米大統領選の共和党指名を目指すドナルド・トランプ氏は4月27日の外交政策演説で、アジアの同盟国との「費用負担のバランスを取り戻す」と表明。世界の同盟国が「公平な負担分」を支払っていないと主張しました。日韓は東アジアで米軍を最も多く受け入れており、その理由は異なるが重なる部分も多くあります。
東アジアでの米軍の運営コストはどのくらいなのか? 軍事基地を維持するメリットは? 一問一答形式でまとめました。
日韓に駐留する米軍の規模は?
在日米軍の広報官によると、日本にある米軍関連施設85カ所に勤務するのは軍人約5万4000人、その家族4万2000人、そして軍属800人。それに加え、日本人2万5500人が事務員や消防士、医者などとして働いています。韓国に駐留する米兵は2万8500人。
在日米軍の年間費用は?
2月に公表されたオバマ大統領の予算案では、2017会計年度(16年10月~17年9月)での費用は、人件費を含めて約55億ドル(約5850億円)。
日本側は米軍基地のためにいくらか負担しているのか?
日本の16年度予算には米軍基地の直接的支援のための1920億円が含まれます。米軍基地で働く日本人2万5500人の人件費の90%以上と、公益費のほとんどを日本政府が負担しています。そのほか、基地に使用される民間・公共の土地の賃貸料に加え、近隣住民の騒音防止策などにかかる費用も負担しており、これらすべてを合せると、米軍基地関連予算は4500億円になります。
在韓米軍に対する韓国の負担額と韓国駐留の理由は?
韓国政府によると、14年は在韓米軍向けに約8億6660万ドルを負担しました。これは全費用の約40%に相当するといいます。米軍が韓国に駐屯する理由は北朝鮮です。北朝鮮は核実験やミサイル発射により、米国とアジアの米同盟国に対する戦略的軍事力を強化しています。
日本での米軍基地の機能向上や基地移転にかかる費用は?
日本の16年度予算には、こうした費用として1760億円が含まれています。このほか、米国務省によると、日本政府は在日米兵約4000人のグアムへの移転支援に31億ドルを提供することで合意しています。これは想定される総費用86億ドルの36%に相当します。
日本に米軍基地を置く目的は?
日米安全保障条約第5条で、米国は武力攻撃から日本を守ることが義務付けられています。第6条では、米軍のもう一つの目的は「極東の国際的平和と安全保障の維持」とされていて、この条約では、日本の領域を超えた攻撃から日本が米国を保護する義務は明示されていません。このため、片務的だと批判する向きもあります。しかし、最近改定された「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)で、軍事紛争の際も平時も、日本はその領域を超えて米軍を支援することが認められました。日本は地域紛争の際に武器を提供し、災害救助の支援を行い、海・空域の航行の自由を確保するために偵察活動を行うことができます。
日米同盟による日本のメリットは?
日本にとっての財政上の大きなメリットは、自衛のための全費用を負担せずに済むことです。日本は年間の防衛費として国民総生産(GDP)の約1%に相当する約5兆円を投じています。米国の場合、防衛費は5800億ドルとGDPの約3.5%に相当しており、防衛大学校の武藤功教授と武田康裕教授は、日米同盟がなければ、同じ防衛水準を維持するために、艦船や空母や他の武器調達にさらに4兆2000億円が必要になるとの試算を示しています。
また、米国主導の安全保障体制にとどまることで、第2次大戦中に占領もしくは侵略した近隣諸国の懸念を高めることなくアジア地域の平和維持に貢献できるというのが、日本政府の立場です。
米国のメリットは?
同盟を支持する向きによれば、東アジアの安定維持、地域と世界での米国の影響力維持、そして他国の攻撃抑止に役立つ。日本と韓国に米軍基地がなければ、貿易量が減少するうえ犠牲の大きな紛争が発生しかねないといいます。(ソースWSJ)
東アジアでの米軍の運営コストはどのくらいなのか? 軍事基地を維持するメリットは? 一問一答形式でまとめました。
日韓に駐留する米軍の規模は?
在日米軍の広報官によると、日本にある米軍関連施設85カ所に勤務するのは軍人約5万4000人、その家族4万2000人、そして軍属800人。それに加え、日本人2万5500人が事務員や消防士、医者などとして働いています。韓国に駐留する米兵は2万8500人。
在日米軍の年間費用は?
2月に公表されたオバマ大統領の予算案では、2017会計年度(16年10月~17年9月)での費用は、人件費を含めて約55億ドル(約5850億円)。
日本側は米軍基地のためにいくらか負担しているのか?
日本の16年度予算には米軍基地の直接的支援のための1920億円が含まれます。米軍基地で働く日本人2万5500人の人件費の90%以上と、公益費のほとんどを日本政府が負担しています。そのほか、基地に使用される民間・公共の土地の賃貸料に加え、近隣住民の騒音防止策などにかかる費用も負担しており、これらすべてを合せると、米軍基地関連予算は4500億円になります。
在韓米軍に対する韓国の負担額と韓国駐留の理由は?
韓国政府によると、14年は在韓米軍向けに約8億6660万ドルを負担しました。これは全費用の約40%に相当するといいます。米軍が韓国に駐屯する理由は北朝鮮です。北朝鮮は核実験やミサイル発射により、米国とアジアの米同盟国に対する戦略的軍事力を強化しています。
日本での米軍基地の機能向上や基地移転にかかる費用は?
日本の16年度予算には、こうした費用として1760億円が含まれています。このほか、米国務省によると、日本政府は在日米兵約4000人のグアムへの移転支援に31億ドルを提供することで合意しています。これは想定される総費用86億ドルの36%に相当します。
日本に米軍基地を置く目的は?
日米安全保障条約第5条で、米国は武力攻撃から日本を守ることが義務付けられています。第6条では、米軍のもう一つの目的は「極東の国際的平和と安全保障の維持」とされていて、この条約では、日本の領域を超えた攻撃から日本が米国を保護する義務は明示されていません。このため、片務的だと批判する向きもあります。しかし、最近改定された「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)で、軍事紛争の際も平時も、日本はその領域を超えて米軍を支援することが認められました。日本は地域紛争の際に武器を提供し、災害救助の支援を行い、海・空域の航行の自由を確保するために偵察活動を行うことができます。
日米同盟による日本のメリットは?
日本にとっての財政上の大きなメリットは、自衛のための全費用を負担せずに済むことです。日本は年間の防衛費として国民総生産(GDP)の約1%に相当する約5兆円を投じています。米国の場合、防衛費は5800億ドルとGDPの約3.5%に相当しており、防衛大学校の武藤功教授と武田康裕教授は、日米同盟がなければ、同じ防衛水準を維持するために、艦船や空母や他の武器調達にさらに4兆2000億円が必要になるとの試算を示しています。
また、米国主導の安全保障体制にとどまることで、第2次大戦中に占領もしくは侵略した近隣諸国の懸念を高めることなくアジア地域の平和維持に貢献できるというのが、日本政府の立場です。
米国のメリットは?
同盟を支持する向きによれば、東アジアの安定維持、地域と世界での米国の影響力維持、そして他国の攻撃抑止に役立つ。日本と韓国に米軍基地がなければ、貿易量が減少するうえ犠牲の大きな紛争が発生しかねないといいます。(ソースWSJ)