イ・ジャンリャンの問題がまたややこしくなってきました。
先日、もめている理由について書きましたが(ブログ)、どうやらそれが表面化してきたようです。
これまでイが所属していた中国リーグのチームが、「イはバックスではプレーしない」と公言し、もしバックスが“トレードはしないと言い張る”なら、イを中国リーグに連れ戻すと警告したのです。
しかし、そう主張する根拠は何とも的外れでアヤフヤなものです。
中国側が言う“イがバックスには合わない理由”はこうです。
●理由その①
「ミルウォーキーは住みにくい」
シカゴの北に位置する地方都市ミルウォーキーには、中国人があまり住んでいないから、だそうです。
だったら何なんでしょう?
中国人がいなかったら暮らせないんでしょうか?
たとえアメリカ人であっても、大学時代は東南部のマイアミに住んでた選手が、北西部のポートランドやミネアポリスに行くことだってあります。
ドラフトはどのチーム(都市)に行くのかわからないリスクはありますが、それでもNBAに入りたいという想いの方が優先されるはずです。
でなければ、ドラフトにエントリーすべきではありません。
ただ実際問題としてよくお分かりいただきたいのが、これはイ本人の意思ではないという点です。
イ本人は「NBAに入ること」自体が夢であり、別に本人がミルウォーキーに住むことを嫌がっているわけではないんです。
本人は何とも思っていないと思います。
それが証拠に、本人の口から「ミルウォーキーに行きたくない」という主旨の発言が聞かれたことは一度もありません。
反対しているのは周りの取り巻きです。
中国人人口が少なく、アジアンマーケットとしてもアピールの要素が少ないミルウォーキーでは、イを広告塔にした商売が広がらないためです。
それは以前、ヤオとヒューストンの例と比較して説明した通りです。
本人の意思よりも、周りの利益や思惑が優先され、本人の運命がそれによって振り回される。
一番かわいそうなのは、どう考えてもイ本人です。
●理由その②
「バックスではイが成長できない」
来年北京オリンピックを控えている中国は、国の威信を賭けて本番で成果を残そうとしています。
つまり、北京オリンピックで中国代表チームが快進撃を見せることが至上命題であり、そのためには、ヤオの健康やイの成長といった要素が必要不可欠な重要事項なわけです。
で中国側は、イがバックスに入るとプレイヤーとしての成長が妨げられるので、中国代表チームにも悪影響を及ぼすと主張してるんです。
ホントにそうでしょうか?
バックスは若手を育ててこれから強くなろうとしているチームです。
例えば、スパーズやピストンズのような完成されたベテランチームでは、荒削りな新人の出番などありません。(ダルコの例がそうです)
イのような若手が出場機会をもらえるようなチームは、バックスやグリズリーズのような若手の成長を主眼に置いているチームです。
バックスは、アンドリュー・ボーガットというしっかりしたセンターがいるため、イが身長だけで無理やりセンターをやらされる心配もなく、先発PFのチャーリー・ビラヌエバはSFもこなせる器用な選手です。
つまりバックスこそ、イを1年目から試合で使ってあげられる数少ないチームなのです。
じゃあ仮に「バックスでは成長できない」のなら、“大都市のチーム”なら成長できるのでしょうか?
中国側が主張するNYやLAやシカゴなどのチームなら、イの成長に適したチームなんでしょうか?
それって都市の規模で判断する問題ではないですよね、明らかに。
例えば、「サンズやウォリアーズのようなランニングスタイルのチームじゃないと、イの長所が伸ばせない」って主張するならまだわかります。
でも、“プレースタイルの問題”を“都市の規模”で判断するのは、まったくもって筋違いな意見です。
反対するにしても、「もっとマトモな言い訳を考えろ」と言いたくなります。
さて、この先どうなるのかということを考えてみると、いくつかの可能性が出てきます。
●今後の展開①
「おとなしくバックス入りする」
地元中国のメディアがアンケートを取ったところ、約10000人のうち70%近くの人が「イがバックス入りすること」を望んでいるという結果が出たそうです。
イ本人とファンは、間違いなくこの結論を望んでいます。
●今後の展開②
「バックスがトレードする」
バックスが中国側の揺さぶりに屈し、希望するチームへのトレードを強行するパターンです。
しかしバックスだけの問題ではなく、NBAとしてもドラフト制度の根幹を揺るがすことになります。
「選手が指名されたチームに脅しをかけて、希望するチームへ移籍させる」という前例を作ってしまえば、選手側のワガママがエスカレートし、「弱いチームがより優秀な新人を獲れるようにすることによって、各チームの戦力バランスが公平になるようにする」というドラフト制度の意義が崩されかねません。
●今後の展開③
「バックス入りを拒否して中国リーグへ戻る」
これが冒頭で触れた“脅し”だったわけですが、NBAのルールでは、いくら選手がチーム入りを拒否しても保有権はそのチームに残ります。
つまり、バックスがイヤだからといって中国リーグに戻っても、来年別のチームに行けるわけでもなければ、もう一度ドラフトにかかれるわけでもありません。
バックスが保有権を手放さない限り、「NBAに入ること=バックスに入ること」になるので、問題の根本的な解決にはなりません。
●今後の展開④
「1年間プレーせず、もう一度ドラフトにかかる」
一つだけ、もう一度ドラフトにかかれる例外があるのですが、それは「来年のドラフトまで1年間どこのチームともプロ契約を結ばないこと」が条件なんだそうです。
つまり中国リーグにも戻らず、1年間給料ももらわずに、自主トレと代表チームでの活動だけで過ごすということです。
オリンピック前のいわば“勝負の1年”を自主トレで過ごしては、イが成長できるはずもなく、ひいては代表チームの戦力アップにもなりません。
一連の動きを見ていて感じるのは、イ本人の意思というものが全く無視されていることです。
「マイナーなチームでプレーさせたくない」
「マーケットの小さい都市でプレーさせたくない」
本人のために、本人のために、と言っていますが、本人にとって一番いいのは、ただ気持ちよくプレーさせてあげることです。
18才の若者が望むことは、ただNBAのコートに立ちたいという想いだけです。
それを、「イ・ジャンリャンという宣伝素材を使って商売したい」周りの人間たちが押さえつけているだけです。
彼のためにも、ただプレーさせてあげて欲しいです。
★ビッグトレード??
しばらく話題に上りませんでしたが、ジャーメイン・オニールのトレード話が秘密裏に進行していたようです。
<ペイサーズ> ⇔ <ネッツ>
リチャード・ジェファーソン ジャーメイン・オニール
ネネイド・クリスティッチ
ジェイソン・コリンズ
うーん、なかなかビッグですねえ。
キッド、カーター、RJとチームのスター3人がペリミターに固まっているネッツにとってみれば、その一角を出してインサイドのスターと交換するのはいい取り引きだと思います。
これが実現すれば、ラインナップはこう変わります。
<ネッツ>
PG:ジェイソン・キッド/マーカス・ウィリアムズ
SG:ビンス・カーター/バーナード・ロビンソン
SF:ボスジャン・ナックバー/アントワン・ライト
PF:ジャーメイン・オニール/ジョシュ・ブーン
C:ジャマール・マグロワ/ショーン・ウィリアムズ
昨季急成長したナックバーと、今夏FA契約したマグロワで、SFとCは埋まると思います。
ただベンチは極薄になりますねえ・・・・
クリスティッチを出すのも、ちょっともったいない気がします。
<ペイサーズ>
PG:ジャマール・ティンズリー/ダレル・アームストロング
SG:マイク・ダンリービー/マーキス・ダニエルズ
SF:リチャード・ジェファーソン/ダニー・グレインジャー
PF:トロイ・マーフィー/アイク・ディオグ
C:ネネイド・クリスティッチ/ジェフ・フォスター
ダンリービー、RJ、グレインジャーは基本的に全員SFなので、ポジションのダブつきが気になります。
マーフィーとクリスティッチではゴール下がソフトになってしまうので、その点もマイナスですね。
よって、このトレードが成立する可能性は低いと思いますが、ジャーメインがトレードされる可能性自体はまだ残っているのではないかと思います。
★メイソンはバックスへ出戻り
2年前にバックスからホーネッツへとトレードされたデスモンド・メイソンは、古巣のバックスへ戻ることになりそうです。
トレードされる前のシーズンには平均17.2点とキャリア最高をマークし、本人もバックスを気に入っていただけに、放出された時には相当なショックを受けていました。
それが影響してか、ホーネッツでの過去2シーズンは満足な活躍ができずにいました。
今のバックスは、先発SFとして期待されていたボビー・シモンズが長期戦線離脱、ルーベン・パターソンもFAとなり、ちょうどポジションが空いています。
このチャンスを生かし、自身のキャリアを立て直すきっかけになればいいなあと思います。
レッドとメイソンのコンビが復活か
★ヒートはハスリムを放出するのか?
前回(ブログ)お話ししたように、ヒートはナバーロ獲りを狙っているのですが、ウィザーズの条件には「イタン・トーマスかブレンダン・ヘイウッドをセットで引き取ること」が条件に含まれています。
年俸5~6mil前後のトーマスorヘイウッドを引き取るには、ヒートもその金額に近い選手を交換要員として出すことになります。
そしてそれが、ユドニス・ハスリムになるのではないかと噂されています。
ヒートはこれまでも、安くてよく働くハスリムは出したがりませんでした。
今回もできれば避けたいと思っているはずです。
代替案としては、マイケル・ドリアック、ドレル・ライト、ウェイン・シミエン(orデクアン・クック)というパッケージも考えられますが、ウィザーズ側がどう思うかが問題でしょう。
マイアミ生まれで、大学もNBAも全てマイアミと生粋のマイアミっ子であるハスリムが、ついにマイアミを離れる日が来るのでしょうか?
「おらぁ、マイアミっ子だ。どこにも行きたくない」
★アメリカ代表ロースター決定
この夏行われる北京オリンピック代表を決めるアメリカ大陸予選に向けた、アメリカ代表のロースター候補が発表されました。
下記の17人から、最終的に12人にまで絞られます。
<PG>
チャウンシー・ビラップス
ジェイソン・キッド
カーク・ハインリック
デロン・ウィリアムズ
<SG>
コービー・ブライアント
マイケル・レッド
マイク・ミラー
JJ・レディック
<SF>
ルブロン・ジェームズ
カーメロ・アンソニー
テイショーン・プリンス
シェーン・バティエ
ケビン・デュラント
<PF>
アマレ・スタダマイアー
クリス・ボッシュ
<C>
ドワイト・ハワード
タイソン・チャンドラー
欠場予定者が続出したため、5月に追加メンバーが発表されていましたが(ブログ)、それを含めても参加するメンバーは17人に留まりました。
32人の候補がいるにもかかわらず、わずか17人しか参加できないわけです。
残りの15人は不参加です。
すごい参加率ですねえ~
大人気です。
マジメな話、手術を受けたウェイドやアリーナスの欠場は予想されていましたが、さらにエルトン・ブランドやショーン・マリオン、カルロス・ブーザーやグレッグ・オーデンまでもが欠場するようです。
ガード系の候補は代わりがたくさんいますが、インサイドの選手は品薄状態なので、上記4人の不参加は影響が大きそうです。
唯一のビッグセンターだったオーデンも、扁桃腺の手術で参加できなくなりました。
そうすると、ただの練習台としての参加かと思われたチャンドラーを、最終ロースターに残さざるをえなくなるかもしれません。
ただ、よくわからないのがブーザーです。
ケガが理由ではなく、奥さんの出産の面倒を見るからだそうです。
でもブーザーは、5月に追加された補充メンバーです。
つまり、このこの夏の参加メンバーが足りなくなったために、急遽補充された選手の一人です。
穴を埋めるために呼ばれた選手が欠場してしまったら、元も子もありません。
いったい何のための補充だったんだ?っていう話です。
それに、出産のことは5月の時点で既にもうわかってたはずです。
だったらなぜ追加メンバー入りの話を受けるんでしょうか?
「今年の夏は妻の出産があるから参加できないよ」と言っていれば、別の選手が補充されていたはずです。
こういうことをしているから、いろいろと問題(ブログ)を起こすんでしょうね。
候補に選ばれながら、今回参加しないメンバーは次の通りです。
<PG>
ギルバート・アリーナス
クリス・ポール
ルーク・リドナー
<SG>
ドゥエイン・ウェイド
ポール・ピアース
ジョー・ジョンソン
<SF>
ラマール・オドム
ブルース・ボウエン
アダム・モリソン
<PF>
ショーン・マリオン
エルトン・ブランド
カルロス・ブーザー
アントワン・ジェイミソン
<C>
グレッグ・オーデン
ブラッド・ミラー
最強のドリームチームを組むっていうのは、ホントに難しいですねえ・・・・
★おまけ
『イ vs. ノア――仁義なき戦い』の巻
「イーさん、こっち向いて♪ ガヤガヤ」
「なんでアイツばっかチヤホヤされてんだ?」
「ぬぬぬ・・・アイツの人気落ちろぉぉ」
「よーし、負けないぞー!」
「フン!」
「グイッ! あれ? なんか違う・・・」
「フン!」
「とりゃあ!」
「なあコーリー、オレの方が勝ってるよな?」
「オレの方が足長いし~」
「オレの方がセクシーだし~」
「ドリンクも先に取ーる!」
「なんでコイツ、オレにつっかかってくるんだ?」
「イェーイ! オレにもインタビュー来たぜ!」
「なんだアイツ、目立ちたいだけかよ・・・」
中国がからむと、大変ですよね。
何か、いつも代表チームの力で本人が泣きを見る…
みたいな感じで。
まあ、外部がどうこう言っても難しいんでしょうがねぇ。
イには、何とか気持ち良くNBAでプレーさせてあげたいです。
ドラフトでの我儘で、S.フランシスを思い出しました。
グリズリーズから全体2位指名され、行きたくないとごねて、ロケッツとのトレードが成立しましたよね。
あれは、とても醜い行動でした。
3年目には当時、ウエストのガード陣が、イーストに比べるとレベルが落ちてたとしても、フランシスは、2年連続でオールスターの先発に選出されたました。しかし、ロケッツを放出されてから、厳しいシーズンを送ってますね。
マジック時代はまだしも…
同じタイプのマーブリーがいるニックスにトレードされたは、最悪でした。故障もあり、驚異的な跳躍力はなくなりましたが、まだまだ活躍できると思うんですがね。
そのフランシスも、ブレイザーズを解雇され、今オフは動向が注目です。
最後に、マーブリーが今の契約終了後、イタリアでプレーするって言ってますが、どうなるんでしょうね?
こうやってPLAYERの背景を教えて頂くととますます楽しくNBAを観れますね~。
ありがとうございます。
イ本人の望みでPLAYできるといいのに。
国に帰るなんてことになったら悲しむのは本人ですよね・・。
PLAYERが思うとおりにPLAYできて成長を助けるのが国の仕事なのにな。。と読んでて悲しくなりました。
それから画像劇場??いっつもすごくおもしろいです!!
かなり笑ってますww
NOAHのキャラもつかめてきました!
呪いかけてるのが最高です☆
次回作、楽しみにしていますね~♪
イかぁ・・・
プレーしてもらいたいです><
バックス結構おもしろいチームになりそうですねぇぇぇ♪
イの場合は、バスケ以外の“中国人の商売根性”という外的な絡みが出てきてしまっているので、問題を複雑にしています。
一番かわいそうなのは本人なので、何とかNBAでプレーさせてあげて欲しいです。
オリンピックのためでも、中国企業のためでもなく、イの今後10数年のプレイヤーとしての成長がかかった大事な1年なわけですから。
フランシスのケースはおっしゃる通りです。
僕もそれに触れようかと思ったのですが、これ以上長くなるとみなさん寝てしまうかもしれないので止めました(笑)
リーグとしても、ああいう強制トレードが起きないようにと見張ってるようです。
このイのケースにも、デビッド・スターンが介入してくるかもしれませんね。
マーベリーやフランシスに関しては、次のブログででも触れてみたいと思います。
よく「NBAはビジネスだ」なんて言われますけど、本人の意思以外の要素が働いたりとか、いろいろあって火曜サスペンスみたいなんです。
でも、そういう裏事情とか人間ドラマみたいなのを知ると、今まで見えなかった部分が見えたような気がして、とっても興味深いですよ。
画像劇場ですか(笑)
ただおもしろそうな写真を探して、勝手にセリフを作ってるだけなんですけどね。
でも何気にマジメな記事を書くよりも、こっちのネタ作りの方が時間がかかって大変なんです!
アッという間に読めてしまうので、簡単そうに見えると思いますが・・・・
なので、興味を持ってもらえると苦労(?)が報われた気がして救われます。
ノアはイジリやすいのでよく登場させていますが、ホントにあんなことしてるわけじゃないですからね(笑)
でも明るくて奔放なキャラであることは確かなんで、NBAでも人気者になるでしょうね。
是非応援してあげてください。
今後も何かと登場させますよ!(笑)
画像劇場?のファンが他にもいてくれて嬉しいです。
あまりリアクションがないので、素通りなのかなあと不安になってました。
なので、応援してもらえると、また次も何か考えようかなあというヤル気が起きます。
バックスはいいメンバーが揃ってきたと思いますよ。
モー、レッド、メイソン、ビラヌエバ、ボーガットの
先発5人でも十分プレーオフが争えるメンツですから。
是非注目してください!