04/14 私の音楽仲間 (480) ~ 私の室内楽仲間たち (453)
行き届かなきゃいいのに…
これまでの 『私の室内楽仲間たち』
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書かなきゃいいのに…
来なきゃいいのに…
行き届かなきゃいいのに…
帰らなきゃいいのに…
申しわけありません、先生。
「いくら予習、復習をしても、身に着かんのでは、
まったく意味が無かろう。」
勉強の量より、【習慣が改まるかどうか】の問題
なんですよ。
「…と言うと?」
[譜例1]は前回も掲載させてもらいましたね。 Dvořák 先生
の弦楽四重奏曲 変イ長調 Op.105、その第Ⅳ楽章からです。
「二段目の最後のスタカート (・) は、【前の音を切れ】と
いう意味ではないぞ。」
解ってはいるんですが、私たち弦楽器奏者は、反射的に
切ってしまうんです。 二つの音の間を。
「知っとるわい。 ワシも Viola奏者だったからね。」
その場合、スラーの記号は、習慣的に【同じ弓で】と解釈
する。 本来の【繋げろ】という意味は、消えてしまうんです。
「まったく困ったもんだ。 お前の未熟な[演奏例の
音源]じゃぞ。 この小節を、よく反省するんだな。」
はい。
もっと問題なのは、最初に見られるスラーなんです。
「それも知っておる。 お前だけではなさそうだな。」
どんなに長くても、【一弓で弾かなきゃいけない】…
という意識が強い。 オーケストラ、それもアマチュア
のかたがたは、特に律儀ですから。
「作曲家は、それではフレージングを書き込めない
ではないか…。」
ところで先生。 これは最初のテーマが戻ってくる箇所
ですよね?
「一段目の最後の所でな。」
リズムに動きがあって面白いです!
「四分音符の後に、16分音符が4つあるだけじゃよ…。」
[譜例2]も、すでに登場しました。 第Ⅰ楽章の終りで、
主要テーマのモティーフが、何度も繰り返されます。
ここでは四分音符でなく、二分音符ですが、16分音符が
4つある点は同じですよね?
「単なる偶然じゃよ…。」
そうですか? 次の[譜例3]も、すでにご覧いただきました。
第Ⅲ楽章の冒頭です。
これでも偶然ですか?
「…ま、どうでもいいわい。 一応よく予習、
復習したつもりなんじゃろうが。」
ただ第Ⅱ楽章となると、ちょっと様子が違い
ますね。 リズムに特徴のある舞曲で、しかも
拍子が 3/4 ですから。
「フリアントだからな。 四拍子のフリアント
があったら、お目にかかりたいわい。」
さすがの先生も、“全楽章制覇” とまでは
行かなかったようですね。
[譜例4]
「ワシが行き届いてない…でも言うのか?」
…あ、そういう意味ではなくて……。
[演奏例の音源]です。
[譜例5]は無いのかね?」
この先ですか?
「それもスコアがいいんじゃが。」
…ハイハイ…。
「何か気が付かんかな?」
えーと…。 最初のテーマを、今度は Vn.Ⅱが担当してますね。
これは他の楽章でも頻繁に見られる形です。 Vn.Ⅰはフリアント
のリズムを…。
「解っとらんのう…。」
「Viola が何をやっとるか、お前には見えんのかね。」
……、………!
「長い音が一つ。 次に短いのが4つ。 16分音符では
ないがね。」
タッ タカタカ、タッ タカタカ…。 なるほど、そうでしタカ!
「ただのリズムなら、これほど続けんでもよい。
タッ タカタカ、タッタッタッ…で充分じゃ。」
…なるほど。 1、2、3、…14小節も連続して
いる! 行き届かないどころか、くどいですね?
「何だと!?」
いえ、何でもありません…。
「行き届かないのは、お前の予習、復習じゃ。」
[音源サイト]