ケニチのブログ

ケニチが日々のことを綴っています

イシイ+N響「大河ドラマ コンサート」

2024-03-09 | 音楽 - 林光
 夕方,東京芸術劇場で行なわれた,K.イシイ指揮+NHK交響楽団の『大河ドラマ&名曲コンサート』を聴いた.古今の大河ドラマのテーマ曲を選集したプログラムで,イシイ率いるN響は,劇伴だからといって,ことさらにストーリー性を強調したり,反対に突き放したりしない,整然かつじっくりとした演奏.フレーズのニュアンスや,パート間のかけ合い,音量バランスにたえず入念しながら,各ナンバーが持つ美しさと迫力とをよく引き出していた.このなかでは,若き日の林,三善の意欲的な作風は,ドラマの内容からいったん離れた独立の音楽としても,とりわけ見事だった.

 曲間に行なわれた俳優と作曲家によるトークは,番組制作の裏話もふんだんで面白く,(プログラム後半のクラシック要らんので)もっと聴きたかった.


N響 大河ドラマ&名曲コンサート
【出演者】キンボー・イシイ (指揮),NHK交響楽団
【日時】2024.3.9 16:00-
【場所】東京芸術劇場 コンサートホール
【曲目】
■池辺晋一郎: 黄金の日日
■稲本響: どうする家康
■三善晃: 春の坂道
■林光: 国盗り物語・花神・山河燃ゆ
■坂田晃一: おんな太閤記・いのち
■服部隆之: 真田丸
■冬野ユミ: 光る君へ
■ヴィヴァルディ: 「四季」―「春」
■スメタナ: 交響詩「モルダウ」
■J.シュトラウスII世: ワルツ「美しく青きドナウ」
■渡辺俊幸: 利家とまつより 永久の愛 (アンコール)

原田慶太楼+大阪響=林光「国盗り物語」他

2024-01-31 | 音楽 - 林光
 夜,シンフォニーホールにて行なわれた,原田慶太楼+大阪交響楽団の定期演奏会を聴いた.めあての大河ドラマ三題は,これらのテーマ曲ならではの迫力もあるが,いっぽうで弱音のデリケートさや,音楽の横の流れによく傾聴した,品やかな演奏.原田率いる大阪響も好調で,明るい音色のアンサンブルだった.


大阪交響楽団 第268回 定期演奏会
【出演者】ステラ・チェン (ヴァイオリン),原田慶太楼 (指揮),大阪交響楽団
【日時】2024.1.31 19:00-
【場所】ザ・シンフォニーホール
【曲目】
■林光: 国盗り物語,花神,山河燃ゆ
■コルンゴルト: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
■バッハ: ヴァイオリン無伴奏ソナタ第1番より (ソロアンコール)
■吉松隆: 交響曲第4番 作品82

野平一郎+オーケストラ ニッポニカ=林光「八月の正午に太陽は」他

2023-11-12 | 音楽 - 林光
 昼すぎ,紀尾井ホールにて行なわれた,野平一郎指揮+オーケストラ・ニッポニカの演奏会を聴いた.めあての林交響曲は,珍しいナンバーへの多少の不慣れを感じさせるものの,安定した技術とアンサンブルの演奏.ただし,指揮者が求める遅いテンポが災いして,むやみに深刻であったり,間延びしたりしたのは残念.

 プログラム前半も概ね同じ印象だが,そのなかで,念入りかつ力強い三善の作風は痛烈に響き,今日の白眉だった.


オーケストラ・ニッポニカ 第43回演奏会 社会への眼差し
【出演者】横坂源 (チェロ),竹多倫子 (ソプラノ),野平一郎 (指揮),オーケストラ・ニッポニカ
【日時】2023.11.12 14:30-
【場所】紀尾井ホール
【曲目】
■池辺晋一郎: 悲しみの森
■吉松隆: 鳥のシンフォニア
■三善晃: チェロ協奏曲第2番「谺つり星」
■バッハ: 無伴奏チェロ組曲第2番より サラバンド (ソロ・アンコール)
■林光: 第三交響曲「八月の正午に太陽は…」

こんにゃく座「浮かれのひょう六機織唄」

2023-09-09 | 音楽 - 林光
 夜,俳優座劇場にて上演された,オペラシアターこんにゃく座の『浮かれのひょう六機織唄』を観た.道楽者のひょう六が,飢饉にあえぐ村を,女遊びのテクニックによって救えるかもしれないという,突飛な状況に奔走する長編コメディ.実に半世紀ぶりに蘇演されるという林の音楽は,日本と(なぜか)ラテンアメリカの情緒とを気軽に往き来しながら,主役たちになりきったり,うんと突き放して眺めたりする,この作曲家ならではの折衷法もしくは遠近法に一貫したもの.

 それにしても,自分がみんなの役に立てると思った途端,にわかに善人ヅラして張り切って出かけるが,事の重大さにだんだん怖気付いていく,ひょう六の人の好さが可笑しく,また変にリアルである.


林光: オペラ『浮かれのひょう六機織唄』
【出演者】オペラシアターこんにゃく座,入川舜 (ピアノ)
【日時】2023.9.9 18:00-
【場所】俳優座劇場

御喜美江「ソノリティズ」

2023-08-28 | 音楽 - 林光
 先日買ったCDを聴いた.御喜美江のアルバム『ソノリティズ』.

 日本の作曲家による,アコーディオン・ソロ曲を集めたもので,御喜は,多くが自身のために書かれたこれらのレパートリーへの,丁寧な読込みに一貫した安定の演奏.リード楽器としての原始的な響きへ還ろうとする細川,そこへ電子技術を持ち込んだ石井,そういった根源論やチャレンジには見向きもしない,ストリートミュージックのような気さくさの林・高橋と,多彩なプログラミングが耳に楽しい.録音鮮明.

 ブックレットでの三橋の解説文,「社会派の作曲家林光」というのは面白いね.そうすると,非社会派の作曲家って誰のことなのだろう?


ソノリティズ ~日本のアコーディオン作品
御喜美江 (アコーディオン),
キングインターナショナル,KKC 6671