寝起きの馬

つい先日のこと。

ファームステイした牧場で、洗い場の馬たちの手入れをしていると、ドライブ途中らしい家族連れが馬のそばにやってきた。

顔の前に手を出しては引っ込めているので、馬は草食動物だから横に視野が広く、真っ正面が一番に死角になること、鼻を撫でるときは、いきなり真っ正面から手を出すと驚くので、横に立って、視界に入るように手を伸ばせばおとなしくする、など教えて差し上げた。

馬の瞳孔が、ヤギなどと同じように横に細長い、というと、覗き込んではしゃぐおばちゃん。
「あら、ホント！ほら、○○ちゃん、来てごらん！」
「わぁ、おもしろいわね～。」
「あ、そうだわ、馬って寝るときも立ってるって聞いたんだけど、ホントなの？」

馬が立って寝るというのは間違いでもないが、ちょっと違う。

「こうやって洗い場に繋がれているときとか立ったままでも、コックリコックリ眠ったりもしますけどね。馬にもよりますけど、馬房で寝るときは、脚を折って座って寝たりもしますよ。」

「あら、そうなの～。馬も座るのね?!」

たしかに、繋がれている馬はまず座らないから目にすることは少ないが、馬房を掃除し、敷き藁やおが粉を新しくしてやると、コロンと転がってみせたりするし、実際、座って寝ているところを見たことがある。

もっとも、草食動物は外敵から身を守る習性からか、あまり熟睡しないらしい。
馬の睡眠時間も2時間程度で小刻みに起きるので、立ったままで寝るそれも、りっぱな睡眠時間かもしれない。

が、いずれにしても馬も座れるのだ。