MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

やり甲斐があり過ぎて…

2011-09-13 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

09/13 私の音楽仲間 (306) ~ 私の室内楽仲間たち (279)



           やり甲斐があり過ぎて…



         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




 「皆様のご希望を募っていたら、以下の具合になりそうですが、
後半は特に、その前の週の曲と、メンバー違いですが (ダブル)
ブッキングしてしまいます(-_-)。」

 「同じ曲ではつまらないかと思いますので、後期の別の曲に
変えましょうか?」



 こんなメールが、お世話係の Sa.さんから私に届きました。
選曲に関する連絡です。




 まずメンバーの組み合わせが決まり、次に各自が曲目の
希望を出す。 …それがいつもの手順です。

 もちろん私にも、一票の権利がありますが、これ以上ない
ほど無精な私は、いつも他人に任せっきり。 皆さんに迷惑
をかけっぱなしです。



 「好きな曲は無いの?」

 あります、あります。 ありすぎて…。 何でもやってみたい
んですけど、あいにくレパートリーの方が無くて…。

 それに、自分から希望した曲が弾けないと、余計に恥を
掻いてしまいます。




 そんな私でも、ご覧のようなメールを読んで大慌て!

 なぜって、"同じ曲ではつまらない"、"後期の曲"…という
のは、何の曲だかお分かりですか?

 それは、あの Beethoven の四重奏曲を指します。 それ
も、特別の畏敬の念を注がれている、後期の曲です。



 その "2曲" の間には、何日間の余裕があるのかな?

 えーと、木曜日から木曜日なので、ちょうど一週間。



 でも、その2曲目を "後期の別の曲" にされてしまったら
大変! 私は、もう死んでしまいます。 それが私にとって
新しい曲だったら…。

 それも、今から三週間しか無い。 あいにく音が出しにくく、
手元には譜面や資料が、あまり無い環境に居るのです。




 二週目も、同じ曲のままで結構ですよ。 せっかくの
ご希望曲ですし、やり甲斐がありますので。

 まだ "Op.18-6" にてこずっている状態です(笑)。



 …こんなメールを慌てて書き送った私…。

 やれやれ、これで一件落着です…。




 そんなわけで、違うメンバーの方々と、一週間を挟んで
ご一緒することになったのが、弦楽四重奏曲 変ホ長調
作品127
です。



 一度目のメンバーは、Violin のM.さん、Viola の
M.さん、チェロの Mk.S.さん

 二度目は Violin O.S.さん、Viola S.さん、チェロ
Ma.Sa.さんでした。




 この曲、やはり同じ集まりで、別の方々と演奏したことがあり
ます。

 それはちょうど一年半前のこと。 音を "出したのは一日だけ"
ですが、準備には、かなりの日数をかけた記憶があります。

 それでも、充分にスコアを見る時間はありませんでした。



 これ、本当は言語道断です。 なぜって、作曲者は Beethoven。
自分のパートだけ弾いても音楽にならない作曲家で、その筆頭
なのですから。

 他のメンバーの方々は、たとえスコアを見なくても、何度も曲
を弾いています。 また音源に、よく親しんでいます。

 私の "音源嫌い" の性格。 これは別途機会を設け、反省
しなければなりません。




 その代わり、と言っては失礼ですが、私には友人がいます。
"友人" と言うと正確ではありませんが、私にとっては心強い
存在。 それは、この場でも何度か登場してくれている、PC
ソフト君です。

 とにかく譜面を見るなり、どんなに難しいパッセジでも音に
してしまいます。 4声部だろうが、6声部だろうが。 音程も
リズムも正確! 若干クセはありますが。



 と言っても、"楽譜の読めない私を助けて"…はくれません。

 「そんなの、自分でやりなよ。 ボクは演奏家なんだから。
初歩的な音取りなんか、やらせないでほしいな…!」



 そう、なかなかプライドが高いんです。

 前回はいきなり登場して、私をビックリさせたのですから。 
曲は、同じ Beethoven の Op.18-6、変ロ長調でした。

         関連記事 ソフト君の逆襲




 ところで、この 変ホ長調 Op.127 は、「プロの四重奏団でも
一番敬遠される曲だ」…そうです。

 一年半前にこの曲をご一緒した際に、チェロの Su.さん
教えてくれました。



 「どのパートも弾きにくい。」 「またアンサンブルが合いにくく、
たとえ合っても、曲に成りにくい。」

 その原因は様々。 とにかく一筋縄では行かない曲でしょう。




 以下は、何度かご覧いただいている譜例で、第Ⅰ楽章の
冒頭です。

 特に難しそうには見えません。 テンポが速いわけでもなく、
音を出すだけなら、どのパートも簡単です。

 ところがどういうわけか、各自のテンポ感がバラバラになり
易いのです。 もっと正確に言えば、"音符の処理" の問題
でしょうか。










 あっ、大変! また始まってしまいました! ソフト君の演奏が…。



   音源 ① (最初の音量が大き過ぎることがあります。)



 スコアを開きっ放しにしておいたのが、まずかった。 それに
どうもさっきから、私の話を聞いていたようです。

 でも、ちょっと待ってよ!? そんな演奏じゃ、いくら何でも…。



  (続く)




       [音源ページ ①  [音源ページ ②



音源をお聴きの際は、他の外部リンクをクリックすると中断してしまいます。



         関連記事 『Beethoven の Op.127

              ① Su.さんの提案
              ② スースー行く
              ③ 円いのはなぜ?
              ④ 円い骨格
              ⑤ モティーフへのこだわり
              ⑥ 変ホ長調への思い入れ
              ⑦ 一年の計は…
              ⑧ やり甲斐があり過ぎて…
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