ケニチのブログ

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助詞強調の喋り方について

2012-07-14 | 日本語・言葉
 近ごろ流行っているしゃべり方に,どうにも気になるものがある.以前「佐々木研究室/2009-10-24」にも指摘した,「助詞強調」である.


例: 「家ぇ,犬を飼い始めたんですけぉ,チワワぇ,でも言うこと聞いてくれなくぇ・・・・・・」


 想像できるだろうか?

 助詞などの文節末(太字)に極端なアクセントが置かれ,それが引き伸ばされながら大きく落下する.その落差,音程にして4~7度である(抑揚に乏しい日本語の文脈ではかなり強烈).しかも,直後にいちいちコンマ(ブレス)が入るのが特徴である.これによって,聞き手からの相槌を促しているらしい.この場合,発話者の心理としてはやはり,文章を中断し相槌を得ることで,発言の責任のいくらかを聞き手に転嫁することが志向されている.自分のことばで語っていない印象である.
 僕の幼少期にもこういうしゃべり方をする友人がいるにはいたが,ことごとく教師に直されていた.だが,今になってまたよく耳にするようになり,テレビ番組なんかでも芸人やアナウンサー,果ては学者までもが使うので驚くのである.この人たち本当に初等教育を受けてきたのだろうかと.身の回りにも増えている.

 この前身として「語尾上げ」というしゃべり方があるが,これにはまだ相槌でなく意地悪く反撃することが可能だった.「家で?犬を飼い始めたんですけど?チワワで?」ときたら,さえぎって「私に聞かれても困ります.」という具合にね.しかし「助詞強調」には,相槌以外に反応のしようがない感じがあり,その厚かましさが僕は不快なのである.かといって相槌を打たないでいると,彼らはブレスに入ったまま沈黙してしまったり,「もしもし聞いていますか?」と念を押してきたりする.なんだかこっちが悪者みたいになって,かえって惨めである.

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4 コメント

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Unknown (☆ヘリテージ☆)
2012-07-14 22:20:54
確かに、この頃特に、アナウンサーでさえもそういうしゃべり方が耳につきますね。
こちら関西弁は、しゃべり方に抑揚がなく、そのためか?コーラスの練習では、言葉の扱い方で指摘が多く苦労しますよ(笑)

gooのブログ始めました。内容は変わり映えしないんですが、覗いてみて下さい。
Unknown (ケニチ)
2012-07-15 02:10:16
 関西弁に抑揚がないとは意外ですね.僕の身内にも大阪人が多いのですが,高低差の激しいことばだという印象を持っています.ブログ時々覗かせてもらいますね.
Unknown (☆ヘリテージ☆)
2012-07-15 15:21:43
「抑揚がない」というより、「べたべたした話し方」標準語と比べて「リズム感がない」でしょうか。
指揮者には「母音を強調しないで」とよく言われます(苦笑)
Unknown (ケニチ)
2012-07-15 22:22:21
 なるほど.母音の強調と聞いて納得しました.

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