1987年に日本初の室内楽専用ホールとして開館されてから、
わずか23年後の2010年3月に閉館してしまった、お茶の水のカザルスホール。
「取り壊しや次の建築計画などせずに、これからもずっと存続を!」
と現在の所有者である日本大学に嘆願している団体、
「カザルスホールを守る会」。
今晩は、「カザルスホールを考える」というシンポジウムがありました。
パネラーは、カザルスホールに所縁がある建築家や音楽家のみなさんで、
どなたも熱くカザルスホールの素晴らしさを伝えてくれました。
この守る会の発起人でもある、岩崎淑さんのお話しは印象的。
岩崎さんは、ホールの名前でもある、パブロ・カザルスご本人に
お会いしたことがあり、直接、彼の音楽や人柄にふれていらっしゃいます。
ジュリアード音楽院時代、チェリストでもある弟の岩崎洸さんと一緒に
プエルトリコのカザルスのお宅で、一か月間のマスタークラスに
参加されたのだそうです
(以前、岩崎洸さんのチェロサロンでも、この時のカザルス邸での
特別クラスのことは、少しお話しを伺ったことがありましたが。。
*)
毎日のレッスンを通じて、カザルスは偉大な音楽家だけでなく、
人間味あふれたとてもやさしいお人柄の方だと感じられたそう。
そんな偉大な音楽家がホールの名前の由来になったのは、
当時、ホールを企画された方の申し出によるものだったようです。
そのお願いに対し、マルタ・カザルス婦人は、
「毎日のようにクラシックを聴かせてくれるような音楽ホールにして下さい」
と承諾されたのだそうです。
建築家の方のお話しによれば、ホールは「生きている」とも。
このようなホールは、長く年月を経て馴染んでいき、オルガンとも一体となって
いいホールとしての成果を出せるというもの。
まだ23年しか生きていないカザルスホールは、まだまだこれから
成長していくべきなのだそうです。
この立派な歴史的にも価値があるホールを、どうか近い将来、
未来を担う学生をはじめ、一般の人々にも扉を開いて
文化を育てていくところとして、
大学側が受け入れてくれることを
心より願います。
今日は、お話を聴きにシンポジウムに行ってよかった。
そしていつの日か、またもう1度、カザルスホールへ音楽を聴きに行きたい。
始まりと終わりには、岩崎洸さん、堀了介さん、堀沙也香さんによる
チェロ3重奏の演奏がありました。
ピアノ伴奏は、岩崎淑さん。
オープニング:D・ポッパー作曲「レクイエム」
(カザルスホールのオープニングに岩崎淑さんが演奏した曲)
クロージング:パブロ・カザルス編曲 カタルーニア民謡「鳥の歌」
(カザルスが国連で、平和を願うために特別に演奏した曲)