見てきました
Bunkamura ザ・ミュージアム
会期は2014年6月7日から2014年7月27日。
今回はラウル・デュフィ(1877-1953)
明るい色面と踊るような軽快な筆さばきで線描をする様式で知られる20世紀フランスを代表する画家です。
この展示は故郷のル・アヴールを出てパリ国立美術学校に入学する1899年から晩年にいたるまでの回顧展。
フォーヴィスムとの出会い、ブラックと共に行ったレスタックでの制作、アポリネール『動物詩集』のための木版画制作、そしてポール・ポワレとの共同制作によるテキスタイル・デザインなど、造形的な展開が順を追って展示されています。
今回2回に分けて書いていきます。
今日は「その1」です。
《第1章 1900-1910年代 造形的革新のただなかで》
1899年、美術学校で学ぶためにノルマンディー地方の港町ル・アーヴルからパリにやってきたデュフィ。
最初は印象派に共感を覚えます。
しかし、1905年マティスの「豪奢、静寂、逸楽」を見て刺激を受けます。
固有色にとらわれず、強いコントラストと堅固なフォルムによる画面構成を行うようになります。
さらに1907年、サロン・ドートンヌで行われたセザンヌの回顧展に感銘を受けます。
その翌年にはブラックとともに南仏のレスタックに滞在。
セザンヌ風の技法の体得に励みました。
「夕暮れの時ル・アヴールの港」
パリ国立美術学校で学び始めて間もなくの作品。
故郷の港を描いた作品です。
暗い色彩で描かれた夕暮れの港。
水面に映る灯り、ぼんやりと明るい空。
光がとらえられた作品です。
「サン=ジェルヴェ教会」
人物はシルエットで空には虹がかかります。
粗めのタッチで描かれた作品。
「サン=タドレスの桟橋」
当時、サン=タドレスの浜辺には木製の桟橋があって歩いて水面まで行けたのだそう。
風に揺れるテント、光りがあたり眩しいくらいの砂浜。
構図の中心は水平線。
海の青さも、光の強さを感じさせます。
「マルティーグ」
マルティーグはプロヴァンスの小さな港町。
船や並び立つ建物が水面に映りゆらゆらと揺れています。
絵の具は厚め。
「教会の広場(ジョンキエール、マルティーグ)」
ここまで展示されてきた作品のなかでは全体的に淡い色彩で描かれています。
建物に陽の光があたり、広場が照らされているかのよう。
広場に集まる人も描かれ、これまでとは違った印象です。
「サン=タドレスの浜辺」
パステル調の柔らかな色調が印象的。
年代的にはフォーヴ時代の作品ですが、激しい色使いではありません。
後の優しい色使いを感じさせる作品です。
「トゥルーヴィルのポスター」
街行く人々の後ろには3段になっている大きなポスター。
ポスターは明るい色彩で、空はどんよりと暗めの色彩で。
対比が目立ちます。
「海辺のテラス」
全体的に明るい色彩が使われ、面で色を置いているように見えます。
海辺とはいえ、海はほとんど見えず、テラスでくつろぐ人物がメインです。
「花のある自画像」
花瓶に入った花が手前に大きく描かれ、その向こうに画家がカンヴァスに向かう姿が描かれています。
そういえばデュフィは人物が少ないなぁ。。
「木々」
木炭で描かれた作品。
こういったものを見ると本当に上手いんだなぁ、と思います。
ぼかす加減なども素晴らしい。
「レスタックの木々」
1907年、サロン・ドートンヌでのセザンヌの回顧展でキュビズムに感銘を受けたデュフィ。
翌年にはキュビズムの画家、ジョルジュ・ブラックとともに南仏のマルセイユに近い漁村、レスタックを訪れました。
そこで描いた作品。
緑の木々に黄土色の土。
少ない色彩で平面的です。
「開かれた窓からの眺め」
室内には机、その上にはスイカらしき果物があり、壁には帽子が掛けられています。
窓からは街並み。
室内は暗く、大きな筆致で描かれています。
「網を持つ漁夫」
夕暮れに網を上げようとする漁師。
網もかかっている魚も派手な色。
漁師の腕は太く力強さを感じさせます。
《第2章 木版画とテキスタイル・デザイン》
1907年から1911年ごろまで、デュフィは木版画の制作に力を注ぎました。
1909円末にはミュンヘンに旅行し、ドイツの表現主義画家たちの木版画に興味を抱きます。
またこの年にはファッション・デザイナーのポール・ポワレとの出会いにより、デュフィは装飾芸術の分野に深く関わるようになります。
ポワレが設立した装飾美術学校"マルティーヌ工房"のためのグラフィック・デザインなどを手がけます。
1910年にはギヨーム・アポリネール『動物詩集あるいはオルフェウスのお供たち』の挿絵のために、登場人物であるオルフェウスや動物を描いた40点もの木版画を制作。
1911年にはポール・ポワレと共同で"小さな工場"と呼ばれるテキスタイルの製作所をつくりました。
ここで最初に制作されたテキスタイルのモティーフには、デュフィの木版画が用いられました。
1912年のはリヨンの絹織物会社ビアンキーニ=フェリエと契約を結び、1928年まで布地のデザインを提供するなど、デュフィはこの分野で長らく活動を続けました。
「愛」
抱き合う人物を草花が囲っています。
線が力強い。
「狩猟」
木の陰に隠れる人と猟犬。
木々の隙間からは街並みも見えます。
空には連なって飛ぶ鳥。
張りつめているのは人と猟犬のみでそれ以外はとてものどかな印象。
「三頭の馬」
そのタイトルどおりですが、とても装飾的。
ぱっとみでは理解しきれませんでした。
「ヨーロッパの果物」
大麦と柘榴らしきもの。
あと、鳥もいます。
こちらは麻布に版画の柄をプリントしたものです。
「アラム」
こちらも布。
植物柄ですが、アラムはカラーの仲間みたいです。
このデザインは何度か登場していました。
「ギヨーム・アポリネール『動物詩集あるいはオルフェウスとそのお供たち』」
1911年刊行のアポリネールの詩集、『動物詩集あるいはオルフェウスとそのお供たち』の挿絵です。
『ハツカネズミ』
植物が描かれていて、どこにハツカネズミが??といったかんじで探すのに苦労しました。笑
『ノミ』
こちらは画面いっぱいにどーんと描かれ探す必要性はありません。笑
なぜ、これはアップだったのでしょうか……
でも、植物を描いたりしたら、それこそ見えなくなってしまうかな。
『イルカ』
私の知っているイルカはこんな生き物ではありません。
どちらかというとクジラのほうが近そう。
なんだか不思議な生き物でした。
『タコ』
たくさんの足がくねくねとして踊っているかのよう。
「チャーリー・チャップリン」
まさか、チャップリンを文様にするとは。
左手を挙げたチャップリンが何度も何度も登場するデザインです。
「ばら」
これは一気に実用的。
刺繍っぽい形式で赤と青のバラの花が描かれています。
ここにはデュフィがデザインしたテキスタイルで作られたドレスを着た女性の写真も展示されていました。
「アラム」のドレスもありました。
布だけで見るより、人が着ているところで見た方がそのデザインの良さがわかります。
おしゃれでした。
以上、2章までを「その1」にします。
3章、4章は「その2」で取り上げます。
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Bunkamura ザ・ミュージアム
会期は2014年6月7日から2014年7月27日。
今回はラウル・デュフィ(1877-1953)
明るい色面と踊るような軽快な筆さばきで線描をする様式で知られる20世紀フランスを代表する画家です。
この展示は故郷のル・アヴールを出てパリ国立美術学校に入学する1899年から晩年にいたるまでの回顧展。
フォーヴィスムとの出会い、ブラックと共に行ったレスタックでの制作、アポリネール『動物詩集』のための木版画制作、そしてポール・ポワレとの共同制作によるテキスタイル・デザインなど、造形的な展開が順を追って展示されています。
今回2回に分けて書いていきます。
今日は「その1」です。
《第1章 1900-1910年代 造形的革新のただなかで》
1899年、美術学校で学ぶためにノルマンディー地方の港町ル・アーヴルからパリにやってきたデュフィ。
最初は印象派に共感を覚えます。
しかし、1905年マティスの「豪奢、静寂、逸楽」を見て刺激を受けます。
固有色にとらわれず、強いコントラストと堅固なフォルムによる画面構成を行うようになります。
さらに1907年、サロン・ドートンヌで行われたセザンヌの回顧展に感銘を受けます。
その翌年にはブラックとともに南仏のレスタックに滞在。
セザンヌ風の技法の体得に励みました。
「夕暮れの時ル・アヴールの港」
パリ国立美術学校で学び始めて間もなくの作品。
故郷の港を描いた作品です。
暗い色彩で描かれた夕暮れの港。
水面に映る灯り、ぼんやりと明るい空。
光がとらえられた作品です。
「サン=ジェルヴェ教会」
人物はシルエットで空には虹がかかります。
粗めのタッチで描かれた作品。
「サン=タドレスの桟橋」
当時、サン=タドレスの浜辺には木製の桟橋があって歩いて水面まで行けたのだそう。
風に揺れるテント、光りがあたり眩しいくらいの砂浜。
構図の中心は水平線。
海の青さも、光の強さを感じさせます。
「マルティーグ」
マルティーグはプロヴァンスの小さな港町。
船や並び立つ建物が水面に映りゆらゆらと揺れています。
絵の具は厚め。
「教会の広場(ジョンキエール、マルティーグ)」
ここまで展示されてきた作品のなかでは全体的に淡い色彩で描かれています。
建物に陽の光があたり、広場が照らされているかのよう。
広場に集まる人も描かれ、これまでとは違った印象です。
「サン=タドレスの浜辺」
パステル調の柔らかな色調が印象的。
年代的にはフォーヴ時代の作品ですが、激しい色使いではありません。
後の優しい色使いを感じさせる作品です。
「トゥルーヴィルのポスター」
街行く人々の後ろには3段になっている大きなポスター。
ポスターは明るい色彩で、空はどんよりと暗めの色彩で。
対比が目立ちます。
「海辺のテラス」
全体的に明るい色彩が使われ、面で色を置いているように見えます。
海辺とはいえ、海はほとんど見えず、テラスでくつろぐ人物がメインです。
「花のある自画像」
花瓶に入った花が手前に大きく描かれ、その向こうに画家がカンヴァスに向かう姿が描かれています。
そういえばデュフィは人物が少ないなぁ。。
「木々」
木炭で描かれた作品。
こういったものを見ると本当に上手いんだなぁ、と思います。
ぼかす加減なども素晴らしい。
「レスタックの木々」
1907年、サロン・ドートンヌでのセザンヌの回顧展でキュビズムに感銘を受けたデュフィ。
翌年にはキュビズムの画家、ジョルジュ・ブラックとともに南仏のマルセイユに近い漁村、レスタックを訪れました。
そこで描いた作品。
緑の木々に黄土色の土。
少ない色彩で平面的です。
「開かれた窓からの眺め」
室内には机、その上にはスイカらしき果物があり、壁には帽子が掛けられています。
窓からは街並み。
室内は暗く、大きな筆致で描かれています。
「網を持つ漁夫」
夕暮れに網を上げようとする漁師。
網もかかっている魚も派手な色。
漁師の腕は太く力強さを感じさせます。
《第2章 木版画とテキスタイル・デザイン》
1907年から1911年ごろまで、デュフィは木版画の制作に力を注ぎました。
1909円末にはミュンヘンに旅行し、ドイツの表現主義画家たちの木版画に興味を抱きます。
またこの年にはファッション・デザイナーのポール・ポワレとの出会いにより、デュフィは装飾芸術の分野に深く関わるようになります。
ポワレが設立した装飾美術学校"マルティーヌ工房"のためのグラフィック・デザインなどを手がけます。
1910年にはギヨーム・アポリネール『動物詩集あるいはオルフェウスのお供たち』の挿絵のために、登場人物であるオルフェウスや動物を描いた40点もの木版画を制作。
1911年にはポール・ポワレと共同で"小さな工場"と呼ばれるテキスタイルの製作所をつくりました。
ここで最初に制作されたテキスタイルのモティーフには、デュフィの木版画が用いられました。
1912年のはリヨンの絹織物会社ビアンキーニ=フェリエと契約を結び、1928年まで布地のデザインを提供するなど、デュフィはこの分野で長らく活動を続けました。
「愛」
抱き合う人物を草花が囲っています。
線が力強い。
「狩猟」
木の陰に隠れる人と猟犬。
木々の隙間からは街並みも見えます。
空には連なって飛ぶ鳥。
張りつめているのは人と猟犬のみでそれ以外はとてものどかな印象。
「三頭の馬」
そのタイトルどおりですが、とても装飾的。
ぱっとみでは理解しきれませんでした。
「ヨーロッパの果物」
大麦と柘榴らしきもの。
あと、鳥もいます。
こちらは麻布に版画の柄をプリントしたものです。
「アラム」
こちらも布。
植物柄ですが、アラムはカラーの仲間みたいです。
このデザインは何度か登場していました。
「ギヨーム・アポリネール『動物詩集あるいはオルフェウスとそのお供たち』」
1911年刊行のアポリネールの詩集、『動物詩集あるいはオルフェウスとそのお供たち』の挿絵です。
『ハツカネズミ』
植物が描かれていて、どこにハツカネズミが??といったかんじで探すのに苦労しました。笑
『ノミ』
こちらは画面いっぱいにどーんと描かれ探す必要性はありません。笑
なぜ、これはアップだったのでしょうか……
でも、植物を描いたりしたら、それこそ見えなくなってしまうかな。
『イルカ』
私の知っているイルカはこんな生き物ではありません。
どちらかというとクジラのほうが近そう。
なんだか不思議な生き物でした。
『タコ』
たくさんの足がくねくねとして踊っているかのよう。
「チャーリー・チャップリン」
まさか、チャップリンを文様にするとは。
左手を挙げたチャップリンが何度も何度も登場するデザインです。
「ばら」
これは一気に実用的。
刺繍っぽい形式で赤と青のバラの花が描かれています。
ここにはデュフィがデザインしたテキスタイルで作られたドレスを着た女性の写真も展示されていました。
「アラム」のドレスもありました。
布だけで見るより、人が着ているところで見た方がそのデザインの良さがわかります。
おしゃれでした。
以上、2章までを「その1」にします。
3章、4章は「その2」で取り上げます。
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