MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

叱られないハイドン

2011-09-26 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

09/26 私の音楽仲間 (310) ~ 私の室内楽仲間たち (283)



             叱られないハイドン




         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




 今回は、まず音源をお聞きください。



          [Andante からの演奏例]
              
         最初の音量が大き過ぎることがあります




 美しい緩徐楽章。 曲は、ハイドンの四重奏曲 変ホ長調、
作品64-6、その第Ⅱ楽章の一部分です。

 Andante、3/4拍子。 全員が、p で平和な気分を味わって
います。

 そこへ突然 ViolinⅠのソロが闖入! 何やら思い切った
陳述のようなパッセジが始まりました。



 Viola を持っていた私は、どうしていいか解らず、弾くのを
止めてしまいました。 しかし、忠実に仕事を続けたままの
仲間もいます。




 「あれ? ちょっとおかしいな~。」 "ソロ Violin" も首を
傾げます。

 その、ター、ラー…っての、何小節目? こう尋ねたのは私。

 「… "32" かな? 急に世界が変わるところだ。」



 確かにそのとおりです。 p の変ロ長調が、f の変ロ短調
になっています。 一人だけ。

 …まだ "24" なんだけど…! …と、再び私。



 「……あ、一段、跳ばしたかな。 ごめーん。」

 全員がここで大爆笑。



 「そう言えば、同じのが、2段 (書いて) あるわ…!」

 ………。




 見ると、まったく同じ景色の7小節が、2段あります。 前半
は、その後に終止形があるので、平和な変ロ長調に落着く…
はずでした。

 ところが、後半にはこの8小節目が無く、いきなり変ロ短調
の f の音楽が、新しく始まるのです。



 アンサンブルには付き物の、よくある光景…。

 このときの Violin は、K.君T.さん、チェロが T.さん
T.さんのお宅にお邪魔したときのひとコマでした。

    関連記事 間に合わなかった雪辱戦




 この作品は、私にとって初めての曲。 恥ずかしながら、
それまで聞いたこともありませんでした。 80曲ほどある、
ハイドンの弦楽四重奏曲の一つで、またしても K.君の
リードで経験させてもらった曲です。



 第楽章は変ホ長調、Allegretto の 4/4拍子。 各パートが
歌い交わしながら、曲は落着いた雰囲気で流れていきます。

 そして第楽章が、先ほどの Andante でした。

 第楽章は、Allegretto のメヌエットとトリオ。

 第Ⅳ楽章 Finale は、Presto の 2/4拍子。 あるときは一緒
に、またあるときはバラバラに、忙しく走り回るパッセジが続き
ます。




 「K.君には頭が上がらないはずなのに、よく気が
付いて、ハッキリ物が言えたな!」…ですって?



 そんな…。 私だって、そのぐらいは出来ますよ。
初めての曲でもね。 凄いでしょ?

 いや、なに。 自分にも覚えがあるからなんです。
こんなふうになったら、大体原因は一つ。 "自信を
持った数え違い" 以外にあり得ないんです。



 「それがすぐ解るということは、よほど何度も
前科があるんだな! それに、全体の雰囲気
は悪くならなかったか?」

 ……。 ご心配なく。 その後も和やかな演奏
が続きましたから…。




         第Ⅲ楽章 メヌエット] からの演奏例

           最初の音量が大き過ぎることがあります




  音源をお聴きの際は、他の外部リンクをクリックすると途切れます。



              音源ページ