さて、歩兵の輸送手段として「装甲化」されたものは、表題に揚げた3種類に大別される。陸上自衛隊は73式APC以降は装軌式APCはなし、じ後は96式装輪APCと軽装甲機動車の2本柱となっている。
・・・89式FVは・・・。・゜・(ノД`)・゜・。
この装輪式APC、特に96式は兎角叩かれることが多いので、なんとか名誉回復の機会を与えてやりたいと思う。
さて、機動には大きく分けて「戦略機動」と「戦術機動」があるということは、軍ヲタなら大概の者は知っている。しかし、「戦術機動」は更に細分化すると「戦場機動」と「戦闘機動」に分かれると言うことはあまり知られていないようだ。
実際の地形に合わせてみよう。例として、福岡一帯を戦場とした場合。福岡市一帯で第4師団が敵と交戦中で、そこに第8師団が増援に行くようなとき、出発点を仮に熊本として、そこから戦場付近まで行くのが「戦略機動」である。到着地点となる場所は、太宰府一帯か、あるいは鳥栖(東西南北の自動車道が交差してジャンクションが所在する、交通の要衝である。)となろうか。そこから先が戦術機動である。
この集結地(ここでは鳥栖としよう)から、攻撃目標(仮に福岡市南区の大池~寺塚周辺とする。画像参照。なお、地形の起伏は分かりやすいように約2倍にデフォルメしてある。)この付近まで前進するのが「戦場機動」、直接敵と相まみえながら最終的に大池~寺塚を奪取までに至るのが「戦闘機動」である。「戦場機動」と「戦闘機動」の分かれ目は明確にしがたいが、敢えて言えば敵の直射火器の有効射程内、概ね1km前後とみていいだろう。
さて、ここからが本論である。この3種の機動において、それぞれの「歩兵の足」がどのような特質があるのかを考察してみる。まず「戦略機動」、これは言うまでもなく装輪APCの独壇場である。装軌式も最近はかなり足回り等改善されたとはいえ、乗員の疲労や燃費、速度の点から考えれば、圧倒的に装輪が有利である。「戦場機動」はどうか。この時点では、敵の砲火に晒され、路外機動も余儀なくされることがあるだろうから、装軌式の方が有利なのは明らかである。が、装輪にしても「使えない」というレベルではない。何とか使えるレベルだ。「戦闘機動」はどうか。これはもう、装輪式APCにはお手上げであろう。装軌式APCかFVと言うことになる。では、更に装軌式APCとFVでは、どちらの方が有利か。「戦場機動」の段階では敵も切迫し、火力発揮の機会が増大する。装軌式APCも車載火器が無い訳ではないが、FVと比べると圧倒的に弱体であり、FVに軍配が上がる。APCでは「軽易な敵の抵抗を車載火器で制圧しつつ、迅速に敵主陣地に緊迫する」という戦闘要領がとりがたいのだ。
ここで一旦まとめよう。
種類 戦略 戦場 戦闘
装輪 ○ △ ×
装軌 × ◎ ○
F V × ◎ ◎
と言ったところだろうか。やはりFVは高いなりに優れた装備なのだ。さて、ここで、それぞれの装備の優劣を語る上で、重要なファクターは何か。「歩兵の足」という特性上、当然ながら「より敵の火力が濃密な場面まで緊迫しうる」ことが最重要であることは疑いようがないだろう。最善の状況は、敵陣内まで突入して、陣内戦闘の段階で下車というパターンである。これならば、ギリギリまで我の砲迫による支援射撃を被せていても大丈夫であり、かつ敵が砲迫射撃のショックから立ち直る前に近接戦闘を強要しうる。この際にも当然「車載火器による制圧能力」が高いことに越したことはない。こうなると、一層装輪式APCの不利は明白である。
が、しかし。昨今流行の対ゲリコマ戦闘となるとどうだろうか。これらの特徴として最も大きいと言えるのが「最終的に、歩兵が一歩一歩確かめて地域をクリアしなければならない」と言うことである。しかも、このクリアにすべき地域は、正規戦と違って明確にはしがたいという特徴がある。かなり広範囲な地域を下車歩兵で制圧していくことが前提の戦闘なのだ。そうなると、FVや装軌式APCのアドバンテージは少なからず減ぜられることになる。他の要素はないか。「戦場を特定しがたい」という面も挙げられる。正規戦となると、基本単位である師団ともなれば、火砲、戦車、その他車両と、その存在自体を隠すのは容易ではなく、また一度戦闘となれば、戦況の推移がない限りは「戦略機動の目的地」は容易に判明する。一方ゲリコマは、どこが戦場となるのかがはっきりしない上、散発的に複数箇所で行われると「戦略機動の頻発」という事態になる。いや、もっと言ってしまうと、どこが戦場になるか分からない以上、戦略機動~戦闘機動の区別が酷く曖昧なのだ。ここにこそ、対ゲリコマ作戦における装輪式APCの真価が発揮される。「路外起動しなければいけないような場面は、そもそも下車歩兵による掃討が必要」「防護された状態での戦略機動が容易」こういった観点から、ことゲリコマに限って言えば装輪式APCにかなりのアドバンテージが認められるのである。
米軍みたいに「戦略機動も装軌式でやっちゃえ」てな贅沢が許されるなら別だけど。それやるには、燃料とか「多少速度が遅くても全域カバー出来るだけの部隊規模」とかが必要だしね。
どっちも自衛隊には('A`)ノ
・・・89式FVは・・・。・゜・(ノД`)・゜・。
この装輪式APC、特に96式は兎角叩かれることが多いので、なんとか名誉回復の機会を与えてやりたいと思う。
さて、機動には大きく分けて「戦略機動」と「戦術機動」があるということは、軍ヲタなら大概の者は知っている。しかし、「戦術機動」は更に細分化すると「戦場機動」と「戦闘機動」に分かれると言うことはあまり知られていないようだ。
実際の地形に合わせてみよう。例として、福岡一帯を戦場とした場合。福岡市一帯で第4師団が敵と交戦中で、そこに第8師団が増援に行くようなとき、出発点を仮に熊本として、そこから戦場付近まで行くのが「戦略機動」である。到着地点となる場所は、太宰府一帯か、あるいは鳥栖(東西南北の自動車道が交差してジャンクションが所在する、交通の要衝である。)となろうか。そこから先が戦術機動である。
この集結地(ここでは鳥栖としよう)から、攻撃目標(仮に福岡市南区の大池~寺塚周辺とする。画像参照。なお、地形の起伏は分かりやすいように約2倍にデフォルメしてある。)この付近まで前進するのが「戦場機動」、直接敵と相まみえながら最終的に大池~寺塚を奪取までに至るのが「戦闘機動」である。「戦場機動」と「戦闘機動」の分かれ目は明確にしがたいが、敢えて言えば敵の直射火器の有効射程内、概ね1km前後とみていいだろう。
さて、ここからが本論である。この3種の機動において、それぞれの「歩兵の足」がどのような特質があるのかを考察してみる。まず「戦略機動」、これは言うまでもなく装輪APCの独壇場である。装軌式も最近はかなり足回り等改善されたとはいえ、乗員の疲労や燃費、速度の点から考えれば、圧倒的に装輪が有利である。「戦場機動」はどうか。この時点では、敵の砲火に晒され、路外機動も余儀なくされることがあるだろうから、装軌式の方が有利なのは明らかである。が、装輪にしても「使えない」というレベルではない。何とか使えるレベルだ。「戦闘機動」はどうか。これはもう、装輪式APCにはお手上げであろう。装軌式APCかFVと言うことになる。では、更に装軌式APCとFVでは、どちらの方が有利か。「戦場機動」の段階では敵も切迫し、火力発揮の機会が増大する。装軌式APCも車載火器が無い訳ではないが、FVと比べると圧倒的に弱体であり、FVに軍配が上がる。APCでは「軽易な敵の抵抗を車載火器で制圧しつつ、迅速に敵主陣地に緊迫する」という戦闘要領がとりがたいのだ。
ここで一旦まとめよう。
種類 戦略 戦場 戦闘
装輪 ○ △ ×
装軌 × ◎ ○
F V × ◎ ◎
と言ったところだろうか。やはりFVは高いなりに優れた装備なのだ。さて、ここで、それぞれの装備の優劣を語る上で、重要なファクターは何か。「歩兵の足」という特性上、当然ながら「より敵の火力が濃密な場面まで緊迫しうる」ことが最重要であることは疑いようがないだろう。最善の状況は、敵陣内まで突入して、陣内戦闘の段階で下車というパターンである。これならば、ギリギリまで我の砲迫による支援射撃を被せていても大丈夫であり、かつ敵が砲迫射撃のショックから立ち直る前に近接戦闘を強要しうる。この際にも当然「車載火器による制圧能力」が高いことに越したことはない。こうなると、一層装輪式APCの不利は明白である。
が、しかし。昨今流行の対ゲリコマ戦闘となるとどうだろうか。これらの特徴として最も大きいと言えるのが「最終的に、歩兵が一歩一歩確かめて地域をクリアしなければならない」と言うことである。しかも、このクリアにすべき地域は、正規戦と違って明確にはしがたいという特徴がある。かなり広範囲な地域を下車歩兵で制圧していくことが前提の戦闘なのだ。そうなると、FVや装軌式APCのアドバンテージは少なからず減ぜられることになる。他の要素はないか。「戦場を特定しがたい」という面も挙げられる。正規戦となると、基本単位である師団ともなれば、火砲、戦車、その他車両と、その存在自体を隠すのは容易ではなく、また一度戦闘となれば、戦況の推移がない限りは「戦略機動の目的地」は容易に判明する。一方ゲリコマは、どこが戦場となるのかがはっきりしない上、散発的に複数箇所で行われると「戦略機動の頻発」という事態になる。いや、もっと言ってしまうと、どこが戦場になるか分からない以上、戦略機動~戦闘機動の区別が酷く曖昧なのだ。ここにこそ、対ゲリコマ作戦における装輪式APCの真価が発揮される。「路外起動しなければいけないような場面は、そもそも下車歩兵による掃討が必要」「防護された状態での戦略機動が容易」こういった観点から、ことゲリコマに限って言えば装輪式APCにかなりのアドバンテージが認められるのである。
米軍みたいに「戦略機動も装軌式でやっちゃえ」てな贅沢が許されるなら別だけど。それやるには、燃料とか「多少速度が遅くても全域カバー出来るだけの部隊規模」とかが必要だしね。
どっちも自衛隊には('A`)ノ
寺塚大池には穴観音という淫靡な響きの観音様があるらしいですよ。
これって、どういうこと・・・?