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まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その51

2014-04-16 22:02:12 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
伝えるというものは難しいなぁ、と思います。

伝える、言葉にする、ということは絶対であるように見えて、
実はたった一人、自分のメガネで切り取った世界と価値観の中で
作り上げたもので。

どこまで正しいのか、全く分からない。

だから、難しい、というか、時々すごく怖いです。

それでも人は日々世界を知覚して、それは言葉にせざるを得なくって。

ごめん、少し疲れてます。

続き出しますねー。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その51

  店の勝手口は 鍵がかかっていた
  それもそうかと思って
  入口に回ると そこも閉まっていた
  ナヲキさんは 着ているコック服を
  さぐってみたが 鍵などあるわけもなかった

<つづき>

ナヲキさんは 入口の段差に
よいせと 腰を下ろした
曲げた膝に ひじを乗せ
頬杖をついて 明けゆく空を
ぼんやり 眺めた

立ち並ぶ家越しに あの桜が見えた
桜は いっぱいのつぼみで
うっすら桃色に 染まっていた
ああ桜が咲くな とナヲキさんは思った
そのつぼみだけの紅さを 飽かず眺めた

新作ケーキは 間に合いそうになかった
あの桜が咲く前にと 何度も思った
あの桜の満開の姿を 何度も思い描いた
だけど今は 桜がつぼみを付けている
その自然な営みが 愛おしかった

桜のケーキを作りたいな と
ナヲキさんは ふと思った
そう 俺が作りたかったものは
俺が成し遂げたかったことは
この愛おしさを 皆にも味わってもらうこと

ナヲキさんは 膝に顔を伏せた
溢れる想いに 爆発しそうだった
誰かに伝えたかった この気持ちを
ケーキって ケーキ作りってすごいんだぜ!
なぁ親父 あんたもそう思うだろ!?

ナヲキさんは 火傷をしたように
はっと膝から 顔を上げた
薄い金色の光が 射し始めた空を
ナヲキさんは 目を見開いて見つめた
いま俺は なんて思った?

<つづく>

人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。


※変更:2016年1月9日
だけど今は 桜がつぼみを付けてる→ ~ 桜がつぼみを付けている
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