前回の記事の続きです。
今回は、兵庫県篠山市が、30km圏外の自治体が安定ヨウ素剤を市民に事前配布したという、全国初のケースになったことについて、詳しくお伝えしたいと思います。
原発は、一基残らず、即刻運転を停止し、廃炉を実現させよという声を高めていかなければなりません。
しかも、今、政府が国民の声を無視し、暴力的に再稼働を推し進めている原発は、4年以上という長い時間止まっていたものです。
そのような長い期間運転されていなかった原発を再び稼働させることが、いかに危険なことか。
新しい原発を稼働させることとは、全く意味が違います。
だから、現実を見れば、また起こるかもしれない原発の過酷事故に備え、いざという時のための行動をしっかりと決めておかなければなりません。
この篠山市の試みが、全国にわーっと広がっていくことを願い、守田さんの記事をここで紹介させていただきます。
↓以下、転載はじめ
原発再稼働をみすえヨウ素剤配布など民衆の側からの災害対策を進めよう!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0b36f4389ea5fc160d7d87b29dbdf2fe
このところ、高浜原発再稼働問題の記事を連投しています。
とくに4号機の問題にフォーカスしていますが、前々回の記事に書いたように、 今、目前で起こっているトラブルの連続は、本質的には、
4年以上も停まっていた原発が必然的に起こしている不具合の連続でもあります。
この点を考えるならば、稼働中の川内1号機、2号機、高浜3号機も、大変危険であることが分かります。
即刻運転を停止せよと言う声を、高めていきましょう。
同時に、非常に大きな危険性の前に私たちが立っている以上、いざという時の大事故の発生への備えを逞しくしていく必要性があります。
その前に原発を停止させたいのはやまやまですが、しかしたった今も稼働しているのですから、明日に、いや数時間後に、大事故が発生するかもしれません。
私たちは、このリアリティを立ち切る必要性があります。
「危険だ!危険だ!」と言いつつも、事故への遭遇を心の底から避けたいと思っている私たちには、 「そうは言っても明日は大丈夫だろう」という気持ちが忍び込んでもくるからです。
確かに、明日は大丈夫な可能性が高いかもしれません。
昨日も一昨日も大丈夫だったからです。
しかし、そんな気持ちの積み重ねの上に、私たちは福島原発事故を迎えてしまったのではなかったでしょうか。
だからこそ、危険性を危険性として正しく認識するためにも、私たちには、事故が起こった時を想定し、対策を練っておくことが必要なのです。
では、原発事故対策の核心は何かと言うと、重大事故がおこったら「とっとと逃げだす」ことです。
同時に、いかに逃げるのかを普段からできるだけリアルに考えた、「シミュレーションを持っておく」ことです。
2014年5月に、福井地裁樋口裁判長が、大飯原発運転差し止めを命じた画期的な判決を出してくださいましたが、 その主文で言われたことは、
「関西電力は、原発から半径250キロ以内に居住する原告166人との関係で、原発を動かしてはならない」というものでした。
原発事故が、半径250キロに被害を及ぼし得ると断定したわけですが、
根拠は、2011年3月25日に、内閣府原子力安全委員会の近藤委員長が首相に提出した、最悪時を想定した通称「近藤シナリオ」でした。
4号機の燃料プールの放射能がすべて出てしまったら、半径170キロは強制移住、東京を含む半径250キロが希望者を含む避難ゾーンになるというもので、
当時、政府は、このシナリオに基づいて動いていました。
しかし、僕の計算では、これでもまだ最悪の場合とは言えません。
あのとき福島第一原発には、燃料棒の数にして、4号機のプールの6倍もの放射性物質がありました。
しかも、近隣の第二原発にも、これに匹敵するほどの核燃料がありました。
近藤シナリオは、この中の、4号機のプールの核燃料の放射能漏れを想定したものに過ぎないのです。
これに対し、福島第一原発の故吉田所長は、
「チェルノブイリ級はなくてチャイナシンドローム」
「われわれのイメージでは、東日本壊滅ですよ」と語っています。
いや、チェルノブイリ原発事故でも、例えば1000キロ離れたトルコの黒海沿岸部でも、大変な量の被曝が起こっています。
放射能は、1000キロを越えて、甚大な被曝を引き起こし得るのです。
実際の事故では、最悪のケースから、もっとも被害の少ないケースまで、どこで収まるか分かりません。
だからこそ、事故時の心得は、放射能被曝を少しでも減らすべく、最大限の努力をすることです。
可能性にかけて、懸命に逃げることです。
そしてその際に、安定ヨウ素剤を飲んで逃げることが大事なのです。
原子炉から飛散する放射能の中でも、大量に生成され、かつ原子炉から出てきやすいものが、放射性ヨウ素だからです。
同時に、この放射能は、薬で被害を軽減できるほぼ唯一の放射能です。
もちろん、放射性ヨウ素が飛んでくる時は、他の放射能も飛んできます。
だから、ヨウ素剤を飲めば大丈夫なのではありません。
あくまでも、これを飲んで「とっとと逃げる」ことが大事なのです。
以上の点に基づき、僕が原子力災害対策検討委員会の委員を務めている兵庫県篠山市は、この1月31日から、市民への安定ヨウ素剤の事前配布を開始しました。
事前配布は、 いざ重大事故が発生し、混乱も予測されるときに、安定ヨウ素剤を配ることを想定するのは難しいこと、
また放射能降る中、ヨウ素剤を取りに行ったり、配ったりするのは不合理であり、その時間にとっとと逃げて欲しいと思うからです。
同時に、極めて重要な点は、人はいきなり薬を渡されても、その効能や副作用などについて飲み込めないと、俄かに服用することが難しいからでもあります。
その点でも、薬は事前に配布しておくことが望ましいのです。
もう一つ大事なことがあります。
この薬を手にし、説明を受けると、原発事故に対するリアリティを感じることになることです。
その点で、安定ヨウ素剤配布は、大きな意識啓発になります。
実は、政府がこれまで、安定ヨウ素剤の配布を行ってこなかったこと、
また、福島原発事故後でも5キロ圏内にとどめている最大の理由が、ここにあります。
安定ヨウ素剤を手にすることは、原発の危険性を知ることなので、配りたくないのです。
その姿勢こそが、福島県でも大量の備蓄がなされていたのに、ほとんど配られなかった結果を生みました。
その意味で、安定ヨウ素剤を持つことこそ、原発の危険性を周知していくことなのだ、ということを知って下さい。
これらの点から、篠山市では、何段階にわたる事前学習会を重ねて、ようやく事前配布まで漕ぎ着きました。
それまで2年近くをかけて、各レベルでの学習の積み上げをしてきています。
ぜひこれにならって、各地で、安定ヨウ素剤の配布に向けた努力を重ねて下さい。
それと学習を重ね合わせ、安定ヨウ素剤が万能薬ではないこと、これを飲んで「とっとと逃げる」ことこそが重要であることを、周知徹底してください。
参考資料として、毎日放送が編集して下さった当日のニュースの動画(1分)と、ちちんぷいぷいという特集番組の動画(16分)のアドレスを示しておきます。
良くできているので、ぜひご覧下さい。 (まうみ注・↓以下、文字起こししました)
安定ヨウ素剤事前配布 https://www.facebook.com/toshiya.morita.90/videos/10206896106819511/?pnref=story
↓以下、文字起こしはじめ
原発事故が起きた際に、甲状腺癌などを防ぐため、兵庫県篠山市は、安定ヨウ素剤の事前配布を始めました。
安定ヨウ素剤は、服用すると、甲状腺の内部被ばくを抑える効果があるとされ、 国は、原発から30km県内の自治体に対し、備蓄を求めています。
最も近い福井県の高浜原発から、およそ50km離れている篠山市は、5万人分の安定ヨウ素剤を備蓄していますが、
実際に事故が起きれば、混乱で市民に行き届かなくなる恐れもあるとして、事前配布を始めました。
市民:
子どもたちに何かないようにするっていう事前配布っていうのは、まあ心強いかなあというのは思います。
(高浜原発が)再稼働したことに対する不安な気持ちはあります。 こういうのが必要な時がきたら怖いなあとか。
30km圏外の自治体が配布するのは、全国で初めてだということです。
原発事故から子どもたちをどう守る?篠山市がヨウ素剤を事前配布 http://www.dailymotion.com/video/x3smqqd
↓以下、文字起こしはじめ
原発事故から子どもたちをどう守る?
~兵庫県篠山市がヨウ素剤を事前配布~
安倍政権になって、原発事故の話、あまりテーマとして上がってこない。原発そのものも…。
まあ再稼働はね、ニュースで時々出てきますが、内閣としてはもう、それは電力会社と裁判の問題やからという感じですか。
むしろ安倍さんの目立つのは、原発輸出の方にすごく力を入れてるっていうのが見えますね。
今日は、その原発事故から子どもを守るために、兵庫県篠山市が、ヨウ素剤を家に配った、という話なんです。
福井県の高浜(原発)3号機が再稼働しました。
4号機も、今現在、核燃料の搬入作業が完了しまして、これはまあ、再稼働してもゆっくり出力を上げていって、いわゆる営業運転になるのには少し時間がかかります。
今月下旬にも、営業運転になる見通しなんですが、そんな中、
山広さんもよくおっしゃいます、この原発の30kmの壁ですよ。
ここの若狭湾の所というのは、日本の43ある原発のうち、15基が集中していますから、原発銀座と呼ばれてるんですが、
さあこの、原発から30kmのところに線を引いて、この中の自治体は、万一の時は事故対応のために、避難計画とかを作ってくださいとなってますね。
ところが、30kmからちょっと出たとこは、まあ言うたら、(そういうことを)しろとは言われてないわけですよ。
国としての財政的な後ろ盾も、だから無いわけですよね。
そのへんで、30kmからちょっと外の自治体は、不安がってるわけですよねこれ。
そうですね。
でも、その30km圏内も、避難計画作ったわけですけど、どれぐらい、じゃあ本当に、実効性があるのかということも含めて…。
一番困るのは、向こうから、放射能を浴びて汚染された人が来た時に、ちょっと待ってと。
どうスクリーニングするのもこれ、難しいことですもんね。
まあこの30kmラインというのもまだまだ問題があるんですが、
若い世代の被ばくによる、甲状腺がんの発症を減らすために、30km圏内の自治体は、常に安定ヨウ素剤を役所内に持っといてくださいねとなってるわけです。
ちょっと今から医学の話をします。
甲状腺というのは、ちょうど喉仏のところ辺りにある、ホルモンを作るとこやと思ってください。
甲状腺ホルモンというのは、人間の成長に非常に必要なものなんです。
特にだから、子どもにとっては大事。
で、甲状腺は、ホルモンを作る時に、ヨウ素を原料にします。
ヨウ素というのは、昆布わかめとかによう(たくさん)入ってますね。
だから、昆布やわかめを食べて、そこに入っているヨウ素で、甲状腺は甲状腺ホルモンを作るんですが、
原発事故なんかで漏れてくる、放射性ヨウ素が入ってきた時に、甲状腺は、あ、オレの好きなヨウ素が入ってきたっていうて取り入れていくわけです。
そうすると、がんを発症する恐れがあるので、原発事故が起こったと思ったら、放射性ヨウ素が入る前にヨウ素を飲んで、ここ(甲状腺)をいっぱいにしちゃうんです。
そうしたら、放射性ヨウ素が来ても、もう満員やから入りません、となるわけです。
普通のヨウ素で満たしちゃうわけですよ。
極端な話、パクパクパクパクッて昆布を食えばいいんですけど、そんな大量をいっときに昆布食べられないから、こういうヨウ素剤ってのがあるわけですね。
これ、後でお見せしますけど、ちょうど仁丹ぐらいの大きさ。
で、効果が24時間。
ですから、24時間のうちに、放射性ヨウ素の無いところへ逃げてください、ということなんです。
救急用のということですね。
そうなんです。
で、福島の原発事故の時、実は原発近くの自治体は(ヨウ素剤を)持ってたんですが、わーってなった時に、はい、並んでよ、配りますってことにならんかった。
わーっとなって終わってしまった。
で、ごく少数しか配布できなかった。
そして政府は、事故との因果関係を否定していますが、この福島の原発周辺で、100人を超える甲状腺がんが確認されています。疑いも含めて。
めちゃくちゃ多い数ですこれ。
普通はね、これぐらいの人口やったら4,5人のところなんです。
現在、5km圏内では、だからもういざとなったらできないのだから、もう配っときましょうよとなってるんですけどね。
チェルノブイリでは、被ばくした子どもたちに、甲状腺がんが発症しました。
なので、ひとつ、50ミリシーベルトという基準を作って、それを超えそうな場合は飲ませてください。
で、そんな中、けっこうショッキングなデータが出てきた。
これは、兵庫県が作成した、大飯原発とか高浜原発が、もし万が一事故を起こした時に、放射性物質がどれぐらい飛散して、1歳の子が7日間でどれぐらい被ばくするかというシミュレーションなんです。
実はこれは、いろんなパターンで作ってます。
これは、篠山市が、この辺りが、最悪のパターンになるケースとして作ったものです。
となると、なんと、ここ(大飯原発)で事故が起こってるのに、もう下は姫路までが、ヨウ素を飲まなくてはいけない基準の3倍以上の放射性ヨウ素(が来ている)。
これ最悪のパターンですよ。
これ北風やから冬場ですわ、1月ぐらいです。
丸の、正円の30km圏内っていうこの目安自体がなんか、あんまり意味が無い。
で、篠山市がね、おいおいと。
これ、30kmどころやない、うちが入っとるで、しかも一番濃いぞとなって、
でも、ここ(正円30㎞圏内)以外のとこは勝手にせいの話になってますから、わかったと。
ということで、こういうのを配ることになった。
これ、ヨウ素が入ってるんです。
ちっこいもんです、ヨウ素自体は。
二粒入ってます。仁丹ぐらいの大きさです。
中学生が二つ、小学生やったら一つです。
一回分ですか。
一回分です。
で、これ飲んで、24時間以内に避難してくれ、ということなんですわ。
これを日本で初めて、30km圏外でのヨウ素剤の事前配布をした篠山市を、取材しました。
ナレーション:
兵庫県篠山市、人口およそ4万3000人。
城下町情緒あふれる、観光と農業の町です。
再稼働した高浜原発からは、50km近く離れています。
先月篠山市は、3歳以上の市民に向け、安定ヨウ素剤の事前配布を始めました。
原発から30km圏外では、初めてです。
篠山市民:
いいことやと思うんですけど、できたらお薬使わんと済んだらうれしいと思うんですけどね。
(原発から)離れてても、風向きによって放射性物質が飛んでくるっていうふうに聞いたんで、不安がね…。
篠山市民:
再稼働したことに対する不安な気持ちがあります。
やっぱりこういうの(ヨウ素剤)が必要なときがきたら怖いなーとか。
ナレーション:
少子化が進んでいますが、会場に入りきれないほどの親子連れが集まりました。
最初に、アレルギー反応の有無など、健康状態の確認などが行われました。
篠山市長が取材に応じました。
酒井隆明篠山市長:
服用すればね、すべてが安全だということではありません。
まあしかし、自治体にとりましては、できることということになりましたら、こういうことしかありませんし。
ナレーション:
医師による説明会も、何度も行われています。
兵庫医科大学の医師:
甲状腺ホルモンは、体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする働きがあります。
甲状腺に放射性ヨウ素を取り込むと、将来、甲状腺がんなどを発症する恐れがあります。
特に、成長期にある子どもなど、若年層に影響があります。
ナレーション:
事故から24時間以内に服用すると、甲状腺がんの発症を減らすことができます。
吐き気などの副作用や、服用の仕方についての説明も、繰り返し行われました。
兵庫医科大学の医師:
妊娠されてる方が、この安定ヨウ素剤を飲んだときに、胎児、お腹の中の子どもに影響を及ぼす可能性がある、といわれています。
ナレーション:
大半の市民は、事前配布を評価していましたが、事故を身近に感じると、不安を口にする母親も少なくありません。
母親:
万一のこと(原発事故)があることもあるんだなと、すごく切実に感じました。
このヨウ素剤を配ってもらうことはどういうことかっていうことを、(我が子に)少し説明したんですけど、
「私は病気になったり死んだりするんかな」と言って泣いてたんです。
それがすごい、子どもをこんなに不安にさせることなんやなって思いました。
ナレーション:
事前配布ですが、政府は5km圏内、避難計画作成も30km圏内以外は必要ない、としています。
酒井隆明篠山市長:
(原発から)30kmを超えるとじゃあ絶対安心かというようなことは、実際50kmでもそういうもの(放射性物質)は飛散しますから、
やはり50kmの自治体にとりましても、できることはきちんとやるべき責任があるんじゃないかと。
ナレーション:
篠山市に衝撃を与えたのは、兵庫県による(原発)事故時の放射性物質の拡散予測でした。
一歳児の被ばく線量が、ヨウ素剤服用基準を、大幅に超えていたのです。
酒井隆明篠山市長:
篠山にも、安定ヨウ素剤服用の基準の3倍を超えるような、放射性物質が飛散してくる可能性がある。
ナレーション:
服用基準は、チェルノブイリ原発事故(1986年ウクライナ)による、甲状腺がん調査から作られました。
篠山市の大半の地域が、基準の2倍以上で、危機感を募らせたのです。
酒井隆明篠山市長:
市民とか専門家を入れて、検討会を設けて検討しましたけれども、やはりこの避難とともに、安定ヨウ素剤の事前配布、服用が必要だというような結論になりました。
ナレーション:
篠山市は、事前配布を実現するため、3年あまり、市民を交えた議論を重ねてきました。
薬物配布に際し、医師の説明を必要とする法律との兼ね合いなど、課題は山積みでした。
予算の確保も問題でした。
酒井隆明篠山市長:
(安定ヨウ素剤)一丸が6円という、非常に安価なものですから、そのもののお金はそれほどかからないんですけれども、
やはり安全に配布する、安全に管理をしてもらわなければいけませんので、こういった説明会、お医者さんや薬剤師さんの協力も必要ですし、
多くの職員も、こういった配布の手続きに加わる必要がありますので、それの負担がやはり大きいと思います。
ナレーション:
ヨウ素剤は2万個用意しました。
費用は12万円と、大きな額ではありませんが、説明会開催費や医師への支払いなどで、合計592万円かかりました。
篠山市は、政府に支援を要請しましたが、受けられず、独自負担しました。
市民:
(原発事故が)起こってからもらいに行くような感じだと、落ち着いて話聞けないと思うんですけど、
こうやって前もってもらっといたら、冷静に話を聞けた。
ナレーション:
福島の原発事故では、ヨウ素剤の配布は徹底されず、不必要な被ばくに至りました。
事故後の検査でも、100人を超える甲状腺がんが確認されています。
政府の事故への備えは、十分と言えるのでしょうか?
酒井隆明篠山市長:
他(の自治体)に先駆けての取り組みとなりますけれども、こういったことが良い例として広がればと思っておりますけども、
篠山市は篠山市として、できるだけのことをやる、そういうことです。
スタジオ:
さっきの地図をもう一度出してください。
これは、こっちから強い風が(東北から西南に)吹いていると想定してますね。
そうすると、篠山どころか姫路ですら、飲まなあかん量の倍はいくんですわ、被ばく量が。
兵庫県が作ったからこうですけど、風向きがこうなったら(南下する)、大阪だってそら、可能性無きにしもあらずですわな。
で、篠山市はおっしゃってます。
何よりも大事なのは避難です。
国は、事故対策を30km圏内にしていますが、圏外でも危険は否定できません。
ヨウ素剤は万能ではありませんが、できる限りの備えをする責任があります。
これ、劇薬なんですよね。
だから、お医者さんがちゃんと説明してくださいとなってるんです。
で、そんないちいちね、そんなうわーっとなってる時にね、皆さん説明しますねーって…無理やと思うから、事前に説明会を開きましたと。
で、説明会、ぎょうさん来てはりましたよね。
関心高いですね、やっぱり。
もうぎっしりだったんですって。
篠山市では、2月は毎週末に、事前配布と説明会を実施していますが、他の自治体からも見学に来てるそうです。
どんなふうにやってんのかな、ということですね。
で、篠山の場合は、人口が4万3000人なのでなんとかなるんですが、大都市になった場合、それだけの人間に説明会を開けるのか、という問題もある。
例えばね、大阪都構想の時、できるだけ説明会開きましたやん。
やれんことはないと思いますけど、じゃあお金はどうするの、とかね、問題が出てきます。
あと、副作用がございます。
だからお医者さんがちゃんと説明せなあかん、ということなんですね。
あと、妊婦さんは飲んじゃだめ。
一歳未満の子も飲ましちゃだめ。
一歳未満の子はね、それやったら昆布飴擦りつぶして飲ませる、でいいんですって。
*まうみ注:
この副作用のところで、守田さんからの大切な訂正があります。
ここには少々誤りがあります。
最後の方で、「妊婦と1歳未満の子は飲んではいけない」と語っているところです。
この点は、篠山市の側の説明も不明確な点があったので、毎日放送の責任とは言えないのですが。
飲んではいけないということではありません。
確かに、胎児に対する非常に小さなリスクはありますが、それよりも、母体と胎児を守るメリットの方が断然高いので飲むべきだ、というのが私たち検討委員会の結論です。
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↓文字おこし続き
自治体としてやれることを精一杯おやりになっているんだと思いますけど、
国策で高浜を再稼働するって言ってんだから、国が面倒見るべきなんですよ、こういったこともね。
まあ、予算がけっこう大変だとおっしゃってました。
やっぱりお医者さんに必ず来てもらわなければいけませんし、こういう入れ物だってこれぐらいにしておかないと、これだけ渡したら絶対に間違って飲んじゃう。
どこか行っちゃうとかね。
実際、こういう時のメディアだから、こういうのをやってもらったらありがたいし、ちょいちょいやってもらいたいですね、忘れんうちにね。
ヨウ素自体は1個6円と安いので、別にそんな、べらぼうにお金がかかる事業でも無いと思うんでね。
事前配布というのは、篠山のケースから学ぶべきかなと思うんです。
今日は、ヨウ素剤を事前配布しました、兵庫県の篠山市のケースについてお伝えいたしました。
↑以上、文字起こしおわり
******* ******* ******* ******* *******
特に、ちちんぷいぷいの動画は、非常によくまとめられています。
僕が語って欲しいと思う内容が、極めて的確に語られています。
一番重要なのは避難であることも語られています。
酒井隆明市長もコメントしていますが、一番良いところがピックアップされています。
しかし、少々誤りがあります。
最後の方で、「妊婦と1歳未満の子は飲んではいけない」と語っているところです。
この点は、篠山市の側の説明も不明確な点があったので、毎日放送の責任とは言えないのですが、そんなことはありません。
確かに、胎児に対する非常に小さなリスクはありますが、それよりも、母体と胎児を守るメリットの方が断然高いので飲むべきだ、というのが私たち検討委員会の結論です。
この点を頭に入れて、ご覧下さい。
さらにより詳しいことを知るために、私たちの委員会が篠山市長と市民に提出した、「原子力災害対策計画に向けての提言」をご紹介しておきます。
とくに「第4章 被曝防護の安定ヨウ素剤の服用」は、これまで日本で出されているどの文献よりも、この問題を深く掘り下げて書いてあると自負しています。
ぜひご一読ください。
以下にアドレスを示しておきます。
原子力災害対策計画に向けての提言 http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/assets/2015/06/teigensyo.pdf
より進んで原発事故対策を学びたい方に、昨秋に緊急出版した僕の著書を、強くお勧めしておきます。
以下の注文書を、書店にお持ちください。
『原発からの命の守り方』 http://greens.gr.jp/uploads/2015/08/morita_kinkan_tirasi.pdf
本書は、日本図書館協会選定図書にも選ばれています。
そのことを含む出版元の海象社さんのページも、ご紹介しておきます。
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo59.html
なお、安定ヨウ素剤について、そうはいってもなかなか行政が動いてくれないので、すぐに欲しいと言う方のために、僕が前から購入先としているところをお教えしておきます。
シンガポールからの並行輸入になります。
ただし、国内で買えば100丸600円の薬が、3830円(送料込み)で売られています。
ぼったくりなのでご紹介することをはばかる気持ちもあるのですが、今はやむを得ないと考えて、お知らせしておきます。
ファミリー薬局シンガポール ヨウ化カリウム丸50mg「日医工」:100丸入3830円
http://sg.mimaki-family.com/products/31887/
以上、危険な原発を止めよという声を高めながら、同時にその危険性ときちんと向かい合い続けるためにも、原発災害対策を進めましょう!
それがまた、私たちが核の脅威から解放される日を、近づけることにつながるのです!
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守田敏也
MORITA Toshiya [blog] http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
[website] http://toshikyoto.com/
[twitter] https://twitter.com/toshikyoto
[facebook] https://www.facebook.com/toshiya.morita.90
今回は、兵庫県篠山市が、30km圏外の自治体が安定ヨウ素剤を市民に事前配布したという、全国初のケースになったことについて、詳しくお伝えしたいと思います。
原発は、一基残らず、即刻運転を停止し、廃炉を実現させよという声を高めていかなければなりません。
しかも、今、政府が国民の声を無視し、暴力的に再稼働を推し進めている原発は、4年以上という長い時間止まっていたものです。
そのような長い期間運転されていなかった原発を再び稼働させることが、いかに危険なことか。
新しい原発を稼働させることとは、全く意味が違います。
だから、現実を見れば、また起こるかもしれない原発の過酷事故に備え、いざという時のための行動をしっかりと決めておかなければなりません。
この篠山市の試みが、全国にわーっと広がっていくことを願い、守田さんの記事をここで紹介させていただきます。
↓以下、転載はじめ
原発再稼働をみすえヨウ素剤配布など民衆の側からの災害対策を進めよう!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0b36f4389ea5fc160d7d87b29dbdf2fe
このところ、高浜原発再稼働問題の記事を連投しています。
とくに4号機の問題にフォーカスしていますが、前々回の記事に書いたように、 今、目前で起こっているトラブルの連続は、本質的には、
4年以上も停まっていた原発が必然的に起こしている不具合の連続でもあります。
この点を考えるならば、稼働中の川内1号機、2号機、高浜3号機も、大変危険であることが分かります。
即刻運転を停止せよと言う声を、高めていきましょう。
同時に、非常に大きな危険性の前に私たちが立っている以上、いざという時の大事故の発生への備えを逞しくしていく必要性があります。
その前に原発を停止させたいのはやまやまですが、しかしたった今も稼働しているのですから、明日に、いや数時間後に、大事故が発生するかもしれません。
私たちは、このリアリティを立ち切る必要性があります。
「危険だ!危険だ!」と言いつつも、事故への遭遇を心の底から避けたいと思っている私たちには、 「そうは言っても明日は大丈夫だろう」という気持ちが忍び込んでもくるからです。
確かに、明日は大丈夫な可能性が高いかもしれません。
昨日も一昨日も大丈夫だったからです。
しかし、そんな気持ちの積み重ねの上に、私たちは福島原発事故を迎えてしまったのではなかったでしょうか。
だからこそ、危険性を危険性として正しく認識するためにも、私たちには、事故が起こった時を想定し、対策を練っておくことが必要なのです。
では、原発事故対策の核心は何かと言うと、重大事故がおこったら「とっとと逃げだす」ことです。
同時に、いかに逃げるのかを普段からできるだけリアルに考えた、「シミュレーションを持っておく」ことです。
2014年5月に、福井地裁樋口裁判長が、大飯原発運転差し止めを命じた画期的な判決を出してくださいましたが、 その主文で言われたことは、
「関西電力は、原発から半径250キロ以内に居住する原告166人との関係で、原発を動かしてはならない」というものでした。
原発事故が、半径250キロに被害を及ぼし得ると断定したわけですが、
根拠は、2011年3月25日に、内閣府原子力安全委員会の近藤委員長が首相に提出した、最悪時を想定した通称「近藤シナリオ」でした。
4号機の燃料プールの放射能がすべて出てしまったら、半径170キロは強制移住、東京を含む半径250キロが希望者を含む避難ゾーンになるというもので、
当時、政府は、このシナリオに基づいて動いていました。
しかし、僕の計算では、これでもまだ最悪の場合とは言えません。
あのとき福島第一原発には、燃料棒の数にして、4号機のプールの6倍もの放射性物質がありました。
しかも、近隣の第二原発にも、これに匹敵するほどの核燃料がありました。
近藤シナリオは、この中の、4号機のプールの核燃料の放射能漏れを想定したものに過ぎないのです。
これに対し、福島第一原発の故吉田所長は、
「チェルノブイリ級はなくてチャイナシンドローム」
「われわれのイメージでは、東日本壊滅ですよ」と語っています。
いや、チェルノブイリ原発事故でも、例えば1000キロ離れたトルコの黒海沿岸部でも、大変な量の被曝が起こっています。
放射能は、1000キロを越えて、甚大な被曝を引き起こし得るのです。
実際の事故では、最悪のケースから、もっとも被害の少ないケースまで、どこで収まるか分かりません。
だからこそ、事故時の心得は、放射能被曝を少しでも減らすべく、最大限の努力をすることです。
可能性にかけて、懸命に逃げることです。
そしてその際に、安定ヨウ素剤を飲んで逃げることが大事なのです。
原子炉から飛散する放射能の中でも、大量に生成され、かつ原子炉から出てきやすいものが、放射性ヨウ素だからです。
同時に、この放射能は、薬で被害を軽減できるほぼ唯一の放射能です。
もちろん、放射性ヨウ素が飛んでくる時は、他の放射能も飛んできます。
だから、ヨウ素剤を飲めば大丈夫なのではありません。
あくまでも、これを飲んで「とっとと逃げる」ことが大事なのです。
以上の点に基づき、僕が原子力災害対策検討委員会の委員を務めている兵庫県篠山市は、この1月31日から、市民への安定ヨウ素剤の事前配布を開始しました。
事前配布は、 いざ重大事故が発生し、混乱も予測されるときに、安定ヨウ素剤を配ることを想定するのは難しいこと、
また放射能降る中、ヨウ素剤を取りに行ったり、配ったりするのは不合理であり、その時間にとっとと逃げて欲しいと思うからです。
同時に、極めて重要な点は、人はいきなり薬を渡されても、その効能や副作用などについて飲み込めないと、俄かに服用することが難しいからでもあります。
その点でも、薬は事前に配布しておくことが望ましいのです。
もう一つ大事なことがあります。
この薬を手にし、説明を受けると、原発事故に対するリアリティを感じることになることです。
その点で、安定ヨウ素剤配布は、大きな意識啓発になります。
実は、政府がこれまで、安定ヨウ素剤の配布を行ってこなかったこと、
また、福島原発事故後でも5キロ圏内にとどめている最大の理由が、ここにあります。
安定ヨウ素剤を手にすることは、原発の危険性を知ることなので、配りたくないのです。
その姿勢こそが、福島県でも大量の備蓄がなされていたのに、ほとんど配られなかった結果を生みました。
その意味で、安定ヨウ素剤を持つことこそ、原発の危険性を周知していくことなのだ、ということを知って下さい。
これらの点から、篠山市では、何段階にわたる事前学習会を重ねて、ようやく事前配布まで漕ぎ着きました。
それまで2年近くをかけて、各レベルでの学習の積み上げをしてきています。
ぜひこれにならって、各地で、安定ヨウ素剤の配布に向けた努力を重ねて下さい。
それと学習を重ね合わせ、安定ヨウ素剤が万能薬ではないこと、これを飲んで「とっとと逃げる」ことこそが重要であることを、周知徹底してください。
参考資料として、毎日放送が編集して下さった当日のニュースの動画(1分)と、ちちんぷいぷいという特集番組の動画(16分)のアドレスを示しておきます。
良くできているので、ぜひご覧下さい。 (まうみ注・↓以下、文字起こししました)
安定ヨウ素剤事前配布 https://www.facebook.com/toshiya.morita.90/videos/10206896106819511/?pnref=story
↓以下、文字起こしはじめ
原発事故が起きた際に、甲状腺癌などを防ぐため、兵庫県篠山市は、安定ヨウ素剤の事前配布を始めました。
安定ヨウ素剤は、服用すると、甲状腺の内部被ばくを抑える効果があるとされ、 国は、原発から30km県内の自治体に対し、備蓄を求めています。
最も近い福井県の高浜原発から、およそ50km離れている篠山市は、5万人分の安定ヨウ素剤を備蓄していますが、
実際に事故が起きれば、混乱で市民に行き届かなくなる恐れもあるとして、事前配布を始めました。
市民:
子どもたちに何かないようにするっていう事前配布っていうのは、まあ心強いかなあというのは思います。
(高浜原発が)再稼働したことに対する不安な気持ちはあります。 こういうのが必要な時がきたら怖いなあとか。
30km圏外の自治体が配布するのは、全国で初めてだということです。
原発事故から子どもたちをどう守る?篠山市がヨウ素剤を事前配布 http://www.dailymotion.com/video/x3smqqd
↓以下、文字起こしはじめ
原発事故から子どもたちをどう守る?
~兵庫県篠山市がヨウ素剤を事前配布~
安倍政権になって、原発事故の話、あまりテーマとして上がってこない。原発そのものも…。
まあ再稼働はね、ニュースで時々出てきますが、内閣としてはもう、それは電力会社と裁判の問題やからという感じですか。
むしろ安倍さんの目立つのは、原発輸出の方にすごく力を入れてるっていうのが見えますね。
今日は、その原発事故から子どもを守るために、兵庫県篠山市が、ヨウ素剤を家に配った、という話なんです。
福井県の高浜(原発)3号機が再稼働しました。
4号機も、今現在、核燃料の搬入作業が完了しまして、これはまあ、再稼働してもゆっくり出力を上げていって、いわゆる営業運転になるのには少し時間がかかります。
今月下旬にも、営業運転になる見通しなんですが、そんな中、
山広さんもよくおっしゃいます、この原発の30kmの壁ですよ。
ここの若狭湾の所というのは、日本の43ある原発のうち、15基が集中していますから、原発銀座と呼ばれてるんですが、
さあこの、原発から30kmのところに線を引いて、この中の自治体は、万一の時は事故対応のために、避難計画とかを作ってくださいとなってますね。
ところが、30kmからちょっと出たとこは、まあ言うたら、(そういうことを)しろとは言われてないわけですよ。
国としての財政的な後ろ盾も、だから無いわけですよね。
そのへんで、30kmからちょっと外の自治体は、不安がってるわけですよねこれ。
そうですね。
でも、その30km圏内も、避難計画作ったわけですけど、どれぐらい、じゃあ本当に、実効性があるのかということも含めて…。
一番困るのは、向こうから、放射能を浴びて汚染された人が来た時に、ちょっと待ってと。
どうスクリーニングするのもこれ、難しいことですもんね。
まあこの30kmラインというのもまだまだ問題があるんですが、
若い世代の被ばくによる、甲状腺がんの発症を減らすために、30km圏内の自治体は、常に安定ヨウ素剤を役所内に持っといてくださいねとなってるわけです。
ちょっと今から医学の話をします。
甲状腺というのは、ちょうど喉仏のところ辺りにある、ホルモンを作るとこやと思ってください。
甲状腺ホルモンというのは、人間の成長に非常に必要なものなんです。
特にだから、子どもにとっては大事。
で、甲状腺は、ホルモンを作る時に、ヨウ素を原料にします。
ヨウ素というのは、昆布わかめとかによう(たくさん)入ってますね。
だから、昆布やわかめを食べて、そこに入っているヨウ素で、甲状腺は甲状腺ホルモンを作るんですが、
原発事故なんかで漏れてくる、放射性ヨウ素が入ってきた時に、甲状腺は、あ、オレの好きなヨウ素が入ってきたっていうて取り入れていくわけです。
そうすると、がんを発症する恐れがあるので、原発事故が起こったと思ったら、放射性ヨウ素が入る前にヨウ素を飲んで、ここ(甲状腺)をいっぱいにしちゃうんです。
そうしたら、放射性ヨウ素が来ても、もう満員やから入りません、となるわけです。
普通のヨウ素で満たしちゃうわけですよ。
極端な話、パクパクパクパクッて昆布を食えばいいんですけど、そんな大量をいっときに昆布食べられないから、こういうヨウ素剤ってのがあるわけですね。
これ、後でお見せしますけど、ちょうど仁丹ぐらいの大きさ。
で、効果が24時間。
ですから、24時間のうちに、放射性ヨウ素の無いところへ逃げてください、ということなんです。
救急用のということですね。
そうなんです。
で、福島の原発事故の時、実は原発近くの自治体は(ヨウ素剤を)持ってたんですが、わーってなった時に、はい、並んでよ、配りますってことにならんかった。
わーっとなって終わってしまった。
で、ごく少数しか配布できなかった。
そして政府は、事故との因果関係を否定していますが、この福島の原発周辺で、100人を超える甲状腺がんが確認されています。疑いも含めて。
めちゃくちゃ多い数ですこれ。
普通はね、これぐらいの人口やったら4,5人のところなんです。
現在、5km圏内では、だからもういざとなったらできないのだから、もう配っときましょうよとなってるんですけどね。
チェルノブイリでは、被ばくした子どもたちに、甲状腺がんが発症しました。
なので、ひとつ、50ミリシーベルトという基準を作って、それを超えそうな場合は飲ませてください。
で、そんな中、けっこうショッキングなデータが出てきた。
これは、兵庫県が作成した、大飯原発とか高浜原発が、もし万が一事故を起こした時に、放射性物質がどれぐらい飛散して、1歳の子が7日間でどれぐらい被ばくするかというシミュレーションなんです。
実はこれは、いろんなパターンで作ってます。
これは、篠山市が、この辺りが、最悪のパターンになるケースとして作ったものです。
となると、なんと、ここ(大飯原発)で事故が起こってるのに、もう下は姫路までが、ヨウ素を飲まなくてはいけない基準の3倍以上の放射性ヨウ素(が来ている)。
これ最悪のパターンですよ。
これ北風やから冬場ですわ、1月ぐらいです。
丸の、正円の30km圏内っていうこの目安自体がなんか、あんまり意味が無い。
で、篠山市がね、おいおいと。
これ、30kmどころやない、うちが入っとるで、しかも一番濃いぞとなって、
でも、ここ(正円30㎞圏内)以外のとこは勝手にせいの話になってますから、わかったと。
ということで、こういうのを配ることになった。
これ、ヨウ素が入ってるんです。
ちっこいもんです、ヨウ素自体は。
二粒入ってます。仁丹ぐらいの大きさです。
中学生が二つ、小学生やったら一つです。
一回分ですか。
一回分です。
で、これ飲んで、24時間以内に避難してくれ、ということなんですわ。
これを日本で初めて、30km圏外でのヨウ素剤の事前配布をした篠山市を、取材しました。
ナレーション:
兵庫県篠山市、人口およそ4万3000人。
城下町情緒あふれる、観光と農業の町です。
再稼働した高浜原発からは、50km近く離れています。
先月篠山市は、3歳以上の市民に向け、安定ヨウ素剤の事前配布を始めました。
原発から30km圏外では、初めてです。
篠山市民:
いいことやと思うんですけど、できたらお薬使わんと済んだらうれしいと思うんですけどね。
(原発から)離れてても、風向きによって放射性物質が飛んでくるっていうふうに聞いたんで、不安がね…。
篠山市民:
再稼働したことに対する不安な気持ちがあります。
やっぱりこういうの(ヨウ素剤)が必要なときがきたら怖いなーとか。
ナレーション:
少子化が進んでいますが、会場に入りきれないほどの親子連れが集まりました。
最初に、アレルギー反応の有無など、健康状態の確認などが行われました。
篠山市長が取材に応じました。
酒井隆明篠山市長:
服用すればね、すべてが安全だということではありません。
まあしかし、自治体にとりましては、できることということになりましたら、こういうことしかありませんし。
ナレーション:
医師による説明会も、何度も行われています。
兵庫医科大学の医師:
甲状腺ホルモンは、体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする働きがあります。
甲状腺に放射性ヨウ素を取り込むと、将来、甲状腺がんなどを発症する恐れがあります。
特に、成長期にある子どもなど、若年層に影響があります。
ナレーション:
事故から24時間以内に服用すると、甲状腺がんの発症を減らすことができます。
吐き気などの副作用や、服用の仕方についての説明も、繰り返し行われました。
兵庫医科大学の医師:
妊娠されてる方が、この安定ヨウ素剤を飲んだときに、胎児、お腹の中の子どもに影響を及ぼす可能性がある、といわれています。
ナレーション:
大半の市民は、事前配布を評価していましたが、事故を身近に感じると、不安を口にする母親も少なくありません。
母親:
万一のこと(原発事故)があることもあるんだなと、すごく切実に感じました。
このヨウ素剤を配ってもらうことはどういうことかっていうことを、(我が子に)少し説明したんですけど、
「私は病気になったり死んだりするんかな」と言って泣いてたんです。
それがすごい、子どもをこんなに不安にさせることなんやなって思いました。
ナレーション:
事前配布ですが、政府は5km圏内、避難計画作成も30km圏内以外は必要ない、としています。
酒井隆明篠山市長:
(原発から)30kmを超えるとじゃあ絶対安心かというようなことは、実際50kmでもそういうもの(放射性物質)は飛散しますから、
やはり50kmの自治体にとりましても、できることはきちんとやるべき責任があるんじゃないかと。
ナレーション:
篠山市に衝撃を与えたのは、兵庫県による(原発)事故時の放射性物質の拡散予測でした。
一歳児の被ばく線量が、ヨウ素剤服用基準を、大幅に超えていたのです。
酒井隆明篠山市長:
篠山にも、安定ヨウ素剤服用の基準の3倍を超えるような、放射性物質が飛散してくる可能性がある。
ナレーション:
服用基準は、チェルノブイリ原発事故(1986年ウクライナ)による、甲状腺がん調査から作られました。
篠山市の大半の地域が、基準の2倍以上で、危機感を募らせたのです。
酒井隆明篠山市長:
市民とか専門家を入れて、検討会を設けて検討しましたけれども、やはりこの避難とともに、安定ヨウ素剤の事前配布、服用が必要だというような結論になりました。
ナレーション:
篠山市は、事前配布を実現するため、3年あまり、市民を交えた議論を重ねてきました。
薬物配布に際し、医師の説明を必要とする法律との兼ね合いなど、課題は山積みでした。
予算の確保も問題でした。
酒井隆明篠山市長:
(安定ヨウ素剤)一丸が6円という、非常に安価なものですから、そのもののお金はそれほどかからないんですけれども、
やはり安全に配布する、安全に管理をしてもらわなければいけませんので、こういった説明会、お医者さんや薬剤師さんの協力も必要ですし、
多くの職員も、こういった配布の手続きに加わる必要がありますので、それの負担がやはり大きいと思います。
ナレーション:
ヨウ素剤は2万個用意しました。
費用は12万円と、大きな額ではありませんが、説明会開催費や医師への支払いなどで、合計592万円かかりました。
篠山市は、政府に支援を要請しましたが、受けられず、独自負担しました。
市民:
(原発事故が)起こってからもらいに行くような感じだと、落ち着いて話聞けないと思うんですけど、
こうやって前もってもらっといたら、冷静に話を聞けた。
ナレーション:
福島の原発事故では、ヨウ素剤の配布は徹底されず、不必要な被ばくに至りました。
事故後の検査でも、100人を超える甲状腺がんが確認されています。
政府の事故への備えは、十分と言えるのでしょうか?
酒井隆明篠山市長:
他(の自治体)に先駆けての取り組みとなりますけれども、こういったことが良い例として広がればと思っておりますけども、
篠山市は篠山市として、できるだけのことをやる、そういうことです。
スタジオ:
さっきの地図をもう一度出してください。
これは、こっちから強い風が(東北から西南に)吹いていると想定してますね。
そうすると、篠山どころか姫路ですら、飲まなあかん量の倍はいくんですわ、被ばく量が。
兵庫県が作ったからこうですけど、風向きがこうなったら(南下する)、大阪だってそら、可能性無きにしもあらずですわな。
で、篠山市はおっしゃってます。
何よりも大事なのは避難です。
国は、事故対策を30km圏内にしていますが、圏外でも危険は否定できません。
ヨウ素剤は万能ではありませんが、できる限りの備えをする責任があります。
これ、劇薬なんですよね。
だから、お医者さんがちゃんと説明してくださいとなってるんです。
で、そんないちいちね、そんなうわーっとなってる時にね、皆さん説明しますねーって…無理やと思うから、事前に説明会を開きましたと。
で、説明会、ぎょうさん来てはりましたよね。
関心高いですね、やっぱり。
もうぎっしりだったんですって。
篠山市では、2月は毎週末に、事前配布と説明会を実施していますが、他の自治体からも見学に来てるそうです。
どんなふうにやってんのかな、ということですね。
で、篠山の場合は、人口が4万3000人なのでなんとかなるんですが、大都市になった場合、それだけの人間に説明会を開けるのか、という問題もある。
例えばね、大阪都構想の時、できるだけ説明会開きましたやん。
やれんことはないと思いますけど、じゃあお金はどうするの、とかね、問題が出てきます。
あと、副作用がございます。
だからお医者さんがちゃんと説明せなあかん、ということなんですね。
あと、妊婦さんは飲んじゃだめ。
一歳未満の子も飲ましちゃだめ。
一歳未満の子はね、それやったら昆布飴擦りつぶして飲ませる、でいいんですって。
*まうみ注:
この副作用のところで、守田さんからの大切な訂正があります。
ここには少々誤りがあります。
最後の方で、「妊婦と1歳未満の子は飲んではいけない」と語っているところです。
この点は、篠山市の側の説明も不明確な点があったので、毎日放送の責任とは言えないのですが。
飲んではいけないということではありません。
確かに、胎児に対する非常に小さなリスクはありますが、それよりも、母体と胎児を守るメリットの方が断然高いので飲むべきだ、というのが私たち検討委員会の結論です。
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↓文字おこし続き
自治体としてやれることを精一杯おやりになっているんだと思いますけど、
国策で高浜を再稼働するって言ってんだから、国が面倒見るべきなんですよ、こういったこともね。
まあ、予算がけっこう大変だとおっしゃってました。
やっぱりお医者さんに必ず来てもらわなければいけませんし、こういう入れ物だってこれぐらいにしておかないと、これだけ渡したら絶対に間違って飲んじゃう。
どこか行っちゃうとかね。
実際、こういう時のメディアだから、こういうのをやってもらったらありがたいし、ちょいちょいやってもらいたいですね、忘れんうちにね。
ヨウ素自体は1個6円と安いので、別にそんな、べらぼうにお金がかかる事業でも無いと思うんでね。
事前配布というのは、篠山のケースから学ぶべきかなと思うんです。
今日は、ヨウ素剤を事前配布しました、兵庫県の篠山市のケースについてお伝えいたしました。
↑以上、文字起こしおわり
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特に、ちちんぷいぷいの動画は、非常によくまとめられています。
僕が語って欲しいと思う内容が、極めて的確に語られています。
一番重要なのは避難であることも語られています。
酒井隆明市長もコメントしていますが、一番良いところがピックアップされています。
しかし、少々誤りがあります。
最後の方で、「妊婦と1歳未満の子は飲んではいけない」と語っているところです。
この点は、篠山市の側の説明も不明確な点があったので、毎日放送の責任とは言えないのですが、そんなことはありません。
確かに、胎児に対する非常に小さなリスクはありますが、それよりも、母体と胎児を守るメリットの方が断然高いので飲むべきだ、というのが私たち検討委員会の結論です。
この点を頭に入れて、ご覧下さい。
さらにより詳しいことを知るために、私たちの委員会が篠山市長と市民に提出した、「原子力災害対策計画に向けての提言」をご紹介しておきます。
とくに「第4章 被曝防護の安定ヨウ素剤の服用」は、これまで日本で出されているどの文献よりも、この問題を深く掘り下げて書いてあると自負しています。
ぜひご一読ください。
以下にアドレスを示しておきます。
原子力災害対策計画に向けての提言 http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/assets/2015/06/teigensyo.pdf
より進んで原発事故対策を学びたい方に、昨秋に緊急出版した僕の著書を、強くお勧めしておきます。
以下の注文書を、書店にお持ちください。
『原発からの命の守り方』 http://greens.gr.jp/uploads/2015/08/morita_kinkan_tirasi.pdf
本書は、日本図書館協会選定図書にも選ばれています。
そのことを含む出版元の海象社さんのページも、ご紹介しておきます。
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo59.html
なお、安定ヨウ素剤について、そうはいってもなかなか行政が動いてくれないので、すぐに欲しいと言う方のために、僕が前から購入先としているところをお教えしておきます。
シンガポールからの並行輸入になります。
ただし、国内で買えば100丸600円の薬が、3830円(送料込み)で売られています。
ぼったくりなのでご紹介することをはばかる気持ちもあるのですが、今はやむを得ないと考えて、お知らせしておきます。
ファミリー薬局シンガポール ヨウ化カリウム丸50mg「日医工」:100丸入3830円
http://sg.mimaki-family.com/products/31887/
以上、危険な原発を止めよという声を高めながら、同時にその危険性ときちんと向かい合い続けるためにも、原発災害対策を進めましょう!
それがまた、私たちが核の脅威から解放される日を、近づけることにつながるのです!
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守田敏也
MORITA Toshiya [blog] http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
[website] http://toshikyoto.com/
[twitter] https://twitter.com/toshikyoto
[facebook] https://www.facebook.com/toshiya.morita.90
守田です。篠山市のヨウ素剤配布のことを大きく取り上げて下さってありがとうございます。とくに毎日放送の特集記事「石田ジャーナル」の文字起こし、感謝感激です!
さっそく「明日に向けて」でも紹介させていただきます。
これからもどうかよろしくお願いします!
守田敏也
あのビデオを観させていただいた時、わたしもあのお母さんの、子どもが泣いた、というところでガツンと胸を打たれました。
そして、そうだ、これだと思い、この現実感をどうしても伝えたいという気持ちがワーッと湧いてきて、気がついたらヘッドホンを付け、キーをパタパタ叩いておりました。
篠山市を習う自治体がドッと出てくることを、心から祈っています。
日本のため、市民のために、奔走しておられる敏也さんの、少しではありますがお役に立てたことを嬉しく思っています。
わざわざありがとうございました。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします!
ご無沙汰しております。
以前、コメントを入れさせていただきました。
相変わらず、水を通して活動をしております。
今回の『報道ステーション』は切り込んだ内容だったそうで、見れなかった為に文字起こしをしていただいて感謝しております。
私もブログで取り上げましたので、よろしければ読んでいただけると嬉しいです。『諦めないで、試してみませんか?』
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1951024668&owner_id=29706437
今は学者さんも「水は最高の薬」と言われているそうです。http://blog.goo.ne.jp/messenger-midu/e/15a6d60ff3ba0726e7a6af2ed9501c29
私の周りにも、被災地から避難されて来た方が何人かいます。鼻血を出していたお子さん、のう胞があったお子さん、検査に引っかかった方・・・。 皆さん、この水を信じて飲み続け、お元気になられています
私自身も埼玉から引越し、この水で家族皆で元気に過ごしています
諦める前に、ダメ元でもいいから この水<瑞>に繋がっていただけたら・・・と強く願っています。
これからも、ブログを楽しみにしております。
ありがとうございました。
きむらゆいさんのツィートは、わたしもよく参考にさせていただいています。
報道ステーションについては、本当に悔しい思いでいっぱいです。
選挙でなんとしてもこの社会に風穴を空け、報道機関の姿勢を正さねばと思っています。
人間にとって非常に大切な水について、いろいろとこだわっている人が大勢いらっしゃいます。
我が家では、多分一番厳しい規格のフィルターを、ようやく昨年から取り付けることができました。
水の輝きさんをはじめ、ご家族、そして身近な方々の、より一層の回復と幸せを祈っています。