ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ECT2.0 欺瞞の構造

2018年01月19日 | ITS
ETC2.0の不透明さ加減については散々書いてきたが、ETCの販売にしめる2.0の割合も15%程度まで拡大したようだ。
国交省、道路会社のプッシュに加え、メーカーも小売店も高額商品を売りたいだろうからこれは当然のことかもしれない。
しかし、価格差に見合うメリットは殆ど無いにも関わらず半ば騙しのように高額商品が販売されているのはなんとも言えないやるせなさを感じる。

メリットとして宣伝されているものの中で実際消費者にメリットが有るのは高速道路の割引だけだと言っていい。
その割引は「圏央道(茅ヶ崎JCT~海老名JCT、海老名~木更津JCT)、新湘南バイパス(藤沢~茅ヶ崎JCT) 」だけ。ここを使わない人には全くメリットがない。

宣伝文句では「渋滞を回避するために一旦退出して先の入り口から入場する場合にも割引が検討されている」とあるが、いまのところそれはない。
そもそも、この割引は2.0だからできるということではなく、技術的には通常のETCで可能。
事実、昨年の夏に土砂崩れで中央道が通行止めになった時、すべてのETCに対して瑞浪ICと恵那IC間で同様なことが行われた。

それは実はそれは圏央道でも同じことで、通常ETCでも技術的には割引ができる。2.0ならそれができるのではなく、2.0にその割引を限定しているだけなのだ。
圏央道への誘導で首都圏の渋滞を緩和することが目的であれば、すべてのETCを対象にするべきだろう。
ETC2.0に限定する理由は高い2.0を販売するためでしかない。

そもそもETC2.0はITS(高度交通システム)として事故防止とか、高速道路以外での決済(駐車場、ガソリンスタンド、ドライブスルー等)という高い目標があり、それに向けて官民で普及を進めてきた。
しかし、事故防止は殆ど実効がなく、高速道路以外での決済利用も全く進展がない。したがって消費者にとっては高いだけのものになってしまい、そんなものが売れるわけがない。
官としてもメーカーに製品を作らせた以上はその責任を取る必要がある。それがETC2.0に限定した高速道路割引や道の駅への一時無料退出施策なのだ。

なぜそこまでして2.0を普及させなくてはいけないのか?
これは実は私にもよくわからない。
ひとつにはETC2.0から走行データを取得し、それを渋滞回避や交通行政に活用しようというものがある。
しかし、走行データは民間にすでにありそれの活用のほうが早いし、さらに何か具体的にこれの活用が始まった、もしくは将来なにを良くするか、ということは公表されていない。
おそらくはメーカーを巻き込んでここまで来た以上はやめられない、ということなのではないかと思う。

一番の問題点は通常のETCよりも一万円以上高い金額を支払う消費者のことがまったく考えられていないということだ。
それどころか、メリットを誇張して売りつけているようにすら見える。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (後野まつり)
2018-01-20 09:53:17
同じような事がテレビ放送業界にも起きてますね
「NHK受信料「徴収督促チップ」が全テレビに!?」
http://toyokeizai.net/articles/-/205142

ETCはまだ選べるだけマシなのかと。
返信する

コメントを投稿