英語・ダイエット・その他徒然なるままに

趣味の英語学習(TOEIC 970点)やダイエットの成功談など、色々書いていきます。

このブログで追求していること

2016年05月29日 22時32分44秒 | 英語
あいも変わらず細かいことばかりクチクチ書きやがって、なんて思っている方もいらっしゃるでしょうね。まあ、以前にも申し上げたように、このブログは私自身の英語学習における思考過程の記録という側面もあるので。年をとって達人の域に達したときにこのブログを見返してみて、「そんな風に思っていた時期もあったな」と振り返ることができたらいいなと(笑)。

自分のための目的はそうなのですけど、ブログとして衆目にさらされることを前提とした場合の目的は何かというと、

英語学習で本当に難しい事は何なのかを皆さんと共有したい

ということなんですね。それが、私がこのブログで追求していることなんです。

巷には過剰なまでにポジティブ指向の教材や動画などなどが溢れています。英語なんてやれば誰でもできる、受験英語と違うんだから明るく楽しく行こう、好きなことを英語でやってみよう、みたいな。もちろん悪いことではないです。勉強なんて本来は楽しくやるべきものでしょうし、楽しくやれればそれに越したことはないし、やれば誰でもできるというのも、人間の潜在能力という意味では真実でしょう。

でも、私も苦労してますが、いざ実際にやってみると、そんなに簡単な話じゃないでしょう?単語もなかなか覚えられないし、聞き取りもほとんどできないし、文法もよく理解できないし、TOEICの問題やってみても全然時間足りないし。。。実際のところは、多くの人がそんな”ラチが空かない”状態に陥って、結局はいつまで経っても思ったように力は付かず、結局はドロップアウトしてしまう、そんな感じじゃないですかね。

やれ1年でTOEICが900になったとか何とか、そんな武勇伝を鼓舞する猛者もいますが、ああいう人は、やっぱり”ごくフツーの人”とは何かが違うと思うんです。もともと基礎はしっかりしていたとか、常人離れした根性があるとか、時間が無限大にあるとか、半端じゃないモチベーションがあるとか、、、そういう何かがあるはずなんです(おそらく時間的な要素が大きいと想像しますが)。だから、ごく普通の人は、参考にできる点はあっても、同じ期間で彼らと同じような成果を得ることなんて、やっぱり無理だと思うんです。

で、なんでこのブログかなんですが、私は別に英語でお金を頂いている人間ではないので(今のところそんな力もない)、他の人達がどうなろうと本当は知ったこっちゃないんですが(むしろライバルは倒れてくれた方が嬉しい)、世の中の英語関連の色々な物を見ていて、

かゆい所に本当に手が届くものがない

ということを、とても強く感じるんです。通り一遍のものばかりじゃないですか。まあ、英語なんてマニュアルで指導できるものではないのは確かなんですけど、それにしても、もうちょっと何とかならんのかと、思うんです。

もちろん最近は、特に受験参考書の分野ではかなり優れたものも出てきていますし、TOEICもこれだけブームになったこともあって、達人たちによるきめ細かい指南本みたいなものも少なからずあります。私くらいのレベルの人間なら、そういうのを使って”独力で”歩んでいくことはできます。TOEIC 900くらいある人にとっては、もうこれ以上は必要ない環境が揃っていると言っていいのかもしれません。

でも、そこまで力の無い人にとっては、そういった市販の教材を使って真に独力で歩みを進めていくのはまだまだ辛い、そこまでクオリティーの高い教材はなかなか存在しない、そういう状況だと思います。リーディング用の教材なんかだと、問題を解くための解説は載っていても例文の構造を隅々まで完全解説しているようなものは無いので、初心者の方にとっては独力で構文が掴めない箇所については手の施しようがなく、結局分からないところは分からないままという感じだと思います。リスニング用の教材に関してはもう、言うまでもないでしょう。

これは、世の中の指導者が無能とかそういう事ではなくて、書籍という媒体の限界なのだと思います。電話帳みたいなぶ厚い参考書を作るわけにはいかないし、仮に作れたとしてもコストがかかって値段も高くなるでしょうから、売れなかった場合のリスクが尋常ではありません。そんな事で、完全な教材など作れないのだと思うのです。

最近は少子高齢化もあって、予備校とか通信添削業者なんかは大学受験生よりも社会人向けの教育指導、教材販売に力を入れているそうですが、そういう媒体なら、本で勉強するよりももう少しきめ細かい指導が受けられるのかも知れません。しかし、それなりにお金がかかってしまいますね。

というような事を考えていくと、やっぱりネットなんですよ。今は勉強法に関する動画なんかもあふれ返っていて、質の面では玉石混交ではありますが、ああいうアクティビティが草の根的に増えてきていること自体はとてもいい事だと思うんです。xx大学合格自慢みたいな物もありますが。あとは質の向上を期待したいところです。

で、私は、ブログなんですね。動画作るのは面倒だし顔を出すのも嫌だし。ブログという媒体を使って、多くの人が私と同じようにつまづくであろう”本当に痒いところ”を私がどのように処理しているのか、それを共有したいんです。だから、普通に頑張ってやれば済むようなことや、読者を思考停止に導くようなマニュアル的なことは書きません。参考書を勉強していて、参考書の解説には触れられていない、でも、絶対に見逃すわけにはいかない所を潰していく過程を共有して、皆さんがやがては独りで歩んでいけるようになるためのお力添えをしたい、という思いで書いています。だから、普通ならスルーするであろう、細かーい所にこだわっているんです。いや、細かい所にこだわるのが目的ではなくて、参考書や辞書に当たれば普通に解決するような所を取り上げても仕方ないので、そういう所を無視すると、ああなるんです。

よく言いますよね、完璧主義は駄目だって。でも、実際にTOEICみたいな試験を受けた時の状況を思い出して頂きたいのですが、TOEICくらいの英文だと、さっぱり分からないというよりは、ああいう”分かったような分からないような”細かい部分でのちょっとしたモヤモヤが積み重なって、それが結局は”良く分からない”という状況を生み出している、そんな感じじゃないですか?あの程度の英文は、やっぱり完璧に潰していく姿勢で勉強しないと力はつかないです。

考えても仕方のないところは考えない、”完璧主義は駄目”という言葉の本当の意味はそういうことであって、TOEIC程度の英語を勉強するときには、基本的にはあてはまらない言葉だと思います。

基本を身につけるってどういう事?(4)

2016年05月29日 00時35分23秒 | 英語
この話題は今回で最後なので、一気に終わらせてしまいます。今回の記事は大した内容ではありません。出典は同じです。

(例3)常識が問われるケース

The landscaping around the new office building includes a raised area for outdoor dining in the central courtyard.
(pp.150)

オリジナルでは、'raised'を幾つかの語の選択肢の中から正解として選べるかどうかを試している問題でした。この設問自体も易しくはなかったのですが、ちょっとそれは省略して、完成された正解文だけを問題にします。

さて上の文、何を言っているのか、状況がはっきり分かりますか?私はかなり悩んでしまいました。この文が表している状況を頭の中にビジュアルとして描くことが全くできなかったのです。皆さんはいかがでしょうか?landscapingは”景観、景色”でOKです。

私に何が足りなかったかというと、'courtyard'という単語の理解でした。この単語を知らない方は辞書を引いてください。”中庭”という意味です。はい、私はそれは知っていたのです。しかし、、、誠に恥ずかしいことに、「中庭」というものが一体どのようなものなのか、そこがはっきりと分かっていなかったのです。”中庭って、どんな物だっけ?”なんて思ってしまったのです。

なんとなく、中学とか高校にあった中庭を想像することはできたのですが、'outdoor'なんて表現があるし、中庭で飯を食うことを outdoor なんて言うのか?なんて思ったりして、もう大混乱です。outdoorという単語にこだわって、沢山あるビル群に囲まれた広場みたいな所を思い浮かべたのですが(それならビルの外ということで outdoorという単語がしっくりくると思ったのです)、英文は' the new office building'と単数になっているので、ビルは1つしか無いはずです。

うーん、何を思い浮かべればいいのだろう、ということで、”中庭”をwikiで調べてみると、

「中庭(なかにわ)とは、建築物などで周囲を囲まれた、屋根のない場所(庭、広場)である。英語では "court" または "courtyard" と呼び、宿泊施設や公共施設の中庭は主に集会場所として使われていたことから、"court" が法廷も意味するようになった。」(出典:ウィキペディア)

とあります。後半の法廷はどうでもいいですが、前半です。”建築物などで周囲を囲まれた、屋根のない場所”とあります。やっぱり、学校にあるあの中庭みたいなイメージで良さそうです。そういえば、ビルの中にも、吹き抜けになってるエリアみたいなのがあるよな、あれも中庭なのか、ということが再認識できました。だとすると、あそこで飯を食うことを outdoor と言うかどうかに関しては、そう言うんだね、と受け入れるしかありません。

はい、ビルによくあるあの吹き抜けの中庭、あそこからビルの外の景色が見えるようにするために、外の景観の一部を高くしてある、あーそういうことかと、しばらく経ってやっと理解できた次第なのです。

馬鹿でしょう?でも、言葉としては(日本語、英語問わず)知っているものでも、正確なイメージを描こうとすると実はよく分かっていなかった、という物は誰にでもあるはずなんです。そう、いわゆる”一般常識の欠如”が英文読解をする上で致命的なネックになってしまう事があるんです。

総括します。数回にわたって”基本とは?”という事について語ってきたのですが、要するに、”参考書の棒暗記”は、リアルな英文を追うために必要な能力のほんの一部しかカバーしてくれませんよ、”基本が大事”というけれど、教科書的な基本の暗記に終始してリアルな英文の前で頭を使うことを放棄していたのでは、リアルな英文の中に潜んでいる様々なトラップを自力で回避できる能力は身に付きませんよ、ということが言いたいのです。今回あげた3つの例について、単語帳とか文法書に載ってる素直な例文の暗記ばっかりやってても、ああいう問題文がスラスラと処理できるようになるわけがないということは、同意頂けると思います。

じゃあどうすればいいのか?基本は基本として横目で睨みつつ、アグレッシブに英文と格闘して野生の感覚を研ぎ澄ませる、それしかないでしょう。教科書に頼り切るのではなく、自分の中の”感覚・経験”が教科書を上回る、そういう方向性を目指すのです。野生の感覚の鍛錬でネイティブレベルに到達することはさすがに無理ですが、自分の頭が並の参考書を上回るくらいの境地には到達できるはずです。

基本を身につけるってどういう事?(3)

2016年05月28日 20時44分01秒 | 英語
休みですのでどんどんいきます。出典は前回記事と同書です。

(例2)実例を元に基本知識をより深められる例

Purchasers of GH automobiles are reminded that however unlikely the chances are of a breakdown, they are covered by a five-year guarantee.
(pp.151)

赤色が全部つながってしまいましたが、注意点は二箇所あります。まず1つ目は'are reminded that'の部分。

remindという動詞は”誰々に~を思い出させる”という意味だということはよくご存知だと思います。しかしこの例文、受験参考書なんかに出てくる例文とはちょっと違って、訳しにくいですよね。単純に”思い出さされています”なんてやってしまったのでは無茶苦茶です。

で、こういうのも日頃から英語に沢山触れていて勘の鋭い方は、「ひょっとして決まった言い方じゃないのか?」なんてことを思ったりすることができてしまうんです。で、もっと考えて、「何だか無理クリ受動態にしてる感が満載だな。ひょっとしてremindする主語の方をあえて表記しないために受動態にしているのではないか?だとすると、remindされる側に対する(表記していない主語側からの)注意喚起・アナウンス・お知らせ、みたいなものをやんわりと行っている、そんな感じじゃね?」と、そこまで頭が回ってしまうんです。結論からするとこれは決まりきった言い方なのですけど、英語に慣れてくるとたとえそれを知らなくても、これくらいの想像はできるようになってしまいます。

で、何だか調べてみる価値がありそうな用法だなってことで、ネット等で色々調べてみると、、、Passengers are reminded that ... ”(乗客に向けて)ご注意ください”みたいなアナウンスの用法が出てくるわけです。ああ、やっぱりな、と。そう、これは、GH automobilesの側からの、顧客(purchasers)に向けた注意喚起(アナウンス)なのです。おそらく契約の書面か何かに注意書きとして書かれているのでしょう。そういうセンテンスなのです。

重要なのは、普通の辞書や単語帳や参考書にはこのような用法が載っていないことが多いということです。なので、そういう物を勉強するだけではなかなかこういう用法に巡り合う機会がありません。しかし、英語の実例を注意深く観察する目が養われていれば、実例との出会いを元にして上のような調査を自分でやることで、 remind という単語に関する知識をさらに深めることができるのです。

次。however 形/副 S V という構文(たとえ~でも)はOKだと思いますが(実は出典元の問題はこのhoweverを選ばせる選択肢問題になっていました)、その後のthe chances are of a breakdown、この部分は一体何でしょうか?この英文の構造、説明できますか?なんだか奇妙ですよね。

で、are of という語順をそのまま素直に守って分析を試みると、

the chances are unlikely of a breakdown のunlikely(副詞)を譲歩したものではないか

という風にまずは考えると思います。この案の正しさを証明するためには、chances are of a breakdown が正しい英語表現だということを示さないといけません。しかし、、”be of + 抽象名詞”というような用法はあっても、chances are of a breakdown とは言わなそうですよね。実際、そんな用例は探しても見つかりません。で、どうするか。。

頭をひねって考えるんですよ。要するに、言いたい内容はおそらく「故障の見込み」ということだろうと考えると、”普通は the chances of a breakdownって言うはずだよな”ということになりますよね。だとすると、上の言い方は一体何なのか?そう、”語順変動”が起きているんじゃないか?という想像が付きますよね。

でも、またまた受験参考書とかで勉強した事を思い出してみると、否定語が文頭に来たときの強制倒置による語順変動とか、仮定法のifを省略した時の倒置とか、文末焦点や強調のための主語と補語の倒置とか、そういうのは聞いたことがあるけど、上のような語順移動のパターンなんてみたことないよなー、本当にこんなのが許されるのかなー、となるわけです。基本的な参考書には書かれていない例ですよね。

で、私も色々調べてみた所、「実例解説 英文法」(中村捷、開拓社)という本に、”前置詞句の右方移動”という項目が載っていました。これも目的は文末焦点のためだったり、頭でっかちの英文を防ぐことだったりするのですが、要するにこのような前置詞句の移動が起こることがあるのです。結局、上の文は the chances of a breakdown are unlikely (unlikelyは形容詞)のunlikelyを譲歩した、

however unlikely the chances of a breakdown are

と本来なるべきところを、Sがあまりに頭でっかちで、かつ、故障という言葉を文末において強調するために、of a breakdownという前置詞句が後ろに回った、というのが正体だと思われます。

なんだかウダウダ書いてしまいましたが、英文の実例に沢山あたっていると、このような”教科書的でない”用例にしょっちゅう出くわすのです。今回の出典はTOEICの対策本ですが、たかがTOEICの対策本レベルの英語でも、こんな用例が満載なのです(必ずしも詳しい解説が載っているわけではないのですが)。他にも、このブログでもよく参照する「TOEIC Testプラス・マガジン」も、教科書的知識では一筋縄ではいかない(もちろん正しい英語ですよ)英文を沢山提供してくれるいい本です。

こういう、教科書からちょっとばかし逸脱しているような英語を目にして、それを機に改めて教科書に戻ってみて、分かっているつもりの知識をおさらいすることによって、今まで持っていた知識をさらに深いものにすることができるのです。こういう事も、実例に沢山あたっておかないと経験できないことです。

そういう意味で、TOEIC公式問題集はちょっと教科書的すぎるかなーという気がします。おや?と思うような表現にほとんど出くわしませんでした。


基本を身につけるってどういう事?(2)

2016年05月28日 14時40分32秒 | 英語
前回の続きです。前回は抽象的な物言いに終始してしまったので、今回は例を交えて、実戦力を磨くとはどういう事なのかをお話ししたいと思います。別に大した例ではありませんが、ちょうど今勉強している本の中で、「おや?」と思う箇所が立て続けに出てきたので、基本事項の暗記だけでこういうのが処理できるのか?という視点でお話しします。

以下、出典はすべて以前紹介した「TOEICテストBEYOND 990超上級リーディング 7つのコアスキル」(アルク)です(長げーな)。本来は選択式問題となっているものですが、正解を挿入した単なるセンテンスに変えさせてもらっています。

(例1)基本事項のちょっとしたアレンジ力が必要なケース

ビルの雨漏りが見つかったという話のあとで、以下の英文です。'these issues'とは雨漏りが見つかったという問題の事です。

Rather than fix these issues as they surface, it has been decided that we should replace the entire roof at the earliest opportunity.
(pp.153)

はい出ました。英文解釈における曲者中の曲者、as君の登場です。まあ、それほど難しい文ではないですし、言っていることは何となく分かるとは思いますが、この as の所でほんの一瞬たりとも混乱しない、余裕綽々なんて人は少数派ではないでしょうか。多くの日本人にとっていまひとつしっくりこない表現だと思います。

このasが接続詞だということはすぐに分かりますね。それが分かると、基本事項として、接続詞のasが表す意味には何があったかなー、と一生懸命思い出そうとするわけです。

限定、ちがうな、譲歩、これも違う。比例や様態でもない、、、と色々考えて、普通の感覚からすると、時(~する時。~しながらの方ではない)と理由、が最終候補として残る、という感じだと思います。はい、間違っていません。でも、「問題が表面化したとき」とか「問題が表面化したので」とそのまま訳を入れても、ちょっとしっくりこない感がありますよね。

それともう1つ構造的に気をつけないといけないのが、rather than は as以下の部分まで全てを含んでいるということに気づく必要があります。issuesの所で切ってしまってはいけません。fix these issues as they surfaceが一塊で、それ全体をrather thanが支配しているのです。どうしてそんな事が分かるの?と仰るかもしれませんが、私とて一発で分かっているわけではありません。 rather than がどこまでを支配しているのかなー、という事に対してちゃんと意識を働かせて、その区切りを頭の中で動かしながら、最適と思われる所を掴みとっているのです。こういう試行錯誤の能力も、読みながら身につけていくしかないですよね。

さて、ここまで考えて、asの基本用法を少し柔軟に解釈する頭があれば、「ああ、問題が表面化したからその場しのぎ的にそれを取り繕うというようなことは止めよう、と言っているのだな」ということがピンとくるのです。

このasについて”同時なのか理由なのか”を区別することはさして重要ではないと思います。どちらとも取っていい、きわめて微妙な位置にある as だと思います。まあ、asの大本質は”同時性”であって、”理由”というのも同時の一種だとみなせることからも、本来”理由”と”時(同時)”はとても近いもののはずです。

(問題が起こった時に -> 取り繕う) => てなことを止めよう
(問題が起きたので -> それを取り繕う) => てなことを止めよう

ほとんど同じですよね。で、大事なのは、実戦問題の中でのこういう体験を自身の中でどのように総括しておくか、なのです。この問題に関していえば、”問題がsurfaceするということと、それをfixするということを同時にやるということが本質的な意味になっている”という感覚をしっかりつかんで、あとは”問題が表面化したからその場凌ぎ的にそれを取り繕う”くらいの、日本語の世界でしっくりくる表現を思い浮かべることができればいいんだな、という風に肝に銘じておけばいいのです。上の1つめの矢印が”その場しのぎ的”なニュアンスになっているんです。そして、その最初の矢印で結ばれている内容全体を受けて、それを止めよう(二重線矢印)と言っている、そういう構造です。

同時性を表すasの1例であるこの例文をみて、日本語でいうところの”その場しのぎ的なニュアンス”、それを思い浮かべることができるか否か、それがここでいう所の”基本事項のアレンジ力”です。基本事項はasの同時性だけなんですけど、(問題が)surfaceして、それをfixする、その2つの用語が同時、という組み合わせになることで”その場しのぎ的”なニュアンスが醸し出されていることを感じとることができるか?ということですね。”同時”が何を生むのか、状況によって色々なケースがあるわけで、それらに上手く対応できて初めて”本物の基礎力”なのです。

基本事項の丸暗記の徹底、それだけでこんなこと、できるようになるわけないですよね。じっくり読んで、じっくり考える、そういう営みを通してしか養成されない能力じゃないですか?ひょっとすると、「asの本質は同時性にあり」という根本の事が理解できていればそれであらゆる英文が読めてしまうのだ、というような事を仰る英語の先生がいらっしゃるかもしれません。確かに、今回私自身もこのasの同時性をこの英文の解釈の出発点にしています。しかし、それさえ知っていればいかなる場合も大丈夫、というのは私は言いすぎだと思います。もちろん語彙の根幹を理解しておくのは強力な武器ではありますが、やはり、実際の場面でそれを使って状況に応じた最適な解釈を行う練習を積まないと、確固たる力にはならないと思います。結局それを実際に行うことが難しいのですから。暗記の内容をいくら工夫したところで、実際に英文を読む練習はやっぱり避けては通れないわけです。

で、こういう頭の訓練を「面白い」と思える人になってもらいたいんですよ。やれ1パッセージ何分で読めとか、パラグラフリーディングとか、スラッシュリーディングとか、、、そんなの、クソみたいな低レベルな話だと思いませんか?

長くなったので、次回以降に続きます。他の例を取り上げていきます。

基本を身につけるってどういう事?

2016年05月27日 23時29分38秒 | 英語
今までにも似たような話を何度もしているので繰り返しになってしまいますが、英単語の暗記ばっかりしてても駄目だよ、読む練習をしないと読めるようにはならないよ、と最近言ったことを、少し言葉を変えて説明してみようかと思います。で、もう少し話を拡大すると、英文法の基本例文ばかり暗記しても駄目だよ、ということにもなります。

よく使われる英単語とか、あるいは、英文法の色々な項目やその説明に使われている簡単な例文、これらが「基本」であることに間違いはありません。で、英語に限らず何事においても”基本が大事だ”というようなことがよく言われるのですが、、、でもその基本であるはずの英単語の暗記とか基本例文の暗記とか、そんな事ばかりしている人は結局、この”基本が大事”という言葉の意味を正しく理解できていないと思うのです。

多くの人は、”基本が大事”なんて言われると、”やたら難しい事を追いかけるのではなく、基本事項を徹底して覚えろ”というような意味に受け止めると思います。でも、実はその受け取り方、ちょっと、いや、かなりズレています。順を追って説明します。

前半の”やたら難しい事を追いかけるのではなく”は正しいです。もちろん、やることがなくなった上級者が難しい事に果敢にアタックするのはそれなりに意味のあることですが、まあ、通常はそんな事は求められていません。却って遠回りになったりもします。要するにそんな事をしてもあまりいい効果は得られない、ほとんどの人にとっては却って無駄だ、ということで、これは通常の解釈で問題ないと思います。

問題は後半部分の解釈なんです。”基本事項を徹底する”とはどういう事か?これは決して、基本事項”そのもの”を徹底して覚える、ということではないのです。ここを間違ってはいけません。

これは皆さん自身も経験上、うすうすは感じているはずなんです。入試レベルの数学の問題とか英文とか、あるいはTOEICの英文とか、どうみたって、教科書や参考書に出てくる”基本事項”を完全に覚えているだけでは解けないシロモノでしょう?そういう基本事項をいくら”完璧に”覚えたとしても、解ける気がしないでしょう?そう、基本事項”そのもの”をいくら完璧にしたところで、それだけで実戦で闘えるほど世の中甘くはありませんよね。みんなうすうすは感じているんです。

でも、”基本が大事”という言葉に甘えたがる。そう、甘えているんです。教科書や参考書の基本事項”そのもの”をとにかく徹底的に”覚える”。その作業自体は、ラクではないけど頭を使ってリアルな問題と格闘する必要がないので、粛々と進めていく分にはさほど精神的な負担を伴わないんですね。そういう営みさえある程度きちんとやりさえすれば実戦でも闘えるようになる、そうあってほしい、と心の底で甘えているんです。でも、皆さんの経験が示しているように、闘えるようにはなりません。

では、”基本が大事”という言葉の本当の意味は何なのでしょうか?私はさっきから基本”そのもの”というように、そのものの部分をダブルクオートしていますよね。はい、間違っているのはここなんです。基本を徹底するということは、基本事項そのものを徹底して覚えるということではありません。そうではなくて、

実戦的な問題の中で、いつでも適切な基本事項を引っ張り出せる能力を磨くこと

と、もう1つは、

基本事項を実戦的な問題に対してアレンジする能力を磨くこと

なのです。基本事項そのものの暗記に馬鹿みたいに力を注ぐのではなくて、こういう能力を磨くことを徹底しろ、ということなのです。

もちろん、基本事項そのものを覚えていない事には話になりません。しかし、それは、基本事項そのものの暗記に膨大なパワーを裂くことによって達成するものではありません。そうではなくて、基本事項そのものの暗記なんて最初は軽くでいいから、実戦的な問題にアタックする作業と並行してそういった基本事項を随時確認していくことを繰り返す中で最終的に完全に覚えてしまう、そういう風にして覚えていくべきものです。実際に使いながら覚えた知識でないと、結局使い方が分からないので、実戦用の武器にはならないのです。

英語で言うなら単語帳や文法の参考書に出てくる英文は簡単すぎて、残念ながら、それらを一生懸命追っても”使いながら”覚えたことにはならないです。皆さんも、「文法書の例文はあんなに簡単なのに、英文解釈の文章の中で同じ文法事項が使われている英文はどうしてあんなに難しいのか?」なんて、しょっちゅう思うでしょう。そういう事なんです。文法書の例文はエッセンスだけが最低限伝わるようにしてある文だから簡単なのであって、残念ながら、あのような簡単な”基本事項”の暗記を徹底したところで、実戦レベルの英文が読めるようになるなんてことは、ないです。基本事項そのものの暗記を徹底するだけでそうなったらいいな、という期待は完全に誤りであり、甘えです。

実戦レベルの英文を追ったり、入試レベルの数学の問題を解いたり、TOEICの問題を時間以内に解いたりする練習は、力が無いうちはかなり辛いと思います。別に、力がないうちは全部自分の力で解かなくてもいいと思います。昨今の受験アドバイザーがよく言っているように、さっさと答えをみてしまえばいい。しかし、たとえ独力で解くことを(最初は)諦めるにせよ、「解く際の正しい頭の働かせ方を忠実に再現して経験してみること」は絶対に忘れてはいけません。つまり、答えや訳をみて分かったとなった後でも、もう1回、2回、自分で解いてみるという練習は最初の段階でも絶対に必要です。そういう練習をたくさん積んでいくうちにだんだんと独力でできることが増えていき、やがては合格ラインに達するのです。別に、全部の問題をスラスラ解ける、なんて境地に到達しなくても、合格ラインに到達してしまえばいいんです(TOEICで言えば、 990点の人でも全ての問題を完全に自信を持って回答しているわけではありません)。

独力でできる事が増えるということは、自分で自由自在に使いこなせる基本事項が増えていくということで、これは基本事項を使いこなす練習をすることでしか養成されない能力です。基本事項”そのもの”の暗記だけをいくら徹底しても、残念ながら問題を解く技は身に付きません。”基本を徹底する”という言葉の本当の意味は、”基本事項を自由自在に使いこなす力を磨く練習を徹底してやる”ということなのです。そして、基本事項を使いこなす必要に迫られる場面は、実戦問題にアタックしている時だけです。だから、そこから逃げては駄目なのです。英語学習でいうなら、実戦的な英文をどんどん読む、聞く、ということが不可欠です。ここで言う”実戦的”とは、自分が受けようとしている試験と同レベルの英文という意味です。