ケニチのブログ

ケニチが日々のことを綴っています

ブロック+リール国立管=バルトーク「管弦楽のための協奏曲」他

2023-10-16 | 音楽 - バルトーク
 先日買ったCDを聴いた.A.ブロック指揮+リール国立管弦楽団による,バルトーク「管弦楽のための協奏曲」ほか.

 両ナンバーとも,譜面を正確かつ細部まで念入りに再現した演奏.ブロック率いるリール国立管は,充実の技術とアンサンブルで,トゥッティでの迫力はもちろん,フレージングや強弱へのニュアンスにも事欠かない.各木管のソロパートも生き生きとしており,バルトークの精彩なオーケストレーションを引き立てている.また,「ヴィオラ協奏曲」でのグロスは,ところどころで見得を切るような溜めが聴かれるものの,この楽器ならではの,激しくも翳を帯びた音色が魅力.録音は鮮明だが,高弦がやや大きいか.


BARTÓK: CONCERTO POUR ORCHESTRE & CONCERTO POUR ALTO
Amihai Grosz (viola),
Orchestre National de Lille,
Alexandre Bloch (conductor),
ALPHA CLASSICS,ALPHA 1013

シュタインバッハー&スイス ロマンド管=バルトーク「ヴァイオリン協奏曲集」

2023-06-25 | 音楽 - バルトーク
 先日買ったCDを聴いた.A.シュタインバッハーのヴァイオリン,M.ヤノフスキ指揮+スイス・ロマンド管弦楽団による,バルトーク・ヴァイオリン協奏曲第1&2番.

 両ナンバーとも,やや遅めのテンポを採り,譜面を正確かつ細部まで念入りに再現した演奏.シュタインバッハーは,力強くものびやかな響きに安定したヴァイオリンで,バルトークの難曲を,決してヒステリックにならない,美しい造形のなかに聴かせる.そこへ,ヤノフスキ率いるスイス・ロマンド管が,いくらかラフさはあるものの,充実の技術とアンサンブルで合流する.このオーケストラならではの,管楽器ソロパートの生き生きとした表情もある.録音は鮮明.


Bartók - Violin Concertos (SACD-Hybrid)
Arabella Steinbacher (violin),
Orchestre de la Suisse Romande,
Marek Janowski (conductor),
PentaTone Music,PTC 5186 350

服部百音&名フィル=バルトーク「ヴァイオリン協奏曲第2番」他

2023-05-13 | 音楽 - バルトーク
 夕方,芸文コンサートホールにて行なわれた,井上道義指揮+名古屋フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聴いた.めあてのヴァイオリン協奏曲は,珍しいレパートリーへの不慣れを感じさせるラフさはあるものの,それでも十分に正確かつ力強い演奏.目まぐるしく楽想が移り変わるバルトークの作風にあって,その変わり目でオーケストラをぐいと先導するかのような,気迫に満ちた服部のソロはよかった.

 後半のクセナキスでは,プレイヤーらを円形に配置した舞台が壮観であるが,音楽そのものは単なる騒音の連続で,特段の面白さはない.本来は聴衆も彼らに混ざって間近で鑑賞するコンセプトであるらしいが,せいぜい音響の塊がサラウンドに押し寄せるだけだろうと,たやすく想像が付くのである.いっぽう,ラストの「ボレロ」はその隊形のまま演奏され,各パートが代わる代わるに活躍するこの曲こそ,ぜひともクセナキスが言う方法で聴きたいと思わせる.


名フィル 第512回 定期演奏会
【出演者】服部百音 (ヴァイオリン),井上道義 (指揮),名古屋フィルハーモニー交響楽団
【日時】2023.5.13 16:00-
【場所】愛知県芸術劇場 コンサートホール
【曲目】
■バルトーク: ルーマニア舞曲 Sz.47a, BB 61
■  〃  : ヴァイオリン協奏曲第2番 Sz.112, BB 117
■ブーレーズ: アンセム I より (ソロアンコール)
■クセナキス: ノモス・ガンマ
■ラヴェル: ボレロ

諏訪内晶子 ヴァイオリンリサイタル

2023-04-30 | 音楽 - バルトーク
 昼すぎ,東海市芸術劇場にて行なわれた,諏訪内晶子のヴァイオリン・リサイタルを聴いた.どのナンバーも,諏訪内の正確かつ伸びやかなヴァイオリンと,阪田のじっくりと力強いタッチのピアノが支える,充実の演奏.アンサンブルとしても,むやみに「合わせ」ようとして窮屈になることなく,めいめい率直に進行することで互いを先導し,引き立てる,活発な持ち味.聴き手を圧倒するような,バルトークの激しい大曲のあとの,しみじみとしたアンコールも良かった.


諏訪内晶子 ヴァイオリン・リサイタル
【出演者】諏訪内晶子 (ヴァイオリン),阪田知樹 (ピアノ)
【日時】2023.4.30 15:00-
【場所】東海市芸術劇場 大ホール
【曲目】
■ベートーヴェン: ヴァイオリン・ソナタ第3番 変ホ長調 op.12-3
■プロコフィエフ:     〃    第2番 ニ長調 op.94bis
■バルトーク:     〃    第1番 BB84
■プロコフィエフ: 5つのメロディ op.35aより 第5曲 (アンコール)
■バルトーク: ルーマニア民俗舞曲 (  〃  )
■フォーレ: 夢のあとに (  〃  )

大野和士+都響=バルトーク「中国の不思議な役人」他

2023-03-27 | 音楽 - バルトーク
 夜,サントリーホールにて行なわれた,大野和士指揮+東京都交響楽団の定期演奏会を聴いた.めあての『マンダリン』は,やや遅めのテンポを採り,細部までねっとりと描き込みながらも,バルトークらしい迫力やアクセントをも持ち合わせた,整然かつ充実の演奏.大野率いる都響は,珍しいレパートリーに起因する僅かなアクシデントはあるが,ステージ上にひしめく大編成のオーケストラそのものの異様さと,音楽もしくは指揮者のタクトに食い付いていくような,プレイヤーたちの集中度がそれを上回る,活気十分のアンサンブルだった.

 いっぽうのリゲティシリーズは,コパチンスカヤの面目躍如で,こちらも独特の力強さのヴァイオリンと歌声はもちろん,あちこち歩き回ってオーケストラを扇動したり,カデンツァでは会場じゅうを巻き込んだりと,文字通りやりたい放題の彼女に,圧倒されるばかり.


第971回 定期演奏会Bシリーズ リゲティの秘密 ―生誕100年記念―
【出演者】パトリツィア・コパチンスカヤ (ヴァイオリン&声),大野和士 (指揮),東京都交響楽団,栗友会合唱団
【日時】2023.3.27 19:00-
【場所】サントリーホール
【曲目】
■リゲティ=アブラハムセン編: 虹 ~ピアノのための練習曲集第1巻より
■リゲティ: ヴァイオリン協奏曲
■ 〃 : バラードとダンス (ソロヴァイオリストとコンサートマスターによるアンコール)
■バルトーク: 《中国の不思議な役人》op.19 Sz.73
■リゲティ: マカーブルの秘密