読書日記と読書ノート 第三部(2013年6月~2015年6月) 吉野三郎

退職してから読書中心の生活をしています。読んだ本の感想を日記に記し、要点をノートに書いています。その紹介です。

40、岡野八代「フェミニズムの政治学」(勁草書房)-その13-(13/14)

2016-09-06 06:33:45 | 読書記録
(2)ノートから-つづき-
第三部 第三章
①人権という理念は実現不可能だからこそ、いまだ国民国家システムに生きていかざるを得ない私たちにとって手放すことができない理念であり続ける。
②人権への訴えがなされるのは市民社会の外部からであり、外部から市民社会へと訴えかけるからこそ既存の市民社会を変革する力を人権は持っている。
③人権とは、今人権を認められている市民ではない人が、普遍に訴えて主張できる権利である。
④ある社会において権利として承認されたものは、もはや人権ではない。

終章
①依存をめぐる関係性のなかに見出されたケアの倫理には、国民国家や世代を超えた繕いの共同体や証言の共同体といった新たな共同性へ向けた実践の可能性、他者の取り戻しの可能性が宿っている。
②人間存在の脆弱性こそが、他者との交わりを生み、複雑な関係性の網の目を紡ぎだす源泉であり、他者との間で紡がれた関係性の網の目の中で初めて私たちは自らのユニークさ、かけがえのなさに気付き、そこに個としての尊厳が宿ることを知る。

注より
 ケアの倫理こそがリベラルな権利や正義に先だって存在するより根元的な社会の構成原理であり、かつ、リベラルな正義が排除してきた依存関係から生じる様々な問題や軋轢にもよりよく対応できる倫理だと考えている。

(つづく)

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