今年もやってきたモルドバ最大の祭典、ワイン・フェスティバル! 去年はモルドバに来たばかりで右も左もわからない状態でワイン・フェスティバルを迎えたが、今年は違う。 さらに今年は『地球アゴラ』からお声がかかったこともあって、モルドバのワイン事情やワイン・フェスティバルについてかなり詳しくなった。 モルドバがワインの国であるということは知っていても、こういう機会がなければ、ここまで詳しくなることもなかっただろうと思うので、このような機会をいただいたことにとにかく感謝の一言。 テレビで紹介できなかった部分をここで紹介していきたい。
今年のワイン・フェスティバルはとにかく寒かった。 おそらく今年一番の寒さ… 土日ともに最低気温は3度。 さすがにこの寒さは応える。 実はこの後、少し風邪を引いたりもした。 ただそんな天候の中でも世界70カ国以上の人がこのフェスティバルに訪れた。 この二日間に訪れた人々はのべ10万人以上を数える。
今年も国の庁舎の前の広場には50を越えるワイン会社のブースが並び、賑わいを見せていた。 そして、ステージでは民族衣装に身を包んだダンサーたちがモルドバの伝統音楽にあわせて踊る。 踊るのはステージのダンサーたちだけではない。 そう、音楽が流れれば、そこにはいつの間にか輪ができ、人々が踊りだす。 ステージ前の至るところで輪ができていき、手と手をつないだ輪はまわりの人を取り込み、どんどん大きくなっていく。 知っている人であろうが、知らない人であろうが、そんなのは問題ではない。 もちろん日本人であろうが、そんなことは問題ではない。
ここでちょうど学生にも会い、学生や同僚の先生とともに輪に入って踊る。 去年結婚式に参加したときにせっかく覚えたのに、すっかりあのステップは忘れてしまっていた… だが、ここではそんなこともまた問題ではない。 今年は動画もたくさん撮ったので、ぜひこのワイン・フェスティバルの雰囲気を味わっていただければと思う。
去年と同様にそれぞれのブースではワインの試飲ができる。 今年は結構有料のところもあって驚いた。 去年はみんな無料だったような気がするのだが… まあ、有料といっても大した額ではなく、人々は普通に有料のところでも試飲を楽しんでいた。
日本ではちょっと考えられないかもしれないが、試飲するだけではなく、気に入ったワインが見つかれば、その場で買って飲む人もたくさんいる。
何よりも驚いたのは、何とマイ・コークスクリューを持参しているおじさんもいたことだ! 去年の試飲用マイ・グラスの持参にも驚いたが、これにはもっと驚かされた。
さて、今年のワイン・フェスティバルで一番うれしかったのはいろいろな人と関われたことだ。 日本人(アジア人)は珍しいので、今年もまたラジオ局のインタビューを受けたりもした。 ただ、さすがにこういうのには慣れていないので、ルーマニア語で必死で受け答えをしているだけだった。 途中から質問が難しくなっていき、正直よくわからず、インタビューをしているおじさんもちょっと困っている様子だった。
『地球アゴラ』のHPにも載っているこの写真、上に載せた試飲用ワインの写真を撮っていたら、気のよさそうなおばちゃんが頼んでもいないのに「あんたの写真を撮ってあげるわよ!」と撮ってくれたもの。 あまり自分だけの写真を撮らないので、いい記念になった。 これが日本のテレビ番組のHPに載っているなんて、あの気のいいおばちゃんも予想だにしていなかっただろうが…
さらに、そこでワインを楽しんでいた3人のおじちゃんたちに声をかけられる。 試飲用のワインをわざわざ持ってきてくれて、談笑。 ルーマニア語がわからなくても、そこは笑って、ワインを飲めば大丈夫! 左のおじ(い)ちゃんは何かの俳優だと言っていた。 ステージで音楽が流れると、ワインを片手に楽しそうに歌を歌っていた。 このおじちゃん3人に別れを告げると、今度は戦時中樺太に住んでいたというおじいちゃんがやってきて、日本人だと言ったら、なぜか大喜び。 そこでかたい握手を交わす。 さらには、モルドバ人の女の子に声をかけられる。 「アジア人を見るの初めてなの!」と大興奮。 自分のカメラでツーショット写真を撮り、キスをして去って行った。 すごい… としか言いようがない勢いだった。
これは2日目に出会ったお兄ちゃんたち。 踊っている人の写真を撮っていたら、ワインを飲んでいるお兄ちゃんたちを発見。 二人は高校のからの親友だが、一人はベラルーシで、一人はイタリアで働いていて、久しぶりに会ったらしい。 二人とも英語ができなかったが、このぐらいのことがルーマニア語で会話できるようになったのはうれしかった。 日本人だと言ったら、「インターナショナルな出会いだ」と大喜びで、一緒に乾杯。 ぶどうも持ってきてくれて、ぶどうを頬張りながら赤ワインを飲む。 楽しいときなんだからと言って、ガンガンついでくれる。 一人はロシア語しかできなかったので、何だかお互いに片言の会話だったが、楽しいときをすごす。 何ともう一本ワインを買ってきてくれて、さらに飲む。 教えたばかりの日本語で「カンパ~イ!」。 ロシア語は今年に入って勉強し始めたので全然わからないのだが、汚い言葉はたくさん知っていたので、お兄ちゃんたちは大喜びだった。 こんなときにこの知識が生きるとは…
ブースの写真を撮っていたら、ブースのお姉ちゃん(注意: ブスのお姉ちゃんではない)に声をかけられ、民族衣装を着たおじちゃんと一枚、お姉ちゃんには最近のモルドバのワイン事情をいろいろと教えてもらった。 このときは英語が使えたので、やっとちゃんと会話ができた感じ。 このお姉ちゃん、フラッシュ撮影だと必ず目をつむってしまうらしく、2回撮ったのだが、2回とも目をつむっていて、「私、だめなのよ~」と言っていた。
このように、寒い2日間だったが、モルドバの人々の温かさにふれた素敵なときをすごすことができた。 モルドバのワインももちろんいいのだが、モルドバの人はもっといい。
カメラを持って歩いていたら、すごい勢いで駆け寄ってきたお兄ちゃん二人…
ワインで頬をほんのり赤くして、ダンスをしているこのおじさんの笑顔…
そこにはワインがある。 音楽がある。 ダンスがある。 そして、心から楽しんでいる人々がいる。