まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 ~ 「レジナルド氏の憂鬱月」 25

2014-02-25 21:23:00 | 「レジナルド氏の憂鬱月」 2014バレンタイン
どもども~。

皆さま、お元気されてますか。
世間では桃の節句か桜モードになっておりますが、
当店は・・・ まだ「バレンタイン」とか言っております。

いえ、これは来年の先取りで・・・ あるはずないですね、
単に遅れてるだけです。

しかし、心からの喜びに季節など関係ありません。
(少なくとも、チョコレート屋はそう言いたいでしょう)

最後の一口まで、幸せをお届けできてることを願っております。

またお会いする日まで。


2014年2月1日~ブログ直接投稿 「レジナルド氏の憂鬱月」その25

  うん とレジナルド氏は独りうなずいた
  屋敷に入ると 穏やかな闇が広がっていた
  居間の柱時計が ぼーんぼーん・・・
  12回鳴りひびくのが 聞こえた
  レジナルド氏は 巣穴にもぐりこんだ

<つづき>

あなた と奥さんがぱたぱた出迎えた
どうしたの? 遅かったじゃない
奥さんの顔は 小さくこわばっていた
レジナルド氏は 奥さんの顔を見つめた
不安と恐怖が その愛らしい顔を彩っていた

すまなかったな 
自然に口から 言葉がこぼれた
心配かけて 悪かった
レジナルド氏は 腕を伸ばして
驚く奥さんを 抱きしめた

いつもの 奥さんの優しい香り
温かで柔らかな身体が 快かった
いっぱい 聞いてほしいことがあるんだ
奥さんの肩に 顔を埋めて言った
いっぱい・・・お前に

奥さんの手が ふわっと身体に回された
いいわよ と奥さんは優しく言った
でも遅いから 明日いっぱい話しましょ
奥さんは そっと手をはずし
レジナルド氏を 寝床へうながした

空っぽの腕を 少しさびしく思いながら
レジナルド氏は 素直に寝床に向かった
子供たちはもう 安らかに眠っていた
明日さ・・・ とレジナルド氏は
寝床にもぐりこむ奥さんに ささやいた

なあに?という目をする 奥さんに
レジナルド氏は 思い直した
いやなんでもない もう寝よう
布団用にもみほぐした 赤いチラシ
バレンタインの文字が 暗闇で踊ってた 

<おわり>


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新作 ~ 「レジナルド氏の憂鬱月」24

2014-02-24 21:33:16 | 「レジナルド氏の憂鬱月」 2014バレンタイン
さてさて月曜です。

皆さま、いかがお過ごしですか。

当店においでの方はおそらく社会人の方が多いかと思うのですが、
大人になると、それなりに仕事で気ぜわしい毎日を過ごしていても、
何となく、変わりばえがしないような気がしませんか。

仕事はやっぱり、他人様の用事を代わって片付ける、というものですから、
そういう側面でだけで仕事をこなすなら、
裡の成長にはつながりがない時間と感じられるのではないかと思います。

それを人は、生きがいがない、と言うのかもしれません。

だからと言って、仕事に「闇雲に」生きがいを見出そうとするのも、
自分をだますことになるのでは・・・とも思います。

多くの人は(まかろんも含めて)趣味や息抜きで何とか自分を保って、
だましだまし生きているのでは、という気がします。

それから小説や映画を見てると、死んでやっと平安を見出す、
という話が多いですね。

とても悲しいです。


まかろんはいつか、
そのどちらでもない答えを皆さまにお届けできたらと思います。
ずっとそんな答えを探しています。


とりあえずそれまでは、
ほんの一時でもあなたが活き活き笑顔を浮かべられるような、
そんなお茶会を願って。

さあお茶菓子、召し上がれ♪


2014年2月1日~ブログ直接投稿 「レジナルド氏の憂鬱月」その24

  ああ悔しいけどな とレジナルド氏は
  雪をかぶった庭を 見渡しながら言った
  きんとした夜の空気に ハトの声は温かかった
  不思議に ここ数日の焦りは
  どこかへ きれいに消え失せていた

<つづき>

さてじゃあ 僕は行くよ
ハトが 翼を広げながら言った
彼女が 待ってるんでね 
早くしないと あいつが何しだすか・・・
ぶつぶつとハトは 早口で何か言った

あいつ? とレジナルド氏は聞いた
いやなんでもないよ とハトは慌てて言った
じゃあね 素敵なバレンタインを!
ハトは ばさっと夜空に飛んでいった
アンタもな! とレジナルド氏は空に言った

ハトの姿はみるみる 遠ざかっていった
・・・聞こえてないな あれは
レジナルド氏は 独りごちた
ちゃんとしたお礼を 言い損ねたな
レジナルド氏は 巣に向かって歩き出した

雪は ほとんど止んでいた
ざくざくとした新雪が 足に楽しかった
明日はみんなで 雪遊びでもするか
あまり人間が 来ない場所探して
俺が みんなを守らなきゃな

うん とレジナルド氏は独りうなずいた
屋敷に入ると 穏やかな闇が広がっていた
居間の柱時計が ぼーんぼーん・・・
12回鳴りひびくのが 聞こえた
レジナルド氏は 巣穴にもぐりこんだ

<つづく>


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新作 ~ 「レジナルド氏の憂鬱月」 23

2014-02-23 21:27:25 | 「レジナルド氏の憂鬱月」 2014バレンタイン
ども、お今晩は~。

2月最後の土日はいかがでしたか。

実り多い週末だったら良いですね。

明日からの1週間、また元気で過ごして下さい。


2014年2月1日~ブログ直接投稿 「レジナルド氏の憂鬱月」その23

  雪は 小降りになっていた
  車庫では ぴかぴかに磨かれた車が
  薄明かりの中 眠っていた
  屋敷の人間たちも それぞれに
  ぬくぬく 安らかな夜を楽しんでいた

<つづき>

大丈夫? とハトが覗きこんだ
ああ大丈夫だ とレジナルド氏は答えた
いや待て いつの間にここに?
君寝てたんだよ とハトは言った
僕の背中から 落ちかけて

落ち・・・落ちたような気がするが
レジナルド氏は ひやっとして言った
ああでも すぐ僕がつかまえたよ!
ハトが 得意げに胸をはった
それで寝てる君を 連れてきたってわけ

それは・・・悪かったな
レジナルド氏は もごもごと言った
まあなんだその・・・ありがとな
どういたしまして とハトは澄まして言った
大した助けには ならなかったけどね

いや アンタの言う通りだ
レジナルド氏は 言った
雪の中 ねばってても仕方ない
身体壊したら 家族に迷惑かけるしな
レジナルド氏は ひげをなでた

明日は 女房に頭下げるさ
レジナルド氏は 肩をすくめた
何も見つけられなかったすまん ってな
そうだねいいんじゃない とハトは言った
僕もそうしようかな・・・悔しいけど!

ああ悔しいけどな とレジナルド氏は
雪をかぶった庭を 見渡しながら言った
きんとした夜の空気に ハトの声は温かかった
不思議に ここ数日の焦りは
どこかへ きれいに消え失せていた

<つづく>


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新作 ~ 「レジナルド氏の憂鬱月」 22

2014-02-22 21:25:41 | 「レジナルド氏の憂鬱月」 2014バレンタイン
ども、2月最後の土日ですねぇ。

皆さま、いかがお過ごしですか。

皆さまが幸せな週末を過ごされますように。

そしてこの喜びが、皆さまの心の中で輝きますように。

そう祈って、今日も続きをお届けします。


2014年2月1日~ブログ直接投稿 「レジナルド氏の憂鬱月」その22

  早く行って戻って来い と慈愛の神は言った
  お前の愛する者のところで
  待っている・・・ エロス
  ハトは目を見開き 何か言おうとした
  けど何も言えず 飛び去った

<つづき>

雪が 静かに降っていた
慈愛の神は ネズミの血が
流れた辺りを じっと眺めた
汚れの跡もない地面は
白い雪で また覆われ始めていた

慈愛の神は 白い雪をまく
青ずんだ暗灰色の 夜空を見上げた
肩から 銀の弓を下ろし
輝く銀の矢をつがえ ぎりりと
力強く引き絞り 空高く矢を放った

矢は さぁっと幾千幾万の光になり
舞い落ちる雪 一ひら一ひらに吸いこまれ
雪に沈む街に広がった
どこかで 犬の遠吠えがして
また 街は静かになった

慈愛の神は 弓をぎゅっと握りしめ
雪をまく空に 晴ればれ笑った
背中の蝶の羽が 優しくゆらいだ
銀光を放って 神は消えた
雪が 静かに降っていた

目が覚めた? と声がした
レジナルド氏は 起き上がり
きょろきょろ 辺りを見回した
巣がある屋敷の庭だった
庭は 雪明かりで白々としていた

雪は 小降りになっていた
車庫では ぴかぴかに磨かれた車が
薄明かりの中 眠っていた
屋敷の人間たちも それぞれに
ぬくぬく 安らかな夜を楽しんでいた

<つづく>



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新作 ~ 「レジナルド氏の憂鬱月」 21

2014-02-21 21:41:58 | 「レジナルド氏の憂鬱月」 2014バレンタイン
ども、お今晩は~。

金曜ですね、皆さまいかがお過ごしですか。

まかろん、これ書き上げた後、すぐ次回作に取り組んだのですが、
調べても調べても調べても、調べることが出てきて、お~わらなーい。

ああ・・・これに比べたら、この「愛の~」は楽だった・・・
(※2016年1月9日:最初この詩は「愛の降る街」という題でした)

これも山ほど調べ物したし、数ページの総とっかえを2、3か所とか、
結構苦労した、つもりでしたが・・・

いえいえ、舞台裏の愚痴はこれくらいにしましょうね。

今書いてるのがコケてしまっても、この作品が完成品として存在し、
皆さまにご提供できる、それは本当に幸せなことです。

これは愛の物語だから。

最後まで、皆さまに幸せな気持ちを届けられることを願っています。


2014年2月1日~ブログ直接投稿 「レジナルド氏の憂鬱月」その21

  性愛の神の光は 明るくまたたいた
  全ては天の思し召しだ と慈愛の神は言った
  天地が元の方を望めば そうなるだろう
  そうだね と性愛の神はまだ嬉しげに答えた
  慈愛の神の手の上で ネズミがぴくっと動き始めた

<つづき>

おっと 性愛の神はハトの姿に戻った
僕はこの子を送ってくよ お前はどうする?
お前の恋人を見舞う と慈愛の神は答えた
この雪の中 心細い思いをしているだろう
ハトは しまったという顔をした

お前 僕の代わりにこの子を・・・
送ってくれはしないよね とハトは尋ねた
当然だ と慈愛の神は傲然と言った
自分が約束したことは 自分で守れ
お前の罪なき恋人は 私が守ろう

お前 あんまり変わらないね・・・
ハトは ため息をついた
まあそれでこそ お前なんだけど
ハトは飛び上がって 兄弟の手に乗り
ネズミの様子を 覗きこんだ

本当の私に 逢いたかったのだろう?
慈愛の神は からかうように言った
早く行け 恋人が待っているぞ
分かったよ とハトは言って
まだ横たわるネズミを 口にくわえた

早く行って戻って来い と慈愛の神は言った
お前の愛する者のところで
私は待っている・・・ エロス
ハトは目を見開き 何か言おうとした
けど何も言えず 飛び去った

<つづく>

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※変更:2016年1月9日
待っている・・・ エロス → 私は待っている・・・ エロス
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