MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

アルト譜表に親しむ

2009-09-28 02:26:22 | 私の室内楽仲間たち

09/28 私の音楽仲間 (104) ~ アルト記号 (譜表) に親しむ




         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




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 今回はハ音記号の正しい読み方から、譜例を一部
手直しして転用させていただきました。 ありがとうございました。





 前回は「ヴィオラを弾く」お薦めをしました。



 アマチュア・オーケストラに関係している方はよくご存知
と思いますが、入団して手にしたヴィオラが "初めて経験
する楽器" という場合が少なくありません。 学生オケでも、
社会人オケでも。

 その他では、「ブラスバンドでユーフォニウム、チューバ
を吹いていた」、「一人でピアノを弾いていた」、という方も
よくおられます。 木管楽器の経験者は、やはりあまり
見かけません。

 意外に少ないのは、「ヴァイオリンからの転向組」です。
関係はもっとも深い楽器なのですが。




 どなたも、あのアルト記号を読む必要がありますね。 でも
この見慣れない記号に、二の足を踏む場合が多いのでは
ないでしょうか。



 アルト "譜表" は、ハ音記号を用いる記譜法の一つで、今日
では、ほぼ Viola 用専門に使われています。 他には、ごく稀に
アルト・トロンボーンで見かけることがある程度です。



 またこのハ音記号を用いた記譜法には、全部で5種類あり
ますが、"アルト" と "テナー" 以外は、今日ではまったくと
言っていいほどお目にかかりません。

 テナー譜表は、通常バス記号で書かれるチェロやファゴット
に、高音が現われる際に用いられます。 テナー・トロンボーン
ではほとんど常にこれが使われます。 また、ごく稀にコントラ
バスでも見られます。




 ご覧いただくのは ① "ハ音譜表の数々" で、真ん中が
アルト譜表です。 五線譜の中にすっぽり収まっていますね。
記号の中心が "ハの音" なので、ちょうど中央の第3線
"" (あるいは "ド") の音になります。

                 
                 
   
                 
                 
  
(譜例②  [ハ音記号の正しい読み方] より)



 どなたも陥りやすいのが、この "一音ずらす読み方" です。

 「そうか、普通は (高音部記号で) "Si" の場所なのに、ここでは
"Do" なんだな!」と、納得したくなるのです。




 ところが、これは同じ "Do" の音でも、"Si" の「隣りのド」
ではありません。 「7度低いドの音」なのです! これは、
次の譜表を見れば明らかでしょう。



          ③ "大譜表とアルト譜表"

         ([ハ音記号の正しい読み方] より)

   
         
         

 この矢印で示したのは、ヴィオラの最低音、ハの音です。
楽器の音域はご覧のとおり、低音部、高音部の両譜表に
跨っています。

 大譜表は、通常ト音記号、ヘ音記号 (バス記号) の二段から成って
おり、ピアノ譜の "右手と左手" の部分を思い浮かべていただければ
いいでしょう。

        管弦楽曲をピアノ用に編曲した例
        (楽譜の青い表紙の上をクリックしてください)





 したがって、もしこのアルト譜表を使わなければ、ト音記号
とバス記号を頻繁に書き換えることになり、大変面倒です。
Viola という楽器には、この譜表が如何に便利か (特に作曲家
や出版社にとって)
、お解りいただけるでしょう。



 ただし時代が下るごとに、オーケストラ曲でも、より高音を
用いることが多くなります。



 アルト譜表だけで足りるのは、ドイツ音楽では Beethoven、
初期ロマン派の作品、あるいはせいぜいブラームス止まり
でしょう。 ヴァーグナーになると、かなり高い音がしばしば
出てきます。

 譜例③では、ト音譜表第4間 (下から数える) の "" までしか
記してありませんが、そのオクターヴ上ぐらいまでは、よく
用いられることがあります。

 その場合はもちろんト音譜表を用い、"ハ音"⇔"ト音" と、
記号が頻繁に交代することも珍しくありません。




 こうして見てくると、ただ一種類の譜表だけで済むのは、
弦楽器ではヴァイオリンだけです。



 チェロではバス記号、テナー記号、ト音記号の三種類が
頻繁に使い分けられます。 しかも作曲家によっては、同じ
ト音譜表でも、① 実音どおり、② 実音よりオクターヴ高く
記譜される…の二とおりの場合があり、紛らわしいのです。

 Beethoven、ブルックナー、ドヴォルジャークは、上の②に
相当します。



      Happy B-day for solfège geeks

             (全部 Do ?)




  (続く)