【週刊ゲーム市場分析】PS VITAの“毎週1万台”は本当なのか?

2012年04月02日 | 団長は断腸の思い
ゲームソフトの週間販売本数からゲーム市場を分析する記事の第47回。今回は4月バカ記事の影響で遅めです。
(ゲームソフトの販売を予想して精度を競うサイト「YSO3」もよろしく!)

コンシューマソフト週間販売ランキングTop20(4gamer.net/メディアクリエイト調べ)
※上記の週間販売本数以外のデータ(前作データ等)はすべてゲームデータ博物館様(ファミ通データ)より転載。


■「新・光神話 パルテナの鏡」は3DSソフトで7位の初週本数に

今回の首位は「新・光神話 パルテナの鏡」(13.3万本)。3DSソフトでは7位の初週本数となった。



同タイトルはファミコン(ディスクシステム)の往年の名作を元にした3Dアクションゲーム。
累計本数は、コアユーザーが中心の「ファイアーエムブレム」のような「初週の2倍程度」に留まるのか
それとも低年齢層を取り込み、ほかの任天堂タイトル同様「初週の3倍以上」売れるのか、注目されるところだ。


■「龍が如く」シリーズ初の“番外編の2作目”「クロヒョウ2」は落ち着いた出足に

2位の「クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編」(10.4万本)は前作(18.3万本)からほぼ半減となった。
今作はダウンロード版が同時発売なため、すでにPS VITAを購入しているユーザーを中心に
ダウンロード版が買われたのかもしれないが、それを考慮してもかなりの下げ幅だろう。



今作は「龍が如く」の番外編「クロヒョウ」シリーズの2作目だが、「龍が如く」シリーズの
ナンバリングタイトルの初週本数は右肩上がりであるため、シリーズ自体が飽きられているワケではなさそうだ。

ここで考えられるのは、やはり“番外編の2作目”という点だろうか。
「龍が如く」はこれまでも「見参!」や「OF THE DEAD」といった番外編が作られているが
番外編に2作目が出たのは「クロヒョウ」が初めて。

こういった番外編でも、やはり「龍が如く」シリーズユーザーが中心に購入していると思われるが
番外編なため、当然本編とは毛色が違う。そのため、2作目まで購入しないユーザーが多いのではなかろうか。
番外編は、それ自体で新しいユーザーを獲得しなければ、2作目で本数を維持するのは難しそうだ。


■PS VITAの“毎週1万台”は本当なのか?

ここでPS VITAの2-3月の販売台数の推移をみてみる。(赤がメディアクリエイト集計、青がファミ通集計)



この一か月ほどは10,000~10,500台という極めて狭いレンジに収まっている。
さすがに500台レベルになると誤差の範囲内で、毎週ギリギリ1万台を超える理由は分からない。

ここで考えるべきことは、そういった1万台を超えたかどうかといったような誤差の範囲内の話ではなく
メディアクリエイトやファミ通のランキングに専用ソフトが
ほとんど顔を出さないのに、なぜ本体は同じペースで売れ続けているのか? という点だろう。

忘れてはならないのは、こういったランキングはパッケージ版のみの集計であるということ。
つまりダウンロード版の本数は集計されていない(集計できない)ため、
見る人によっては不可解に見えてしまうのも仕方のないところだ。

VITA本体はまだ60万台ほどしか普及しておらず、有力ソフトも少ないため店頭での扱いはまだまだ小さい。
何かしらソフトが発売されても、各販売店とも入荷本数は少なく、売り切れても追加発注をしない店舗が多そうだ。
マイナーなタイトルになればなるほど、ダウンロード版のシェアが高くなっているだろう。

先日、「GRAVITY DAZE」がパッケージ版の出荷+ダウンロード版で10万本を突破したことが公表された。
「GRAVITY DAZE」のパッケージ販売は6~6.5万本と推定され、出荷本数はおそらく7万本程度と思われるので
ダウンロード版の販売本数は3万本程度、シェアは3割強と推測される。

ここでPSストアの評価数(ダウンロード版を購入したユーザーのみ評価を入れることができる)に注目してみた。
「GRAVITY DAZE」の10万本突破が明らかにされた時点の評価数は約「4500」。
ダウンロード版購入者の7人に1人程度がPSストアにて評価を入れている計算だ。

PSストアでは毎週、ダウンロード版の販売本数TOP10のデータも公開される。
そこで、ダウンロード版の週間TOP10のタイトルの評価数に係数(7)をかけ、おおよその販売本数を計算した。
さらにパッケージ版の販売本数(ランキングに登場しタイトルのみ)を合計している。



ダウンロード版はパッケージ版の発売に大きく左右されず、レンジは6,000~10,000本程度と安定している。
全タイトルのデータを集計すると、もう少し底が高くなり、さらに週ごとの販売が均一化されそうだ。

また、「スターストライクデルタ」や「エスケーププラン」などダウンロード専用タイトルは
評価数をみる限り、1万本前後売れている可能性がある。

こういった意外に高いダウンロード版のシェアや、意外に売れているダウンロード専用タイトルの存在、
それらダウンロード版の毎週均一な販売状況をみる限り、VITA本体が毎週1万台という
低空飛行ながら安定した販売を続けていることは、特に不思議なことではなさそうだ。


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