点ノ記

青森県青森市在住。日々あったことを若干適当に書いています。月10回更新します。

ダンダリンの楽しみ方は、ドカベンではなくタッチのそれ

2014年06月19日 20時16分53秒 | 日記

先日、ドラマ「ダンダリン 労働基準監督官」を3話まで観た時点での感想を書いた。

昨日ようやく最終話を観てずいぶん楽しませてもらったけど、結局ダンダリンは、ストーリーに引き込まれて次どういう展開になるのかとワクワクしたというのもあるが、採取的には「登場人物の人間味」を面白がるタイプのドラマだったんだな、と感じる。

労働基準監督署で働く人の話だから、そういう地味なプロの仕事がわかる内容なのかな、と思っていると期待外れとなる。仕事をしている人なら誰しもぶつかる「理想と現実のはざまで必死に折衷案を探す」という苦労はこのドラマの世界にはない。あまりに極端な思想の主人公労働監督官が、あまりに極端なブラック企業を極端なアイデアでやっつける。

気づけばそういう極端な主人公を理解しようとするよりも、いつしか人間味溢れるそのほかの登場人物に感情移入していて、主人公に翻弄されながら泣いたり笑ったりしている姿がとても面白く思えるようになっていた。そっちの目線に立てばダンダリンはすっごく楽しめるめちゃくちゃいいドラマになる。

例えるなら、漫画「タッチ」を「野球漫画」として読むか「野球を題材にした恋愛漫画」として読むかの違いのような。ダンダリンはこの場合後者の見方をするのがいいと思う。

真面目に前者の体で見ようとすると、とにかく段田 凛が独善的すぎてだめだ。労働者を守るためだと超厳しく会社を取り締まった結果、会社がつぶれて労働者が守れなくなるという結末をいくつも出している。過去に潰した会社の社長に復讐されかけたりもする。それでも、作品の中では段田は清く、正しい存在として終わる。

むしろ、ライバル的存在の社労士事務所の相葉所長の言う「労働環境は大事だが、何より会社を潰さないことが大事」という理念のほうが素直に賛成できる。そっちを主人公にして、段田 凛を敵役にすれば良かったのに、とすら思う。

残業代未払いは悪だとは思うけど、中には「俺が一人前なら本当はこの残業は無かったはずだから、今日はつけない」というような人もいる。そういう極めて現実的なリアルな、そういう描写が無いので、結局はダンダリンは「ドカベン」ではなく「タッチ」なんじゃないだろうか。

                                                ~完~