ITSを疑う

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カーナビ市場が死なない理由

2019年09月26日 | ITS

スマホナビの性能が向上し、事実上カーナビ同等の使い勝手になって来ている。それなのに我が国のカーナビ市場は一貫して対前年プラスで推移しており、2019年上半年でも対前年103%(JEITA)だという。なぜカーナビ市場は消滅しないのだろうか?

カーナビ市場というと一般的にはカーショップで販売されているカーナビを思い浮かべるかもしれないが、しかしこの市場はすっかり冷え込んでいる。実際市販ナビ国内大手メーカーの中でパイオニア、クラリオン、アルパイン、富士通テンは自力での生き残りができず外資などに経営体制が変更されている。
この理由はまさにスマホナビによるものだろう。ナビがついていない車にお金を出してナビをつけようという人はもはやいないのだ。

ではなぜカーナビ市場はそれでも拡大しているのか?

答えはメーカーでの標準装備が拡大しているということ。
次の疑問は、なぜこれだけスマホナビが普及しているにもかかわらずカーメーカーはナビゲーションを標準装備するのか、ということになる。

ナビゲーション機能のない液晶画面付きカーオーディオを「ディスプレイオーディオ」と呼ぶ。すでにもう6-7年前には登場しており、これにアップルの「Carplay」やアンドロイドの「AndroidAuto」という接続を使うことでスマホナビが車載画面で使える。当時はこれでカーナビは絶滅する、アップルが車のエンタメも支配する、というような論調が一般的だった。
しかし、2013年2月の当ブログ記事、「ディスプレイオーディオ(DA)の時代は来るのか?」でも予測した通り、いまだにディスプレイオーディオは決して一般的ではない。

それはこういうことだ。

安全性が重視されるようになり、リヤビューカメラの装備が一般的になってきた。リヤビューカメラには液晶画面が必須となる。したがって軽自動車をふくめ、ほとんどの車が液晶画面を標準で備えるようになった。さらに、この先車内の表示系をすぺて液晶にする「eコクピット」化も進むと予想される。

ナビ機能自体はハードウェア的には相当こなれてきており、液晶画面がすでについていればその(ハードウェアとしての)コストアップはたいしたことはない。
一方で、液晶画面がついているのにナビ機能がないと販売現場で非常に売りにくい。ユーザーは液晶画面にナビ機能を期待するし、スマホ連携機能があっても自動車営業マンにとっては説明は結構厄介なのだ。さらに未だにガラケーの人や、スマホでもアプリインストールなんかしない人はまだ沢山いる。ディーラーはナビ付きのほうが売りやすい。

なのでカーメーカーが敢えてナビ機能をはずしたディスプレイオーディオにするということは今後もないだろう。そういった車もでてくるだろうが、ディーラーオプションでナビユニットをつける前提になってるはずだ。
スマホナビを使いたいユーザーもいることから、将来はよっぽどの廉価仕様をのぞけば「スマホ連携機能もついたカーナビが標準装備」ということになるのではないか。


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7 コメント

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事情通でないが (日本人)
2019-09-28 21:53:56
このカーメーカーのカーナビというの
なんか10年前から進歩ないような?
委託業務でマンネリ化しているのかな?
地図の更新、交通情報、更新の頻度
常に最新かつ正確な情報と適正なルート案内。
丸投げ委託業務のためなのか、また人材がいないのか?
おまけの一応カーナビ商品があるのような?
それにしても、スマホナビの評価みると?と
思うのばかりで。どうなんでしょうね?
ナビと地図は鮮度が大事 (後野まつり)
2019-09-28 23:05:06
ちっと昔になりますが、ナビがまだDVDメディア全盛だった時代に、パイオニアよりAirナビなる、通信回線で地図を更新するナビが出ました。
auとパイオニアが組んですごい事始めたなと当時は思いましたが、すぐにスマホが出て、パイオニアも他のナビに通信機能を付け始めました。
最初はPHSでしたが数年するとdocomoに浮気ところころ変わる。
独自のスマートループもホンダと情報提携。
スマホは2年もすれば機種変なのに、ナビは未だに5年以上前の機種とかザラ。
そして今年はトヨタが新カローラに標準装備で3年有効な通信モジュールを付けてくるそうで。
かと言えば、docomoはin Car Connect
というカーナビをモバイルルーター化するというサービスを打ち出してきました。

激動ですな。どうなるんでしょう。
そろそろ かも (Unknown)
2019-10-02 12:17:12
トヨタは新型カローラとカムリから、カーナビからコネクテッド機能を切り離し、“コネクテッドとDA標準装備”化にシフトしました。
 ナビ機能はLineナビならタダ、CarPlay or AndroidAutoを使いたければ3.3万円のフルセグチューナーユニットを、コンベンショナルなナビは6万の素ナビか10万円のTコネクトのナビユニットがオプション。というアドオン方式。複雑なようでいて、売る側は、素ナビ+フルセグTVの10万円コースを薦めておけば不満は出ないという、意外と上手い戦略かと…。
 自動車メーカーとしては、日本独自に異常進化し、開発費や地図ロイヤリティなどの外部コストがかかり、ただでさえ上昇している車両本体価格を押し上げる“純正ナビ”はそろそろやめにしたいと思うでしょう。また、ナビにコネクテッド機能を持たせるとコストやデザイン面で、世界戦略の足を引っ張ります。そういう面から今回のトヨタの方針変更は(市販ナビ排除を含めて)日本のカーナビマーケットに一石を投じるものだと思います。
 さてホンダは新型フィットからインターナビをやめて新しいコネクテッドサービスを始めるようですが、どのような商品・サービスを打ち出してくるか興味深いところです。
コネクテッド (日本人)
2019-10-03 08:25:30
といってもナビ機能は
結局、カーメーカーさんのナビが
地球が逆さまになるくらい
劇的に向上するとは思えませんw
なにせ現スマホナビの評価みると
ヒドイ評価。
さて、どうなんでしょうね?
カーメーカーの苦悩 (maikawa)
2019-10-04 14:30:25
本文には書きませんでしたが、カーメーカーにとって標準装備ナビの重荷は地図更新です。ハードウェア的なコスト負担は低コスト化がすすんでたかがしれてますが、地図更新コストが大変。そういう意味ではカーメーカーにとってはやりたくない仕事でしょうね。
トヨタさん (日本人)
2019-10-19 09:51:41
え? LINEカーナビなの?
https://toyokeizai.net/articles/amp/307770?page=2
これTCナビより。もっと悲惨な出来なのにw
とにかく使いづらいです。
Unknown (後野まつり)
2019-10-22 10:24:01
上記事の中に「実は工場出荷の状態で全部乗せになっており、DCMからの指示で機能別の窓を開けて、機能を作動させる(トヨタ関係者)という仕組み」とありますね。
スケールメリット感すぎる。

新ヤリスが発表になりましたが、
コンパクトカーゾーンまでDA標準装備だそうで。
今の車買替えたらそこで、後付けナビ終わりな感じです。

個人的に気になるのはナビも重要ですが、カード-ディオ的な音質について、DAの噂が何も聞こえてこないところに一抹の不安。

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