8GのCF導入と共に、40Dの記録形式をJPEGからRAWに変更しました。

RAWとは撮影素子から得られた情報を画像処理しないでそのままパッケージし、
一つのファイルにまとめたデータ信号の羅列です。
当然、写真という形になっていないため、通常は目で見ることが出来ません。
普段デジカメで慣れ親しんでいるJPEG画像とは、これらの画像データをもとに
現像処理を行い、圧縮した形式の事を言います。
要するに、RAWとJPEGの違いは現像前の写真と現像後の写真と言っても良いでしょう。
JPEGは優れた圧縮率とそれに反して比較的画像を美しく残せるといった利点があり、
互換性も高く非常に扱いやすいものですが、その反面、画像処理をメーカーの好み
(画像エンジン)に任せてしまうため、自分の思い描いたイメージとは異なる作品に
仕上がってしまう場合もあります。
RAW現像は、文字通り現像の段階から自分の好みで調整できるので、より思い通りの
画像に仕上げる事ができるのです。
JPEGでもいわゆる「レタッチ」というやり方で多少の画像編集は出来ますが、もともと
現像済みの画像を修正するのですから、画像データはかなり劣化してしまいます。
簡単に言えば、キャンパスに描いた絵の上から、別の絵の具で上塗りするようなイメージ
になります。
対してRAWの場合はデジカメ撮影で重要なカギとなるホワイトバランスや、カラーフィルター
なども、あとから画像データを劣化させること無く、いくらでも変える事ができるので、
撮影時にあれこれ悩まなくて済み、失敗も大幅に減少できます。
まあ、偉そうなこと言ってますが、私も本当につい最近から始めたばかり。
良くわかってない部分も多々ありますので突っ込んだ話はやめておきます(笑)。
実際にやってみましょう。
まずは、この画像。

先日の記事でもアップした画像ですが、せっかっくの穂高連峰が、紅葉の鮮やかさの前に霞んでしまっているため、
ちょっと白けた印象に思えます。
この画像を私のイメージ通りに処理したのがこちらの画像。

コントラストをやや高めに設定し、更にシャープネスを少し強調しました。
紅葉に負けない穂高連峰の存在感がグッと前に出てきたように思います。
こちらは前穂高の紅葉。

天候が快晴とは行かず、せっかくの紅葉の鮮やかさや、前穂の荒々しい山肌にイマイチ迫力を感じません。
こちらをイメージどおりに現像したのがこの画像。

コントラストを高めることで、逆に雲の切れ目から太陽の光が当たっている部分と
そうでない部分の差がはっきりし、少し雰囲気のある写真になりました。
またシャープネスが山肌の荒々しさを良く出してくれています。
ホワイトバランスを後から変えられるのがRAWの最大の利点と言えるでしょう。
ホワイトバランスは、本来、どんな光源の下でも「白い対象物」を「白く写す」事ができるようにするための機能です。
大抵は「オート」にしておきますと違和感の無いものになりますが、カメラのオート機能は基本的に「明るいものは暗く」、
また「暗いものは明るく」撮ろうとする傾向があるため朝焼けや、夕焼けなど、あの独特の雰囲気を捉えることが苦手な
場面もあるようです。
例えばこの画像。

一見、非常にさわやかに見える写真ですが、これを撮影した時間はもう夕方の4時半過ぎ。
私がこの時見たイメージとはずいぶんかけ離れています。
これを私の記憶にあるイメージと合わせて仕上げたのがこの画像。

ホワイトバランスの「色温度」を思い切って下げるげることにより、ぐっと「夕暮れ感」を再現できるようになりました。
また、露出補正をマイナス側に振ることで、その効果は一層増し、手前にある岩も重厚感が増しました。
朝日が当たり始めた槍ヶ岳。

せっかくの山焼けに鮮やかさが無く、いまいちシャープ感にも欠けています。
こちらも、「色温度」を若干下げてやる事で「山焼け」を強調してみます。

コントラストを高める事で、朝日の当たる部分と当たらない部分の差がはっきりとし、
シャープネスの強調と相まって山の荒々しさと清清しさをしっかりと表現できています。
ホワイトバランスには正解がありません。
すべては、その撮影者のイメージしたものが元になります。

白熱灯に照らされた山小屋の周辺をホワイトバランス「太陽光」で撮ったものです。
私は普段この「太陽光(5200K)」を好んで良く使用します。
曇りの日や、蛍光灯の室内でもなんとなく温かみを感じる写真が撮れるからですが、
これを今回は「色温度」を上げて現像してみます。
こちらがその画像。

光の温かみは失われてしまいましたが、そのかわり、秋から冬へと変わりつつある、
少し頬を刺すような「キリッ」とした寒さを再現できるようになりました。
私の記憶にあるイメージにはこちらの方がずっとしっくり来ます。
さきほど、露出補正の話をちょっとしましたが、RAWでもあとから編集する上で出来ないことがいくつかあります。
・ピントボケ
・ISO感度
・絞り
・シャッタースピード
・露出
これらに関しては、撮影時の設定を変えることは出来ません。
ただ明るさ(露出補正)は若干の調整が効きますが、やはり撮影されたデータに対して調整を行うため、
補正幅はなるべく小さくすることが肝心です。
「白飛び」や「黒つぶれ」なども修復できません。
逆に言えば、これらの事意外は全て撮影後に回せるという安心感があります。
うっすらと見える夜の山陰を撮影した(つもりでいた)ものです。

ほとんど真っ暗で何にも写っていないような失敗写真となってしまいました。
これを露出補正で明るくしたのがこちらです。

山陰はもちろん、夜空に瞬く星々の明かりも見て取れるようになりました。
真ん中にカシオペア座の「W」がはっきり見えますね。
現像して、気づきました(笑)。
こちらも前回の記事でUPした夜のテント場の写真。

これはこれで、なかなか良い雰囲気ですが、これもほんの少しだけ露出補正をかけ、
更にコントラストを強調してみましょう。
いかがでしょう。

夜空に何ともいえない微妙な色が出た事もありますが、それ以上にまるでライトアップされたような紅葉の鮮やかさが目を引く作品になりました。
これはうれしい誤算でした(笑)。
因みにこの撮影は30秒間の露光で行ったため、ヘッドライトをつけた人々の行き交いが光の筋になって残ってしまいましたが、
これも味と言えなくはないでしょう。
RAW現像、いかがだったでしょうか?
私はこれまでこういった「あと処理補正」を正直あまり良く思っていませんでしたが、
やってみると大変面白いと思いました。
フィルム現像が自分でも手軽に出来るようになったと考えれば、こんなに楽しい事はありません。
確かに高価なレンズを買えばこれらの作業もずっと減るかもしれませんが、今のままでも、今まで
以上にカメラの性能を引き出す事は可能であるという一つの希望が見えたような思いです。
撮影素子に記録されたものをいかに引き出せるか。
デジタルカメラの楽しさ、可能性をまた一つ発見できてうれしく思います。
データでかっ!ってw
今までの2G、JPEGのHQで800枚程度撮れたのが、
RAWにしたら100枚程度に。
大容量CFを手に入れたらいいことですが、
もう少しRAW撮影は先にしようかと思っていたところです。
(航空祭等に行って、2G×2枚でも200枚は痛い)
でも、確かに良さそうですね、RAW撮影。
確かに、RAWの最大の弱点はデータが馬鹿デカイ事で
すね~(泣)。1000万画素クラスの40Dですら一枚に
15MB近いので、これからの時代、1500万、2000万画素
となるとメモリーに大変な容量が必要になりますね。
私も航空祭の時、「こんなに連写してたら30分持たな
いよ~」って感じでした(笑)。ある意味数勝負で臨
まなくてはならない場面では本当に厳しいですね。
それでもRAW撮影にはメリットが多いと思います。
本当は一発で決められる腕があれば良いんでしょうが(泣)。
でも、RAW現像していると、「なるほど、写真てこう
いうもんなんだ。」と思うことが多くて楽しいです。
これを体験できただけでも、次の撮影に繋げられそう
な気がしています。
雲海の夕焼けの写真にはビックリ。
ナマね、ナ・マ♪
これだけ印象を換える事が出来ると、自分が目の当たりにした感動をよりイメージ通りの形で再現できますね。
すごいすごい。
夜空とテントの表現は・・・さすが「生」ですね
雲海の夕焼けはめちゃくちゃヘロヘロだったときに見
たものなんで、あんまり覚えてないんですよね
(泣)。私も帰ってきてから写真を見てびっくりしま
した。
とにかく、爽やかでは無かったと思います(笑)。
>かもじろ~様
かもさんも、やっと一眼の世界に踏み込む気になりま
したか(喜)!
え?そういう話じゃないって?
よっしゃ、週末は「ナマ」の肉を「ナマ」のデータで
記録しちゃおうかな!
え?下ごしらえしてあるって?
うーん・・・。