Maladet de Sahara

~ 人とのつながり、出会いの広がり ~

モルドバから 新たな旅立ち・・・

財団の一大イベント スピーチ・コンテストを終えて ~スピーチとは何か~

2006-12-21 22:09:27 | モルドバ・日本語

先週の土曜日、当財団における一大イベントであるスピーチ・コンテストが開催された。 この約1ヶ月は、財団職員、教師、そして、学生、それぞれがその準備に追われ、何かと忙しかった。 私の担当している学生は9月から日本語学習を始めたばかりなので、参加した学生はいなかった(2年目だが、私のクラスにいる学生は一人参加)のだが、S先生、N先生のところに原稿を持ってひっきりなしにやってくる学生たち、何人かのスピーチ原稿のチェックを私も手伝ったりはした。

ここに初めて来たときは、正直学生たちの日本語のレベルに少し驚いた。 2年目や3年目の学生でさえ、先生と話すときはほとんど英語で話している。 ここに来る前に2年いた青島には、日本人もたくさん住んでいるし、日系企業、日本と貿易をしている会社もたくさんあり、日本人や日本語に接する機会が確かに多い。 しかし、ここキシニョフでは、街で日本人どころかアジア人さえ見かけない。 当然日系企業もない。 この状況下では日本語を使う必要に迫られる機会は授業外ではゼロなので、それもまた仕方がないのかもしれない。 ただ、がんばっている学生もたくさんいるということがこの3ヶ月間でわかった。

今回はスピーチ原稿をタイプして提出しなければいけなかったので、日本語タイプに慣れていない学生たちの顔は真剣そのもの。 「先生、”を”はどう書きますか。」、「小さい”つ”はどう書きますか。」、慣れない日本語タイプに必死になっている学生たちの顔も私にはかわいく見えた。

スピーチ・コンテストの前日に在ウクライナ日本大使館の方とJICAからウクライナ日本センターに派遣されている方も到着し、財団の日本人教師3人も合わせて、5人が審査員として席に着いた。 N先生の担当するキッズ・クラスの学生たちの「あわてんぼうのサンタクロース」で幕開け。 歌も発音も本当に上手で会場中の顔がほころんだ。 去年のコンテストのビデオも見たことがあるのだが、キッズ・クラスの学生たちのスピーチは格段によくなっていて、本当にすごいと思った。 原稿を持たないで前に出てくる学生も多く、それにも驚いた。 私もスピーチではないが、アメリカにいたときクラスでよくプレゼンテーションをしなければならず、初めてのとき原稿を持って、読みながらやっていたら、「原稿を読んでるだけだったら、見なくてもできるように覚えてから、もう一度やってくれ」と退却を命じられたことがある。 大勢の人の前で外国語で何かを話すのは本当に大変なのに、10歳前後の子供たちが難なくやりとげているのである。 ある女の子は途中まではとてもよかったのだが、途中でわからなくなってしまい、必死で思い出していた。 友達が原稿を持ってきてくれたあとは、再び同じトーンでしっかりとやりとげた。 ウクライナのスピーチ・コンテストでは、同じような状況で、そのまま泣いて席に戻っていってしまった子供もいたとのこと。 子供ながら実に天晴れ! 「今回のスピーチはちょっと残念だったけど、きっと将来しっかりした大人になるよ。」とみんなで話していた。

キッズ・クラスの学生たちのスピーチのあとは、学習歴2年の18歳までの学生たちのスピーチ、それ以上の年齢の学生たちのスピーチ、学習歴3年の18歳までの学生たちのスピーチ、それ以上の年齢の学生たちのスピーチがそれぞれ行われた。 モルドバの伝統行事や結婚式について、日本のお茶や文学について、家族のありかたや人生について、また自分の好きなロックについてなど、スピーチの内容もさまざま。 内容的にとてもおもしろいスピーチもあったが、残念ながらそうではないスピーチもあった。 確かに学習歴があがるにつれ、スピーチの内容も難しくなっていたし、流暢さという面においてもレベルが高くなっていたのだが、同時に内容的には事実の羅列が多く、残念ながらスピーチとしてはおもしろくないものが多くなっていたように感じた。 スピーチを聞いていても、その学生とそのトピックの関係性が見えてこず、本に書いてある内容を日本語に翻訳し、それを暗記して発表しているかのような学生が多かった。 VCDを使っている学生も多かったが、実際のスピーチ中に何か映像を紹介するわけでもなく、ただ聴衆の目を引くためだけに使われていた感があったので、それもまた残念だった。 来年はもっと学生とスピーチ内容の関係性が見えてくるような”おもしろい”スピーチをする学生が増えてくれたらと思う。 ただ学生たちそれぞれのがんばりには心から大きな拍手を送りたい。

と、終われればよかったのだが、未だにこの審査結果に納得がいっていない人もいるので、少し大変・・・ どんなにその子ががんばっていても、どんなにすばらしいできのVCDを使っていても、スピーチの内容がただ事実の羅列であっては、おもしろくない。 また本人との関係性も全く見えてこなければ、さらに評価は低くなる。 それに、何よりこれはコンテストであって、誰かが入賞すれば、入賞できない人も出てくる。 どうしてそれがわからないのだろう、肝心の人が・・・


買い物とルーマニア語 ~試着してもいいですか?~

2006-12-12 20:02:00 | モルドバ・生活

先週末、近くのマーケットに行って、モルドバに来て初めて服を購入。 外国で服を買うのは何かと苦労する。 青島に初めて行ったときは8月の半ばで、服は持っていくより現地で買ったほうが安いだろうと思い、夏服以外は持っていかなかった。 確かに中国の服は安かった・・・ しかしながら、デ、デザインが・・・ 不必要なプリントがでかでかと幅を利かす・・・ こんなの着られない。



ちなみにこれはパクリ方がおもしろかったので、撮った写真。 女性向けの服屋はたくさんあるので、まだ選択肢が豊富だが、男性向けの服屋は女性向けに比べると限りなく少ない。 同僚の先生にアウトレットの店を聞くまでは、買いたいと思える服が本当になかったくらいだ。 しかし、2年も同じ場所に住んでいたので、いろんな情報を得て、いい服屋をかなり発掘した。 これを書いている今も中国で買った服を着ている自分。(日本に帰ったときは、すべてがおしゃれに見えたのは事実だが・・・)

さて、モルドバに来たのは9月初旬、青島よりも寒いだろうと思い、中国製の長袖やジャンバーを持参。 ここにもう1年以上住んでいる同僚のS先生に服を売っているところも紹介してもらったのだが・・・ やはり着たいと思える服がない。 さらに高い! これは中国以上に劣悪な環境。 しかしながら、10月半ばから下旬にかけて、なんとマイナスに割り込むほどの寒さ。 予想以上に寒かった、ここモルドバ。 その前に母親に頼んでセーターを送っておいてもらってよかった。 S先生によると、ここでセーターを1枚買うのは約3000円。 着たくないセーターに結構なお金を払って嫌々着るよりは、日本から送ってもらったほうがいいと思った。 5kgもない荷物だったが、日本からここに送るのは1万円もかかる。 これまた高いのだが、日本の食べ物(ここではまず手に入らない)+セーター5枚ならこっちのほうが絶対にいい! ということで、10月を無事乗り越えることができた。 11月からはまた暖かくなり、最近もマイナスにはなっていないので、少し安心。 これからきっと寒い冬がやってくるのだろうが・・・

モルドバでは中国とは違い黒いズボンにワイシャツで教えているので、普段着は家に帰ってからと土日しか活躍しない。 ただバリエーションが少ないので、服が欲しいなあとは思っていた。 しかし、買いたい服がない。 ここ1ヶ月間、S先生に教えてもらったお店やいろいろなマーケットを回ったが、高いのにいけてない・・・ 質も大してよくなさそうなセーターが2000円、3000円という値段で売られている。 ここにもユニクロがあったら・・・(ちなみに、ご存知の方も多いと思いますが、大しておしゃれな人間ではありません。) この1ヶ月、いろいろなマーケットをリサーチした結果、家の近くのマーケットが一番安いことが判明。 今日は大金150レイ(約1400円 笑)を持って、マーケットへ。  まず目についたのはパーカー。 値段を聞いたら、何と35レイ(約320円)。 「おお、安い!」と思ったが、もっと安くていいのがあるかもと思い、一回り。 しかし、他によさそうなパーカーもなかったので・・・

私: 「試着してもいいですか?」
おばちゃん: 「いいよ。 ほら、鏡。 いいんじゃない。」

ちなみにこの表現は1週間に1回勉強しているルーマニア語の時間に先生が教えてくれたもの。 「鏡」も勉強したからちゃんとわかる。 もうここに来て3ヶ月になるし、これぐらいはできて当たり前かもしれないが、初めての買い物のときのことを思うと、ちょっとうれしかった。 先生、ありがとう!



おばちゃん: 「あんた、どこから来たの?」
私: 「日本から来ました。」
おばちゃん: 「へぇ~ 日本からなの。」
私:「35レイですよね?」
おばちゃん:「30レイでいいよ♪」

ちょっとしたコミュニケーションのおかげで、ちょっと得してしまった。

上に羽織れるセーターがあるといいなとずっと思っていて、前に来たときも目をつけていたセーターを・・・

私: 「試着してもいいですか?」
おばちゃん②: ????

このおばちゃんはロシア語しかできなかったらしい・・・ モルドバにはロシア語しか話せない人もいるので、そういうとき少し大変。 結局近くのお店のおばちゃんがロシア語に通訳してくれて、無事試着。 少し大きめだったが、これなら中にたくさん着ていても羽織れるのでちょうどいいと思い、45レイ(約410円)で購入。 通訳をしてくれたおばちゃんにお礼を言って、帰宅。



ホストマームに近くのマーケットで服を買ったと言ったら、見せてと言われたので、さっそく買った服を見せる。

マーム: 「あら、いいじゃない。 いくらだったの?」
私: 「45レイ。」
マーム: 「 え、いくら?!」
私: 「45レイ!」
マーム: 「ここに書いてみて。」
(予想外の値段に私のルーマニア語が間違っていると思っているマーム)
私: 45
マーム: 「本当に45レイだったの。 それは安いわね~」
私: にやり。

ということで、今回は中国並みの値段でそれなりの服を購入できたので満足。 ルーマニア語の勉強ももっとがんばろう。


キシニョフ誕生570周年 番外編 ~歌とダンスで大盛況~

2006-12-08 21:16:21 | モルドバ・フェスティバル
10月の最初の週末に開かれたワイン・フェスティバルに続いて、2週目の週末にはキシニョフの大通りStefan cel Mareを完全に歩行者天国化し、キシニョフ誕生570周年フェスティバルが開かれました。 モルドバだけではなく、ウクライナやルーマニアから来たダンス・グループも参加していました。 モルドバの音楽、ダンス、そして、この楽しげな雰囲気を伝えられたらうれしいです。


キシニョフ誕生570周年 ~歌とダンスで大盛況~

市庁舎の前には大きなステージが設けられ、絶えず歌やダンスが披露されている。 ここは本当に大勢の人を集めていた。 歌やダンスが始まると、見ている人の体も自然と動く。 かけ声がいろいろなところから聞こえ、手拍子が鳴り響く。 ダンス・グループは盛大な拍手で迎えられ、ダンスが終わると、盛大な拍手で送られる。 ダンスをしている人と同じように、見ている人たちも本当に生き生きしている。





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中国パワーはアジアにとどまらず ~ラッキーに続き、フッキー?!~

2006-12-05 01:18:01 | モルドバ・生活

街を歩いていても、はっきり言ってアジア人を目にすることはない。 中国の大使館はキシニョフにあるので、きっと中国の人も住んでいると思われるのだが、3ヶ月の間にそれらしき人を見たのはたった1回(ちなみに見たのは"Green Hills"(後出))。 しかしながら、ここモルドバ共和国にも中国製品がたくさん輸入されているのである。 ここに来て1ヶ月もしないうちに購入したバスケットボール。 市場のいろいろな店をまわったが、安く出回っているボールはすべて"Made in China"。 結局、40レイ(360円)で購入したボールも当然のごとく中国製。 「キヨーレックス」(意味不明)とモルドバで再会するとは夢にも思わなかった。 「キヨーレックス」と堂々とカタカナで書かかれているバスケットボール、これは青島のウォールマートで売られているのを見て、笑っていた製品。 一番の大通りステファン・チェル・マーレの近くの市場の店にこれまた堂々と「キヨーレックス」と名乗っているではないか。 一応、値段を聞いてみたら、何と200レイ(1800円)! た、たかい・・・ 青島では50元(650円)で売られていたというのに・・・ ちなみに、青島でもちょっと高いと思い、手が出なかった。 ここでも当然そんなに高いボールは買わない。

さて、今回はバスケットボールにとどまらない中国パワーをご紹介。 日本人に「油性ペンと言えば?」と聞いたら、きっと返ってくるだろう答えは「マッキー」。 小学校にあったのもやっぱり「マッキー」だった。 しかし、「マッキー」はあまりに有名になりすぎた。 ”Nike”が”Naike"、”Adidas”が”Aoidos"、”Lee”が”Liee”として当たり前のように店先に並べられている中国。 有名なものはパクられるのが宿命。  「マッキー」もその宿命から逃れることはできなかった。 参考に資料画像を見てもらおう。



何の変哲もない「マッキー」が3本並べられているかと思いきや、「ハイ ラッキー」♪ これは日本人も関わっているのではないかと思えるような素晴らしいネーミング。 何と本物の「マッキー」とほぼ同じ値段で売られていたのだが、思わず買ってしまった・・・ ちなみにこの店には「ラッキー」しか置いていなかった。 こんな珍事があったのももう1年以上前、こんなことはすでに記憶の奥底に眠っていた。

が、しかし、ここモルドバで再びこの記憶がよみがえる。 ひらがな、カタカナの宿題添削でみるみる減っていく赤ペンのインク・・・ 日本から持っていった赤ペンがもうすぐ底をつくということで、赤ペンを探しに。 添削用に毎日使うので、あまりに適当なペンを買って、書きにくかったりしても嫌だと思い、Green Hillsというチェーンのスーパーへ。 驚いたことに、赤ペンが売っていない! 前回がたまたま売り切れだったのかと思ったが、やはり今回もなかった。 なぜに青と黒はそんなにたくさんあるのに、赤を置いてくれないのだろうか・・・ それ以上に驚いたことは、こんなところにも「マッキー」があったということ! 世界の「マッキー」! 純日本製のものなんてここではめったに目にする機会はないので、「マッキー」を見ただけで、少し心が弾む。 と、弾もうとした心が・・・



「フッ丰ー」(読めないうえに、意味不明)? さらによく見てみると「サカナ・マーク」(単語として意味はなしてはいるが、もっと意味不明)?! ”ZEBRA”の部分には当たり前のように”YU PAI”と書かれている。 まったくパクっているとは感じさせない。 ちなみに「フッ丰ー」も「サカナ・マーク」も”YU PAI”の製品。 色が違うと、なぜかペンの名前まで変わってしまう。 芸は細かく[120](120円)という部分までしっかりパクっている。 ちなみに値段は1本6レイ(54円)。 モルドバまで輸出されても、本物の「マッキー」よりはちゃんと安く売られているところがさすが中国。

日本とモルドバも決して近くはないが、中国とモルドバも同じはず・・・ しかし、中国パワーはここモルドバにもしっかりと根をはっている。 中国と言えば、「万里の長城」・・・ そして、「パクリの頂上」。