読書日記と読書ノート 第三部(2013年6月~2015年6月) 吉野三郎

退職してから読書中心の生活をしています。読んだ本の感想を日記に記し、要点をノートに書いています。その紹介です。

240、坂井豊貴「多数決を疑う」(岩波新書)

2017-11-16 06:40:33 | 読書日記

日記から

・2015年4月27日(月)

「多数決を疑う」を120ページ読んだ。一人一票で投票して多数を得た選択肢を全体の決定とする多数決制は必ずしも投票者総体の意思を忠実に反映するものではない。選択肢が二つだけの時に当てはまる制度で、三つ以上の時にはズレる。たとえば、候補者が三人いて、三人の支持に順位付けがある場合とか、二つの対立する政党を選択するのに、三つ以上の政策上の争点がある場合など。このズレを調整して集団意思を集約する方法に、1位3点、2位2点、3位1点、のようにウェイトをつけ、その総得点で順位を決めるやり方がある。コンドルセが推奨した2項対立の組み合わせでどの組み合わせでも勝った選択肢を集団の意思とする方法もある。考え方としては、選択肢全体の中でそれぞれの選択肢の占める位置を重視する決め方-点数制-と、対立するペアでの優劣を重視する決め方-コンドルセ型-の違いだ。一人一票性が投票者の意思を正確に反映するものではないことは確かだ。数学の定式を使った説明で理解に苦しむところもあったが、なるほどと思った。

・4月28日(火)

「多数決を疑う」を読了。集団の意思を集約する方法には幾通りもあることがわかった。周波数の割り当てをオークションで決めるときに応用できるという。不思議な気がした。いずれにしても、多数決は民意を反映しないし、そもそも民意なるものが何なのか確定しようがないのだ、ということもわかった。

 

(了)


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