうという点を勘案しても、この言葉を明確に定義しないまま「本格的侵攻の蓋然性は低い」と公式見解を出して、国防力を破壊せんとする勢力(あえてこのように決めつけさせてもらう)に削減の根拠(曰く「プロでさえ本格的侵攻の可能性が低いと言っている」)を与えてしまった防衛庁、なかんずく制服組である自衛隊は国民に対して不誠実な態度をとっていると言うべきではないだろうか。
三矢研究、栗栖発言、あるいは創隊以来の対応により、制服組内部に「政治家や背広組、あるいはマスコミや一般民衆に軍事的根拠に基づく正論は通用しない」という不信感があるであろう事は容易に想像できる。しかしながら、一般民衆は案外軍事問題に関しては成熟した対応をとれるようになってきているのだ。制服組には勇気を振り絞って「軍事的知識に基づく正論、軍事的整合性から見た国防方針への提言」を希望する。身勝手な民衆の願いだとは百も承知の上で、是非ともやっていただきたいと思う。自衛官としての栄達の道は閉ざされるだろうが、国民は真の自衛官として受け入れるだろう。
話が逸れてしまった。最後に、「本格的侵攻」の定義について次の意見を提唱したいと思う。
「本格的侵攻」を「国家体制そのものの破壊・変革・転覆・属国化を究極の目的とした、正規あるいは不正規手段による軍事的侵攻」と規定して、それ以外の目的を有する場合は、規模の大小、時期の長短、投入戦力の多寡あるいは戦闘手段・様相を問わずに「限定的侵攻」と規定してしまうと言うのはどうだろうか。その上で、整備すべき自衛力の規模を「本格的侵攻は有りやいなや」という神学論争ではなく「我が国に投射しうる戦力の中長期的見積」に基づき決定する。そのようにすれば、念仏的平和主義や神学論争、あるいはむやみやたらの強硬論から切り離された、健全な国防議論が行われるのではないだろうか。
# 余談として更に付記するならば、上記のような定義を行った場合は「本格的侵攻対処=原則的にはいかなる困難な状況に陥ろうとも最後の一人まで抵抗すべき戦争」「限定的侵攻対処=完全撃退を基調とするも、状況に応じて妥協すべき戦争」と規定することが出来、国を守ると言うことの意義と現実的判断との折り合いについても基準を与えることが出来るのではないだろうか。
定義を曖昧にしておくことこそが大事な人達が
世の中を支配している希ガス
つーか上から下までそんなんばっかか…
まー、曖昧な定義とそれっぽいニュアンスで会話を進めるだけで
納得してしまう人が世の中多すぎってのは常々感じてはいます・・・
昔と違って、今は色々な手段で知識を得ることができるご時勢なのだから
オフィシャルな立場の方々がそういう専門家としての観点からしっかりと
した定義づけというか、考え方を出して欲しいとは思いますね。
(質の悪い知識というか妄言を撒き散らす輩が多すぎですし)
本格的侵攻とか限定侵攻などの定義は、そもそも境界が曖昧であり難しいなり
2.国土に対する攻撃があった時点で本格的侵攻と見做す
この位しか思い浮かばないっす。
だが、中国軍実質軍事予算は2004年ロシアを
抜き、米ソ対立時代から米中対立時代に
むかう、端境期にあるにすぎない。
近代化がまだ途上であるにせよ、
中国軍180万 北朝鮮軍90万に対し、
韓国は約50万の地上軍で守備しているのに
陸自は海に守られているとはいえ、
たった14.5万である。
現在の財政状況を考えれば、増額は無理だが
しかし予算を減らす話でもあるまい。
本格侵攻の蓋然性は現在は低い。しかし
大地震の蓋然性が低くても対応策の準備が
ないでは済まされないように、本格侵攻
への備えは低予算の中でも手を尽くして
進めねばならないものであるし、
将来の脅威増大の蓋然性が高いなら、基盤と
なる部分を破壊して良いものではない・・
と思う。
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ところで余計な一言だが、
1)上陸作戦の前に水中障害物を除去する
のは常識である。又地雷についても
機動的に敷設できるものでなければ
効率が悪すぎる。水際地雷や、地雷の
砲散布への陸自の対応は如何?
2)サイパンが奪われた時、東京・名古屋
大阪の運命が決まったが、沖縄は中国
にとってのサイパンであり、我が国の
領土にも拘らず、中国中央軍事委の
構想する対米絶対国防ライン”第一
島嶼線”に組み込まれてしまっている
危険地帯。かつ、30隻にも及ぶ揚陸艦
の大量建造によって中国軍の揚陸能力
は旧ソ連の数倍にも膨張中・・・
なのにも拘らず、沖縄は以前台湾併合の
助攻程度しか想定されておらず、
SSMも戦車もATACMSもなく、物資備蓄
もなく”一体コレで旧ソ連の数倍の
揚陸能力の軍隊をどうやって迎撃する
のか?”という状態なのを憂慮する。
南西シフトや石垣に小隊規模の駐屯が
決まったのは、関係者の努力の賜物と
思うけど、より一層の兵力シフトが
臨まれる。船のないロシア軍の正面から
船の有る中国軍正面にシフトするのは
急ぐべきかと・・
F104相当の旧式防空専用機ばかりの頃は
3000機あっても、日本上空は空自の航空支配が成立したけれど、2015年には500-700機の
Su27/30と650機のF4相当の戦闘攻撃機・・
戦闘行動半径1300km-1500kmとか言う話に
なると、日本上空でも敵機が跋扈する状況
になる可能性も否定できないので国家中枢
や空自基地や補給処の拠点防空にリソース
を裂かざるを得ないし、着上陸への
初動対応単位である連/大隊に敵の艦載武装
ヘリへの対応能力を付与する事への試行が
必要と考えます。ロシアの連隊防空大隊
対空砲中隊にはヘルファイアをアトレンジ
できるツングースカが配備されているが
制空権の怪しい陸軍は連隊単位で、
対ヘリ自走砲をもつのは理想かつ必要かと・・・