About Money,Today

ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

運用手数料は想像よりもはるかに高い

2012-07-19 10:58:13 | 投信
CFA協会のブログ「運用手数料は想像よりもはるかに高い(Investment Management Fees Are (Much) Higher Than You Think)」をご紹介したいと思います。これは「敗者のゲーム」の著者である、チャールズ・エリス氏が「ファイナンシャル・アナリスト・ジャーナル」2012年5/6に寄稿した論説を転載したものです。簡単にまとめると…

●運用ファンドマネジャーが創出したリターンに対する比率で運用手数料を評価すべき
●平均年率リターンが8%と仮定すると、手数料は(米国の標準的な手数料である)1%や0.5%ではすまない。一般に個人投資家では12%強、機関投資家では6%となる。
●投資家はアクティブ・マネジャーに支払う手数料を、トータルリターンに対する対価で評価するのではなく、市場平均を上回るリスク調整後の「追加」リターンに対する「追加」手数料の比率で評価すべき

●(上述のように表示すると)追加リターンに対する追加手数料の比率は50%前後。大半のアクティブ・マネジャーのパフォーマンスは各自に与えられたベンチマークを下回ることから、実際の手数料は無限大となる
●正しい視点からみると、アクティブ運用の手数料は低いというよりもむしろ極めて高いといえる

*手数料(⇒この場合は運用管理費用)を市場平均を上回る超過リターンに対するでみるべきだ、という発想は新鮮でした。また、これは米国の例ですから、この考え方でいくと日本の場合はこれを大きく上回る可能性が高いですよね…。

【日本語】運用手数料は想像よりもはるかに高い

【英文】Investment Management Fees Are (Much) Higher Than You Think

真夏のインデックス投資ナイト

2012-07-18 10:01:12 | イベント
8/10(金)に東京・お台場で「真夏のインデックス投資ナイト」が行われます。

こちらは1月に行われている「インデックス投資ナイト」の入門編にあたるイベントで、私も登壇予定です。
「インデックス投資ナイトに参加したけれど、用語が難しくて分からない…」「資産形成に興味はあるけど、何から始めたらいいか分からない」。そんな初心者にもわかりやすい言葉でお話できるように心がけたいと思います(ちなみに、個人投資家さん主催のイベントなので登壇者は皆ボランティア参加です…)

著書『3000万円をつくる投資信託術-サラリーマンのためのインデックス投資入門』(朝日新書)を事前にお読みいただけると、予習になると思います。

イベントの詳細・お申込はこちら

情報開示がいいね(その1)

2012-07-17 20:02:00 | 投信
以前こちらで、機関投資家が運用会社を選択するときの基準として「5つのP」のお話を書きましたが、これはそのまま良い投信選びの選択基準になるのではないかと思います。

1.Philosophy(フィロソフィー);投資哲学
2.Process(プロセス);投資プロセス
3.Portfolio(ポートフォリオ);投資対象の選定と構成比率
4.People(ピープル);人材の資質
5.Performance(パフォーマンス);投資成果

ただ、この5つのモノサシに沿って投信を購入したら、それでおしまいではありません。「このまま保有していて大丈夫?」ということを定期的にチェックしていくことが必要でしょう。

そこで、継続的に保有する投信をチェックしていく上で、情報開示が「いいね!」と思われる運用会社+商品の例をいくつかご紹介したいと思います。1回目は朝日ライフアセットマネジメントの「朝日Nvest グローバルバリュー株オープン(愛称 : Avest-EE(エーベスト・イー)」です。日本を除く世界各国のバリュー株(割安株)に投資するファンドです。バリュー株投資で評価の高い米国ハリス・アソシエイツ社に運用を委託しています。

具体的にどんな点がよいかというと…

●ホームページの商品紹介から「交付目論見書」「請求目論見書」「運用報告書」がダウンロードできること(内容を確認しようと思っても、交付目論見書がなかなか探せない運用会社も結構あります…)。

●ホームページ上に週次レポート、月次レポートを公開している。1回分ではなく、過去分も含めて公開されている⇒こちら

●組入「全銘柄」を四半期ごとに紹介している
(⇒自分はどんな企業に投資をしているのが分かります)
【特別レポート】朝日Nvest グローバル バリュー株オープン(愛称:Avest-E(エーベスト・イー))の全組入銘柄について(2012年3月末)

●組入銘柄をより詳細に紹介した【銘柄紹介】というコラムも毎月HP上に公開している
(⇒投資先の企業について理解・興味がわきます)

【銘柄紹介】Live Nation Entertainment Inc (ライブ・ネーション・エンターテインメント)2012/06/29

【銘柄紹介】Intl Flavors & Fragrances (インターナショナル・フレーバーズ・アンド・フレグランシーズ)2012/05/31

*昨年の東日本大震災、原発の事故などもあり、例えばSRIファンドが東京電力を組み入れているのかどうかを調べようと思っても、月次レポートには全保有銘柄は載っていないし、臨時レポートも出してくれず保有の有無や今後の対応も全くわからない(だいぶ前の「運用報告書」をみるしかない…)という運用会社・商品もありました。やはり自分のお金を託すわけですから、日ごろから積極的に情報開示をしようとしているのか、個人(受益者や商品購入を検討している人)たちがみて分かりやすいものになっているか、などは見ておく必要があるでしょう。