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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

重なって繋がって‥

2007-01-24 15:10:53 | 好きな絵本

 図書館の新着図書のコーナーで見つけ、背表紙に惹かれて手にとりました。

 あけるな と言われても、「谷川俊太郎 作 安野光雅 絵」 だったら、
絶対に開いてみたくなりますよね。


  あけるな
        『あけるな』
     谷川俊太郎 文 安野光雅 絵


 本のページをあけてみたら‥こんなやりとり。
 
 
 あけるなったら
 
 へんな とびらだなあ
 これが あけずに いられるかい

 あけるとたいへん

 とびらってのはね
 あけるために あるんだよ

 あけてはいけない

 おどかしたって だめさ
 さあ あけるぞ!

 あけるなと
 いっているのに 



 

 
 だめと言われれば言われるほど、いけないことだと知れば知るほど、その先に
進んでいきたくなりませんか。


 我慢しようと思ったことを、我慢できるほうだとは思うのです。すこしくらい痛くたって
泣かないし、出産の時も、「冷静な人はスムーズに進みますね」なんて言われたし。
 でも、そういうことと「堪える」というのとは、また別なのかなと思います。

 そこに扉があって、扉の向こうに何があるか知りたいとちらっとでも思ったら、私はきっと
扉を開けてしまいます。それがいけないことだとわかっていても、たぶん、きっと、開けてしまう。
 扉の前で、深く考える賢さや、踏みとどまる勇気に欠けているのかもしれません。
それとも、好奇心が断然勝る、ということにしておきましょうか。
  
 

 ところで。

 暮れからお正月にかけて『ナル二ア国ものがたり』を読んでいました。最終巻の
「さいごの戦い」では、扉がキーワードになっているのです。現実の世界からアスランの
居るナル二アへと通じている扉。終焉を迎えるナル二アから、新たな世界へと繋がっている扉‥。
 大地に忽然と現われた扉を抜けて、彼らはどこへ行こうとしているのかー。
その「扉」のイメージが頭の片隅に残っていました。

 それとはまったく別で。

 窓辺に置かれたお人形が、別のお人形に恋をする、短いお話を読み終えたばかりでした。

 そんな時に、図書館で見つけた本がこの『あけるな』だったので、読み進めていった私は
びっくり。気になっていた言葉が二つとも、そこに重要なモチーフとして描かれてあったのですから。
そういえば、夜中に少しづつ読んでいた本の題名も『十一月の扉』‥でした!

 これも、シンクロニシティ&セレンディビティでしょうか?

 シンクロニシティは、意味ある偶然のことで、私たちに何かを伝えるために、導くために、
偶然を装い、必然的に訪れるというもので、そして偶然から何かを発見する力のことを
セレンディビティというのだそうです。 ※のコメント欄を通して、珊瑚さんが教えてくださいました。
 

 いろんなことがどこかで重なったり、繋がったり。
 ひとつのイメージが別のイメージへと導かれ、本を通しての楽しみは尽きることがありません。


 
 『あけるな』は1976年に銀河社より発行された「あけるな」を底本に、昨年の11月
ブッキングより復刊されたそうです。
 70年代にはあった絵本なのですね~。当時読んだことも見たこともなかったけれど、
どうりで懐かしい匂いがしてきたわけです。






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6 コメント

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セレンディピティ (珊瑚)
2007-01-24 18:00:31
rucaさん、こんにちは!
私のコメントを引用して下さってありがとうございます。
それで、自分の入力ミスを発見してしまいました。
ごめんなさい!!
「セレンディピティ」小さい「ィ」が抜けていました。
スペルは「serendipity」です。
語源はスリランカの寓話「セレンディップの三人の王子」に由来しているそうです。
このお話を読んでみたのですが、物事を注意深く観察し考える事の大切さを教えられた気がします。
rucaさんもよかったら読んでみてください。

「偶然からものを見つけ出す能力」身に付けたいなあって思っています。






返信する
珊瑚さんへ (ruca)
2007-01-25 15:40:43
こんにちは。

お断りもしないで、勝手に珊瑚さんの言葉を引用して
しまってすいませんでした。書かせてもらって
いいですか?とほんとはお伺いしてから、と思ったの
ですが‥。

教えてくれた本、ちょっと調べてみましたが、
すごくおもしろそうですね~。市内の図書館には
ないようだったので、早速取り寄せてもらおうと
思います。

どうもありがとう。



返信する
デュシャンを思い出しました。 (ペンギンブルー)
2007-01-27 00:13:35
rucaさん、こんばんわ。
なんだか知的好奇心をそそられる本ですね。見てみたい。
この扉の表紙絵を見た時、マルセル・デュシャンという芸術家の
「遺作 - 与えられたとせよ」という現代美術作品を思い出しました。
デュシャンが、自分の遺作とする為に後半生にひそかに制作していた作品で、遺言通り、死んでから発表された作品なんですが、
板塀があって、その覗き穴から中を見るという作品。
覗くと滝のある風景の中にランプを持った全裸の女性が倒れているのがわずかに見える、というもの。

この本「あけるな」のように、心理状態に訴えかけて来る作品というのは、人によって連鎖していくものが微妙に違っていて面白いですよね。
rucaさんの連鎖も楽しく読ませていただきました。
ちなみに、私は出産は全く冷静を失っていて、わめきまくってました ^_^;;)
返信する
表紙が・・・ (こもも)
2007-01-27 10:15:10
うわあ~。物凄くインパクトのある表紙ですね。
まるで、吸い込まれそうです。怖い・・・
表紙から、すでに物語を語っていますね。すごい。

ペンギンブルーさんの↑のコメントに、深くうなずきました。人に連鎖していくものが微妙に違う作品。rucaさんの連鎖を、私も楽しく読ませてもらいました。
とくに、扉というのは、そういう魔力を持っている気がします。
返信する
ペンギンブルーさんへ (ruca)
2007-01-29 14:41:52
こんにちは。

興味深いコメント、ありがとうございます。
デュシャンのその作品を私は知らなかったので、夫に
訊いてみたところ、知ってる知ってると、説明して
くれました。その後で、この絵本を見せて、「もしかして
安野光雅氏は、デュシャンの作品からイマジネーション
してこの絵本を描いたのかな?」と言ったところ、
それはないのでは、という答えでした。夫の印象は
この絵本は『ズーム』という絵本の方に似ている
とのことでした。

昨日図書館へ行ったので、デュシャンの作品集を
探して見ました。ああこれがその扉なんだ、という
もの発見。確かによく似た雰囲気ですね~。

ほんとは私も昨日はことり文庫さんへ行こうかな、と
思っていたのです。でも夕方から用事ができたので
またの機会にしました。
『私の船長さん』いいですよね。その本とも、この
『あけるな』繋がっているのです、私の中では。

返信する
こももさんへ (ruca)
2007-01-29 14:47:16
こんにちは。

そうですね~この扉の絵、すごい迫力で迫って
きますよね。

ひとりで読んだときにはあまり気にとめなかったの
ですが。休みの日に家族でみていたら、扉を開けて
あけて、あけて、いった先の展開していく場所が
すべて最初の扉が描かれていた場所と同じだと
いうことに気が着きました。だから、ほんとうに
「そこへ」入り込んでいくような気持ちになって
いくのです。

扉を開けて、どこへ行き着くか‥
こももさんも、ぜひ、辿っていってください。
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