RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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幽霊・妖怪画大全集 (前期 1)

2013-08-04 21:30:00 | 美術
見てきました

そごう美術館

会期は2013年7月27日から2013年9月1日。
会期は2期に分かれています。
前期は7月27日から8月11日。
後期は8月13日から9月1日。
約40点の展示替えがあるそうです。

今回、前期を見てきました。
8月11日の前期最終日までは前記・後期鑑賞チケットがセットで1,500円です。
私、それを購入したので後期も行く予定です。
そして今回盛りだくさん。
2回に分けて書こうかと。。

夏です!!
幽霊です
夏の展示といったら幽霊画。
現在、三井記念美術館では「大妖怪画展-鬼と妖怪そしてゲゲゲ」が開催中です。
まぁ、こちらはちょっとコミカルで親しみやすい幽霊・妖怪ですが……
本格的(!?)な幽霊画なら全生庵
昨年見に行きましたが、毎年8月に公開しているので興味のあるかた、ぜひどうぞ。
こちら一度見てみても損はないと思うのでおすすめ。

そして今回は福岡市博物館から横浜に幽霊画が集合です。
キャー、楽しみ♪
と仕事後にウキウキで行ってきました。

幽霊や妖怪は古くから物語や絵巻物に描かれてきました。
得体の知れない何か、、
今のように科学が発達しているわけでもなく。
また充分な明かりのない時代の暗闇はきっと恐ろしかったことでしょう。
そして想像力を掻き立てたはず。
そこから何かが出てきたり。異世界への入口となったり。

江戸時代には歌舞伎の隆盛と相俟って様々な作品に幽霊や妖怪が登場。
大流行となります。
それらは恐怖心だけではなく、ときに美しく、ときに愛らしく。
ユーモアがあり親しみやすさを感じさせるなど独自の発展を遂げました。
先日の三井記念美術館の展示でもあったように、それらは現代の漫画やアニメなどにも影響を与えています。

そんな幽霊画を福岡市博物館は多数所蔵。
それらは京都出身の日本画家で風俗研究家でもあった吉川観方(1894-1979)が集めたもの。
観方は絵画、染織、工芸など約12000点にのぼる風俗関係資料を生涯にわたり収集。
そのなかで幽霊や妖怪に強く惹かれ、収集したものの中には江戸中期から昭和期までの様々な幽霊・妖怪画が含まれています。
そのコレクションを中心に、肉筆画や浮世絵版画の幽霊・妖怪画約160点の展示です。

とってもおもしろかった。
そっけない展示が多いそごう美術館ですが、今回、入口から凝っていたしそごう美術館の気合を感じました。

まずはプロローグ
《笑う骸骨》
歌川国芳「相馬の古内裏」
はい、有名すぎてなんとも。。
描かれているのは、平将門が討ち取られたあと、その娘とされる滝夜叉姫が呼び出した骸骨の妖怪。
滝夜叉姫はこの妖怪で父亡き後、その遺志を果たそうとしました。
あ、滝夜叉姫は伝説の人です。
三井記念美術館の「大妖怪画展-鬼と妖怪そしてゲゲゲ」でも展示されています。
あれ……!?
「ひと~つ、ふた~つ。。一枚足りない~
(皿屋敷でおなじみ、お菊さんものちのち登場です。)
こちら3枚で1つの作品なのですが、今回展示のものは2枚だけで一番左がありませんでした。
そう、骸骨を操る滝夜叉姫がいないのです。
三井記念美術館はちゃんと3枚揃ったVer.だったのにな~。
でも、やっぱり国芳はすごい。
江戸時代にこんな作品。
浮世絵師の中で国芳は特に海外でも人気が高いけど、分かる。
国芳作品ってすごくCOOLなんだと思う。
今見ても違和感ないし、惹き込まれる。
そしてこの作品、タイトルの上に「巨大ガイコツじゃー」と書かれていました。
今回、作品名の上にいちいちこういった一言が書かれていました。
おもしろいものも真面目なものも。
そして今回、キャプションがおもしろいものが多かった。
丁寧に解説していると思いきや、軽い語り口。
作品によっては子供向けのキャプションもついていました。

伝円山応挙「波上白骨座禅図」
波の上で座禅を組む骸骨が描かれています。
一見シュール。
波は絶えず静まることのない煩悩。
白骨はその煩悩を鎮めようと座禅しているのです。
また海面は波でうねっていても、海面下は静かな状態であるたとえで、真理について説いたもの。
「きゃー、怖~い」
というような骸骨ではなく、実はすごく真面目な題材を扱っているのです。
こちら以前に府中市美術館で見ております。
(記事はこちら→「江戸の人物画 ー姿の美、力、奇(後期)」)

さて。こちらから第一章《幽霊画の世界》
*肉筆幽霊画*
伝円山応挙「幽霊画」
幽霊画といっても日本画なんだよね、うん。
美しい女性がこちらを見ています。
ちょっと髪が乱れていること、足がないこと以外は普通の美人画。
優美な感じさえします。
なんだか切ない気持ちにもなる。。
美人で儚いということが今も昔も人の気持ちを惹いたのかな。
円山応挙の「幽霊画」は全生庵でも見ています。
こちらも美人だった記憶があります。
その記事でも書いたかな。
"幽霊=足がない"は応挙が始まり、と言われています。

吉田元陳「墓場の幽霊図」
墓場に白装束で頭には三角形の布。
"THE幽霊"な幽霊です。
扇面に描かれている幽霊図という珍しいもの。
"これで扇ぐと涼しいのかもしれない"
とキャプションにはありました。。
うん、確かに
商品化されたら購入します!!

矢野夜潮「殿中幽霊図」
灯火をもって殿中の階段を昇ろうとする女中の前に、巨大な女の幽霊が出現。
その表情がユーモラス。
びっくりしてひっくりかえる女中のオーバーリアクションっぷりもおもしろい。

渓斎英泉「幽霊図」
嫉妬に狂った女が相手の女の首をもっているという恐ろしい図。
女性の顔も狂気を滲み出していてなかなか迫力あります。
子供向けのキャプションには
"ねぇ、あなたのお父さん、浮気してない?"
"浮気するとあなたのお母さんもこうなるかもね。"
"お父さんに言っておいてね。浮気はダメって。"
的なことが書かれていました。
これ、子供向けではないような~。
あんまり子供には教えたくないような~。
幽霊画より別の意味で怖い。
"なぜ、(浮気した男じゃなくて)女の首を持ってるかって? 
それは(あなたたち子どもには)難しいわね"
もう、子供向けじゃない件

河村長観「佐倉宗吾の亡霊図」
左手に「上」と書かれた直訴状を持つ佐倉宗吾。
飢饉に苦しむ佐倉藩の農民を救うべく、命を賭して将軍家綱に直訴。
結果、家族共々処刑。
ぼんやりと浮かびあがる佐倉宗吾の表情は険しいまま。
無念だろうな。。
これは怖いというよりも、ぐっときました。
この時代の絵などは、実は社会風刺でもあるので、解釈もおもしろい。

*歌舞伎の幽霊画*
幽霊ものは歌舞伎にもなり人気を博します。
特に有名どころは東海道四谷怪談と番長更屋敷。
この2つのヒットによって、幽霊や妖怪がより身近な存在(!?)になったかと。

歌川芳艶「戸板返し 東海道四谷怪談」
有名な戸板返しの場面。
色も青白く、毒で腫れあがった顔。
全体的に執念を感じます。
お梅の形見のお守りを大事に守っているところが切ない。

豊原国周「怪談牡丹灯篭」
幽霊=足がない
ですが、この幽霊には足がある。
カランコロンと下駄の音が聞こえてくるのです。
恋焦がれて死んだお露が毎晩新三郎のもとを訪れるところが描かれています。

明治期になると、幽霊などを見る、ということは神経症だと言われるように。
まぁ、ある意味そうなんだけど。
それでも現代まで根強い人気なのは、見えないもの・知らないものに対する興味なのかな~、と感じました。
今回の展示も人が多かった。

今回はこのあたりで。
第2章は2で書きたいと思います。
2はかわいい妖怪がいっぱいで思い出しては、にやにやしてしまいます。



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