ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

数字から見るワイントレンド

2012-03-12 15:08:33 | ワイン&酒
The IWSRの調査によると、2011年から2015年にかけて、日本市場におけるワイン消費は回復に向かう(2.83%増)と予測しています。
※詳細は昨日の記事参照 → コチラ

では、日本ではどんなワインが 今後のトレンド となっていくでしょうか?

スパークリングワインの需要がますます拡大
全世界のスパークリングワインの消費量を見ると、ワイン全体の7.65%となっています。
アジア市場では2%と非常に低いにもかかわらず、日本市場では8.8%を占めています(2010年)。

日本市場でのスパークリングワイン消費量を見ると、2,605万ケース(1ケースは9リットル換算)(2006年)から2,903万ケース(2010年)と大きく17.52%も伸びています。
同時期、スティルワインの伸び率は+10.91%でした。

東日本大震災のあった2011年は、さすがに2,751万ケースとダウンしましたが、2015年には2,829万ケースまで回復する(伸び率+6.39%)と予測されています。
2011年から2015年のスティルワインの伸びの予測が+2.48%ですから、近年の日本市場でスパークリングワインがどれだけ好調かがわかりますね。

なぜ、日本でこんなにスパークリングワインが人気なのでしょうか?

ひとつは、食のライト嗜好が挙げられると思います。
ライトな食材、食事に重厚なワインはマッチしません。その点、スッキリと口当たりのよいスパークリングなら違和感なく合わせられます。
また、ジメジメした梅雨があり、特に近年は夏の猛暑が厳しい日本では、キーンと冷えてシュワッと爽やかなスパークリングワインが好まれるのは必至。

もうひとつ理由を挙げるとしたら、ハズレることが少ないから、ではないでしょうか?
ワイン選びは、初心者でなくても難しいもので、よかれと思って買ったワインが好みに合わなかったり、ということがよくあります。
しかしながら、スパークリングワインは、国や品種、甘辛の度合いでさまざまあれど、期待を大きく裏切ることが少ないゆえ、初心者やワインに慣れていない若年層でも気軽に買いやすく、贈り物にも選びやすい、と認識されているように思います。

さらに、各国のさまざまなスパークリングワインが日本市場に多く入ってくるようになったことも大きいと思います。
特に、スペインの「CAVA」とチリのお手頃プライスのスパークリングの輸入量が大きく伸びている ことが、日本のスパークリング消費に拍車をかけています。

2006年から2010年までのスペインワインの輸入量は107%増、チリワインにおいては176%増と、著しい成長ぶりで、ボリュームにおいてスペインは5位(168万ケース)、チリは3位(246万ケース)となっています。どちらも お手頃なのに品質がよい点が評価されています。

なお、日本へのワイン輸入量1位はフランス(542万ケース)で、2位のイタリア(285万ケース)とダントツですが、伸び率で見ると、TOP5の中で唯一マイナス成長となっている点に注目です(-12.94%)。


ロゼワインが順調
スティルワインの消費量においては、ロゼと赤は今後も順調で、白ワインが落ち込んでいく、と予測されています。

特に ロゼワインの伸びが顕著で、このロゼ人気は世界的な傾向でもあります。ただし、アジア市場全体を見ると、ロゼワインの消費量はごく少量にとどまっています。
ということは、ロゼ人気は成熟したワイン市場において見られるように思います。

日本でのロゼワイン消費量を数値で見ると、2006年に4,000ケースだったのが、2010年には9,000ケースと、84.69%増加しています。
2011年は震災の影響をものともせず、9,000ケースの実績を上げ、2015年には1万4,000ケースにまで増える見込みです(+55.56%)。
赤ワインも、2006~2010年で+12.17%、2011~2015年予測で+3.52%と伸びを見せますが、ロゼワインの伸び率には及びません。

白ワインに至っては、2006~2010年で+7.54%でしたが、2011~2015年予測では-0.84%(716万ケース→710万ケースにダウン)となっています。
食のライト化で白ワインが人気かと思いきや、白を飲んでいた人がロゼにシフトしてくる形になりそうです。

ロゼの躍進は、世界的なロゼ人気が後押ししていることもあるでしょうし、昨年の大震災後に日本に発足した 「ラブ・ロゼ」プロジェクト の影響もありそうです。
また、女子会ブームの影響で、色がキレイで華やかなロゼワインが女子に似合うから、と支持につながっているように思います。


チリのスパークリング ×ピノ・ノワール100%ロゼ=最強!?

チリの大手コノスルが2012年1月から日本市場にロゼスパークリングを投入。
輸入元希望小売価格 1,500円というのも魅力的。  (輸入元:株式会社スマイル)



赤ワインは敬遠されつつあるのでは?と思いましたが、昨年あるイベントで、60代以降のご婦人方がことごとく赤ワインを所望する姿を目の当たりにしました。年配層の間では、健康効果が期待される赤ワインが定番の様子。
また、ピノ・ノワールなどはディープなファンもいますから、人気は盤石なのでしょう。

それに比べて白ワインは・・・
白ワイン好きとしてはこの予測は非常に残念!
でも、白ワインブームが起きれば、この予測は簡単に覆ると思うのですが(笑)

以上のような予測がされていますが、これに左右されることなく、皆さんは自分の好きなワインを好きなように楽しんでいただくのがいいと思います



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