ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

「エゴン・ミュラー」と「つきぢ田村」のマリアージュ

2011-03-10 18:41:07 | ワイン&酒
2011年2月24日に日本料理の「つきぢ田村」で開催したディナーのもうひとつの主役である
“ワイン” を紹介します。 (お料理については コチラ をご覧下さい)



造り手は独モーゼルの Egon Muller 4世 (1959年生まれ)

1980年代に日本の山梨のワイナリーで研修した経験があるエゴン氏は見事な日本語を話されます。
この日のためにドイツ語の通訳を用意しましたが、ほとんどの会話は日本語でOKなほど堪能でした。おかげで、ディナーに参加された皆さんも直接いろいろな会話ができたようです。





エゴン・ミュラー醸造所は、モーゼル川上流(オーバーモーゼル)の支流になるザール川の地域にあります。

ミュラー一族の歴史は1797年まで遡ることができます。
競売に出されていたScharzhofberg(シャルツホーフベルグ)の土地をコッホ家が入手しますが、この時に婿に迎えられたのがエゴン・ミュラー1世でした。

シャルツホーフベルグとは「新しく耕された山」の意味です。

ザール川周辺のブドウ畑は11世紀にベネディクト派の修道院によって開墾されましたので、非常に長い歴史を持つ生産地なのです。

シャルツホーフベルグの畑はザールのWiltingen(ヴィルティンゲン)村にあります。
ラベル上に畑名を記載する場合、通常は村名から記載しなければいけないのですが、シャルツホーフベルガーは村名の記載をしなくていいOrtsteillage(オルツタイラーゲ)です。

オルツタイラーゲはドイツ内にいくつかある特別な畑で、モーゼルではシャルツホーフベルグ一つだけ(他にはラインガウに4つあるのみ)。

この特別な畑は南南東向きの斜面にあり、最大傾斜は60度にもなります。
全部で約27haの広さがある畑ですが、うち7haをエゴン・ミュラーが所有しています。

シャルツホーフベルグの畑から生まれるワインは、ドイツファンなら、いえ、リースリングファンなら必ず押さえておきたいもののひとつ では?

今回はそのシャルツホーフベルグのワインと、エゴン氏が他の国で造るワインを、「つきぢ田村」の日本料理に合わせて楽しみました。




Scharzhof Riesling Q.b.A. 2009

1本目は、エゴン・ミュラーのベーシックワイン「シャルツホーフ・リースリング」。
2009年は2007や2008より量が少なかったものの、品質に恵まれました。

アルコールは10%とライトで、若々しいフレッシュな酸と軽快なミネラル感、やさしい果実味が心地良いワインです。これを前菜の盛り合わせとともに楽しみました。
ほんのり甘さがあり、アペリティフや軽い前菜にピッタリなテイスト。

ちなみに、カビネットクラス以上でないと「シャルツホーフベルガー」と呼ばれません。
よって、Q.b.A.のこのワインは「シャルツホフ」(新耕地)となっています。



Kanta Riesling 2008

エゴン・ミュラーが豪州のアデレードヒルズで造るリースリング。
Show & Smith ワイナリーの Balhannah畑のブドウを使い、土着酵母で発酵させています。

Kanta(カンタ)は サンスクリット語で、「好ましい」「最愛の」「美しい」という意味。

口にしてみると、非常に骨格のしっかりしたボディで、ミネラル感も硬質。
アルコール13.6%とさすがに高いですが、酸がシャープでしかも厚みがあり、メリハリがある辛口です。シュールリーを6カ月行っているため、じんわりした旨味も感じます。

これは刺身との相性が最高!
前菜の「からすみ大根」にもよく合い、かなり幅広いマリアージュが可能な“使えるワイン”だと思いました。

同じ品種で同じ人が造っているのに、土地が違うとこんなに個性が違ってくるなんて面白いですね



Scharzhofberger Riesling Kabinett 2007

次はいよいよ「シャルツホーフベルガー」が登場します。
これもアルコール度数は10%。

1本めよりもミネラルが強く現れ、味わいの輪郭もクッキリ。
果実味はエレガントで、ほっとするやさしさがあり、これはスルスル飲めてしまいます。

飲んで、食べて、また飲んで・・・と、そんな感じで皆さん召し上がっていらっしゃいました(超贅沢ですが)(笑)個人的には、風呂吹き大根の上の白味噌とのマリアージュが気に入りました



Château Belá Riesling 2008

これは珍しいスロバキアのリースリング
もちろん、エゴン・ミュラーが造っています。

というのも、このシャトー・ベラをエゴン氏の奥様の実家が所有しているからです。

奥様はポーランドの旧貴族ウルマン男爵家の出身で、実家がスロバキア(以前はチェコスロバキアでした)に所有していたシャトー・ベラは第二次大戦で没収されましたが、現在はウルマン家に返還されています。

スロバキアのワイン、というと想像が付きにくいのですが、シャトーのあるベラ村はドナウ川を挟んだハンガリーとの国境に近いところにあるとのこと。
スロバキアのベラ村は、気候も地形もワイン造りに適した土地のようですし、ハンガリーはワインづくりでは有名ですので、ハンガリーに近い場所と聞けば納得ですよね。

初リリースは2001年。
辛口タイプですが、豪州のカンタとはまた違った個性を感じました。

アルコールは13%、骨格がしっかりとし、ミネラル感もありますが、タッチがエレガントで、ノーブルな印象を強く感じます。いかにもヨーロッパ的な、ちょっと繊細さもある白ワインです。

ブリの照焼きにも合いましたし、風呂吹き大根にも面白かったです。
(実は風呂吹き大根の調理にこのシャトー・ベラを使っていただきました)



Scharzhofberger Riesling Auslese Goldkapsel 2004

シャルツホーフベルガーの真骨頂(つまりはモーゼルの真骨頂!)ともいえるのが、このアウスレーゼ、しかも ゴルトカプセル です

ドイツワインはエクスレ度のレベルで格付けされますが、アウスレーゼは果実味の甘みと酸味のバランスが非常によいため、ディープなファンが多いクラスですよね。




「ゴルトカプセル」(金キャップ) の選定基準は生産者によって違いますが、アウスレーゼの中で非常に優れたワインに金色のキャップシールが付けられます。

つまり、ゴルトカプセルが付いているということは、生産者の大自信作!

特に名高いシャルツホーフベルガーのアウスレーゼのゴルトカプセルになると、オークションでかなりの高額が付くといわれています(日本円で100万円を超えたワインもあったとか?!)

普通に手に入れようとしても入手困難な、しかも超高価なワインですが、今回はエゴン氏の蔵からこの会のために直接出していただきました
なんという贅沢!こんなこと、もう二度とないでしょう

味わいは・・・甘露
甘いですが、心が打ち震えるほどのピュアでデリケートな甘さで、ミネラル感、こっくりした複雑味、そのひと雫が本当に愛しく思えるほど。

誰もが笑顔になっていました。

私は、デザートの大納言小豆とのマリアージュにノックダウンです(笑)
(2004年のアルコール度数は7.5%)



エゴンさん、素晴らしいワインをごちそうさまでした!


ジャンル:
お酒・お茶
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« キアンティワイン入りアメリ... | トップ | こんな大きな地震が! »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。