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スクロヴァチェフスキ氏の訃報

2017年02月26日 18時55分27秒 | ブルックナー
2月21日、アメリカのミネソタ州ミネアポリスでスタニスラフ・スクロヴァチェフスキさんが逝去されました。昨年11月に脳卒中で入院・手術されたそうですが、93才ということで、高齢でしたので、やはり復帰は困難だったんですねえ。10月にはミネソタ管弦楽団を指揮してブルックナーの交響曲第8番を演奏されたそうですが、それが最後になったんでしょうかね。残念ですねえ。謹んでご冥福をお祈りいたします。

少し前に、三宮の中古やさんで、読売日本響との昨年2016年1月21日のライブ録音のブルックナーの交響曲第8番ハ短調のSACDを見つけ購入しました。その中の平林直哉氏の解説で、この公演は「『ミスターSの第8番を生で聴ける、おそらくは最後のチャンス』 と誰もが思っていたようで、開演前のただならぬ熱気は明らかに2010年を超えていた」とありました。しかし、昨年の年末に取り上げたベートーヴェンの交響曲第2・7番など、90才を超えてもお元気でご活躍されていたので、まさかそんなことがあろうか、と勝手に思い込んでいました。

スクロヴァチェフスキさんは、1995年から発売されたザールブリュッケン放送交響楽団とのブルックナーの交響曲全集で一躍有名になり、その後ベートーヴェンやシューマン、ブラームスなどの交響曲全集も録音、2007年からは読売日本響の常任指揮者となられたこともあり、日本にも頻繁に来られていました。その演奏についても、いくつかがSACDとしてDENONから発売されています。

私は、特にベートーヴェンの交響曲の演奏が気に入っておりまして、このブログでも三度ほど取り上げました。重厚でたいそう見通しがよく、オーケストラの美しい響きが充満して、私的には理想のベートーヴェンと思っております。また、読売日本響とのブルックナーの7・8・9番があります。これは7番しか持っていないのですが、この7番はSACDでも出ており、値段が安かったので買ったのですが、これが非常に録音がいいことも相俟って、かなり気に入っているのでありました。読売日響とは、ベートーヴェンとブルックナーをライブでもっと録音してもらいたかったのですが、残念ですねえ。

そして、このブルックナーの8番、やはりSACDということで、音がいいですねえ。それは魅力のひとつですね。全体的に響きや音色、そして音楽自体が非常に優しいSACDの効果によるところかもしれませんが、優しいブルックナーであります。スクロヴァチェフスキのブルックナーの音楽に対する気持ちが、ひしひしと伝わって来ます。力技ではなく、情感をこめた表情がとてもいい。ザールブリュッケン放響との録音よりは、テンポがゆっくりになっていますが、ひとつひとつを慈しむような演奏が心に染み込んできます。演奏のところどころで、ハッとするような美しいフレーズがいくつもありますねえ。読売日響も、深みや艶が乏しいところはありますが、締まった響きには、満足です。

第1楽章、冒頭から弦や木管のたいそう優しい音色が聴けます。怒涛のようなブルックナーではなくゆったりとした大河のような優しい響き。ホルンやオーボエなどのソロがしっとりとして美しい。金管の合奏が粗く感じるところもあるが、緊張感が増しながら曲は進むが、最後は消え入るように終わるあたりもいいですねえ。第2楽章、ゆったりとしたスケルツォ。ここでも、スクロヴァチェフスキの優美な演奏。最初は物足りなさを感じるところもあるが、至る所での美しいフレーズなどや雄大さは、聴き込むほどに魅力が増します。第3楽章。やはりこの楽章ですねえ。これほど美しく荘厳で感動的な演奏はあっただろうか、と思ってしまいます。最初は小波のように、次第に大きくなっていく波のように押し寄せる音楽は、実に感動的です。もう涙が出そうです。そして聴く中で、心が浄化されていくようであります。そして、第4楽章、至福のアダージョから一転しての大伽藍が現れ、まさに鳥肌が立ちます。しかし弦に響きはいいですねえ。ここでも、ブルックナーの音楽ってこんなに美しかったのか、と思うことしきりであります。そして、もう終わるのを拒むような音楽が続き、感動的なクライマックスであります。この演奏、生で聴いていたら、いやー、もうたまらんかったでしょうねえ。

しかし、こんな演奏ももう聴けないのかと思うと、残念どころか、もう悲しいことであります。一度、生で聴きたかったですねえ。今後、こんなブルックナーを演奏してくれる指揮者が現れるでしょうか。
(DENON COGQ92→3 2016年)

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4 コメント

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Unknown (七味とうがらし)
2017-02-26 20:35:25
スクロヴァチェフスキの訃報は昨年の秋に脳卒中で倒れたと聞いたときから覚悟はしていましたが、やはり残念です。
プロコのロミジュリをマーキュリー・Vox・デンオン、と3回録音しているんですね。何故か3種揃ってました。どれもキレキレな演奏。素晴らしいです。
ホントに残念ですね。
コメント、ありがとうございます。 (mikotomochi58)
2017-02-26 22:00:50
七味とうがらし 様、コメント感謝です。実は、スクロヴァチェフスキー氏の訃報は、七味とうがらし様のブログで知りました。ありがとうございます。しかし、残念ですねえ。93才という年齢からすれば、天寿を全うされたということでしょうね。プロコのロミジュリ、かなり前に中古やさんで見ました。そのときに少し迷ったんですが、買いませんでした。今は後悔しています(笑)。またご教示ください。
Unknown (バルビ)
2017-02-27 17:46:26
 スクロヴァチェフスキさんのご逝去。慎んでご冥福をお祈りします。残念ですが、しかたがありませんね。
 私は昨年、そのCDの二日後、1月23日のオペラシティーでのブルックナー8番の公演を聴くことができました。もの凄く豪快な、そして颯爽としたブルックナー演奏にいたく感動しました。まだまだ実演が聴けるのではないかと思っていました。
コメント、感謝です。 (mikotomochi58)
2017-02-27 21:18:26
バルビ 様、コメントありがとうございます。1月23日の公演に行かれたとは、うらやましい限りです。さぞ、感動的な演奏だったことでしょうねえ。関西にも来てくれないかな、と思っていましたが…。本当に残念ですねえ。しばらくはCDを聴いて冥福を祈ろうと思います。また、ご教示ください。

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