RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで ― 時を超える輝き (その2)

2014-07-19 21:30:00 | 美術
見てきました

国立西洋美術館

会期は2014年7月8日から2014年9月15日。

指輪を中心とする宝飾品約870点からなる「橋本コレクション」
国立西洋美術館に寄贈されたことを記念する企画です。
約330点の指輪が公開される本展示。
とても多いため2つに分けて書いています。
その1」は昨日書いたので、今日は「その2」です。
(記事はこちら→「橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで ― 時を超える輝き (その1)」)

《5.死と婚礼》
236「髑髏とメメント・モリ」
18世紀・おそらくイギリス
"メメント・モリ"は"死を思い出せ"という意味。
こういった人生の節目においても指輪は欠かせないものでした。

220「ギメル・リング」
17世紀
ギメル・リングとは抱き合わせると一つの指輪になるもの。
16~17世紀の中世ヨーロッパで結婚指輪として用いられはじめたのだそう。
これも重ね合わせるとハート。
開くと骸骨が見えます。
結婚して死ぬまで一緒にいることを誓うロマンティックな指輪。

223「ポージー・リング」
17世紀・イギリス
ポージーリングとは、短い詩や愛の言葉やメッセージをリングの表面や内側に刻んだ指輪のこと。
見た目はシンプルですが、"私たち二人の手と心は死ぬまで固い絆で結ばれている"とのメッセージが刻まれています。
こちらもロマンティック。

231「永遠の指輪」
19世紀前期
キーパーリング、ガードリングと呼ばれるもので、結婚指輪を守る目的のもの。
これは今日ではエタニティリングとなっているのだそう。
うーん、面白い。。。

238「エドワード4世の遺髪が納められた指輪」
1789年・イギリス
なんとこの指輪、髪の毛が入っています。
髪の毛の主、エドワード4世はイングランド国王。
薔薇戦争の第一次内乱に勝利したことにより、ヨーク朝をひらきました。
長くなるのでここまで。
そのエドワード4世はウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂に埋葬されました。
が、約300年後の18世紀末。
床の新装工事で墓が発見されました。
その際、亡骸に残る長い髪が持ち出され、指輪の中に入れられたのです。
明るい茶色のきれいな髪。
きれいに束ねられ、ガラス越しに見えます。
なんだか不思議。
有名人は亡くなった後も大変なんですね。

241「哀悼の指輪」
1741年・イギリス
黒いエナメルに金色の骸骨とちょっと派手な印象も与える指輪。
内側には故人の名前と命日が刻まれています。

《6.絵と指輪》
244「チャールズ1世のミニアチュール」
17世紀、マウントは後期・イギリス
チャールズ1世はイングランド国王。
絶対主義と議会派議員の対立からイングランド内戦となり、捕らわれ処刑されてしまいます。
この行為を無分別とみなした人々が国王を偲んでつけたもの。
指輪は歴史も語るのです。。

254「象牙で細工された庭先の風景」
1770年頃・おそらくフランス
これすごい。
2cm程度の指輪の中に象牙で庭先の風景が表現されているのです。
立体感もあって、どうやっているのか不思議。

247ダンテ・ガブリエル・ロセッティ「愛の杯」
ここでは指輪にまつわる絵画も展示されていました。
ハートをあしらった杯を持つ赤い服の女性。
背景の壁の模様、蔦の葉が装飾的で作品にリズムを生み出しています。
左手にはきらりと金の指輪が。

250エドモン=フランソワ・アマン=ジャン「日本婦人の肖像(黒木婦人)」
国立西洋美術館のコレクションの核となる松方コレクション。
描かれている黒木婦人とは松方幸次郎の姪にあたる竹子。
彼女は、日露戦争で軍功のあった陸軍大将黒木為伯爵の継子、黒木三次に嫁ぎます。
黒木夫妻は、1919年から3年ほどパリに滞在。
その際にモネやこの作品の作者アマン=ジャンと親交を持ちました。
特にモネには気に入られ、ジヴェルニーの画家の家もたびたび訪れており、幸次郎をモネに紹介したのも彼らといわれています。
この訪問によって、幸次郎は一度に16点のモネ作品を買い取ったそう。
重要な人物なんですね。
着物姿で佇む婦人。
左手の薬指にシルバーの指輪が光ります。

248グイド・レーニ「ルクレティア」
裸でシーツの上に座る女性。
視線は画面右上に向き、どこか悲しげな思いつめたような切ない表情。
ナイフを手にする右手には金色の指輪。
ルクレティアは、ローマ史に登場する女性で、タルクィニウス・コッラーティヌスの妻。
ローマ王の息子セクトゥス・タルクィニウスによる陵辱を恥じとして、短剣で胸を突いて自殺しました。
この絵は自殺直前というところでしょうか。
この事件はローマが共和制に移行するきっかけとなりました。

249ピエール=オーギュスト・ルノワール「アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)」
ルノワール初期の代表作。
縦長の構図で、登場人物の衣服、装飾品、室内の様子などエキゾチックな印象。
中央の女性が左手中指に指輪をしていますが、それ以外の装飾品が多く指輪だけに注目することは普段ないだろうな。。。

263「ローマの名所が連なるブレスレット」
1660年頃・イタリア
コロッセオ、サンピエトロ広場などグランドツアーの影響が見える作品。
装飾用というよりも、思い出とか飾り、なんでしょうか。

261リチャード・ウィルソン「ティヴォリの風景(カプリッチョ)」
"カプリッチョ"とは奇想画と呼ばれ、実在するものと空想上のものを組み合わせた都市風景画を意味しました。
前景にはヴィア・アッピア・ヌオーヴァにある古代の英雄ホラティウス兄弟の墓。
反対側にはおそらくヴィラ・メディチの彫像に基づく女性像、中景にはマエケナスの別荘が配され、古代ローマの栄華が追想されているとのこと。
ぼんやりと明るい空がなんとなくいいなぁ、と感じさせます。

《7.モードと指輪》
271「ルイ16世のシルエット」
18世紀後期・フランス
ルイ16世とマリー・アントワネットと動くとされるフランス国内にとどまる支持者と国外亡命した支持者がつけていたもの。
"反乱を促す肖像"の刻まれた指輪は忠誠心を示すものでした。
お揃いをつけて意思を表示する。
指輪っていろいろな使われ方をしていますね。

268マリー=ガブリエル・カペ「自画像」
カぺ嬢がいたよ!!
今日もお美しい。
この章では当時の代表的なドレスやそれを描いた絵画などと一緒に指輪が展示されています。
18世紀のフランスは女性が社会で活躍し始めた時代でしたが、それは美術界も同じ。
18世紀の末にエリザベート・ヴィジェ=ルブラン、アデライード・ラビーユ=ギアールという二人の傑出した画家が女性として初めて王立絵画・彫刻アカデミーの会員となりました。
このことを皮切りに、女性芸術家が増えていきます。
カぺはこうした新進女性画家のひとり。
この自画像は画家22歳のとき。
青いサテンのドレスという当時の流行の衣装に身を包み、チョークを片手にこちらを見ています。
ちょっと見下したように感じる視線がたまらないよね。
とにかく美しい。

284「気付け薬入れがつながれた指輪」
1820-40年・スイス
エナメルに植物文様の薬入れがつながれた指輪。
コレラなどの病から守るため、香水や香りの強い香料をいつでもどこでも使えるようにした容器。
これは実用的なお守り、みたいなかんじでしょうか。

289ウジェーヌ・ブーダン「トルーヴィルの浜」
浜に憩う人々を描いた作品。
今の時代では考えられないようなドレスで浜辺に行くんですね。
砂が付いちゃう……
ですが人物より空の広さ・青さのほうが目に付く作品です。

295ポール・ポワレ「イブニング・ドレス」
20世紀初頭に活躍した"ファッションの王様"とも呼ばれるデザイナー。
女性のウェストを締めつけてきたコルセットのないドレスを提案。
これはファッション史上最も画期的な発表の一つと言われています。
ここに展示されているドレスはランプシェード型のドレス。
1935年最後のコレクションのために再制作されたもの。
前衛的です。

297ジョルジュ・ルパープ「『ジョルジュ・ルパープの見たポール・ポワレの作品』より図版10」
練馬区立美術館で見た「モダン・パリの装い ファッション・プレート」展でルパープの作品を見ています。
このように実物のドレスとスケッチが一緒に展示されていると分かりやすいし、時代も意識しやすい。
あの展示と同じ年代なんだな~って、思い出せる。
見ていて思うことはお洒落で華やかな時代だなってこと。
そういった美しいものにパワーを感じます。

301マリアノ・フォルチュニィ「「デルフォス」ドレス」
マリアノ・フォルチュニィは、絵画・彫刻・写真・ 舞台芸術など、多くの分野に渡って活躍した芸術家。
このドレスは代表作でもあります。
古代ギリシャをヒントにしたそうで、細かいプリーツの施されたドレスとなっています。
これは今着てもおしゃれだなぁ。

306「ココの指輪」
1990年代・フランス
ココはココ・シャネルのこと。
シャネルが愛したふたつの「バーグ・ココ(ココの指輪)」
そのうちの一つ。
こうゆう思い入れのあるものも素敵ですね。

《8.指輪あれこれ》
339「トラベルト&ホッファー・モーブッサンのカクテル・リング」
1940年代頃・アメリカ
これはすごく素敵でした。
赤に緑、青、ピンク、黄緑、黄色……
様々な色の石がついていて、まるで花束見たい。
華やかでした。

321「カメラが隠された指輪」
1950年頃・ロシア
1950年代にロシアのスパイが使っていたもの。
フィルム1本につき4mm四方のネガ8枚、撮影できるのだそう。
なんか時代とお国柄を感じさせます。。。

319「セイコー製時計付きリング」
1960年頃・日本
セイコーもおもしろいものをつくっていました。
指輪に時計。
小さい……
実用的か否かは私には判断できかねますが。
こうゆう作品もたまにはいいよね。

326「アメリカ陸軍空挺部隊のバッジが付いたポイズン・リング」
1940年頃・アメリカ
これは名前の通り。
自害用の毒を携帯していたのです。
処刑や捕虜になる前に死ね、ということ。
1940年代といえば第二次世界大戦、そして冷戦。
様々なことが起こったとき。
実際に使われることがないのが一番いいのでしょうが……。

330「とぐろを巻いた蛇の指輪」
紀元前2-1世紀・ヘレニズム文化圏
とぐろを巻いた蛇のデザインってエキゾチックでなんだか惹かれるものがあります。
これは細くてシンプルなもの。
輝かしい時代が偲ばれます。

348ジョルジュ・ブラック「魔法使いキルケー」
1961年・フランス
キュビズムの画家、ブラックもこういったものを手がけていました。
何がいいって、名前がいい。笑

341ウェンディ・ラムショウ「メジャー」
1995年・イギリス
これはもう指輪ではなくてオブジェですよね!?
という作品。
大きいし、フープも見えなかったし……
こういったものもあるよ、ってことかな。

以上になります。
物が小さいうえにガラスケースに入っているので、混雑すると見るのが大変になりそうです。
会期末は混雑が予想されますので、気になる方はお早めに。



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