見てきました
Bunkamura ザ・ミュージアム
会期は2013年4月27日から2013年6月16日。
すっごく楽しみにしていました。
「スペイン・リアリズムの巨匠」
アントニオ・ロペスの日本での初の個展です。
もう、アントニオ・ロペスといったら……
……ど、どちら様!???
はい、初めてです。
この展示でその名を初めて知りました。
ではなぜ私がそんなに楽しみにしていたのか。
「スペイン・リアリズム」
だからです。
2011年、私の心を一瞬にして虜にした展示がありました。
練馬区立美術館で開催された展示。
「磯江毅=グスタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才」
今まで一度も名前を聞いたことのなかった磯江毅という画家。
10代のころ単身でスペインに渡り、キャリアを重ねます。
"グスタボ・イソエ"という名で成功し、日本に帰国。
が、これからという2007年、53歳の若さで急逝しました。
この展示に感動したのはもちろん、この展示で「スペイン=リアリズムの地」と認識。
それ以降もいくつかのリアリズムの展示は見ましたが。
ここにきて、「スペインのリアリズムが見れる」と。
しかも「巨匠」とのこと。
期待するなってほうが無理です。
という訳でいつもの5割り増しでウキウキで行って来たのです。
さて。
最初の作品はどんなかしら、と入ると。
あ、あれ???
リ、ア、リズム、、!???
思ってたリアリズムと違うやん!!!!!
思っていたより普通の絵、、ってのもおかしいのですが、普通の絵が並んでいました。
初期はシュルレアリスム的な感じなんですね~。
「夕食」1971-80年
家族が夕食をとっている様子を描いたもの。
正面には侍女のカルメン。
右には妻のマリア。
って、マリアの顔が、顔がぁぁぁ。
途中で描く位置をずらしたそうです。
でもその痕跡は消さず、、というよりこの作品、未完成。
なんだろ、、時間の経過を残している感じがします。。
実際、長い年月描いているし。
家族の歴史を描いている、そんな印象。
ロペスの初期には家族をモチーフにした作品が多いそうです。
この近くには娘マリアの像もありました。
「マリアの肖像」1972年
娘のマリアの肖像画。
ポスターにも使われています。
鉛筆のみで描かれたもの。
コートの質感が素晴らしいです。
柔らかそうで温かみがあって。
「マルメロの木」1990年
庭にあるマルメロの木を描いたもの。
これはビクトル・エリセ監督で1992年に制作された『マルメロの陽光』という映画の中で描かれたもの。
この映画はマルメロを描くロペスの姿を撮ったものだそう。
ちょっと見てみたい。
まずはTSUTAYAのカードを作るところからかな(笑)
「美術修復センター」1969-1970年
鉛筆だけで描かれたとてもとても細密な作品。
建築途中のものだそう。
こういった完成品ではないものを写し取るところもおもしろい。
思わず見入ってしまいます。
じーっと見て。
ふと思ってメモメモ……
「先程から熱心にメモを取られていますが、絵を学ばれている方ですか?」
ふと見ると人の良さそうな男性。
私「いや、学んでなんか、、っと、美術好きでせっかく見たので記念に、、とか。。(だんだん小さい声、笑)」
(ブログ用とは決して言わない。笑)
男性「そうなんですか。いや熱心だなぁ、と。この人はね~、本当にすごい人なんですよ。」
男性「私、スペインで会ったことありましてね。あ、僕も絵を描くんですよ。写実を。」
私「え~、そうなんですか??」
男性「この人は本当に写実の世界では有名で。神様みたいな人で。こんなに作品が来る展示が行われるなんてねぇ。。」
男性「この人は1年に1作しか作品が出来ないんですよ。もっとかかる作品のほうがいっぱいある。」
男性「写実が好きなんですか??」
私「えっっと。。あの、、2、3年前に練馬区立美術館で開催された磯江毅展で。興味持って。スペインはリアリズムが盛んなのか、と」
私「だから今回のも。。前回がおもしろかったので、楽しみにしていて。」
(→少ない知識を絞って話をする私。。。)
男性「あの展示!?よく知っていますねぇ。」
ふと差し出される紙。
男性「これね、私の名前と連絡先。」
男性「よかったら今度、友達とでもアトリエに遊びにきてください。」
男性「ぜひ、作品の感想をお聞きしたい。」
う~ん、何度も美術館へ行くと不思議な出会いがあるもんですね。
そんなこんなでこの作品以降はふわふわした気持ちで展示を見ていました(笑)
その隣にあったのが、今回の展示のポスターにも使われている作品。
「グラン・ビア」1974-81年
マドリードの交差点を描いたもの。
夏の早朝、昇りかけた太陽の光に照らされた人気の無いグラン・ビア。
それを目にしたロペスは、その美しさと感動を残すべく制作にとりかかりました。
その光が存在するのは朝の6時30分から約20分だけ。
毎日電車で通い毎日制作を続けます。
ただ、その夏の光は短い。
1年で仕上がらないのなら次の年も。
その次の年も。
また次の年も。
そうやって制作を続けたのがこの作品。
今回、タイトルと一緒に制作年を記載しました。
遅筆で何度も描くから分かりやすいように、ということもあるのですが。
この「グラン・ビア」、7年かけて制作されたもの。
ただの「写真のように本物そっくりな絵」ではなく、7年もの時間をかけてまで描き留めたかった感動が詰まっているのです。
本物を目の前にしたら泣きそうなぐらい。
様々な感情が迫ってきて。
じーっと見入ってしまいます。
これが見れたのなら、、この展示はもう満足かな。
それぐらいのものがありました。
そうは思っても次の作品があります。
「トーレス・ブランカスからのマドリード」1974-82年
このあたりは大きな作品がたくさんありました。
こちらもまるで写真のよう。
が、とても明るい。
とても精密に描かれているようですが、近くで見たら以外と絵の具をベタ置きしているところも。
そうゆう状態のところがあっても写真のように見えるってことがすごい。
明るい日差しが眩しくって、スペインに行ってみたくなる。
というか、行きたい。
最後には彫刻がありました。
テーマは人体。
構想は美術学校時代からあったそうです。
「男と女」1968-94年
男と女の木彫の作品。
なんと26年もの歳月を経て完成したもの。
モデルは複数の人間が務めたそう。
当初は家族名などの親密な人物だったそうですが、最後に行き着いた先は普遍的な人間。
ものすごくスケールの大きなものを見せられた気分でした。
写真のように描くことがリアリズム絵画ではない。
様々な感情・情報が入り混じり一つの作品を構成していました。
そして歴史が描かれていました。
時間の静止と神秘性。
驚きと新鮮さと、感動と。
たくさんの感情が押し寄せてくる展示です。
おすすめ
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Bunkamura ザ・ミュージアム
会期は2013年4月27日から2013年6月16日。
すっごく楽しみにしていました。
「スペイン・リアリズムの巨匠」
アントニオ・ロペスの日本での初の個展です。
もう、アントニオ・ロペスといったら……
……ど、どちら様!???
はい、初めてです。
この展示でその名を初めて知りました。
ではなぜ私がそんなに楽しみにしていたのか。
「スペイン・リアリズム」
だからです。
2011年、私の心を一瞬にして虜にした展示がありました。
練馬区立美術館で開催された展示。
「磯江毅=グスタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才」
今まで一度も名前を聞いたことのなかった磯江毅という画家。
10代のころ単身でスペインに渡り、キャリアを重ねます。
"グスタボ・イソエ"という名で成功し、日本に帰国。
が、これからという2007年、53歳の若さで急逝しました。
この展示に感動したのはもちろん、この展示で「スペイン=リアリズムの地」と認識。
それ以降もいくつかのリアリズムの展示は見ましたが。
ここにきて、「スペインのリアリズムが見れる」と。
しかも「巨匠」とのこと。
期待するなってほうが無理です。
という訳でいつもの5割り増しでウキウキで行って来たのです。
さて。
最初の作品はどんなかしら、と入ると。
あ、あれ???
リ、ア、リズム、、!???
思ってたリアリズムと違うやん!!!!!
思っていたより普通の絵、、ってのもおかしいのですが、普通の絵が並んでいました。
初期はシュルレアリスム的な感じなんですね~。
「夕食」1971-80年
家族が夕食をとっている様子を描いたもの。
正面には侍女のカルメン。
右には妻のマリア。
って、マリアの顔が、顔がぁぁぁ。
途中で描く位置をずらしたそうです。
でもその痕跡は消さず、、というよりこの作品、未完成。
なんだろ、、時間の経過を残している感じがします。。
実際、長い年月描いているし。
家族の歴史を描いている、そんな印象。
ロペスの初期には家族をモチーフにした作品が多いそうです。
この近くには娘マリアの像もありました。
「マリアの肖像」1972年
娘のマリアの肖像画。
ポスターにも使われています。
鉛筆のみで描かれたもの。
コートの質感が素晴らしいです。
柔らかそうで温かみがあって。
「マルメロの木」1990年
庭にあるマルメロの木を描いたもの。
これはビクトル・エリセ監督で1992年に制作された『マルメロの陽光』という映画の中で描かれたもの。
この映画はマルメロを描くロペスの姿を撮ったものだそう。
ちょっと見てみたい。
まずはTSUTAYAのカードを作るところからかな(笑)
「美術修復センター」1969-1970年
鉛筆だけで描かれたとてもとても細密な作品。
建築途中のものだそう。
こういった完成品ではないものを写し取るところもおもしろい。
思わず見入ってしまいます。
じーっと見て。
ふと思ってメモメモ……
「先程から熱心にメモを取られていますが、絵を学ばれている方ですか?」
ふと見ると人の良さそうな男性。
私「いや、学んでなんか、、っと、美術好きでせっかく見たので記念に、、とか。。(だんだん小さい声、笑)」
(ブログ用とは決して言わない。笑)
男性「そうなんですか。いや熱心だなぁ、と。この人はね~、本当にすごい人なんですよ。」
男性「私、スペインで会ったことありましてね。あ、僕も絵を描くんですよ。写実を。」
私「え~、そうなんですか??」
男性「この人は本当に写実の世界では有名で。神様みたいな人で。こんなに作品が来る展示が行われるなんてねぇ。。」
男性「この人は1年に1作しか作品が出来ないんですよ。もっとかかる作品のほうがいっぱいある。」
男性「写実が好きなんですか??」
私「えっっと。。あの、、2、3年前に練馬区立美術館で開催された磯江毅展で。興味持って。スペインはリアリズムが盛んなのか、と」
私「だから今回のも。。前回がおもしろかったので、楽しみにしていて。」
(→少ない知識を絞って話をする私。。。)
男性「あの展示!?よく知っていますねぇ。」
ふと差し出される紙。
男性「これね、私の名前と連絡先。」
男性「よかったら今度、友達とでもアトリエに遊びにきてください。」
男性「ぜひ、作品の感想をお聞きしたい。」
う~ん、何度も美術館へ行くと不思議な出会いがあるもんですね。
そんなこんなでこの作品以降はふわふわした気持ちで展示を見ていました(笑)
その隣にあったのが、今回の展示のポスターにも使われている作品。
「グラン・ビア」1974-81年
マドリードの交差点を描いたもの。
夏の早朝、昇りかけた太陽の光に照らされた人気の無いグラン・ビア。
それを目にしたロペスは、その美しさと感動を残すべく制作にとりかかりました。
その光が存在するのは朝の6時30分から約20分だけ。
毎日電車で通い毎日制作を続けます。
ただ、その夏の光は短い。
1年で仕上がらないのなら次の年も。
その次の年も。
また次の年も。
そうやって制作を続けたのがこの作品。
今回、タイトルと一緒に制作年を記載しました。
遅筆で何度も描くから分かりやすいように、ということもあるのですが。
この「グラン・ビア」、7年かけて制作されたもの。
ただの「写真のように本物そっくりな絵」ではなく、7年もの時間をかけてまで描き留めたかった感動が詰まっているのです。
本物を目の前にしたら泣きそうなぐらい。
様々な感情が迫ってきて。
じーっと見入ってしまいます。
これが見れたのなら、、この展示はもう満足かな。
それぐらいのものがありました。
そうは思っても次の作品があります。
「トーレス・ブランカスからのマドリード」1974-82年
このあたりは大きな作品がたくさんありました。
こちらもまるで写真のよう。
が、とても明るい。
とても精密に描かれているようですが、近くで見たら以外と絵の具をベタ置きしているところも。
そうゆう状態のところがあっても写真のように見えるってことがすごい。
明るい日差しが眩しくって、スペインに行ってみたくなる。
というか、行きたい。
最後には彫刻がありました。
テーマは人体。
構想は美術学校時代からあったそうです。
「男と女」1968-94年
男と女の木彫の作品。
なんと26年もの歳月を経て完成したもの。
モデルは複数の人間が務めたそう。
当初は家族名などの親密な人物だったそうですが、最後に行き着いた先は普遍的な人間。
ものすごくスケールの大きなものを見せられた気分でした。
写真のように描くことがリアリズム絵画ではない。
様々な感情・情報が入り混じり一つの作品を構成していました。
そして歴史が描かれていました。
時間の静止と神秘性。
驚きと新鮮さと、感動と。
たくさんの感情が押し寄せてくる展示です。
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今回の記事は、男性とのかけあいが面白かったです
必死にメモをとるmarukoさんに、惹かれたのでしょうか?
先日、三井記念美術館の1年間パスポート(4000円)を買いました。
入場し放題、(同伴者1人含む)なので、夏などは涼みがてら何度も訪問する予定です。
必死にメモする割には薄い話ですが……(―ω―;)
でも、アントニオ・ロペスは本当によかったです!!
三井記念、いいですね~。
私、三井記念はぐるっとパスで入る派なのですが。
年パスで4000円はお得ですね!!
今は7月から始まる大妖怪展が楽しみで
前期と後期に分かれているので、最低2回は行くつもりです。