’14年10月に観た映画

2014年11月04日 | 映画

ここのところ映画を無理くりでも観るようにしてます。
良くないんだけどね、寝不足&夜型になっちゃうので。

でも、ね。

せっかくなので先月の記録を残します。
えらそうな物言い、許してちょ。

10/5(日)

「遠い雲」(65・松竹) 木下恵介 レンタルDVDにて

結末のケリのつけ方がユニーク。ザ・にっぽん!ハリウッドだと絶対汽車に乗るよね高峰秀子は。
しかしここでのデコちゃん、罪な女。屈託なく描かれる佐田啓二に影が出来ちゃったものねぇ。
田村高廣の母の息子をかばう台詞が好きだった。「私が可愛いのは世間様じゃないよ」


10/7(火)

「妖僧」(63・大映) 衣笠貞之介 日本映画専門チャンネルにて

アラー、道鏡の話やったか!似てるとは思ったけど途中まで気づかなかった!この時代の時代劇、好きだなぁ。まだ途中まで。観なきゃ。


10/8(水)

「カーズ」(06・米)ジョン・ラセター/ジョー・ラフト レンタルDVDにて

子供の為に借りたけど自分の方がズッパマリ。ピクサー好きだったけど見てなかったのよねぇ今まで。ホントこれはいい。初期のピクサーの良さが濃くある。ピクサーのドン、ジョン・ラセターの思い入れたっぷりで。
でもヤバイ。トミカのカーズが我が家に続々増えて行くことと思われる…(後日、早速トイザらスでフローとラモーンを購入…)。
シェリル・クロウで始まり、肝の場面で流れるJTには参りやした。


10/10(金)

「浮雲」(55・東宝) 成瀬巳喜男 日本映画専門チャンネルにて

暗めの撮影と森雅之が素晴らしかった!


きゃあ。

ダメな色男とダメな色女の哀れで儚い話。浮気の上乗せはなかなか出来るこっちゃない。
話がなんともな話なのだが、何度も何度も観たくなる。確かまだ2回目だけどこれからも観るだろう。映画は筋の好き嫌いではない。傑作だす。

小津安二郎曰く:俺に出来ないシャシンは溝口の「祇園の姉妹」と成瀬の「浮雲」だけだ。


「乱れ雲」(67・東宝) 成瀬巳喜男 日本映画専門チャンネルにて

成瀬の映画は女が日本列島を軽々縦断する。人生に翻弄され、移動する様。成瀬のカラー映画。非常に端正な画作り。小津みたい。小津没後4年目の作品で成瀬の遺作。

加山雄三は演技はいつもちょっとあれだと言われるけど成瀬にいつも上手に使われている。演技力など屁でもない、活かし甲斐のある人間味を持っているということか。さすが若大将。

姉役の草笛光子の描き方秀逸なり。取るものは取る、しっかり者のやらしさ。だけど一緒には住んでやらない。義姉役の森光子は一緒に住んでやるし、サバサバしてるけど不倫中でありなかなかドロドロした所を見せる。辛い司葉子。

しかしこの「乱れ雲」も「浮雲」もこの前観た木下の「遠い雲」もジトッとした"雲"三作だなぁ。今の時代に映画館にかかるのが想像出来ない。今の日本映画は子供向けの娯楽作ばかりだもの。今は人間も子供っぽいものね、自分含め。


10/11(土)

「ワールド・トレード・センター」(06・米) オリバー・ストーン

リアルだった…。最後の最後に"家族への愛"が生きる力になるのであれば…。がんばんなきゃねー。
ニコラス・ケイジの奥さん役のマリア・ベロ、よろし。「50歳の恋愛白書」でのイカレた母親役も良かったよなー。親近感あるけど何出てた?と調べたら「ER」のシーズン4のアンナ・デル・アミコ役とな。これだな。


10/12(日)

「キューポラのある街」(62・日活) 浦山桐男 日本映画専門チャンネルにて

キューポラ:鋳物工場の煙突のこと。埼玉県川口市の中小工場地帯の話。

あまり期待しないで観たのだけど良かった。朝鮮の友達が吉永小百合に自転車をあげるところで涙腺崩壊。
吉永が一瞬グレかけるけど、また立ち直る、そのどこまでも前向きなのがいい。この映画の生命線。元気出ます。
弟のヤンチャ三人組の川下りのシーンもいい。


10/13(月)

「祇園囃子」(53・大映) 溝口健二 日本映画専門チャンネルにて

木暮実千代が得な役。あんな人がいるのかな。
しかし昔の日本映画は女の貞節とその喪失が描かれる事が多いなぁ。最近観たヤツはそればっか。戦後すぐ~しばらくの間はそういう時代だったのかな。
溝口は殆ど観たことないけれど、これはちょっと溝口作品としては小品かしら?十分見応えありましたが。


10/14(火)

「小早川家の秋」(61・東宝) 小津安二郎 日本映画専門チャンネルにて

中村鴈治郎の持つ幼児性。この映画の鴈治郎を観ると、いつもうちのじーちゃんを思い出す。よく似てる。言う事やちょっとした仕草。じーちゃんも口が悪かったなぁ。「あほんだら!何言うてけつかんねん!」とか。けつかんねんて…(笑)好きやけど。
これは何度も観ている。明るいのか暗いのかわからん不気味な映画。途中まで観る。




10/17(金)

「有がたうさん」(36・松竹キネマ) 清水宏 YouTubeにて

バスの中、皆揺れてる。いいな。
場面展開なく、ずっとバスの中の道程の話かと思ったら少しゾッとしたのだけどだんだんよくなった。
トーキー初期作品の為、全編アフレコっぽい。セリフの異常なまでのゆっくり加減。
筋とは関係なしに、無賃乗車している(後ろにぶら下がってる)学校帰りの男の子達の描写がいい。
トンネルの手前で休憩中に皆で石を投げるとこもいい。
バスの運転手の制服姿の若かりし上原謙もいい。
その服装にて、お通夜と祝言(結婚)の混同が既に描かれていた!早い!松竹の伝統かしら?

この映画で清水宏と出逢う。
YouTubeで映画を観るのもこれが初めて。


「按摩と女」(38・松竹) 清水宏 YouTubeにて

わおー!傑作だーっ!!
「有がたうさん」と続けて観たので、「有がたうさん」のラストとこの映画の冒頭、山道の移動ショットが繋がってんのでビックリする。この奥行のある道のど真ん中で後ずさりする移動ショット、清水宏の得意技なのね。ずっと観ていたい。

余韻がたまらない。この映画でホントの意味で清水宏に出逢った。
清水宏を観てしまうと、ほぼ無視されてる清水に比べ、もてはやされてる小津がちょっと憎らしくなっちゃうね。
でも2人は親友同士。小津も清水を認めていたらしい。

徳大寺伸、高峰美枝子の演技も素晴らしい。

清水宏はロケ得意なんだな。山道や宿場町や川の美しいこと美しいこと。
美しいと言っても堅苦しくなくユーモアや人情味に溢れててカラッと明るい。明るいと言っても薄っぺらくなく、子供っぽくもなく、とにかく映画の詩情しかそこにはなくて。
極上です。すっかりトリコになっちゃった。


10/19(日)

「娘と私」(62・東宝) 堀川弘通 日本映画専門チャンネルにて

これはなんとも理解し難い。いやー参った。悪い意味で。これではテレビドラマです。と思ったら、NHK朝の連続テレビ小説ドラマの記念すべき第一回の作品の映画化とのこと。なるほど、なんであれが、幼少期~戦争~戦後という話の流れやナレーションをよく用いるかとか、この作品を踏襲していることを知る。
原の節っちゃんがもったいないなぁ。ちょっと良かったけど。
一つだけすごく良かった台詞あり。父親からお嫁に行く娘に。曰く「人は結婚したから夫婦になるのではない。5年かかる人もいりゃあ10年かかる人もいる。パパとママを見てごらん。14年かかったよ。コツコツと積み上げることさ」14年て!細かい!と笑ったけど。でもここはグッときました。


10/21(火)

「風の中の子供」(37・松竹) 清水宏 YouTubeにて

清水は真正面の移動ショットの他に横移動もあるのだな。いいね。
昔はこんなにも長男と次男で差別したの?割とドイヒーよね、この母親。しかしこんな素朴な時代でもこういう母親の思惑や近所の子のイジメ的なものはあるわけで。変わらないんだなぁ。
それゆえにラストの三平の、いじわるしていた金太郎に対する所業が清々しく胸を打つ。なんとも心地良い余韻。
20人前後の子供の連なって走る姿。時には裸。これがいい。昔は子供がホントにいっぱいいたんだな。群れる人数が今とは全然違う。
葉山正雄演じる長男のかくれんぼシーンに涙腺崩壊。


10/22(水)

「ヒッチ・ハイカー」(53・米) アイダ・ルピノ YouTubeにて

女優のアイダ・ルピノが監督したフィルム・ノワール。観たかったんだこれずっと。YouTubeで映画観れることを知って(超遅)探したらあった!字幕ないので半分わからんちんだけど。
でも面白かった。女優が初めて撮りたかった映画がB級フィルム・ノワールで、しかも内容がヒゲむさいオヤジ達の逃避行(誘拐)だというユニークさ。いいね。


10/23(木)

「市民ケーン」(41・米) オーソン・ウェルズ 手持ちDVDにて

シーンの画、音、台詞、全てのリズムが映画の呼吸。
何度も観てるけどやっぱ素晴らしい!と思って観てたのだけど、米版ブルーレイのリストアされた映像が凄すぎる旨の文章をネットでいくつも見て、観る気を途中でなくしてしまう…。廉価版DVDはヒドイもんなので。
欲しいな。これの日本版ブルーレイが出てないのは犯罪的。


10/24(金)

「ハイ・シェラ」(41・米)ラオール・ウォルシュ 手持ちDVDにて

映画づいてきたのですんごい久々に映画のDVDを買う。中古で。
昔BSで観て以来二度目。観る前は「死の谷」(好き!)と少しごっちゃになってたけどオリジナルはこっち。こっちは犬であっちは西部劇(&ジョエル・マクリー主演)。どちらも監督はウォルシュ。
ボガートはやっぱりいい。彼の実質的な初主演映画なり。クレジットはアイダ・ルピノの方がスターだったので先にくるのです。
第三幕の山でのロケが効いている。
こういったテーマのものを英語で"ONE LAST HEIST(強盗、盗む)もの、と言うらしい。







『ロスト・イン・トランスレーション』

2006年02月08日 | 映画

原題:Lost In Translation (2003・米/日本)ソフィア・コッポラ
出演:スカーレット・ヨハンセン、ビル・マーレイ


今さら、な感じの映画が続きます。
今、すんごい勢いで映画を観まくっているのですが、その訳は・・・
レンタル・ビデオの「ゲオ」が80円セールやってたから、すんごい勢いで映画を借りまくったからでーす。わーい。もう1日の鑑賞ノルマたるや、ハンパないですっ(バカ)
音楽ファンのモスコ・ファンのみなさんは、もう少し待っててね♪
・・・なんて w



そしてこの映画。ソフィア・コッポラの監督第2作目。

すごく好きになっちゃった。自分の気持ちにピッタリきちゃった。

ビル・マーレイが着る裏返しの迷彩Tーシャツの、若ぶっちゃってスベッちゃった、何とも言えないカッコワルさ、その機転をきかした、カジュアルな発想のカッコヨサ。
そしてその夜の楽しさ、美しさ、刹那さ/切なさ。
彼がこの迷彩T-シャツを裏返しに着た瞬間から、映画が俄然求心力を持って進んで行き、私も入り込んで行く。

主人公2人以外はみんなこれでもかってくらい紋切り型に描かれているけど、彼らだけ複雑。2人の性格は一言では言い表せない。「こうこうこういう人」、だなんて仮にも表せない。
だから2人はそれぞれお互いを見つけた。
その人間のさまを、細かなアクション/リアクションで、きめ細やかに紡いで積み重ねていく。その繊細なタッチがこの映画の息づかいとなって、心地よいリズムを醸し出す。

現代ニッポンはカリカチュアされ過ぎ、と思ったけど、実際こんなもんか。これ以上でもないし、これ以下でもない、か。
何にせよ、マシューの登場が嬉しかったよ。


彼女のファッションやヘッドフォンも、とってもイイんだよ


後半になるにつれ、「えぇい、いけいけぇ~!」と2人を応援してしまうほど、秘かに盛り上がってしまう(笑)
ありきたりのハリウッド映画なら、出会ってすぐぶちゅーってキスしちゃうので、そんなこと滅多に思えない。奥ゆかしさだってこの映画の確かな売り。
ギリギリで踏ん張るかしこさ、または臆病さを持っている、過去や現在、そして未来をちゃんと背負っている登場人物。つまり私たちに限りなく近い存在のリアルな2人。確かな存在をそこに感じることの出来る2人。

彼らはラスト、彼らにしか分からないコミュニケーションを取る。つまり私たちには聞こえないやりとりをそっと交わすのだ。そういうことを、映画の登場人物たちはたま~にするのだけれど、この映画でそれを観れた時、とても幸福な想いがした。
虚構が現実をつかみ取る瞬間。“リアル より リアリティ“ってとこです。


見終わった後の何とも言えない、説明のつかない感情。
きゅうんと切なかったり、ポワンとあったかかったり、アララ、とロマンチックな気分になったり。
そう、なんだか、とっても泣きそうな気分。
それは多分この2人の関係が、説明のつかないものだから。
この説明のつかない事象をしっかりフィルムに刻み込んだ映画を、立派に撮ることの出来たソフィア・コッポラの手腕の素晴らしさ。

キャスティングも大勝利。ビル・マーレイとスカーレット・ヨハンセンの年齢と背丈がてんで正反対、だけど心はどこかよく似てた、いやそれともただちょっぴり心細くて寂しかっただけなのかな、の、このカップルはスゥイートすぎるよ、ホント、サイコー。

ないすかぽー@カラオケ・ルームの廊下


あ、やっぱ音楽もヨカッタです。はっぴいえんどがこれまで以上に新鮮に響くこと、響くこと。
カラオケでのコステロ熱唱(いや、ニック・ロウか)、ラストのジザ・メリにもグッときた。

一応書いておくと、ソフィア・コッポラ監督はこの映画の脚本も書いていて、アカデミー・オリジナル脚本賞を受賞しています。




『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

2006年02月07日 | 映画

原題:Catch Me If You Can (2002・米)スティーブン・スピルバーグ
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス、クリストファー・ウォーケン、マーティン・シーン


先々週くらい?TVでやってた『マイノリティ・リポート』を観て、私はやたら面白いと感じたのですが、そこで最近の“スピルバーグ映画“すら観てなかったことに気づきました。ダメダメです、私。

で、この映画を観てみる。
華やかな監督&キャスト、ソール・バス風なオサレ・タイトル・ロールからして、詐欺のテクニックを軽ーく鮮やかに魅せてくれる楽しい娯楽作品だったらいいなぁと踏んだんだけど、そうではなくて、結構シリアスな作品でした。

これも本人原作の自伝が元、と言っても、前回書いた『遠い空の向こうに』とはえらく違くて、こっちは孤独な天才詐欺師ののお話。同じ17才くらいから始まる話なのに、この違い。でもこっちも原作がたまらなく面白そうだ!

主人公は不正小切手でお金を集めて、様々な職業の人にまんまとなりすまします。例えば大胆にもパイロット、医者、弁護士など。


オレっち、パイロットだもんね~。ヘヘーンだっ


でもこれってスピルバーグが映画監督になる以前にしていたことなんですよね。小切手の不正はしていないでしょうけど、もちろんw
彼は映画監督になりたくて、父親のスーツを借りて、スーツケースを手に(中身はサンドイッチとキャンディーバー!!)、まんまとユニヴァーサルのスタジオに潜入して、空きオフィスに自分の名前掲げて事務所を作りました。そして毎日会社の人間に自分の作品を売り込んだそうな。その時スピルバーグ、この映画の主人公と同じ17歳!

そこにこの映画の主人公が何故詐欺師の道を選んで行ったか、という所に両親の「離婚」という要素もある訳で、これは全くスピルバーグ好みの題材だったんでしょうね。
スピルバーグ自身が父親となっている今はもう、母性から父性に作品の核を持っていっているのでしょうか。
この映画でも、実の父親と、さらには追うFBI捜査官との間での情感溢れるやりとりが執拗に繰り返されます。そしてそれこそが見終わった後も心にじんわり、何かを残します。

ディカプリオ、クリストファー・ウォーケンが好演。ウォーケンはんの怪演はいつものことながら、ディカプリオ、旨いなぁ~。自然に役に溶け込んでいて、旨さを見せつけない旨さ。
マーティン・シーンもちょいお間抜けなオカシイ役を嬉々として演じているのがイイですね。


「子供を売る親がいるか、バカタレめっ」by 父


尺が長過ぎて、テンポが滞りがちなとこと、詐欺のシーンをもっとスマートに魅せて欲しかったという不満も少しありますが、スピルバーグ渾身の映画のような気がしました。
でもエンド・ロール(その後の展開)を含め、やっぱり圧倒的に面白いのは「実話」そのものだったりして。
何せ、荒唐無稽すぎ!ちょっぴり切ないけど、あったかい、嘘みたいな本当のお話でした!
あぁ~、こんな人生を生きてみたいなぁ・・・1週間くらいでいいですケド(笑)



『遠い空の向こうに』

2006年02月05日 | 映画

原題:October Sky (1999・米) ジョー・ジョンストン
キャスト:ジェイク・ギレンホール、クリス・クーパー、ローラ・ダーン


ここ4、5年くらい、映画をあまり観ていなかったです。
前はよく見ていて、一番観ていた時期で、子供の時、1年に365本ほど観ていた時期もありました。殆どビデオで、だけれど。
もっと感覚を磨きたい。もっと映画を観たい。
久々に今そう思っています。

コレはずっと観たいな、と思って気に留めていた映画。
主演のジェイク・ギレンホールが今すごく気になっているし、イイ映画そうだったから。
そして実際、とてもよく出来たイイ映画だった。

炭坑の町に住む少年が、1957年の10月の空(原題)にソ連の人工衛星、スプートニク号が横切るのを見たその時から、友達たち(ロケット・ボーイズ!)と一緒に自分たちのロケットを打ち上げることに情熱をついやす話。映画の主人公が書いた実話に基づく小説の映画化。

父子の葛藤、貧しい炭坑の町に住むということはどういうことなのかなどを、ヒジョーに落ち着いたタッチで、細かい感情の機微もこぼさず、丁寧に描いていて好感。派手で過剰なところは一切ナシ。


父ちゃん、おら炭坑夫にはならないダ。ロケット飛ばすんダ


監督のジョン・ジョンストンという人、『ロケッティア』とか『ジュマンジ』とかを撮っている人で、元々は『スターウォーズ 帝国の逆襲』『スターウォーズ ジェダイの復讐』や『レイダース』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』などのビジュアル・エフェクツを担当していたんだって。なんだか面白いね。

脚本が少しオーソドックスすぎて、イイ子ちゃんにまとめあげられすぎなキライはあるけど、そこは役者陣の味わい深い確かな演技力で、真実味をプラス。特に父親役のクリス・クーパーと恩師のローラ・ダーンが切実かつリアルな演技で感動しました。特に特にこの映画のローラ・ダーン、めちゃめちゃイイです。

ロケーションも、実際のモデルとなったウェスト・ヴァージニア州の町では撮影が困難だったらしいけど、その近くのテネシー州のアチコチで撮影を敢行しているらしく、それもまたリアルな描写に一役も二役も買っています。


これがおらの町のロケット・ボーイズ!

話が57年というロックバリバリの時代設定だから、ファッツ・ドミノやコースターズなどの曲が彩りを添えている。この手法、分かっていつつも、音楽ファンならやっぱりちょっとウキウキしてしまうハズ。

手作りロケットはなかなかうまく飛ばずに失敗ばかり繰り返すのだけれど、だんだん勉強していって、うまく飛ばせるようになる。
ロケットが真っ直ぐ空に向かって一直線に飛んで行く、その姿が、感動的なんです。それを見上げる人たちの顔、顔、顔もまた感動的なのです。

元が実話だけに、エンド・ロールの映像にはちょっとマイってしまった。

夢を見ることの大切さ、諦めないこと、そういった大切なことを教えてくれる。
こういうハリウッド映画を、私はずっと観ていきたいなぁ、と思いました。



小津安二郎

2005年12月12日 | 映画

ひ私には二人の神様がいます。

一人はジョン・カサヴェテスというギリシャ系のアメリカ人。

一人は小津安二郎、明治生まれの日本人です。

どちらも映画監督です。

今日、12月12日、ワンツー♪ワンツー♪の日は、小津安二郎の誕生日にて命日なのです。

そう、小津は自らの60歳の誕生日の日に亡くなりました。キッチリ60で。





小津安二郎 1903.12.12ー1963.12.12


もし映画が好きで、まだ小津作品を観ていない方がいらっしゃったら、是非一度オススメしたいんですが、その時はこんな作品からどうでしょうか?



『お早よう』(1959)松竹

出演:佐田啓二 久我美子 笠智衆 三宅邦子 杉村春子




小津といったら、地味だとかワビサビだとか、なんか古臭ーい、暗ーい、厳かーなイメージがあるかもしれませんが、ぜーんぜんそんなことないんですよ。
だって、この映画なんかオナラの話ですし w

思えば私が初めて小津映画を体験したのも、この映画だったです。
深夜のテレビで放送されていたのを、ビデオに撮って観たのですが、そらまぁびっくり。
「なんじゃこりゃ(唖然)」って。
初めて観ると明らかにヘンなんですよ。時空間もヘンだし、台詞もヘンだし。
ただ、嘘くささ満載なのに、なぜかリアルだったんですよね。
そこに確かに人間がいるんです。
でも画面から映画というもののぎりぎりリミットが表出してるようなスリルもあったりして。
さらに、ユーモアもあるし。というか茶目っ気たっぷりだし。
妙にクセになるというか、ヘンテコな映画だった訳です。

要は面白すぎたのです。
傑作、そしてケッサクでした。

まさにそこには映画の「新しい体験」というものがありました。


ところで、世の中には子供を活き活き撮らせることにかけて天下一品という映画監督がいるものですが、小津はサイレント時代からまさしくそうでして。この映画でも子供たちが大変活き活きとして光っています。
中でもこの映画では、主人公である兄弟の次男坊の勇(いさむ)ちゃんに注目です。ちなみに小津自身も次男坊です。


勇ちゃんと言えば、小津映画の兄弟の次男坊は大体名前は決まって“勇ちゃん“で、主人公の女性は“紀子“や“節子“。
使われる俳優も笠智衆、原節子、杉村春子といったような大体決まった俳優が多いです。

同じような俳優で、同じような台詞を同じような状況で吐かせ、同じような話の筋で終わる。

それだけのことなのに、何故こんなに溢れ出す程豊かで、いつまで経っても古くならない「映画の聖域」みたいなものが、ここにあるのか。

でもね、今日はそんなこと考えるのは置いといて。

ただただ、小津映画を体感したくて、私は今日も観ます。

今晩は『お早よう』を観ます。






ヴェンダースとロック

2005年07月16日 | 映画

ヴィム・ヴェンダースはとても好きな映画監督の一人です。

何せ彼は「ロックが僕を救ってくれた」と公言する映画監督なのです。
私はヴェンダースの特に初期の作品に惹かれます。
彼がロックという音楽に深く取り憑かれている時代のその作品群には、やたらロックが思い入れタップリに流れてきます。
70年の作品に「サマー・イン・ザ・シティ/キンクスに捧ぐ」という「どっちやねん!」みたいなタイトルの映画もあったりして。

74年の「都会のアリス」ではキャンド・ヒート、“On The Road Again“が印象的に使われたり、主人公が浜辺で “Under The Boadwalk“ を文字通りボードウォークの下で鼻歌でうたったり。
そして何と主人公がチャック・ベリーのコンサートに行くシーンまであり、まさに74年のチャック・ベリーの演奏が観れたりして。

(関係ないけど、ジム・ジャームッシュの「ダウン・バイ・ロー」という作品では、俳優として出ているトム・ウェイツが鼻歌でロイ・オービソンの “Crying` をさりげなく歌うシーンがあり、そのシーンにもまた、とても惹かれてしまいます。)

最近レンタルで「10ミニッツ・オールダー」という作品を借りてきました。
名だたる映画の巨匠たちが、10分で何を表せるかというようなことに挑戦したオムニバス映画です。
ゴダール、ベルトリッチ、ビクトル・エリセ、ハルツォークからジャームッシュやカウリスマキ、スパイク・リーといった私の世代にはドンピシャな監督も参加しています。

ヴェンダースも参加していて、私はこのヴェンダース編が一番印象に残り、そして良かったと感じました。
その中で、やはりロックが2曲、印象的に使われていたのですが、私は誰だか分かりませんでした。
「声はベックみたいだけど、こんな曲あったっけなぁ」とか思っていたら、エンドロールで確認すると、2曲ともイールズでした。
イールズかぁ~。ヴェンダースもまだまだ現役リスナーだなぁ。また何かイイのあったら教えてよ、ヴェンダースさん。


CINEMA BATON

2005年07月10日 | 映画

lenmacさんからCINEMA BATONが回ってきましたよ!

Musical Batonの時はさらっと書けたのだけど、映画はにゃぁ~・・・。
このブログでは音楽のことばっかり書いているのですが、実は音楽より映画に対してのほうが、真剣(??)なんです。よね。
ので、映画については書きにくい~。音楽は純粋な「楽しみ」なので、書いてて楽しいです。
でも、さらっと真剣にいくで~!


Q : 過去一年間で、一番笑った映画は?

「お茶漬けの味」小津安二郎
 昨日また観たの。すごい笑った。
 佐分利信のなんともとぼけた表情っ☆


Q : 過去一年間で、一番泣いた映画は?

「お茶漬けの味」小津安二郎
 昨日また観たの。すごい泣いちゃった。
 最後の夫婦でお茶漬けを用意するシーン。切実で不格好で、この上なく美しい愛の儀式。


Q : 心の中の5つの映画は?

 「ミニーとモスコウィッツ」ジョン・カサヴェテス
 「麦秋」小津安二郎
 「サリヴァンの旅」プレストン・スタージェス
 「浮き雲」アキ・カウリスマキ
 「マグノリア」ポール・トーマス・アンダーソン

 ふぅふぅ。さらっといけないなぁ。真剣にガッツリ選びました。特に最初の3本は何十回と観てるかなぁ。
 私の中でどれも血となり肉となっています。


Q : 観たい映画は?

 とにかく、30年代~40年代のハリウッド映画なら、なんでも、観たいです。


Q : バトンを渡す人は?
 
 ゴメンなさい。せっかく回ってきたバトンですが、打ち止めさせてくださいね。


lenmacさん、回してくださってありがとうございましたー!
映画について書きたかったけど、なんとなくタイミングを逃していたので、よいキッカケを与えてもらいました♪