ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

30日の日経朝刊記事 (ETC民間利用)

2006年03月31日 | ITS
昨日の日経新聞朝刊1面に既存ETC民間利用について掲載されていた。

先週来さんざん書いてきたので深くフォローはしないが、車がサイフになることで、ICカードや携帯など、電子マネーがいよいよ多様化する、という記事には苦笑させられる。消費者が望むことは汎用化であり、決して多様化ではない。

また、ETCによる決済の市場は7兆円、と久しぶりに「兆円」の登場だ。
おそらく給油所(これがメイン)、駐車場、ファーストフードなどで行われている決済の総額のことだと思うが、これは単に支払方法の問題で、市場は拡大しない。

したがって、この市場総額はクレジット会社にしか意味のないものだ。しかし、一見すると将来夢のような市場が広がっているかのように感じてしまう。

もうひとつ、ETCの利用率が上がらないので、高速道路以外の利便を拡大し利用率を上げる、と書いてあったが、関係者が本気でそう考えているとしたらどうしようもない。
高速道路のノンストップというキラーコンテンツにも出費をためらうユーザーが、給油所や駐車場の支払いが多少便利になるくらいでETCを付けるわけがない。
そもそもETCですら、普及にあれだけ苦労したのだ。

はっきりいって、ETCの民間サービス利用に「ETCのおまけ」以上の商品性はない。
「ついていたら使う」程度のものだということをきちんと認識したほうが良い。

ワンセグ放送のコンテンツ

2006年03月30日 | 雑記
ワンセグ対応の携帯はかなり人気のようだ。
カメラに匹敵する新たなキラー機能になる可能性が高い。

一方で、テレビ局は携帯向けのコンテンツを模索している段階らしい。
おそらく立ち上がりは通常放送と同じものを放映する(サイマル放送)とおもわれるが、データ放送を活用した携帯電話との連携によるインターネットショッピングの可能性がはやされている。

しかし、これはどうなのだろうか。

人気の理由は単純に「電車の中でも乱れのない画像でTV番組を無料で見ることができる」ということだ。消費者はサイマル放送以外、期待していないと思う。

さらに、こんな心配もある。

雑誌などには「ペイドパブリシティ」と呼ばれる記事があることをご存知だろうか?
通常の記事のフリをしながら、特定の商品を宣伝する広告ページのことだ。
良心的なものは、欄外に「提供XXXX」などと書かれているが、巧妙なものはそれも隠されている。
トレンド雑誌の中には記事のほとんどがペイドパブリシティで、実はそれがビジネスモデルだったりするのもある。

ブログでも、アフィリエイト収益を目的としているものはいわばこのペイドパブリシティの一種だといえる。
本人の感想のフリをして、特定の商品の宣伝をし、それにより利益を得る、ということである。当然、この場合の記事コンテンツはバイアスがかかったものになる。

さて、地上派デジタルでデータ放送が可能となり、携帯ならその場で注文もできる、となると、番組の作り方にも「ペイドパブリシティ」的な要素が出てきてしまうことが危惧される。「ここのXXは本当にうまいんだよ!」なんていうタレントのコメントの直後にその通販サイトが表示される、なんてことだ。

別にそんなのばればれだからいいんだけど、問題は番組が面白くなくなる、ってこと。雑誌の「ペイドパブリシティ」くらい面白くねぇページはないんだから。

ということで、ワンセグのコンテンツがこれからどうなっていくかはわかりませんが、こういった仕掛けはキチンとCMの時間にやってほしいものです。

モバイルスイカとETCの奇妙な類似点

2006年03月29日 | 雑記
よく考えてみると、モバイルスイカとETCには奇妙な類似点がある。
まず、どちらの事業者も昔は官だったということ。
そして、本来の用途は交通料金の収受にあるということ、さらに、専用のクレジットガードを作らなくてはいけないこと、最後に本来の目的をこえた商業利用に対してなぜか意欲的であり、市場からも過度な期待がされているということ。

大体、ETCもモバイルスイカもクレジットカードを作らせるというところですでに顧客中心思想を忘れている。ETCの場合は、カード会社によってはそのままETCカードを作ってくれるが、私のメインカードにはETCカードがなかったため、やむなく新しくクレジットカードを作る羽目になった。
モバイルスイカはVIEWカード会員にならないと使えない。
いまの時代、新規に提携カードを喜んで作る消費者なんて一人もいない。これはいわゆるメーカー都合、ってやつだと思う。

現在、普通のスイカのキオスクでの利用は10%程度だという。一方、改札通過利用率は45%だそうだ。しかし、通勤時間の山手線主要駅では一年以上前から80%位の人がスイカを使っているように見える。
一方、昨日新宿駅の「スイカが使える」と大きく書かれているキオスクの横で観察をしたが、20人まで数えたが一人もスイカで清算する人はいなかった。

単にまだ使いなれていないだけなのか、そもそもそんなニーズは言うほどないのか、これはわからない。しかし、「殆どの人がもっていて、使えることも知っていて数ヶ月以上経過しているけど、あまり使われていない」ということは、単純に考えれば今後もあまり楽観できない、ということなのではないか。

カーナビとワンセグについて

2006年03月28日 | ITS
12セグの車載地デジチューナーの時にはあまり盛り上がらなかったが、ワンセグ対応になってにわかにカーナビというか、カーTVでのデジタル放送が話題になってきているようだ。

しかし、その内容はちょっと複雑なので一部には誤解もあるようだ。

まず、車載ワンセグチューナーというものは存在しない。今あるナビやカーTVに「ワンセグチューナー」をつけることは出来ない。
 注)2007年1月加筆:現在はいろいろ存在します。11月のエントリー(ここ)を参照してください。
装着できるのは5社ほどが販売している12セグの車載デジタルチューナーであり、そのなかでパナソニックとパイオニアはアップグレードでワンセグに対応するようになっている。

なお、4月に発売されるパナソニックの新しい車載地デジチューナーは最初からワンセグ対応で、今後の新商品はワンセグ対応になっていきそうだ。

また、サンヨーのポータブルナビ「ゴリラ」は4月にワンセグチューナー内蔵の新機種を発売する。これは12セグはつかない。

そもそも、カーTVでデジタル放送を見る場合、ワンセグでなくてはいけないということはない。ワンセグでも12セグでも乱れない映像が楽しめる。
むしろ、視聴可能エリアさえ拡大すれば12セグの方が断然良いのだ。先日の日経新聞の記事がわかりにくい表現であったため、誤解している方も多いと思うが、車載に関して言えばワンセグ対応はおまけ機能である。

車載の7インチ画面でワンセグを見ると、見るに耐えないとは言わないがかなり画質は劣る。静止画像は綺麗だが、動く映像は汚い。
ワンセグが綺麗に見えるのは4インチ画面位までだと思う。

一方、ワンセグのメリットであるが、フル12セグの放送が現在車載で気持ちよく見ることができる範囲は東京でいえば環状8号の内側、といったところであるのに対し、ワンセグならもう少し範囲が拡大する。
つまり、視聴範囲が広いことだけがワンセグの優位点だ。

しかし、フル12セグにしても電波が強くなったり、新東京タワーが出来たり、アンテナ性能があがったりすることで状況は数年で劇的に改善することは決まっている。

ということで、わざわざカーナビ、カーTVにワンセグ専用チューナーだけを装着する意味はあまりない。

モバイルスイカの利用意向調査

2006年03月27日 | 雑記
インターワイヤードは携帯電話に関する調査の中で、モバイルスイカの利用意向について以下のように報告している。

モバイルSuica、「どんなものか知っている」・・・関東では63.4%、近畿28.4%
モバイルSuicaの利用意向、「利用したくない」36.8%が「利用したい」31.2%を上回る。

JR西日本のicocaと互換性があるといっても、モバイルスイカ自体JR東日本のものであり、この調査項目を全国ベースで集計する意味は良くわからない。
「利用したくない」の36.8%の中には、利用したくともJR東を利用していないユーザーも含まれているだろう。
「利用したくない」が「利用したい」を上回っているかのように見えるが、この調査方法では実際のところはまったく判断できない。

だからといって、モバイルSuicaの立ち上がりは決して好調とはいえない。年間ユーザー獲得目標100万人にたいして、最初の一ヶ月で3万5千人とのこと。

対応端末がまだ少ないことと、VIEWカードを作らなければならないことがハードルとなっている、と世間では言われている。
それはまったくそのとおりだと思うが、私はそれに加え、電子マネー自体に寄せられている期待が大きすぎるような気がしてならない。

既存ETCの民間開放と駐車場利用

2006年03月26日 | ITS
神尾寿氏はレスポンスで、既存ETCの開放と駐車場利用について書いている。
駐車場で”キャッシュレス”の攻防

国交省が開放に踏み切った背景に改正道交法による駐車違反取り締まり強化がある、というのはどうかな、と思うが、いずれにしてもDSRC対応ETCの短期間での普及は望めず、その間にFelicaなどが市場を席巻してしまう恐れからの判断であることは間違いない。

私はETC民間利用は、石油元売主導で取り組みがなされるという前提で、普及の可能性がある、と書いた。

駐車場については、消費者のニーズは給油所より高いが、逆に普及へのハードルは給油所より高いのではないか、と思う。その理由は以下のとおりだ。

まず、割引券の扱い。
駐車場ビジネスにとって、周辺商業施設との割引契約獲得は死活問題だ。
しかし、既存ETC利用方式では、ノンストップ入出場で割引を実現することは困難だ。

次に、駐車場の形式。
よくある、ロック式のコインパークでは、区画ごとに路側機を設置しなければならず、現実的ではない。入出場ゲート式に限定されると考えてよさそうだ。

そして汎用性。
個人経営の駐車場が独自に利用者と契約することは可能だが、一元客獲得には結びつかずメリットは小さい。月極め利用者にとっては便利だろうが、他での活用はできない。
これは、組合を作るか、サービス提供事業者の傘下にはいってそのサービスを受けることで解決するだろうが、個人事業者にとっては設備投資に見合うメリットがあるかが微妙なところだ。

一方、神尾氏が指摘しているように、確かにパーク24のような全国展開をしている事業者にとってはビジネスチャンスだ。

TIMESなら全国どこでもノンストップ通過ができる、ということなら、まずは目的地周辺でTIMESの看板を探す、という消費者行動が生まれても不思議ではない。

したがって、駐車場利用の普及は、全国に展開する大手駐車場事業者だけが鍵を握っている。

(余談だが、友人は昔、「月極」という名前の会社が駐車場チェーンを経営していると思っていたらしい。)

日経記事 カーナビもワンセグ

2006年03月23日 | ITS
3月21日の日経に「カーナビもワンセグ」という記事が載っていた。

パイオニアと松下が、車載地デジチューナーのワンセグ対応アップデートをする、また、各社ともワンセグ対応を進める、という内容。

リンク先からは読み取れないが、実際の記事には
「ワンセグなら走行中も乱れないので、今後需要が増加する」
と書かれていた。

まず、間違いは「ワンセグなら画像が乱れない」のではなく、「地デジなら乱れない」である。ワンセグのほうが受信可能範囲が広いということだ。

それはさておき、ナビの画面ということは当然前席モニターのことだ。
事故防止のため、現実はともかく、建前上は走行中は映らないことになっている。

「走行中も乱れない」から「需要増が期待される」なんて、新聞が明言してしまっていいのだろうか?

VICSプローブ 続き

2006年03月22日 | ITS
さて、いろいろニュースが飛び込んできたので先週からエントリーを中断していたVICSプローブに関する話題であるが、一方で昨日話題にしたJ-safetyの報告を読む限りでは、VICSやDSRCなどの既存インフラをメディアミックスで活用し、段階的に車車間通信などへ進むというロードマップが示された。

VICSは国交省の単独事業ではなく、警察庁、総務省との共同プロジェクトだ。
そのためか、今まで国交賞のITS施策の中に決して組み込まれていない訳ではないのだが、微妙な距離があるように感じられた。
しかし、J-safetyの提言のように、これらを国の施策として効率よく組み合わせ、低コストで効果の高いITSを構築するという考え方に進むのであれば、これは歓迎するべきことだろう。

さて、現在のVICSはメディアが3つある。
FM多重、電波ビーコン、光ビーコンだ。
その中で、もっとも普及しているのはFM多重だ。というか、「VICSナビ」はFM多重VICSを装備したナビの意味で、ビーコンは追加オプションだったりする。

これら現状のメディアは情報伝送容量が小さく、見直しが必要だとされている。
地デジやデジタルラジオ、DSRCなどだ。
まあ、FM多重をデジタル放送に切り替えていくのは時代の流れだろう。

ここで真剣に考えなくてはならないことは、ビーコン系がこれまでなぜ思ったように普及しなかったか、ということだ。

答えは簡単。現在の情報では何万円もするビーコン受信器を購入する価値はない。

今後、安全情報を車載器に表示する方向で検討が進んでいくと思われるが、消費者にとって金を出す価値のあるものに仕上げるのはなかなか大変なことだ。
提供する情報に数万円に値する付加価値をつけない限り、現在のビーコンのように絵に描いた餅に終わるだろう。

ITSジャパン J-Safety 委員会

2006年03月21日 | ITS
ITSJapanは安全関連をあつかう部会J-Safetyを立ち上げ、インフラ協調型ITS安全サービスの2010年立ち上げを目指す。

最近まとめられた報告書によるその概要は以下のとおりだ。

・自動車各社が進めている自立型ASV(追突防止レーダーなど)は
 追突事故防止には大きな効果を発揮するが、出会い頭、右左折、
 右直事故の防止には効果がない。

・これらを防止するためには、路側のインフラを活用した路車間、
 車車間システムが必要。これを「インフラ協調型システム」と称す。

・DSRCと光ビーコンの既存インフラ活用からはじめる。

・情報提供のレベルからスタートし、将来は警報、車両制御を目指す。

既存のVICSビーコンを活用するのだ、と明言したことは評価できると思う。
ビーコンは電波+光ですでに3万基設置されている。

ただし、ビーコン受信機を搭載している車両は1割以下であり、またETCにしてもDSRCの受信情報表示機能、および大容量の情報を表示する転送速度4Mbpsの次世代機はまだこれからだ。
ナビゲーションを核に、これらの機能を付加した車載器が本当のITS車載器となるのだろうが、死亡事故低減効果が明らかになるには十分な普及が必要で、相当の時間がかかるだろう。

しかし、始めなくては始まらない。

交通事故死者低減にフォーカスしたうえで、既存メディアを十分活用し、きちんと費用対効果を考えながらメディアミックスで最良の処方箋を提示する、という内容はまさにITSのあるべき姿であり、好ましい物だと思う。

既存ETC利用でもう一つ気になったこと

2006年03月20日 | ITS
もう一つ、国交省発表の既存ETCを利用した民間サービス構想で気になった点。

機器番号を取得し、利用車番号に変換し、それに紐ついたクレジットカードなどで決済する。つまり、車載器に差し込まれるETCカードは全く関係ない。

ということは、ETCをつけたまま車を売却した場合、きちんと解約申し込みをしないとクルマの所有者が変わっても請求がきてしまうということになるのだろう。

報告書では「車載器を譲渡した場合」として注意喚起されているが、「車載器つきでクルマを譲渡する」場合も同様だと思う。

クルマは基本的には中古市場に流れる商品だ。いくら申し込み時点で説明されても、売るときには忘れてしまう可能性がたかい。
これはよほど気をつけないとトラブルが多発するだろう。

この内容はたかさんからコメントでも頂戴した。
よほどシステマチックな仕組みを考えないといけないだろう。

既存ETCのサービス利用 さらに続き

2006年03月19日 | ITS
石油元売がその気になれば、既存ETC車載機器を利用した民間サービスが始まるかもしれない。

そして、かなり高い確率でそのサービスは複数の互換性のない系列に分かれることになるだろう。
これは電子マネーが同じFelicaを使いながらSuicaとEdyで汎用性がないことに似ている。

セブン&アイも自社系列だけで使える電子マネーを計画している。
これもまさに顧客囲い込みである。セブンイレブン等の系列でしか使えないお金を作ることが出来るのだ。仮に石油元売が自社系列給油所だけで使えるETC決済を展開するとしたら、これは全く同じストーリーだ。

一方で消費者の利便は犠牲になる。企業にとっての顧客「囲い込み」は消費者にとっては「制約」に他ならない。自社系列のサービスだけで十分な満足を与えることが出来れば不満が生じないが、各社のサービスがモザイクのように入り混じるとなると、消費者は複数のサービスに加入する必要があり、非常にわずらわしいだけでなく、結局は普及を阻害する。これは電子マネーもETCの民間利用もまったく同じ話なのだ。

セブンとローソンとAMPMで違う電子マネーを持たなければならない、エネオスと出光で違う決済契約をしなければならない、そんな状況は面倒この上ない。
結局日本全国でどこでも使えて汎用性のある「日本銀行券」の方が便利だ、ということになってしまうのではないか。

香港では電子マネーが急速に普及している。地下鉄事業者が発行しているオクトパスが事実上唯一の電子マネーとして浸透しているからだ。
香港の公共交通機関すべてで使える。
シンガポールでも同じような進展が見られているようだ。

やはり、電子マネーにしてもETCにしても交通機関のノンストップ通過がキラーコンテンツなのだ。
そういった意味ではエディやセブン&アイは苦しい戦いを強いられるだろう。

仮にそれを克服できたとしても、広い汎用性を確保できなければ普及に至らずに終わってしまう可能性もある。

既存ETCの民間利用 普及のシナリオ

2006年03月19日 | ITS
石油元売主導による給油所でのETCのサービス利用は可能性があると書いた。
それが実現する場合のシナリオについて、少し掘り下げてみよう。

国交省は「利用"車"番号」を「事業者」毎に発行する、と言っている。
この事業者とは、一つ一つの給油所や駐車場のことではないだろう。いちいち申し込みが必要では、全く汎用性がない。

おそらくIBAのように色々な業者を取りまとめるサービス事業者が現れるのだと思う。

しかし、給油所の元売系列を超えて同じサービスが提供されるとは考えにくい。そもそもの目的が顧客囲い込みだからである。

したがって、新日本、出光、エクソンモービルのような元売系列を柱にしたサービス事業者系列が生まれるのではないか?
駐車場やドライブスルー(これは懐疑的)はそれぞれその中にぶら下がることになるだろう。

給油所店頭での加入勧誘が主流となるだろうが、もっと上流をおさえるほうが確実で手っ取り早い。つまりはETC取り付け時だ。PCを買うとプロバイダー申し込みが簡単に出来るソフトが組み込まれているように、ETC取り付け時の申し込みが鍵となる。

それの獲得のために元売はカーショップやカーディーラーに対してプロモーションやインセンティブを打つかもしれない。
系列エンジンオイルの営業ルートという接点がすでにあり、各社の競争のような状態になれば、普及にかなりドライブがかかると思う。

いずれにしてもETC民間利用は石油元売がその気になるかどうかにかかっている。

既存ETCの民間利用 その可能性

2006年03月18日 | ITS
さて、DSRC、特に今回国交省から発表があった既存ETCの民間サービス利用は今後どういった発展を見せるのだろうか?

給油所利用はありえない、と書いてきたが、ちょっと見方が変わった。
消費者にとってたいした利便でない、という見方に変わりはないが、元売の出方次第では普及のシナリオがあるのだ。

私は現在エクソンモービルの「スピードパス」を使っている。小さなピンのようなものにクレジットカード情報と紐ついたICが埋め込まれていて、セルフ給油機にかざせばキャッシュで給油が出来る。

サイフからクレジットカードを出して読み込むのと、手間の上では大して差はないが、クレジットカードよりも安いのだ。
そして、その割引はエッソ、モービル、ゼネラルのセルフならどこでも適用になるのだ。

つまり、スピードパスは石油元売にとっての顧客囲い込みになっている。
一方、他のエクソンモバイルでも使えるということは、給油所にとってのメリットは小さい。少なくとも割引をするメリットはない。この施策はあくまで元売のための施策なのだ。

元売各社にとって、ETC決済はこの囲い込みに極めて有効な施策となる可能性を秘めている。ある系列でのみ使えるようにすれば、顧客は移動先でもその系列を使うようになる。
どこかの元売がはじめれば、他も追従しなければ負けてしまうということで業界全体に広がる可能性がある。

一方、ETC読み取り対応の給油機は高額となり、個人経営の給油所が自発的に導入するとは考えにくい。元売からの相当の支援がなければ、設備投資は進まないだろう。結局は元売がこれに投資するか否かにかかっている。

ひとたび元売が力を入れれば、普及はさほど困難ではないと思う。
利用者にたいした利便はないといっても、少なくとも不便になる訳ではない。
仮に簡単な手続きで全国で割引になるとしたら誰でも申し込むだろう。
私が「スピードパス」を申し込んだのと同じ事だ。

この展開は注目する必要がある。

国交省から既存ETC機器の民間利用について発表

2006年03月18日 | ITS
17日に国交省(道路局)から既存ETCの民間利用開放について発表があった。

このブログでは、駐車場や給油所での決済というベネフィットでは消費者は高額な機器を購入したり、買い換えたりしないだろうと指摘してきた。今回の発表は、既存ETCで利用できるような仕組みを決め、開放する、というものだ。

そもそも技術的にはいわゆるIDアプリケーション、つまり「ゲート管理」「料金決済」などに限れば、既存ETC機器をその他の用途に活用することは可能だ。IBAはまさにそれである。
既存ETCでは何ができて、何が出来ないかはこのPDFファイル(国交省)の5ページに詳しい。

技術的には可能だったことが今まで行われていなかった理由はセキュリティである。ETC側は、ETCのセキュリティを確保するために「相乗り」的利用は絶対に認めない。
ハイカ偽造で散々苦労をしてきただけに、一点の隙も与えたくないのだろう。
(しかし、その根本的な原因は世界一高い高速料金にある。その市場規模が裏社会をも動かしてしまうのだ)

今回の発表を見ると、セキュリティ確保は「利用車番号」という仕組みにある。
ETC決済に使われている、ETC「機器番号」は民間に開放せず、事業者ごとにそれに対応する「利用車番号」を発行する。
事業者はその「利用車番号」に決済に必要な個人情報(カード番号等)を紐付けてDB管理し、利用者(車)に請求する。

どうやってETC車載器から「利用車番号」を割り出すのか?
簡単にいえば、事業者の路側器はETC車載器から非公開の「機器番号」を受け取り、路側器内に設置されたブラックボックスで「利用車番号」に変換する。
そのブラックボックスはETC側で管理するのだろう。

要するに、ETC決済のキーとなる「機器番号」にはがっちり防波堤を立てる、ということである。

既存のETCで駐車場も通れると聞けば、すでにクレジット会社に申請して作成したETCカードでそのままどこでも使えると思うのが普通の消費者の感覚だ。
しかし、この仕組みでは新たな契約をしなければならない。しかも「事業者ごと」だ。

これはどうなのだろう。

月極駐車場で毎日利用するなどのケースを除いては、わざわざ新たに申し込みをしてまで使うほどの物ではないような気がするが。

VICSプローブ懇談会開催

2006年03月17日 | ITS
15日に第3回VICSプローブ懇談会が開催された。(トップページから辿りにくいので、フレームに直リンさせてもらいました)
資料の一括ダウンロードはこちら(4MB)

VICSプローブとは、実際に走行している車両から位置、速度などの情報を吸い上げ、データ処理することで道路交通状況を把握する、というもの。
わかりやすく言えば、現在渋滞センサーがない道路でも、プローブ車載器を搭載した車が通行すれば情報がセンターに入り、それによりVICSの精度があがる、ということである。

VICSの精度向上はだれもが望むことだろう。
しかし、懇談会では単なる渋滞精度向上だけではなく、安全情報に対する利用者のニーズが高い、としている。
つまりは、カーブ先渋滞とか、この先工事中という情報を事前に車載器に表示する、という奴だ。

人間だれしもアンケートを記入したり、公の場で発言する時には、通常このような社会通念上正義とされる項目への評価は高くなる。
しかし、実際にお金を払って手に入れたいのか、というのは別の問題だ。
多分、消費者が購買時点でお金を払ってもいいと感じるサービスは、渋滞精度向上・予測だけだと思う。

誰でも自分は事故に遭わないと思っている。
事故予防への投資ってのは、なかなか出来ないものだ。

このトピックスはもう少し続けよう。